歴史と伝統 に関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/category/traditional 少し違う旅のアイデア Tue, 21 Oct 2025 11:37:04 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.3 https://tripplanner.jp/wp-content/uploads/2021/01/cropped-favicon-32x32.png 歴史と伝統 に関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/category/traditional 32 32 なぜか「100円ショップ」がいっぱい!? 奈良にある日本最古の道「山の辺の道」を歩く https://tripplanner.jp/topics/5604 Fri, 25 Jul 2025 08:30:58 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5604 オフィスビルが林立する東京の真ん中にひっそりと残された古い石垣を見て、失われた江戸城の広大な姿が目に浮かぶ、と…

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オフィスビルが林立する東京の真ん中にひっそりと残された古い石垣を見て、失われた江戸城の広大な姿が目に浮かぶ、といった空想力が失われてから、もう何年経っただろうか。

自分の脳には、もう見えないものを幻視する力も、心の余裕もなくなってしまったのかもしれない、と寂しく思いはじめた昨今、ここなら何らかの脳トレができるかもしれない、と思ったのが奈良にある日本最古の道、「山の辺の道」である。

山の辺の道

何しろ、この道を味わい尽くすなら、失われてしまったかつての風景を幻視する能力は必須。なんの予備知識もなく歩くとごく普通ののどかな田園風景にしか見えないが、実はすごい史跡、みたいな場所がたっぷり待ち構えている歴史ロマンあふれる地なのだ。

おすすめはボランティアガイドをお願いして一緒に歩くこと。なんと10名までなら一人1000円という破格でガイドの方をお願いできる。

こんもりと盛り上がった丘が古墳だったり、なんてことのない池がかつての大寺院の一部だったりと、その風景を読み解くための知識を一朝一夕で得るのは簡単ではない。ガイド付きで歩けば、ここが日本最古の道なのだと実感できるだろう。早めの予約が必要なので、ぜひサイトで要項のチェックを(詳細はこちら)。

今回は、「山の辺の道」でも、アップダウンが少なく所要時間も3時間程度とライトな、石神神宮(いそのかみじんぐう)〜長岳寺を結ぶコースを歩いてみた。ここからは、写真とともにその感想をシェアしていきたい。

山の辺の道のハイライトの一つ、ロマンあふれる「石神神宮」へ

さて、前の原稿でも書いたが、山の辺の道を歩くにあたり、宿泊先に選んだのは「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」。石神神宮から徒歩16分程度で、宿の名前にもある通り山の辺の道を歩くのにぴったりの立地の宿である。モダンで機能的な客室は、若い世代にも過ごしやすいと思う。

「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道 」で注文できる朝ご飯。素晴らしく美味しかったし、見た目もうるわしい!

柿の葉寿司など奈良の名物が並ぶ朝ご飯をいただいたら、さっそく石神神宮へ。山の辺の道沿いにある神社仏閣の中でも屈指の由緒を誇る神社である。

2025年の4月〜6月まで奈良国立博物館で開催された『超 国宝』展の目玉のひとつだった七支刀(しちしとう)など、多くの宝物を収蔵していることでも有名で、古代、武門の棟梁だった物部氏の総氏神でもあったという歴史ある神社。とり・みきさんの漫画『石神伝説』にもミステリアスな場所として登場しているので、読んでからいくとさらにわくわくするかもしれない。

境内を歩く神鶏の姿もフォトジェニック。国宝の拝殿など見どころも多い。

石神神宮

山の辺の道を歩き始めて最初に、早くもハイライトともいえる超名所に来てしまったが、ここをすぎれば、お待ちかねの(?)想像力で補わないと真価がわからない、奥深い風景が待っている。

100円玉必須! 古代の道に並ぶ美味しい無人ショップ

石上神宮をあとにすると、いよいよ、歩くことがメインのアクティビティになってくる。正直、しばらくは石神神宮クラスのわかりやすい名所もなく、目に映るのはただひたすらの田園風景だ。

言われないと、ここが日本最古の道なんてわからないよね〜という、ザ・田園風景。
のんびりとした風景が続く。

かつてここが文化人たちを魅了した場所なのだと思い出させてくれるのが時折現れる歌碑。古今和歌集に選ばれた名歌や、松尾芭蕉や柿本人麻呂、小野小町などが読んだ歌碑が道沿いにぽつんぽつんとあり、その筋の素養がある人には楽しいかもしれない。

しかし、その筋の素養がない人でも楽しめるものも点在している。それが、ボランティアガイドの人が「100円ショップ」と呼ぶ、無人の野菜や果物、お菓子などの直売所だ。

新鮮な野菜がお値打ち価格で!
美味しそうな干し柿も100円!

これがもう、どれもすごく美味しそうで安く、100円玉ジャラジャラ持ってきて良かった! としみじみ思ったもの。野菜やら果物などをたっぷり買い込んでしまった。

私が訪れた5月は冷蔵庫にいちごが冷やしてあった。これがまた甘くて絶品!

これから山の辺の道を歩くという人がいたら、私は絶対に「100円玉を10枚は持っていけ!」とアドバイスする。

池や丘、建物に残る歴史を感じ、読み解いてこその山の辺の道

さて、100円ショップめぐりに夢中になっているうちに到着したのが、この小綺麗な池。

実はこの池は、かつて「西の日光」と呼ばれるほどの大寺院で、50を超える堂塔を有していたという内山永久寺のあと。明治の廃仏毀釈で廃寺となり、今はこの池のみがかつての面影を伝えている。その歴史については奈良県のサイトに詳しいので興味あれば一読を。

歩いていたらこんな風景も。フォトスポットとして有名だというトンネル。ウクライナの「愛のトンネル」みたい?

なんと大小あわせて1700以上もの古墳が集中するという天理市ならでは、ぼんやり歩いていると見逃してしまう古墳も、道沿いにあまたある。たとえば下の写真の、畑の隣にあるこんもりとした森も、実は古墳だ。こんもり盛り上がった場所はだいたい古墳だと思っておけば間違いない、みたいな感覚である。

ここが古墳だなんて、自分ひとりでは絶対に気が付かない。
なんと寺院の敷地内にも古墳が。古墳の上に墓地が重なるのは、理にかなっているかも。

古墳の他、この道を歩いていて出合うユニークな風景が環壕(かんごう)集落。これは濠で囲まれた集落のことで、戦乱が多かった中世に、村の暮らしを守るために考え出されたもの。のどかに見える風景からは想像できないが、乱世にはそれなりにこの地にも危険が満ちていたんだろう。

歌碑、100円ショップ、古墳に環壕集落。神社仏閣のようなわかりやすい見どころとが多いとは言えないが、奈良ならではの歴史の年輪に触れつつ脳内で古の風景をイメージして歩くこと約3時間、ついに目的地の長岳寺に到着!

日本最古の楼門で、創建当時から残る唯一の建物。

824年に弘法大使が開いたとされる古刹で、四季折々の花の美しさでも知られ、「花寺」とも呼ばれる長岳寺。日本最古の玉眼仏や狩野山楽による大地獄絵など文化財も多く、山の辺の道散策の半日コースの締めくくりにうってつけの華やかな名所。

訪れた5月末はカキツバタが花盛り。

長岳寺に隣接する「天理市トレイルセンター」には、「洋食Katsui」も併設しており、ここでランチ休憩をとれば完璧。

天理市トレイルセンター
洋食Kastuiのごはんの一例。牛のカツレツやら
ローストビーフやら。美味しかった!

スタートとゴールに、わかりやすく華やかな神社仏閣を据え、残りはのんびりとした田園を歩く3時間ほどのゆるハイキング。普段それほど歩かない人でも、それほど疲れない良いコースだったと思う。

途中にはお店らしいお店がないので、夏場は十分な水分補給など熱中症対策は必須。歩きやすいのはやはり春と秋だろうか。

奈良公園付近のような「ザ・観光地」といった雰囲気とは無縁だが、古代奈良への理解も深まる田園散歩。また違った奈良の魅力に出合えるはずだ。

宿泊した「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」は、道の駅「なら歴史芸術文化村」の隣。文化財保存や修復などを行う施設を見学できたり、美味しいおみやげショッピングも楽しめて便利。

<紹介した主な場所>

フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道

石上神宮

長岳寺

天理市トレイルセンター

洋食KATSUI

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奈良、飛鳥時代から続く薬草の里・宇陀の古民家で癒やしのヘルシーランチ&薬草散歩

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奈良、飛鳥時代から続く薬草の里・宇陀の古民家で癒やしのヘルシーランチ&薬草散歩 https://tripplanner.jp/topics/5557 Wed, 11 Jun 2025 01:21:56 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5557 奈良を旅行するなら、やはり神社仏閣、そして鹿よね……などと考えがちな皆さん。今回は、そんな紋切り型のイメージと…

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奈良を旅行するなら、やはり神社仏閣、そして鹿よね……などと考えがちな皆さん。今回は、そんな紋切り型のイメージとはちょっと違う、知られざる奈良の旅をお届けしたい。

ここは奈良の東側、宇陀市榛原八滝。山と、ぽつりぽつりと点在する古民家が見えるのみの、時が止まったかのような深山の里だ。

田舎らしい田舎を持たない私は、ドライブなどでこういった古民家の脇を通り過ぎる度に、「こんな家がうちのおばあちゃんちなら良かったのに」と憧れたものだ。いくら素敵でも、車を降りて家の周りをうろつこうものなら、完全に不審者になってしまう山奥の集落は、遠くからそっと眺めるしかない「手の届かない場所」だった。

しかし、今回は、この古民家の周りを徹底的に歩き回ることができた。なぜならここは、創作イタリアンのレストランでもあり、古民家オーベルジュでもある『うだ薬湯の宿 やたきや』だからである。

うだ薬湯の宿 やたきや
『うだ薬湯の宿 やたきや』は2022年5月に開業。元は庄屋だったという築300年にもなる古民家は、一時とある大学教授の別荘となっていたものを、宇陀市内にある畳店3代目が取得し、宿として再生させたという。立派な門に期待が膨らむ。
今では貴重となった茅葺き屋根が見事な母屋。
玄関前の絶景。

■ 飛鳥時代からの薬草の里ならでは、体の中から癒される珠玉のランチコース

さっそく『うだ薬湯の宿 やたきや』の母屋へ足を踏み入れてみよう。古民家ならではの建具や欄間の美しさ、額縁のような窓越しに広がる美しい庭などに思わずため息が漏れる。

交通アクセスは悪いけれど、わざわざ来る価値がある素敵すぎる空間。着いたばかりだけど、「絶対また来る!」と早くも再訪を決意したほどだ。

やたきやは「宿」と謳っているものの、ランチやディナーなど食事だけの利用も可能。今回は、宇陀牛メインの「たまひコース」をいただいた(税込6,600円程度)。パスタがメインの「やをらコース」なら税込3,850円〜とさらにお手頃。この空間で食事ができるという体験も含めるとかなりリーズナブルな印象である。

古民家ランチなら日本のあちこちにあるだろう、という声もあるだろうが、「やたきや」が特別なのが、ここが飛鳥時代から続く薬草の里にあるということ。宇陀は推古天皇が日本で最初の薬草狩り(611年!)を始めた地として知られ、ツムラ、ロート製薬、アステラス製薬など、日本を代表する製薬メーカーの創始者もこの地の出身。こういうところに「日本建国の地」と言われる奈良の底力を感じる。

特に「やたきや」が力を入れているのが自家栽培をしているという奈良の伝統的な薬草である大和当帰血行促進や女性特有の不調を整える効果があるとされ、漢方薬などにも使われてきた薬草である。

この大和当帰を使ったクラフトコーラでまずは乾杯!

大和当帰に加え、シナモン、クローブ、カルダモン、コリアンダー、黒胡椒なども入ったスパイシーなドリンク。
採れたて野菜のミックスサラダ。
前菜の盛り合わせ。右上から、豆腐のスモーク粒マスタードのせ、ズッキーニのグリル、セミドライミニトマト、椎茸のマリネ。
本日のスープ、グリーンカリフラワーのポタージュ。
わらびとそら豆とフレッシュトマトのパスタ

と、ここまでは完全にベジタリアンメニュー。ひとつひとつ、野菜の個性を引き出すよう調理されている。何もかも美味しい!

そしていよいよ、メインの宇陀牛。

脂身が少なく、しっとりやわらかい宇陀牛。美味!
本日のデザート。ナッツとさつもいものケーキにいちごを添えて。散らされている茶色い粒はカカオニブ、白い粒は麻の実だ。

しみじみ美味しく、体の中が浄化される気分になれたほぼ野菜づくしのランチ。何度も言うけど、絶対また来ます…!

■ 薬草ウォッチングも楽しい、宿のまわりの散歩コース

さて、食事の後は腹ごなしに宿の周りを歩いてみることに。今回は取材ということで、特別に地元の薬草に精通したスタッフの方に、この地の薬草について教わりながら歩いてみた。こうしたアクティビティは本来は宿泊客向けに提供しているとういう。

まずは宿から少し山を登ったところにある「めぐみの庭」「まなびの森」と名付けられたエリアへ。このあたりの散策の醍醐味はとにかくその絶景で、宇陀の里山を見下ろしながらのんびり過ごす宿泊客が多いとか。

小高い場所から見下ろすと、「やたきや」の端正な建築がまるまる拝めてなかなか良い。

周囲は完全な里山なので、ここに泊まって何をするのだ? と最初は思ったが、こうして自然の中に足を踏み入れ、歩いたり、森林浴をしたりするのも立派なアクティビティと気付いた。旅先で「何もしない」が苦手な人は(日本人に多い)、一度修行だと思ってここに数日滞在してみてはいかがだろうか。多忙な日々から逃れてきたはずなのに、なぜ旅先に来てまで、私はあくせくしているのだろうか? と目が覚めるかもしれない。

次に向かったのは宿の前に広がる薬草園。無農薬で大和当帰を栽培しているところは非常に珍しいのだそう。

「ここが畑ですよ」
「大和当帰はこちら」

畑を見学したあとは、徒歩10分程度の神社までぶらぶらとお散歩。歩きながら、ガイドさんが道端に生えている薬草を見つけては色々教えてくれる。これはよもぎ、これはセリ、カキドオシは糖尿病に効能が……などなど。さすがは古来から続く薬草の里、本当にそこらじゅうに薬草が生えていた。

そして目的地の神社に到着。

宿の近所にある五社神社。

こんなにこぢんまりした神社なのに、なんと20年に一度社殿を建て替えているそうで、歴史があるのに真新しい印象だ。式年遷宮は、伊勢神宮とか春日大社クラスの神社が行うものとばかり思っていたので、このこぢんまりとした神社で続けられてきた事実にびっくり。

さらに、この神社の隠れた見どころとして、幕末、孝明天皇から「日本一」と称賛されたという逸話が残る、当時一流の石工、通称「丹波の佐吉」(1816年生まれ)による狛犬が残っていること。

丹波の佐吉作の狛犬。わざわざこの狛犬だけ見に神社を訪れるファンもいるそうだ。

「なぜ巨匠の作品がこんなところに…?」と言っては失礼なのだが、大阪を中心に活動していた佐吉がこの地に狛犬を残しているのには理由がある。この神社のすぐ近くに住む裕福な旧家が、家の裏山に「四国八十八ヶ所」の石仏群を制作してほしいと佐吉に依頼したため、しばらく彼はこの地に滞在していたのである。その仕事の合間に、近隣の神社仏閣向けに狛犬や石仏なども制作したというわけだ(詳細はこのサイトに詳しい)。

里山の美味しい空気、心癒される風景の中で、歴史秘話や、道端の薬草について話を聞きながら散歩するのはとても楽しかった。自然の美しさだけでなく、歴史まで楽しめるのが奈良の山歩きの醍醐味である。

ということで、さらにディープな奈良の里山歴史探訪を楽しむべく、今夜は「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」に宿泊し、隣接する日本最古の道「山の辺の道」を歩いてみることにしよう。

続きは次の原稿で!

「なら歴史芸術文化村」に隣接している歴史ファンに嬉しいホテル。
すっきりと機能的な客室。
奈良のご当地ビールなど奈良グルメも買えるロビーラウンジ。

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祈りの万華鏡、サグラダ・ファミリアでガウディの壮絶な魂に思いをよせる https://tripplanner.jp/topics/5378 Fri, 25 Apr 2025 03:13:30 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5378 サグラダ・ファミリアは、予備知識なく訪れても、美しさと荘厳さに誰もが圧倒されるわかりやすい名建築だ。濃密な彫刻…

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サグラダ・ファミリアは、予備知識なく訪れても、美しさと荘厳さに誰もが圧倒されるわかりやすい名建築だ。濃密な彫刻、ステンドグラスから漏れる色とりどりの光、有機的な石の佇まい……その視覚的なパワーを前にすれば、うんざりするような行列と荷物チェックを経てすでにくたくたになっている身体にも力がみなぎってくる。

実は私も大した知識もなくここを訪れた。心のメモ帳の「死ぬまでに見たい名建築」の上位に常にあった有名作品だから来てみた、ぐらいのものである。

ただ、ちょっとだけ建築の背景にあるストーリーを知ると、聖堂を見る眼差しも変わってきたりする。ということで、今回はこの名建築の感動ポイントを、ガウディの伝記等から得た情報を絡めながら個人的な感想メインでお届けしてみたい。

まず後から「へえ」と思ったのは、ガウディの代表作のように言われているサグラダ・ファミリアだが、実は一部しか世界遺産に登録されていないという事実だった。サグラダ・ファミリアと言えば、「光の森」と形容される樹木をモチーフにした柱が林立する聖堂内部が有名だが、実はこのエリアは世界遺産対象外。

サグラダ・ファミリア
森のように細い柱が林立し、多彩なステンドグラスから差し込む光が幻想的な空間を作り出す聖堂内部。ここは世界遺産じゃない部分。

実はこの聖堂内部はガウディが亡くなってから作られた部分。世界遺産の「アントニ・ガウディの作品群」に登録されているのはガウディが確かに関わったことがわかっている「最初に建設された地下聖堂」と「生誕のファサード(正面と塔)」のみなのだ。

ガウディの魂が宿る「生誕のファサード」

ガウディが生前に唯一完成させたファサード「生誕のファサード」は、3つの門(希望の門、慈愛の門、信仰の門)を中心に、キリストの誕生に関わる場面が細やかに描写されている。

生誕のファサード
彫刻の一部を日本人彫刻家である外尾悦郎さんが手がけたことが日本人として誇らしい。

まさに彫刻で埋め尽くされている、といっていいファサードは、ひとつひとつ読み解いていったら半日かかりそうな濃密さ。このファサードに関する史実を知ると、その美しさはさらに胸に迫ってくる。

ガウディの有名なエピソードとして、命の危険に及ぶほどの壮絶な「断食」がある。「生誕のファサード」の着工から1年後の1894年、すでに建築家として著名で、仕事も順調だったガウディが、「復活祭の前の四旬説に過去の罪を贖うために断食する」という教理に従って一切の食事を絶った。

それは周囲が「死ぬつもりか?」と思ってしまうほど壮絶なもので、家族や弟子がいくら説得しても何も食べず、ガウディはみるみるやせ細っていく。万策尽きた家族らは知り合いの神父に助けを求め、神父はガウディに「あなたはこの聖堂を完成させるという現世での使命を受けている」と語りかける。それにより、ガウディは自分の生きる意味、天命を悟ったのだった。

晩年のガウディは聖人と呼ばれ、朝夕必ず教会のミサに通う以外は聖堂の建設だけに命を捧げた。そんな彼のキリスト教の知識と祈りが凝縮したファサードは、まさに石でできた信仰のタペストリー。色鮮やかな聖堂内部だけでなく、立ち止まって彼の生涯に思いを馳せたいエリアだ。

見る場所によって表情が変わる聖堂は最も見学が楽しい「光の森」

さて、生誕のファサードを入ると、そこはまさに色の洪水。最もインスタグラマブルといえる空間に、観光客たちのシャッターを押す手が止まらない。

面白いのは見る場所によってがらりと表情がかわること。ファサード入ってすぐのあたりは、赤や青のステンドグラスの光に彩られ、祝祭感たっぷり。一方を見れば赤く、一方を見れば青い、そんな色の変化も楽しめる。

天井を見上げてみれば、そこは色数を押さえられ、際立つのは樹木をかたどった柱の美しさだ。

いまだ建設中の栄光のファサードは、聖堂内部から見ると幾何学模様のステンドグラスが現代的でスタイリッシュな印象。完成すれば正式な大聖堂の入場口となる予定だ。

ギリシャ神殿を思わせるエリアも。

モダンで異質な印象の「受難のファサード」

さて、見学の最後は、1954年に着工した比較的新しい「受難のファサード」へ。カタルーニャ出身の彫刻家ジュゼップ・マリア・スビラックスによる直線を多用した現代風なデザインは、生誕のファサードや有機的な”光の森”の聖堂を抜けてくると、若干違和感を感じてしまうのが正直なところ。

ここで描かれているのは、キリストの苦悩と悲しみ。最後の晩餐からキリストの十字架磔刑までの場面などが描かれている。

十字架を背負うキリストの彫刻。ダース・ベーダーみたいな人がいる…?

受難のファサードは「サグラダ・ファミリアは、ガウディの死後、ほとんど資料が残ってない中、手探りで建築が進められている聖堂」なんだよな、と改めて感じる箇所。聖堂内部の森のようなデザインなどはガウディの遺志を継いでいるというが、資料が残らない部分については後世に委ねられ、わりと自由に解釈されていたりもする。懐の広い建築なのだった。

ガウディは何を償わなければならなかったのか、想像を掻き立てた聖人の住まい

ざっと見学してつくづく感じたのは、とにかく規模が大きく、人も労力も、そしてお金もふんだんに使われた聖堂だな、ということ。

その大きさはまさに「バルセロナの灯台」と言いたくなる規模だし、彫刻やステンドグラス、柱の意匠など妥協のない美しさは、建築というより巨大なアート作品という印象。

この「華美」とさえ言いたくなるような華やかで荘厳な聖堂が、豊かとは言えない人々の献金を主な財源とするのを前提に着工されたという史実にも本当に驚く。

そもそもこの聖堂の正式名称は「サグラダ・ファミリア贖罪聖堂」。贖罪とは、「何らかの犠牲を通して罪を償う」という意味で、この理念をガウディは大切にし、自らも多大な犠牲を払った。それは、無報酬で聖堂の建築に携わること、晩年は聖堂以外の仕事を一切断ったこと、贅沢を禁じ、浮浪者と間違われるほどの質素な身なりをし、菜食主義を貫くなどだ。

建設資金が尽きた際には(当たり前だ)、すでに巨匠として著名であったにもかかわらず、自ら家々を周り募金を集めた。一体何がそこまで彼を突き動かしたのか、狂気のようなものさえ感じるエピソードである。

個人的に、バルセロナで一番胸に残ったガウディ体験は、グエル公園内にある「ガウディの家」を目にしたときのこと。

これが、あの華やかなアール・ヌーヴォー建築で人々を魅了した巨匠建築家の寝室? まるでクエーカー教徒の農夫の家のようではないか。

晩年のガウディが「聖人」と呼ばれていたという史実は知っていたが、ビジュアルでその倹約ぶりを突きつけられると、心の奥がぎゅっと締め付けられる。「聖堂を建てること以外に何もしたくない」と語り、この家と教会をひたすら往復していた、質素な身なりの老人の姿が目に浮かぶようだ。

一体、彼が何をしたっていうんだ。何を償う必要があるんだ、と小さな怒りさえ覚える。そうして、あの観光客たちを熱狂させる大聖堂が、飲み込まれたら二度と出てこれなくなる、美しい迷宮のようにも思えてくるのだ。

サグラダ・ファミリア

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<参考資料>

ガウディ よみがえる天才6」鳥居徳敏(ちくまプリマー新書)
入門 ガウディのすごい建築」鳥居徳敏監修(洋泉社)

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ザグレブから日帰りでいける田舎町、サモボル。名物ケーキ以外の楽しみ方と行き方解説。 https://tripplanner.jp/topics/5104 Mon, 02 Sep 2024 09:12:58 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5104 クロアチアの首都、ザグレブは日曜日ともなるとありとあらゆるお店がクローズしてしまい、正直何もやることがない…と…

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クロアチアの首都、ザグレブは日曜日ともなるとありとあらゆるお店がクローズしてしまい、正直何もやることがない…という事態に陥りがち。

そんなときは、名物ケーキ、クレムシュニテで有名な近郊の田舎町サモボルへ日帰りトリップはいかがだろうか? ありがたいことに、有名店のカフェも年中無休。日曜日も多くの人で賑わっているのだ。

なお、ザグレブからサモボルへの行き方については結構苦労したので、記事の最後で詳細お伝えします。まずはこの町で絶対やりたいことからご紹介。

・ぷるふわの名物ケーキ「クレムシュニテ」を有名店で味わう

わざわざこのためだけに来る人多数の町の名物ケーキを食べるのは、絶対に外せないアクティビティ。ありえないくらいふわふわのカスタードクリーム味のケーキは、甘すぎずくどすぎないので、我ら日本人の胃にも難なくフィット

クレムシュニテ

そのおいしさについては別記事でたっぷり紹介したので、詳しくはこちらで!

・サモボル城へのプチ登山を楽しむ

クレムシュニテが味わえるカフェがあるのは、町の中心部「トミスラブ王広場」。

サモボルの中心地

正直、上の写真に写っているのがすべて、くらいの小ささなので、おやつを食べてしまったとは、特に何もすることがない…かもしれない。だったら、腹ごなしに、近くにあるサモボル城でショートハイクはいかがだろうか?

サモボル城は、トミスラブ王広場から徒歩で約20分程度、さらに登ること15分程度で到着する中世の山城で、町を一望できる眺望も人気のスポット。Google Mapを手がかりに、まずは川沿いをのんびりと山に向かって歩いてみよう。

レトロな木橋もフォトジェニックな、サモボルの川沿いの風景。
ザグレブとは全く違う、低層の建築が並び、いかにもヨーロッパの田舎町といった風景。

ここで一点注意なのだが、Google Mapの指示どおりに行くと、登山口の入口が、写真の小さな教会あたりを指定される。

St.Michael教会。見た目はかわいくてフォトジェニックだけど。

ここから山道に入ると、最初にむちゃくちゃ急勾配の坂道を登らされて心が折れがち。登頂後に気づいたのだが、この駐車場のあたりから登るほうがずっと簡単そうだったので、体力に自身がない人は、ここからどうぞ。くれぐれもGoogle Mapを信じすぎないように。

さて、山に一歩は入ればこんな感じ。

サモボル城の登山道
かわいい山のくせにしっかり登山道っぽい。

ザグレブでいささか都会疲れしていた身としては、緑いっぱいの風景にとても癒やされる。ちなみに登山の難易度だが、さすがにサンダルだとちょっときついかな、程度の印象。スニーカーなど歩きやすい靴でいけば普通の体力がある人なら難なくクリアできるだろう。実際、お城のまわりでは子どもも含む家族がのんびりピクニックを楽しんでいたりした。

サモボル城の門
門が見えてきた!

事前調査では「廃墟」などと書いてあったりしたが、これだけ残っていればすばらしいんでは? と実際に訪れるとその立派さにびっくり。廃墟というより立派な遺跡である。日本の山城なんて「堀の跡」しか残っていないところばかりでしょ。

赤いレンガが残っている!

1260年頃、当時ハンガリーと敵対していたチェコ王の支持者によって築かれたというサモボル城。その後、ハンガリー・クロアチア王家によって奪われたものの、15世紀にはハプスブルク家の家臣だった貴族の手にわたり、かと思えば16世紀には…と、多くの王や貴族が代わる代わるオーナーになってきた複雑すぎる歴史を持つ城。ついには18世紀末には打ち捨てられ、ご覧のような見た目に。

1902年にサモボル市が、前所有者である貴族からこの城を買い取って現在に至る。
あ、これは日本の城にもある「狭間(さま)」というやつか? 敵に向かって銃とか槍とかで攻撃するための穴。

遺跡ファンは意外とちゃんと残っている建築の細部を愛でたりしてもいいだろうが、やはりハイライトは城から見下ろすサモボルの絶景だ。

山側のサモボル。
サモボル城から旧市街を見下ろす。
城の窓からはサモボルの中心地側を。

なかなかの絶景も楽しめて、この土地の複雑な歴史にも思いを馳せられるお手軽ハイキングコース。なかなか良かった。

ちなみに、行きはGoogle Mapの案内に従って味気ない道路沿いを歩いてしまったが、帰りは冒頭で述べた駐車場側から出て、のんびりと小川沿いを歩いて町へ。

このあたりは大きな公園になっており、のんびりくつろぐ地元の人達の姿もちらほら。

夏はプールもあって楽しそう!この日は37度くらいあったので泳ぎたかった。

なお、小川沿いを歩きながら、後ろを振り返ったら、たったいま登ってきたサモボル城が見えた。

「ありゃ、意外と山の入口あたりに建てたのね…」というのが正直な感想。日本人なら絶対山の頂上に建てるぞ、根性が足らん!?

・ザグレブからサモボルへの行き方解説、2人以上ならタクシーもあり!

さて、最後にサモボルへの行き方について解説しよう。ガイドブックにも「サモボルへはザグレブからバスが1時間に1−3本出ている」と書かれていたし、バスで行った人のブログを見ても、バスは頻繁に出ているとある。

しかし、現地に着いてからGoogle Map上で検索してもバスルートが案内されない。まぁ正直Google Mapは英語圏以外では万能ではない、と今回身にしみたわけだけど、とにかくこれといった確かな情報(たとえば時刻表とか料金など)がネットではうまく見つけられず、見つかったとしても情報が古かった。

わざわざザグレブのバスターミナル(中心部から徒歩で20分くらい)まで行って直接窓口で聞くというのも正直面倒くさかったので、試しにBoltというタクシーアプリで料金を調べたところ、ザグレブからサモボルまで片道17ユーロくらいという見積もりが。

ちょ…20kmぐらい走ってくれて2,700円程度って安くない!?

今回はたまたま現地で会った友人2人と行く予定だったので、3人で割れば片道900円くらいである。ということで今回はバスを止めて3人でタクシーで向かった。サモボルのバス停は中心部から遠いけれど、車ならびゅーっとお目当てのカフェの前までいけて快適すぎた。個人的には2人以上ならタクシーで行ったほうがいいんではないかと思う。

サモボルの中心部にあった気になる建築。

ただ、意外な落とし穴があり、ザグレブからサモボルへのタクシーはばんばん見つかったが、サモボルからザグレブに帰ろうとBoltを開いてみたら、タクシーが一切見当たらないという事態に。

この日は夜の便でザグレブを発つ予定だったので、サモボルで足止めを食うのは非常にまずい。帰りはバスで帰ったほうがいいと思ったが何しろ検索では情報がヒットしないので、困り果ててカフェの店員さんに聞いてみた。

正直、自家用車で来る人ばかりの町なので、「え? バス…?」と最初は困惑されてしまったが、いろいろ調べてくれて、ついにバスの時刻表をゲット! しかし、がっつりクロアチア語である。現地の情報は現地の言葉で検索しないとヒットしないという教えを得ました…。

こちらがその時刻表である。

Radni danというのが平日、Subotaが土曜日、Nedjelja i blagdaniが日曜・祝日だ。Polasci izは「出発地」の意味。これで見ると、日曜日は14:30のサモボル発を逃すと夜までバスが来ない。この時点で13時ぐらいだったのでひやっとしたが、まだ間に合うタイミングで助かった〜。ガイドブック等にはしれっと「バスは頻繁に出ている」などと書いてあるが、それは平日だけなので要注意!

ちなみに、バス停に向かおうとした瞬間にBoltがタクシーをキャッチしたので、結局我々は帰りもさくっと移動したんだけどね。

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ギリシャのクレタ島、クノッソス宮殿以外に何があるんですか? https://tripplanner.jp/topics/4743 Tue, 25 Jun 2024 08:40:09 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4743 スペインはセビリアから、ポルトガルはポルトからと、ド定番の街以外から初めての国に入りがちな私。初ギリシャの目的…

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スペインはセビリアから、ポルトガルはポルトからと、ド定番の街以外から初めての国に入りがちな私。初ギリシャの目的地に選んだのもまた、やや横道とも言えるクレタ島であった。

とにかく猫だらけの島、クレタ島。

教科書の記憶が残っている人ならば、クレタ島と聞いてまず思い浮かべるのはクノッソス宮殿だろう。ギリシャの歴史の中でもトップレベルに古いミノス文明が誇る遺跡で紀元前1900年頃に建てられたと言われている。エジプトのピラミッドに迫る歴史があるので、古代史好きなら一度は行ってみたいと思う場所の一つだろう。

しかし、特に古代史好きでもなさそうなヨーロピアンたちがわりとクレタ島を好んで旅しているのを知るにつれ、「クレタ島にクノッソス宮殿以外に何があるのか?」という素朴な疑問が沸いてきた。聞けば、どうやら彼らは単にクレタ島を、ビーチも山も楽しめるリゾート地、と捉えているようだ。実際、各観光地のアクティビティを簡単に予約できて便利なGet Your Guideの画面もこんな感じで、クノッソス宮殿よりは明らかにビーチ推しである。

ギリシャはまだ行ったことがないし、エーゲ海の島は夏は死ぬほど混んで高くなると聞くし、安いうちにヨーロピアンに人気のリゾート地をちょっと覗いてみようではないか、と、6月のある日、私は一人飛行機に飛び乗ったのだった。

クレタ島第二の都市、ハニアから入国。

クレタ島最大の都市といえば、クノッソス宮殿にもほど近いイラクリオンだが、今回私が選んだのはハニアというクレタ島第二の都市近くの空港。ヨーロッパ各都市からライアンエアーという激安エアラインが就航しておりチケットが安かった、というのが選んだ単純な理由である。

非常にこじんまりとしているハニア空港

宿やレストランが集まるハニア旧市街までは片道2.5ユーロのバスが30分に1本くらい出ているので、それに乗って行くのがおすすめ。空港内に何の案内もないが、一歩外にでるとチケット売り場がわかりやすい場所にあるのですぐ見つけられるはず。

ちなみに、バスに乗ってきたのは私以外は全員白人であった。しかも英語話者が多い。今回は3日間の滞在だったが、この傾向はどこにいっても同じで、ほとんどアジア系の観光客を見かけなかった。イラクリオンを拠点にすればまた違ったのかもしれないが、ハニアは、特に欧米に人気のスポットという印象を受けた。

さて、私は何も完全に無計画でこの島にやってきたわけではなく、実は一箇所、どうしても行きたいと思っていた場所があった。それがサマリア渓谷でのトレッキングである。

ヨーロッパで2番目に長い渓谷とされ、全長13キロ。標高1250m地点にある村からスタートし、ひたすら下ってゴールは美しいビーチという絶景トレッキングコースだ。上りがないのもこの年になると嬉しいし、ハニア市内からはツアーもバンバン出ており、送迎付きで30ユーロくらいだったりするから、一人旅でも気軽に参加できる。

Get Your Guideではクノッソス宮殿を抜いて一番人気だった。

……と思っていたのに、クレタ島に着いた途端、6月半ばとは思えないほどの暑さにひるむ。天気予報を覗けば、予想最高気温が38度とある。

「40度近い場所で13kmのトレッキングしたら死ぬかな…」とビビり、トレッキングツアーの予約を断念。ほぼ第一の目的だったアクティビティが突如なくなり、この島で3日も何をすればいいのか、と初日から途方にくれるハメに。

宿のご主人に「この季節にこの気温は普通ですか?」と聞いたら「普通じゃない、8月の気温だ」とのこと。異常気象が残念すぎるが、後日「ギリシャで行方不明者続出、酷暑が脳に影響か」というニュースを目にし、「行方不明になった人たち全員が高温の中ハイキングに出かけていたという共通点」と書かれていたので、私の危険センサーは正しかったと言わざるを得ない。旅先で無理は禁物ですぞ…。

ということで、クレタ島で「クノッソス宮殿」(そしてサマリア渓谷)以外の見どころを、私が体験した中でざっくり紹介していこう。

ここは東京ディズニーシー? 石畳の小道とカラフルな建物がかわいすぎる「ハニア旧市街」

まずはフォトジェニックなハニア旧市街から。ここは迷路のように入り組んだ石畳の路地と、風景の一部みたいになっている、物欲がそそられまくる雑貨店や土産店に、インテリアもかわいいレストランやカフェ…と、女子たちが歓声をあげそうなかわいい場所である。

カーペット店でダレる猫

そして、「ベネチアン・ハーバー」と呼ばれる旧市街にある港は、もうまるで東京ディズニーシー

なぜ、ベネチアン・ハーバーなのかといえば、実はクレタ島は、1200年ごろから1670年ごろまで約470年間もヴェネツィア共和国の海外植民地だったため。

作家の塩野七生も『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』の中で、「東地中海では最大の島であるクレタは、今日でも東地中海に浮ぶ空母、と言われ、第二次大戦でも、イギリス軍とドイツ軍の死闘が行われたところで、戦略基地としての重要性は計り知れない。しかも、ヴェネツィアにとっては、戦略要地としてだけでなく、エジプトをはじめとする北アフリカ沿岸の都市との交易の中継基地として、なんとしても確保したい島であった。」と書いているように、この島は、世界最長の共和国と言われるヴェネツィア共和国の栄華を支えた重要拠点の一つだったのだ。

夜も人でいっぱいのハニア旧市街。夜遅くまで営業している土産店も多く、本当にテーマパークのよう。

ここだけは何としても死守したいというヴェネツィア共和国の願い虚しく、最後はオスマントルコがその支配権を奪い1646年から1898年年まではオスマン帝国領となったため、ベネチアン・ハーバーの一角にはモスクも残る。

かわいい小道だけではない、複雑な歴史を今に伝えるハニア旧市街なのである。

ピンクサンドビーチが有名、ハニアからお手頃価格でいけるエラフォニシビーチ

さて、サマリア渓谷行きを断念した私が選んだのは、ピンクサンドビーチで有名なエラフォニシビーチ。ハニアからも近いバロスビーチと悩んだが、ピンクの砂浜というのを一度は見てみたい、と今回はエラフォニシをチョイス。これもGet Your GuideやViatorなどでハニア発のツアーがバンバンでている。ツアー料金も37ユーロ程度で、ビーチだけでなく、途中にもう一箇所ぐらい名所に寄ってくれたりするのでひとり旅には嬉しい。

こんな山越えするので、車運転して行くのはハードル高そう。

途中、不思議なスピリチュアルスポット、教会でもある洞窟を見学して(これは別原稿で詳細書きます)、いよいよピンクサンドのビーチに到着。エラフォニシビーチの近くまでは車が入れないため、バスを降りて15分ほど歩く。

ビーチが見えてきた!
パラソルとベッドは有料。朝はやくいかないとパラソル席は売り切れてしまうので注意。

わー、普通にリゾート! 売店も公衆トイレもシャワーもあるし、快適そう!

…でも正直言ってピンクが微妙! 確かに近くで見ればピンクの砂もちらほら。でも写真でみたときはもっとずっとピンクだったぞ。加工しすぎちゃうのーん……?

後日行った人に聞いたら、その人が行ったときはもうちょっとピンクだったそうで、季節とか日によるのかもしれない。

とはいえ、この透明度。そしてどこまでもどこまでも続く遠浅の海。小さい子供も、泳げない人も、安心してくつろげるビーチ。なかなかのんびりできて良かった。少なくとも38度の中、山を歩くよりはずっと良かったと思っている。

ワインの名産地、ワイナリーでテイスティング体験

さて、クレタ島の名物といえば、オリーブとワインである。ワインにおいては、なんとミノア時代から作られているという長い歴史がある。ということで、ハニア旧市街の旅行代理店でふと目についたワイナリーツアーに申し込み。送迎付きで47ユーロ、ワイン5杯の試飲付きということである。

ちょっと高いが、正直他にやることがなかったし、車がないととても行けない丘の上のワイナリーにも行ってみたかったのだ。

ハニア旧市街からツアーに参加したのはなんと私一人。ドライバーの男子と二人でのんびりと田舎町にあるワイナリーに向かう。一人でも催行してくれるところがのんびりしていていい島である。

オレンジ畑、のどかな田舎町などを車窓から楽しみつつ、30分程度で、マヌーサキス ワイナリー (Manousakis Winery)に到着。

ワイナリーのショップ入口
花が咲き乱れるお庭も素敵。

現地にはすでに何組かツアーを待つ客が待機しており、私の到着を待っていた。さすがに現地ではワイナリー見学を一人でも催行とはいかないらしい。

セラーを見学したり、ワイン製造プロセスなどの説明を受けたら、お楽しみのテイスティングスタート!

テイスティング会場の雰囲気もいい。
ワインにはラスクとオリーブオイルが添えられていた。

私以外は全員カップルで、正直最初はちと寂しかったが、白2杯、ロゼ1杯、赤2杯を味わううちに、ぼっちテイスティングがなんぼのもんじゃい、といったいい気分に。要するに酔ったのであった。

ここのワイナリーはラベルのデザインにも非常にこだわりアーティストとコラボしているとか。お値段もかなり手頃。

カウンターもあり、ここでも飲めるのかも。

ショップも空間もとてもおしゃれで、自然豊かなワイナリー。インスタもあり、料理も美味しそう。ワイナリーに直接申込む場合のテイスティング料金は、公式サイトによれば15ユーロとのこと。車があるなら直接行くほうがお得そうですな。

毎週木曜日のお楽しみ、ハニアのファーマーズマーケット

さて、最後は素朴なマーケットのご紹介。調査段階ではハニア旧市街でトップレベルに行きたい場所の一つだった歴史ある市場は、なんとがっつり工事中。

壁しか残ってない市場。。。

旅先で市場に行くのを何よりの楽しみにしていた私にとってこの休業は痛い……と地元民に嘆いたところ、「毎週木曜日に小さなマーケットならやってるわよ」とのこと。ということで、行ってきました! 木曜ファーマーズマーケット。場所はハニアのこのあたり

ハーブやはちみつ。
フルーツや野菜。
クレタ産のチーズ。

クレタといえばのオリーブも。種類が多すぎる!

観光客というより地元民のためのマーケットで、お値段もお手頃。私はここでヤギのチーズとオリーブをお土産にゲット。どちらもたっぷり味見させてくれた。

ということで、クノッソス宮殿以外のクレタ島の見どころ、ちょっとはそそられましたか? 食事はどうなんじゃい。という方のために、食べ物編はまた別の原稿で!

エル・グレコという名前のホテルもあった。ちなみに画家のエル・グレコはクレタ島生まれ。

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永遠の都・ローマ女一人旅、徒歩で1日どれくらい観光名所をめぐれるのか? https://tripplanner.jp/topics/4657 Mon, 13 May 2024 10:18:54 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4657 何で今まで行かなかったのか、ローマ。旅を終えての感想は、そんな後悔にも似た思いだった。 海外旅行、特にヨーロッ…

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何で今まで行かなかったのか、ローマ。旅を終えての感想は、そんな後悔にも似た思いだった。
海外旅行、特にヨーロッパ旅行が好きで、これまで訪れた国は約40カ国、そのうち半分くらいはヨーロッパという私としたことが!

鉄板名所のコロッセオ。

ローマに行くのをためらっていた理由の大きなものは治安への不安だった。だってスリばっかりいる街なんでしょ?  歩いているとミサンガを腕に巻き付けられて料金請求されちゃうんでしょ? 写真撮ってあげるよって寄ってくるスマホ泥棒だらけなんでしょ?

基本は女ひとり旅派の私が震え上がるような情報ばかりが溢れていた永遠の都、ローマ。今回旅してみて、もちろん上記の噂には気をつけたほうがいいけれど(実際私には何も起こらなかったが)、別に治安が特に悪い感じはなく、ただひたすらに美しく、壮大な歴史を感じるすばらしい場所だった。ローマ、完全に誤解してたよ…なんかごめん…。

ということで、今後何回もローマに通う予感しかしない私が、女ひとり旅でどれだけローマを楽しめたか、まずは1日観光ルートをざっくり紹介します。

・ローマで見るべき鉄板観光名所とは?

初めてのローマなら、まずは観光ガイドの常連である以下の名所を見ておきたいのが人情というもの。

・コロッセオ  AD80年ごろ完成したという円形競技場。高さ48mと、今なら15階建てビルくらいの大きさ。すごい…。
・フォロ・ロマーノ コロッセオに隣接する遺跡。古代ローマ時代の官公庁街みたいなもの。
・スペイン広場 映画『ローマの休日』で一躍有名になった階段。
・トレビの泉 みんながコインを投げいれる泉。
・ナヴォーナ広場 ベルニーニによる噴水で有名な広場。周囲にはパンテオンなど見どころ多々。
・ヴァチカン市国 カトリック教会の中心地で、独立国家。ローマから徒歩で入れる異国。

ガイドブックなどでは、美術館などの割引付き・公共交通機関乗り放題のローマパス(2日以上滞在する人向け)がすすめられたりするが、上記だけなら特に必要を感じなかった。

なぜなら、上に挙げた箇所は基本はすべて徒歩で回れるから(ただし、1日10km歩いたけど)。地下鉄の駅を探して電車に乗って、というより歩いたほうが早い、というのがローマなのだ。ローマパスは博物館・美術館に行きまくる人向けかもしれない。

・ひとりで名所を徒歩でざっくり巡るローマ観光1日ガイド

まずはコロッセオ付近で朝10時半頃に観光スタート。さて、どこまで行けるかな?

第一目的地:コロッセオ&フォロ・ロマーノ

狙ったわけではないのだが、私が訪れた日はたまたま第一日曜日月に一度、ローマの博物館や美術館などが無料になるアート感謝デーみたいな日だった。本来ならラッキー!と喜ぶべきなのだが、無料デーゆえか、コロッセオの周りは超・長蛇の列。

最後尾が見えない…!

これでは中に入る頃には日が暮れてしまう…と、コロッセオは諦め、フォロ・ロマーノだけでも見ようと入口を探していたら、スタッフらしき人が「そこは入口じゃないよー」と注意してきた。入口はどこ?と聞くと「入口はあっちだけど今日は入るまでに5時間かかるよ」とのこと。
「でもあっちで旗持っている人のツアーに入れば、すぐ入場できるしコロッセオも見られるよ」と彼はいう。博物館のスタッフのような服装をしているが、なんてことはない、ツアーの客引きだったのだ。

とはいえ、ガイド付きで30ユーロとのことだしあの列に並ぶのは辛いし、ということでツアーに参加することに決定。この時点でなんやかやで11時近くなっていたのだ。時間を金で買おう。

とはいえ、説明やらスピーカーホンの配布やら移動やらで、フォロ・ロマーノに入れた頃には12時をまわっていた。普通に並んでいてもコロッセオに入れたのでは…と思わなくもない。

フォロ・ロマーノに足を踏み入れたときの感想は「壮大な廃墟」というものだった。こんなに巨大な崩れかけの建築を街の真ん中に抱え込んでいられるローマの豊かさに圧倒される。平らな土地が貴重な日本なら、すぐ埋め立てて新しい建物をこしらえるはずだ。

たまに「保存状態がいい!」と思うものはあるが、多くは、一部を残して最近(といっても数百年前だが)増築されたものだったりする。たとえば上の「アントニヌス・ピウス帝とファウスティーナの神殿」は、正面の階段と円柱のみが141年頃のもので、背後にある教会は18世紀頃に作られたものだとか。

ローマの歴史書を読み、皇帝の名前などを覚えてから行くと、「おお、ここがカエサルが演説した…」などと感銘に浸れると思うが、何の知識もなく行くと柱などがゴロゴロ転がっているだけの廃墟、みたいに感じてしまうかもしれない。

足元を見るとこんな風景。

この日は5月だというのに汗ばむ陽気で、ひたすら喉が乾いたが、フォロ・ロマーノ内には飲水を汲める水道がいくつかあるのでペットボトル持参で行くのがおすすめ。ローマ帝国時代に作られた水道設備から未だに水が供給されているというローマなのだから、水道水だってある意味観光資源でもあるのだ。

さて、フォロ・ロマーノを見学し終えたら、次はコロッセオである。正直、「外観だけでいいかもな…」と思っていたが、中には入れば、細部も細かく見られてそれはそれで楽しい。

たとえばこの虫食いのような無数の穴ぼこ。これは、この中に埋められていた石と石の間を強化する鉄の部品をほじくり出した跡だそう(詳しくはこのYouTubeを)。これだけ骨抜きにされてもしっかりと建ち続けた遺跡、建築技術がすごすぎないですか…?

中に入れば、手の込んだ建築なども一望できる。やっぱり時間があれば中に入ってみるのがおすすめ。しかし、娯楽のためだけにこれほどの規模の施設を作っちゃうなんて、ローマ人どれだけエンタメ好きなのか。

コロッセオ&フォロロマーノ ひとり旅向き度 ☆☆☆☆☆

なんと、コロッセオを後にした頃には15時近くなっていた。ツアー開始の待ち時間もあって、コロッセオ前に到着してからなんだかんだで4時間以上もかかってしまった。これから残りの鉄板名所、全部クリアできるのか?

近くのカフェでパニーニをさっとつまみ、次の目的地、ナヴォーナ広場&パンテオンへ取り急ぎ向かう。

<余談>フォロ・ロマーノは、フォリ インペリアリ通りから見下ろすだけでもよかったかも。

コロッセオからナヴォーナ広場までは、フォリ インペリアリ通りという道をひたすらまっすぐ歩く。個人的な感想だが、フォロ・ロマーノの中を歩いたときよりも、この通りを歩いたほうがずっと心に残った。

この通りはご覧のようにだだっぴろい道なのだが、フォロ・ロマーノ沿いに通っていて、歩道からあの世界遺産を優雅に見下ろすことができる。

死ぬほど苦労して入ったフォロ・ロマーノが無料で見放題。

古代ローマ遺跡なんて俺達にとっては日常なんだ、たいしたことないぜ、的なローマの壮大さ、懐の大きさは、この道からのほうがひしひしと感じ取れた。そして彼らの、歴史へのリスペクトも。

個人的には、見学にやたら時間がかかるフォロ・ロマーノの内部見学は余裕があるときにして、初めてのローマ観光なら、ここから見下ろすだけでまずはいいのではないかと思ってしまった。

・ナヴォーナ広場周辺は、無料の「生きた美術館」だった。

さて、次の名所、ナヴォーナ広場周辺へ。ここは無料で楽しめる名所が多く、有名なアート作品もごろごろ。まずは、パンテオンの裏手にある小さな教会、サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会へ。ここにはなんと、ミケランジェロ作のキリスト像が残っているのだ。

ローマ名物オベリスクの前にある外観はシンプルな教会。オベリスクを背負っているゾウさんは巨匠・ベルニーニが手がけたものとか。
腹筋が割れている肉感的なキリスト。こういうところがミケランジェロっぽい。

同じことを毎回書いているけれど、私は美術館などに「移築」された美術品より、もともとあった場所で見るアートが好きなので、教会の祭壇画とか彫刻は大好物。建築やインテリアと呼応して輝くアートの素晴らしさよ。

続いては、古代ローマ時代の建築がほぼ完全な形で残されているパンテオンへ。こちらも無料開放日のせいで中に入るにはかなり待ちそう…ということで諦めて外観だけパシャリ。ミケランジェロが「天使の設計」と賞賛したという神殿、次こそは中に入りたい。

ちなみに無料開放デーは、結局大行列に並ぶ羽目になるので、個人的には普通の日に来てお金払ったほうがいい気がした(あるいは人気のない場所だけ狙う)。

そこから徒歩2分くらいの場所にあるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会は、アート好きならぜひ足を運びたい名所。何しろカラヴァッジョがローマで一躍有名になるきっかけとなった出世作、マタイ三部作があるのだ。

内部でひときわ人だかりがある場所が、その絵が飾られているコンタレッリ礼拝堂。絢爛な内装とセットでこんなすごいアートが、しかも無料で見られるなんて、ローマに来た甲斐があったというもの。ちなみに中心に描かれている「聖マタイと天使」には面白い逸話が残っているので、ぜひ山田五郎さんのYouTubeで確認を。

建築もひたすら優雅で、キラキラ!!

このエリア最後の見どころ、ナヴォーナ広場はカラヴァッジョの教会から徒歩すぐ。

マラソンのトラックのような楕円形の広場は、ローマ帝国時代は競技場だったとか。ここに17世紀、ベルニーニにより四大河の噴水が作られ、ほぼ現在の景色に。

ローマを歩いていてつくづく思ったのは、この街ではミケランジェロよりベルニーニ、とにかく彼の存在感がすごい。

日本だと彫刻家としてはミケランジェロの知名度が圧倒的で、ベルニーニなんて、アート好きの人以外はほとんど「はて?」という感じ…ですよね?

Wikipediaによれば、「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにつくられた」とか言われているらしいけど、実際に歩いてみるとそれをひしひしと感じる。本当に今の街の骨格を作ったのはベルニーニなんだろうな、と初めて来た私ですら察するレベル。

ベルニーニ作「四大河の噴水」

ミケランジェロの彫刻はすっきり整っている印象だが、ベルニーニのそれはとにかく「躍動感…!!」という印象。さすがバロック。

ベルニーニ作「ムーア人の噴水」

そして、ベルニーニの作品はちょっとおもしろいところがいい。上手いだけでなく、ユーモアを感じるのだ。

この「ムーア人の噴水」とかちょっと笑ってしまった。おっさん、何しとんねん。

ナヴォーナ広場周辺 ひとり旅向き度 ☆☆☆☆☆

・トレビの泉

ナヴォーナ広場からスペイン階段を目指す途中にトレビの泉があるので、ここから追い込んであと2箇所見ていこう。ちなみに、この時点でもう夕方の6時半を回っている。日が長い季節に来たので余裕だが、冬ならこのあたりで観光はジ・エンドかもしれない。

トレビの泉ってコインを投げるとまたローマに来られるってやつでしょ? と思っていたら、ガイドブックによると、そう単純でもないらしい。

曰く、「投げ方は右手にコインを持ち左肩越しに投げる」「一枚投げればローマにまた来れる」「二枚投げれば恋が叶う」「三枚投げれば結婚または離婚(!)できる」。

とりあえず一枚投げておいて、次までによりディープな願いを考えておくことにしよう。

とにかく人でごった返していて前に進むのも大変。さすがにスリがいそうなのでリュックを前に抱え厳重な体制で近寄っていく。何でここにこんなに人が集まるのか…?と思わなくもない。

まぁ確かに優雅ではある。バロック建築の傑作でもあるらしい。でも、ローマの街にこれぐらいの優雅はゴロゴロしているので、個人的には一回見ればいいかな、という感想。

トレビの泉 ひとり旅向き度 ☆☆☆ ※シャッターを押してくださいと頼みにくいという意味で。

・スペイン広場

あああ、とても今日1日でバチカン市国までは無理だった…。コロッセオ&フォロ・ロマーノの外観だけ見ていれば余裕で行けた気がするが。

ということで1日観光の最後はスペイン広場でフィニッシュ。トレビの泉からは徒歩15分ほど。

眼の前にどーんとある噴水は、一説にはベルニーニの父親によるものとか。ここも正直、なんてことなはない階段なんだが、やはり映画『ローマの休日』でオードリー・ヘプバーンがジェラートを舐めながら歩くシーンが印象深いゆえ観光名所となっている。ちなみに現在は飲食禁止なのでヘプバーンごっこはできません

とりあえず記念撮影。つい仁王立ちしてしまい、ヘプバーンとの差が歴然と。

まぁ、ただの階段といえば階段なので、映画を見ていない人にはいまいち感動ポイントが見つけにくいかもしれない。ただ、いいところは、スペイン広場のまわりは高級ブティック街で、かわいい小さなお店も散見されること。ぶらぶらとウィンドウショッピングを楽しむのも、女子旅的にはありかもしれない。

スペイン広場 ひとり旅向き度 ☆☆☆☆

ということで、バチカン市国以外は徒歩で難なくクリアできたローマ鉄板観光名所めぐり1日編。入場に行列する必要がない、街の風景を楽しむことがメインのコースだったのも勝因の一つ。足は棒になったけどな!

美術館や博物館に入ってゆっくりアート鑑賞するととてもこうはいかないが、初めてのローマなら、まずはざっくり街の規模感を掴んでおくのも良いかと思う。何しろ街全体が美術館と言われる古都、歩くだけで心躍るはずですよ。

ナヴォーナ広場近くで大行列していたジェラート店「フリギダリウム」。気になったけど先を急いでいたのでスルー。次は食べてみたい!

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本場ローマで、マリトッツォを食べてみた【世界名物料理紀行】

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これが1万年続く聖地…!『縄文神社』著者と川崎のミステリアスな縄文神社を訪ねてみた。 https://tripplanner.jp/topics/4607 Tue, 23 Jan 2024 00:35:49 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4607 みなさんは縄文神社という言葉をご存知だろうか。これは『縄文神社 関東甲信篇』『縄文神社 首都圏篇』の著者、武藤…

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みなさんは縄文神社という言葉をご存知だろうか。これは『縄文神社 関東甲信篇』『縄文神社 首都圏篇』の著者、武藤郁子さんが作った「縄文遺跡と神社が重なっている場所」を意味する言葉。いわば、1万年以上、祈りの場として続いている最強の聖地を指す。

縄文神社 関東甲信篇
2023年12月に発売されたばかりの『縄文神社 関東甲信篇』。なんと明治神宮も縄文神社だった!?

縄文遺跡といえば、青森の三内丸山遺跡とか長野の諏訪など、東北、甲信越をまず思い浮かべてしまうが、武藤さんのリサーチによれば、実は圧倒的に多いのは関東地方。渋谷とか池袋といった大都会にも普通にあるのが縄文遺跡、あるいは縄文神社なのだ

そんなに身近な聖地なら一緒に参拝しましょう、ということで、贅沢にも武藤さんのガイドで首都圏の縄文神社へ行く機会に恵まれた。これはそのレポートである。おお…これが縄文神社か!という興奮をお伝えできると嬉しい。

⇒前作『縄文神社 首都圏篇』の際にインタビューした記事はこちら

■多摩丘陵でひときわ高い場所の聖地へ

今回私が行ってみたい!とリクエストしたのは、縄文遺跡が数多くあることでも知られる多摩丘陵にある長尾神社。この神社がある川崎市多摩区は、日本民家園、藤子・F・不二雄ミュージアム、岡本太郎美術館など多くの観光名所があり、なんとなく人を引き寄せるパワーがあるように感じたからだ。

長尾神社は多摩丘陵の中でも、最も標高の高い権現台に位置するので、足腰が弱い人なら登戸駅などからバスで行ったほうが良いのだが、武藤さんによれば「宿河原駅から30分ほど歩いて行って、多摩丘陵の登り下りを体感するのがおすすめです。長尾神社の良さはあの地帯を歩いてみてわかる良さなので」とのことなので、我々は宿河原駅からの徒歩コースで向かうことにする。

駅を出て長尾神社方面に少し歩くと、驚くほどの透明度の小川が見えてくる。二ヶ領用水といい、明治から大正にかけてはこの水で天然氷が作られ、東京方面に出荷されていたらしい。それぐらいきれいな水なのだ。

カモもいっぱい。桜並木があるので春は綺麗だろうな。

縄文神社は水との関係が深いらしいので、この清らかな水を前に、来たぞ来たぞ…と思いつつ先へ進む。

長尾の花めぐり
長尾神社への道はおすすめの散歩コースらしく、看板などもあった。

■丘の上にある絶景の縄文遺跡へ

ちょっとした低山登山なみの坂をえっちらおっちら登ると、最初に現れるのがふじやま遺跡公園(長尾台遺跡)である。縄文、弥生、古墳時代の竪穴(たてあな)住居跡が約30軒ほど発見された場所だが、現在は特に再現されておらず、見晴らしのいい公園になっている。

なお、武藤さんが定義する縄文神社が鎮座する典型的な「縄文ロケーション」は、

  1. 湧水がある山麓や台地崖下
  2. 見晴らしの良い台地
  3. 水辺に突き出した土地の先端
  4. 霊山の形が綺麗に見える丘陵や自然堤防の上
  5. 岬の先にある島や湖沼の中の島

とのことだが、この遺跡はまさに、に当てはまるな…と実感。

遠くに新宿や六本木が見える!夜はさぞかしきらびやかだろう。

何しろ、公園の片側は完全なる崖。
「最も海進が進んだ頃には、川崎市千年から宮内のあたりまで海が来ていたそうなので、右手には海が見えたことでしょう」(『縄文神社 関東甲信篇』P167)という武藤さんの文章を参考にしながら、縄文人が見た景色を思い浮かべる。の「水辺に突き出した土地の先端」とは言えないが、遠くに海を望む土地の先端ではあったのだろう。

よし、心がだんだん縄文人に寄り添ってきたぞ…!

■ 山のふもとにあるお寺を経て、高台の長尾神社へ

この遺跡から少し歩けば、長尾神社とも縁が深いという妙楽寺が見えてくる。

こぢんまりとしたお寺だが、文化財も豊富で、手入れされたお庭、掃き清められた境内がすがすがしい。紫陽花の名所でもある。その歴史は古く、源氏ゆかりのお寺として知られ、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の愛されキャラ(?)阿野全成が住職をしていた威光寺の旧跡とのこと。

なお、妙楽寺と長尾神社とは、つながっているといっていいほど近く、明治の廃仏毀釈まではほとんど一体だったのではないか…と感じるほどだ。

妙楽寺をお参りし、さらに坂道を少し登っていよいよ長尾神社へ。

長尾神社
着いたー!と思ったらまだ登る!

プチ登山の最終地点ともいえる神社は、さらに急勾配の石段を上がった先に鎮座する。何しろ、このあたりの最高丘陵(海抜約82m)にあるお社である。

鳥居の向こうには都会の絶景。

長尾神社の公式ホームページには、霊峰富士丹沢山塊など、関東一円の山々が一望できるとある。これは、縄文ロケーションその4「霊山の形が綺麗に見える」に当てはまるではないか! むっちゃ縄文神社だ!

「ここはもともと修験の人たちの道場だったみたいで、昔は水源があって、滝のような水場もあったかもしれませんね」と武藤さん。縄文ロケーションには水も大切な要素だが、今は神社の周囲は住宅地となっており近くに泉のようなものは見当たらない。崖の上という地形を考えると、おそらく以前は湧水があったのだろうが、枯れてしまったか、開発時に埋められたのか……そこは想像するしかない。

ご挨拶をする武藤さん

長尾神社は、明治以前は五所権現社という名の修験道のお社だったという。なぜ「五所」かというと、五柱の神仏を祀っていたからだそう。この5という数字は、このあとに知ることになる、神秘的すぎるこの土地の歴史のキーワードでもある。

神社の裏手の林では、猫たちが楽しそうに走り回っていた。のんびりとした空気と、木々を揺らすやわらかな風が心地よい。

「このおだやかな感じ、流れる空気のよさが縄文神社の特徴なんですよね」と武藤さんがニコニコしながら言う。きっと縄文人たちも、同じようにこの場所を気持ち良いと感じていたことだろう。

猫に話しかける武藤さんと、ツンデレちゃん

■五所塚から長尾神社へ、ミルフィーユのように重なるミステリアスな歴史

さて長尾神社を訪れたなら見逃せないポイントがある。権現台遺跡という縄文時代中期から後期の集落跡がある平坦な台地部分に、長尾神社とともに並んでいる五所塚第一公園

この五所塚第一公園が、なんとも言えない不思議スポットなのだ

どうがんばっても、写真ではそのミステリアスさをお伝えできないので、ぜひ現地に足を運んでほしいのだが、要するに、土をまんまるに盛った「塚」が、ぽんぽんぽん、とほぼ等間隔に5つ並んでいるのである。正直、それまでにみたことがないユニークなルックス。しかもその塚はよほど神聖なものなのか、がっちりと柵でガードされており立ち入ることはできない。

「五所塚は、直径四メートル・高さ二メートル前後の五つの塚が南北に並んでいることから、地元では古くから、こう呼ばれてきました。外観は古墳時代の円墳(えんぷん)に似ていますが、実際は、中・近世に村境や尾根筋に築かれた十三塚などと同様の、民俗信仰に基づく塚であると考えられています。」と、川崎市教育委員会による掲示にある。

「なんの根拠もないんですが…」と断った上で、武藤さんが話す。

「私の想像では、密教の修法の中でも大がかりな五壇法みたいなことをやった跡ではないかと思います。五箇所の塚の前に壇を築いて修法を行った可能性もあるんじゃないでしょうか」

五壇法とは、不動明王を中心に、降三世明王、大威徳明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王の五大明王それぞれに壇を築き、5人の行者が各座にて息災などを祈願する、かなり強力な密教の修法

神社について語り合う武藤さんと『狛犬さんぽ』著者のミノシマタカコさん。塚が結構大きいのがおわかりいただけるだろうか。

ちなみに、川崎市教育委員会が言う十三塚とは、Wikipediaによれば、13基の塚(マウンド)から構成される土木建造物。「十三塚は中世の遺構なんですが、こういう形は本当に珍しいんですよ」と武藤さん。確かに十三塚で画像検索を試みても、こんな妙な(?)ルックスのものは見当たらない。こんなにミステリアスなのに、ほぼ猫と近所の子どもの遊び場でしかないなんて! 『ムー』編集部あたりでぜひ謎を解明してほしい。

そして、さらに私が衝撃を受けたのが、このあたりで五角形という特異な形状の縄文中期の竪穴住居跡と祭祀跡が発見されたと同じ掲示に書かれていたこと。

五角形の竪穴式住居があった場所に、つの塚が築かれ、その隣に五柱の神仏を祀る社が作られた…だと?

五角形の竪穴式住居は縄文中期(5000~4000年前)のものなので、五所塚が作られた中世には地中深くに埋れており、人々はその存在を知らなかったはずだ。
なのにそこに5つの塚を作るなんて、その符号は一体何? 超能力!? 教えて『ムー』編集部ーー!

「縄文神社の一つの仮説は、人が聖なる場所に選ぶ基準は意外と変わっていない、ということ。今の私たちは、発掘調査などからここに縄文時代の祭祀跡があったことはわかっています。でも、そんなことを知らなかったはずの中世や近世の人たちも「聖なるものを作るならここだ」と思った。やはり誰もが祈りたくなる場所は不変だからなのだと思います」と、武藤さん。

五所塚から長尾神社方面を望む。遠くに見える高い木が神社のもの。同じ高さの平坦な台地上に5に関係する2つの祈りの場が連なる。

縄文時代の祭祀跡、中世の祈りの場、鎌倉幕府から重要視された天台宗の寺院、そして修験の道場でもあったという長尾神社。いくつもの異なる時代と、異なる祈りの形がミルフィーユのように重なり合うこの土地の不思議。

時代は移れど、変わらない何かを軸に私たちは昔の人たちとしっかり繋がっているのだ…そんな実感に心震えた縄文神社なのだった。縄文神社巡拝、くせになりそうに良い…!

長尾神社界隈は閑静な住宅街でコンビニなどは見当たらないので、散歩のときは必ず水を持参しよう。

【取材協力】
武藤郁子(むとういくこ)さん

埼玉県生まれ。立教大学社会学部卒業後、出版社に入社、単行本編集に携わる。独立後、ベストセラー作家の時代・歴史小説やエッセイなどの編集に携わるかたわら、文化系アウトドアライターを名乗り、本質的な美や「場」に残された古い記憶を探し求める旅を続けている。webサイト「ありをりある.com」と「縄文神社.jp」を運営。近著に『縄文神社 関東甲信篇』(双葉社)、著書に『縄文神社 首都圏篇』(飛鳥新社)、共著に『今を生きるための密教』(天夢人刊)がある。
現在、密教に関する著書を執筆中。
ありをりある.com  https://ariworiaru.com/
縄文神社.jp  https://jomonjinja.jp/

■長尾神社 https://nagaojinjya.com/

<関連リンク>
『縄文神社』著者・武藤郁子さんに聞いた、縄文時代×神社=縄文神社の魅力 とは?

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登山より辛いベネチア観光、水の都は足腰が強いうちに行け! https://tripplanner.jp/topics/4344 Sun, 01 Oct 2023 11:48:39 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4344 まさか、イタリアの山岳地帯ドロミテのトレッキングよりも、ベネチア街歩きのほうが辛いなんて想像もしなかった……。…

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まさか、イタリアの山岳地帯ドロミテのトレッキングよりも、ベネチア街歩きのほうが辛いなんて想像もしなかった……。
運河が張り巡らされた唯一無二の風景が人気の水の都、ヴェネチア東京ディズニーシーみたいなところでしょ?ぐらいの知識で行くと痛い目に合うので、実際に街歩きで足が死んだ私が、ベネチア観光のリアルをお届けします。

知ってる?タクシー禁止で歩くしか無い島ルール

私は今回が初めてのベネチア。予備知識は、「運河が張り巡らされた風景が旅情を誘う水の都」ぐらいであった。
しかし、実際に行って少し歩いて痛感したのだった。この街の水上交通オンリーのルールはガチ!

ベネチアの玄関口、国鉄サンタ・ルチア駅を降りると、まず目に飛び込んでくるのはこちらの大運河。

ベネチアのサンタルチア駅の前

「ええ、駅前からいきなり水辺!?♡」と誰もが心踊るが、このときめきは、街歩きをはじめて30分もすると困惑に変わる。

駅から海側に大運河を渡り、少し歩けばすぐ小運河だ。あなたは浮かれてTHEベネチアな風景を写真におさめ、小さな橋を渡って向こう岸に渡る。

少し歩けばまた小運河だ。「どこもかしこもフォトジェニックだわぁ」などと思いながらうきうきと橋を渡り、次のブロックへ。

ええっと……

  待って……!

想像以上に運河が張り巡らされているんですけど!!!

もちろんベネチアが水の都だということは知っていたけど、ここまでとは想像以上。感覚的には、東京で言えば、普通の小道が全部運河みたいなイメージである。その度に太鼓橋的なものを渡らなければならないので、大体1時間も歩くと足が死ぬ

私はベネチアの前に標高2000m超えのドロミテの山でトレッキングを楽しんできたのだが、あちらは頂上までケーブルカーで行けたし、登山道はばっちり整備されていたので、正直言って、ベネチア街歩きより数倍楽であった。

ベネチアよりラクだったセチェーダ山頂トレッキング

「バリアフリー、何それおいしいの?」と完全に割り切っているかのような水の都。21世紀になってもなお、この不便極まりない環境を頑なに変えないなんて……その意固地さ(なのか?)に驚愕するとともに、もし運河を埋めて道路でも作ろうものなら、これほどの世界的観光地にはならなかっただろうとも思う。

ベビーカーの人とか本当に大変そうだった。

重いスーツケースを抱えて旅する人は、雰囲気はいまいちでも絶対、サンタ・ルチア駅周辺の宿を押さえることを強くすすめたい。

ベネチアで歩きたくない人のための3つの交通手段

ベネチアは国鉄の駅より南側は車の乗り入れ禁止なので、疲れ果ててもタクシーを拾うことができない。

直線距離で100mの場所へ行こうとしても水に阻まれ、迂回して橋を渡らねばならぬため、その5倍は歩かないとたどり着けない、といった過酷さを覚悟していくべき場所なのだ。

とはいえ、歩く以外の方法もなくはないので、ここでは代表的な3つの水上交通手段を紹介したい。

1.ヴァポレット(vaporetto)

ベネチアの唯一の公共交通機関と言える水上バス。サンタ・ルチア駅からサンマルコ広場まで直接行きたい場合や、近隣の島巡りなどでは便利そうだが、75分間有効の切符が9.5ユーロ(今の為替だと1,500円くらい)と結構なお値段だし、小さな島の中をちょっと移動したいだけなら使う理由はあんまりなさそう(停留所から結局歩かなきゃいけないので辛さがあまり変わらないケースも多い)。24時間や48時間パスもあるので何度も使う人はそれを買ったほうがオトク。

2.ゴンドラ

ベネチアといえばゴンドラクルーズでしょ!と思いがちだが、これは乗ることそのものがアトラクションの船。島内を歩いているとあちこちに乗り場があるが、30分80ユーロ〜100ユーロぐらいと完全にハネムーン価格。移動手段としては論外!

ハネムーンでどうぞ

3. トラゲット(Traghetto)

これはいわゆる渡し船。数は多くないが、「Tragetto」の看板を掲げた乗り場が島内にいくつかある。こちらは一見するとゴンドラとほぼ同じ船なのになんと片道2ユーロ程度。私はサン・マルコ広場から現代アートの美術館ブンタ・デッラ・ドガーナに移動する手段として利用した。

ちなみに乗船時間はほぼ3分程度だった。歩いたら片道45分はかかりそうなんで超おすすめ。ワンコインで「ベネチアでゴンドラに乗った」思い出もゲットできるぞ!

ベネチアでゴンドラに乗ったよ〜とインスタにシェアしてもOK

2024年春から日帰り客を対象に島内への入場料(5ユーロ程度)を徴収することが決まったベネチア。

オーバーツーリズム対策ということだが、個人的には老人や足の弱い人は避けるようにアナウンスするのも観光客抑制に効果があるのでは? と思ったのだった。

行く人はくれぐれも歩きやすい靴で!

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フィレンツェ観光モデルコース、丘の上で優雅な宮殿と絶景に癒やされる1日編。 https://tripplanner.jp/topics/4182 Sat, 08 Jul 2023 10:02:52 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4182 はじめてのフィレンツェなら、王道の観光コースは、ドゥオーモ周辺で大聖堂や美術館などを徒歩でめぐるプランだろう(…

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はじめてのフィレンツェなら、王道の観光コースは、ドゥオーモ周辺で大聖堂や美術館などを徒歩でめぐるプランだろう(参考:初めてのフィレンツェ観光モデルコース、ドゥオーモ中心で丸1日編。)。

ドゥオーモ
主にこのドゥオーモの周りの名所を巡るだけで1日めは潰れます。

王道プランでも十分満足度は高いのだが、川を渡った丘の上にもまた、見逃すには惜しすぎる名所が点在する。茶色い中心部とはがらりと印象も変わり緑豊かなエリアなので、歩き回ってくたびれた翌日に、ほっと安らぐのにうってつけだ。

ということで、今回はフィレンツェ観光、絶景編。とはいえ、芸術の都ならでのアートもわんさかあるので、そちらもお見逃しなく!

ピッティ宮殿中心の観光モデルコース(2日目)

【1】ミケランジェロ広場 ⇒ 【2】ボーボリ庭園 ⇒ 【3】ピッティ宮殿 ⇒【4】川沿いのレストランでフィレンツェ名物の肉!

【1】ミケランジェロ広場

ドゥオーモ側からアルノ川を渡った丘の上にある展望スポット、ミケランジェロ広場(地図)。ダヴィデ像のレプリカがあることからミケランジェロ広場と呼ばれ親しまれている。

ミケランジェロ広場

ま、このダヴィデ像は目印みたいなもので、多くの観光客はさっさと素通りし、眺望エリアへ一直線。
丘の上からドゥオーモ周辺の街の絶景が眺めるためだ。

ミケランジェロ広場
観光客でごった返す街を高見の見物
ミケランジェロ広場
ドゥオーモやヴェッキオ橋がばっちり見える!

もちろん観光のハイライトはドゥオーモの眺望なのだが、うしろを振り返って見れば……

ミケランジェロ広場

トスカーナの田舎町に迷い込んだみたいじゃありませんこと!? 
観光で疲れた体に沁み渡る、緑いっぱいの風景…。

ちなみにミケランジェロ広場への行き方だが、ドゥオーモあたりから歩いて来るのは坂もきついし距離もあるし正直かなり厳しい。

ガイドブックなどには「中心部からタクシーで10分!」などとサクッと書いてあるが、イタリアのタクシー事情、まじで厳しいんですよ…。Uberみたいなタクシーアプリが全く使えないので、タクシーを呼ぶのも、行き先を告げるのもイタリア語というハードルの高さ。

そんなリスクを犯すくらいならバスで行くのをおすすめ。「フィレンツェ バス 乗り方」で検索するといくらでもガイド情報が出てくるのでその通りにすれば難なく乗れる。ちなみに90分間有効で切符代は1.5ユーロだ。

ミケランジェロ広場は絶景スポットとはいえ、さすがに見物するのに1時間もいらないので(カフェもあるのでお茶したりしてのんびりしてもいいが)、90分間有効のバスチケットが時間切れになる前にさっさとボーボリ庭園に向かおう。

ミケランジェロ広場からボーボリ庭園までは直線距離1.5キロちょっとで、歩いても20分くらいなのだが、歩いて行くと、庭園の低地側に着いてしまうのがいただけない。

庭園内はちょっとした勾配のある丘なので、高い位置にある入り口から入ったほうが下り中心になって見物も楽。13番のバスに乗って「Petrarca Porta Romana」の停留所あたりから丘の上のロマーナ門側入り口を目指すのがおすすめだ。ミケランジェロ広場からの乗車時間は約9分とすぐ。

ちなみに、ボーボリ宮殿+ピッティ宮殿をたっぷり鑑賞すると4〜5時間かかるので、お腹が空いているならバス停付近でランチを食べておこう。

【2】ボーボリ庭園

ボーボリ庭園
ボーボリ庭園のロマーナ門側の入り口。全部で4つの入口があるが、こちらの門ならほぼ行列とは無縁だ。

ボーボリ庭園とは、宮廷建築家のニッコロ・ベリーコリ(イル・トリーボロ)がメディチ家のコジモ一世のために築造した広大な庭園。世界遺産「フィレンツェ歴史地区」の構成資産の一つ。

ピッティ宮殿の一部なのだが、一部というのはあまりにも広大で、公園だけ鑑賞するチケットもあるくらいの規模。

ボーボリ庭園
丘の上からの眺め。下の入口から入るとここを登らなきゃいけないのですよ……無理……。

ボーボリ庭園

ヨーロッパの宮廷の造園・造営のモデルとなったとも言われるイタリア式庭園はさすがの美しさ。貴重な彫刻作品や史跡もあるので、ゆっくり見るなら2時間ぐらいはかかるだろう。ちなみに広大な公園内に売店等はないので、水などを持参することをおすすめする。暑い日は熱中症になりそうだ…。

【3】ピッティ宮殿

さて、ボボリ庭園を下り切ると見えてくるのが、こちらのピッティ宮殿。裏側から入ると行列もなくて快適。

この宮殿、元はメディチ家のライバルだったピッティ家の邸宅だったが、後にコジモ一世が購入し改修された。2階はメディチ家が収集した美術品の数々が展示されているパラティーナ美術館となっており、ウフィツィ美術館とは違ったスタイルでアート鑑賞ができる。

ウフィツィは、普通の美術館と同じくひとつずつ作品が展示されていたが、ここはもう「置き場所がないからとりあえずまとめて置いておくね!」といった展示方法。壁が一面、絵で埋め尽くされているのだ。

この密度が高すぎる壁を前にすると、「一つひとつ鑑賞してたら何日かかるのよ! 」という気分になってしまうので、ついチラ見して素通りしたくなるのだが、乱暴に押し込められた絵画の中にはラファエロティツィアーノカラヴァッジョら巨匠の作品が紛れているからタチが悪い。

ラファエロが描いた有名な絵でこの美術館屈指の人気作品『大公の聖母』、あやうく素通りするところだった。その他にもラファエロ作品がずらずらあるのでお見逃しなく。
『眠るアモール』
カラヴァッジョの『眠るアモール』。やたら艶めかしい男の子を描いた理由については山田五郎さんのYouTubeに詳しいです。必見。

ということで、展示方法にいささか問題(?)はあれど、見逃せない名画があちこちにあるので、この美術館をきちんと見るなら最低2時間は必要だろう。

かつてのメディチ家の生活の場でもあるので、豪華絢爛なインテリアや天井画なども見逃さないようにしたい。

ピッティ宮殿
華やかな宮廷の雰囲気も存分に味わいたい。

ちなみにチケットは、ウフィツィ美術館、ボーボリ庭園との共通券もある。全部行く予定ならならそちらの購入がおすすめだ。

Official ticketing page | Uffizi Galleries
※ウフィツィ美術館は超人気スポットなので、事前予約をしておいたほうがいい。

【4】川沿いのレストランでフィレンツェ名物の肉!

さて、ボボリ庭園&ピッティ宮殿でたっぷり半日潰したあとは、フィレンツェ名物の肉でも食べておきましょうか。
ピッティ宮殿からは徒歩でアルノ川まで行くことができるので、レストランも選び放題だ。

Ristorante Beccafico地図)はヴェッキオ橋からすぐの小道沿いにある雰囲気の良いトスカーナ料理店。

店の入口横に肉がどーん!

やわらか〜い赤身のステーキを食べやすくスライスしてポルチーニを添えた一品をいただく。とても美味しい。20ユーロくらいだったかな。
お店のホスピタリティーも、立地も雰囲気も良くていい店だった。

食後はぶらぶら、ヴェッキオ橋の夜景を眺めるのもいい。個人的には昼よりも夜が美しいと思った。

たまたまお祭りで花火に遭遇。

1日目はドゥオーモ周辺で王道名所をめぐり、2日目は丘の上でのんびり自然と風景と宮殿でアート。わりと大満足の旅のプランではないかと思う。

フィレンツェは意外と湿気が多く、6月末に行ってもかなりの暑さだったが、おいしいジェラート店があちこちにあるのでクールダウンも簡単にできますよ。

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【事前予約必須!】初めてのフィレンツェ観光モデルコース、ドゥオーモ中心で丸1日編。

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【事前予約必須!】初めてのフィレンツェ観光モデルコース、ドゥオーモ中心で丸1日編。 https://tripplanner.jp/topics/4143 Thu, 06 Jul 2023 10:56:56 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4143 イタリアを旅するなら、ローマ、ミラノと並んで鉄板と言える人気の街、フィレンツェ。ルネッサンスが花開いた芸術の都…

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イタリアを旅するなら、ローマ、ミラノと並んで鉄板と言える人気の街、フィレンツェ。ルネッサンスが花開いた芸術の都を初めて訪れる人のために、初めて訪れた私の失敗談を交えながら案内します。

フィレンツェ

フィレンツェの観光に必要な日数は?

1日で回る王道のモデルコースは、ドゥオーモ、ウフィツィ美術館、アカデミア美術館、ヴェッキオ橋、メディチ家礼拝堂や、丘の上の絶景スポット・ミケランジェロ広場、ピッティ宮殿などを回る、というものだ。

しかし、これはルネッサンスの殿堂「ウフィツィ美術館」で、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』とか、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』といった、これ教科書で見たやつー! なメジャー作品のみ見てあとはスルーするなら可能なプラン。私はウフィツィ美術館に4時間もハマったクチなので、正直1日だとかなり疲弊しそうでおすすめしない。

ヴィーナスの誕生
ボッティチェリのヴィーナスの誕生。想像以上に大きくて大満足。

おすすめは2日間たっぷりステイ。それなら、ウフィツィもゆったり鑑賞できるし、美術館や美しく広大な庭園もあるピッティ宮殿でのんびり半日は過ごせる。フィレンツェといえばの老舗薬局コスメ店で優雅な買い物も楽しめるだろう。

ということで、フィレンツェに2日間いるなら行くべきところ、食べるべき名物をずらっと紹介します!
まずはドゥオーモ中心の1日目のコースから!

ドゥオーモ中心の鉄板!観光モデルコース(1日目)

【1】ドゥオーモ ⇒ 【2】ウフィツィ美術館 ⇒ 【3】安旨ランチ&幸運のイノシシ像⇒ 【4】アカデミア美術館 ⇒【5】ヴェッキオ橋 ⇒ 【6】おしゃれなワイン居酒屋でアペロ

【1】まずは街のシンボル、ドゥオーモへ。

ドゥオーモ

フィレンツェのドゥオーモは、正式名称「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」。1296年に建設が始まり、1887年に完成という、ガウディ設計のサグラダ・ファミリアの工期が可愛らしく見えてしまう、実に600年をかけた大聖堂

高さ100m、直径40mの巨大なドームは、1413年にルネサンスの建築家ブルネレスキが完成させたもので、当時の技術では不可能とされていたのだとか。

クーポラの天井画
巨大ドームの内側には圧巻のフレスコ画。16世紀後半に描かれたもので、ドゥオーモ内部のハイライトの一つだ。

ここはフィレンツェ屈指の観光スポットなので、行列の時間をスキップするようにぜひ、事前にチケットを買っておこう。

Tickets for the Opera di Santa Maria del Fiore|Florence Cathedral

2023年7月時点のチケットの種類と料金は以下。

●ブルネレスキパス 大人30ユーロ(3日間有効)
サン・ジョヴァンニ洗礼堂、ジョットの鐘楼、ドゥオーモ付属博物館、クーポラ(ドーム)、サンタ・レパラータ遺跡など、ドゥオーモのすべての施設に入ることができる共通券。

●ジョットパス 大人20ユーロ(3日間有効)
クーポラ(ドーム)だけ除外した共通券。

●ギベルディパス 大人15ユーロ(3日間有効)
クーポラ、ジョットの鐘楼を除外した共通券。

ジョットの鐘楼
ジョットの鐘楼に登るとこんな感じ。これぐらいは見ておいたほうがいいのでおすすめはジョットパスかな?

【2】ルネサンスの殿堂、ウフィッツィ美術館で名画三昧

レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ボッティチェリなどルネサンスを代表する画家の名画のコレクションで有名な美術館。世界屈指の名美術館なので、そりゃあ混みます。チケットの事前購入はマスト!

Official ticketing page | Uffizi Galleries
※ウフィツィだけでなく後述するピッティ宮殿やボボリ庭園のチケットも買えるサイト。

指定した時間に予約専用窓口にパスポートとともに購入したチケット(スマホの画面でいい)を提示して入館。かつてはメディチ家の行政・司法オフィスだったという建築はジョルジョ・ヴァザーリという有名な画家・建築家が手がけたものだ。いわば建物自体もアートの一つ。

ウフィツィ美術館
外観はシンプルだけど中はこってりなウフィツィ。メディチ家の財力をひしひしと感じる空間。

ここはもう、教科書で見たな…という名画がずらずらあるので、1時間で観て回りたい!という人は、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロカラヴァッジョなど有名所だけ観てあとはスキップするしかない。

ただ、迷路のように広い館内に似たような小部屋がいくつもあるので、この名画だけ選んでスキップするのはかなりの難易度。私など、ウフィツィといえばのボッティチェリの小部屋が見つけられず、館内をぐるぐる二周くらいしてしまった。だから4時間もかかるんだよ!

レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』
レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』。ルーヴルの『モナリザ』より大きいしそれほど人だかりもなくて快適に鑑賞。

でもこの迷う段階で、ルネサンスの巨匠の名画もいいけれど、そんなに知られていない作品にも素晴らしいものがたくさんあるな、という発見があったので、時間があれば大いに迷ってほしい。

『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』
『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』

たとえばこの1333年生まれの祭壇画『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』。聖母マリアのこの表情たまらなくないですか…!? 好き♡

聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知
本当に嫌そう!

ルネサンスの名画はいわば現代的なので、現代人の私からするとわりと見慣れたものにも感じ、一周回ってイタリアのゴシック期の作品がいい…! となって、ルネサンス前の祭壇画ばかりを熱心に鑑賞してしまった。

うんちくとか知識とかがなくても、「これ好き!」「面白い!」だけで十分楽しめるのがアートだよな、としみじみ思った4時間。ちなみにマイナー作品だと思っていた『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』もWikipediaに解説が載る程度には名画だと後で知りました…。

【3】幸運のイノシシ&フィレンツェ名物モツ煮込みサンドイッチ

さて、おそらくドゥオーモとウフィツィで午前中がつぶれるので、お次はフィレンツェ名物のストリートフードでランチとしよう。

B級グルメ、ランプレドット

なんとなく貴族的な雰囲気漂う花の都だが、地元民が愛するのは気取らないB級グルメ
フィレンツェの名物といえばのランプレドット(牛の第四胃袋)、いわば牛もつ煮込みをサンドイッチにして提供する屋台が街のあちこちにあり、お値段も手頃でおすすめ。

中でもGoogle Mapで高評価の屋台が、こちらの Trippaio del Porcellino(地図)。ウフィツィから歩いてすぐのこじんまりとした市場のそばにあり、いつも行列の人気店だ。

オーダーしたそばから、お兄さんやおじさんが鍋からホカホカのもつ煮込みを豪快に大きなパニーニに挟んでくれる。

暑いからビールもいただいちゃいますよ

中はこんな感じ。モツがやわやわトロトロで、ものすごく美味しい! これで5ユーロくらいで、女の腹なら十分なボリュームだ。

ちなみにパニーニはいらないよ、という人は、もつ煮込みだけ頼むことも出来る。地元民のおじさんなどはもつ煮込みだけを頼んで赤ワインのアテにしていたりした。

おいしいランチのあとは、この屋台のすぐそばにある、フィレンツェ名物「幸運のイノシシ像(ポルチェッリーノ=子豚とも)」にも立ち寄っておこう。Google Mapで検索するときは「Fontana del Porcellino」で探すとヒットする。

フィレンツェの幸運のイノシシ

この像は、「鼻を撫でると幸せになれる」との言い伝えがあり、お鼻がピカピカなのも微笑ましい。撫で牛の文化のある我々にも親しみやすいラッキースポットですな。ぜひもつ煮込みサンドを堪能した後に、幸運を祈って撫でておこう。

【4】ミケランジェロ作のダヴィデ像で有名! アカデミア美術館

さて、お次の鉄板名所はアカデミア美術館! ミケランジェロの彫刻の数々が見どころのフィレンツェの必見スポットのひとつ!

……なの……だが。

じつは入れなかったのです!(号泣)。

さきほどから口を酸っぱくして事前予約必須!と何度も叫んでいたこの私が、予約できずに撃沈するとは…。
フィレンツェに4日ぐらい滞在する予定だったので、ウフィツィはかなり前に予約しておいたものの、アカデミア美術館は「ま、到着した夜に予約しておけばいいかな…」と油断していたら……。

なんと一週間先ぐらいまで完売!! こういう人気スポットは必ず事前予約して行くのを強くおすすめします。

予約はこちらから。⇒ B-Ticket

ということで、アカデミア書店に行けなった私は、日本でも有名なサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局(地図などをぶらぶら。

サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局

フレスコ画が見事な天井など、建築的にも見どころのあるロマンティックな店内は必見。現存する世界最古の薬局ならでは、まるでミュージアムのような雰囲気に圧倒されるはず。

【5】ヴェッキオ橋

ヴェッキオ橋

アルノ川にかかる、フィレンツェ最古とも言われる橋。ドゥオーモ側にあるウフィツィ美術館がいわばメディチ家の旧オフィスで、この川を挟んだ対岸に生活の場であるピッティ宮殿があったので、橋の上部はメディチ家にとって通路の役割も果たしていた。フィレンツェに来ると、ひしひしと思うけどここはメディチ家の城下町ですな。

ヴェッキオ橋

【6】ヴェッキオ橋の近くのワインバーでアペロタイム

最後は、世界屈指のワインの名産地、トスカーナならではのひとときを、ということでヴェッキオ橋を渡ってすぐのところにある人気のワインバー、Le Volpi e L’Uva (地図)でアペロタイム。GoogleMapの評価も恐ろしく高く(4.7!)、常に満席のお店だ。

白ワインは白文字、赤ワインは赤文字なのもわかりやすい。

オーナーがこだわり抜いたその日のおすすめのワインが黒板にずらずらと書かれており、どれもグラス5ユーロくらいと良心的。好みを伝えると選んでくれるのもうれしい。

つまみもワインも美味しく最高のアペロスポットなのだが、難を言えば店が小さいため常に満席。特に夕方のアペロタイムは混み合うので、ちょっと時間をずらしていくのがいいかもしれない。

ひとまず1日めはこんな感じでいかがでしょうか? 夜は適宜好きなものを食べてください!

2日めのプランは↓こちら↓

フィレンツェ観光モデルコース、丘の上で優雅な宮殿と絶景に癒やされる1日編。

 

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