世界自然遺産にもなっている、ヨーロッパ屈指の人気山岳エリア、イタリアのドロミテ(ドロミーティ)。
中でも絶景スポットとして高い人気を誇るのが、今回紹介するカレッツァ湖(Lago di Carezza)である。
荒々しく切り立った岩山を背に、エメラルドグリーンの透き通った水をたたえる標高1,520mのエガ渓谷にある静かな湖。その美しさから「ドロミテの宝石」と呼ばれている、有名観光地だ。
写真だけ見ると、どんな秘境にあるのだろうか? と想像力をかきたてられる神秘さだが、今回女一人で行ってみて、そのあまりの簡易さに驚いたので、ぜひ行き方や鑑賞法などを紹介したい。
◎カレッツァ湖への行き方
詳しくは「イタリアのドロミテ・トレッキング、女ひとりで公共交通機関だけで行けますか?」にも書いたが、簡単にいうと、北イタリアのヴェローナから鉄道で1時間半程度で着くボルツァーノという駅から、バスがばんばん出ていておよそ30分でついてしまう。
しかも、この絶景はバス停を降りた目の前に広がっており、これだけ見てそのままバスで引き返すことすらできるお手軽さ。バス停から歩く必要もないなんて!
◎カレッツァ湖の楽しみ方
とはいえ、せっかく来たのにUターンするのももったいないので、ちょっと湖畔を散策してみよう。
湖の周りには遊歩道が整備されており、ほぼアップダウンもないことから、老若男女、なんなら子犬までのんびり散策を楽しんでいる。20分もあれば一周できてしまうコンパクトさなので、正直、歩く難易度は井の頭公園以下だ。
湖畔を歩く楽しさは何かといえば、驚くほど透明な水を近くで見られることだろうか。
湖の背後にそびえるラテマールの峰々からこんこんと湧き出る地下水の清らかさ。湖の水位は季節によって変わり、春の終わりには雪解け水により約22メートルにもなり、10月にはわずか6メートルになったりもするらしい。私が行った7月はご覧の通り底が透けているので、せいぜい10メートルくらいだろうか。
湖のまわりをぐるりと歩いてみると、水の色も角度によってエメラルドグリーンから深いグリーンに変わったりしてなかなかおもしろい。
とはいえ、やはりこの湖のハイライトは、バス停を降りてすぐ目に飛び込んでくる、ラテマールの山々が鏡のような湖面に映り込む、下のような風景であることは否めない。
一番いい景色を最初に持ってきてしまうなんて、なんてサービスのいい湖だろうか。湖のまわりを一周すれば、もっと素晴らしい景色に出会えるはずだ、と期待していた人は、いささかがっかりするかもしれないけど。
◎いろいろと便利すぎるカレッツァ湖
さて、カレッツァ湖を歩いていてトイレに行きたくなったらどうすればいいだろうか。
実はカレッツァ湖の入り口すぐ横に、トイレ・レストラン、駐車場完備のショップエリアがあり、こちらも何の問題もない。
このエリアは複雑な歴史的事情があって、イタリアとはいえドイツ語話者が多いし、なんならドイツ語のほうが通じたりするので、レストランやカフェのメニューも完全にドイツである。
私は小腹が空いたので、ソーセージとビールで一休み。
井の頭公園程度の難易度の湖を歩くだけだと物足りない向きには、トレッキングコースも用意されている。駐車場あたりには案内板があるので、もうすこし歩いてみたい人は挑戦してみてもいいだろう(ただし、装備は万全に)。
私はのんびり休憩し、そのままバスでボルツァーノへUターン。これならヴェローナから日帰りでも十分楽しめるだろうなぁ。
昔、摩周湖からの地下水がこんこんと湧き出ているエメラルドグリーンの神秘スポット、神の子池を訪れたことがあるが、そのときは、森の中をけっこう歩いた先に出会った風景だったので、かなり感激したのを覚えている。
カレッツァ湖みたいにあまりにも簡単に手に入る絶景は、そうした達成感には少し欠ける感は否めないよな…と思ってしまう現代人は、ちょっと贅沢すぎますな。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。