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ベネチアでアート散歩、美術館&ギャラリーがひしめくドルソドゥーロ地区を歩いてみよう。

ベネチアでアート散歩、美術館&ギャラリーがひしめくドルソドゥーロ地区を歩いてみよう。

聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子

ベネチアは近くで見るとわりとボロいとか、太鼓橋100本ノックみたいな道を歩くのが辛すぎるとか、うっかり文句ばかり書き連ねてしまったが(⇒詳細)、もちろんいいところもたくさんある。

今回は私が足を棒にしながら歩いた結果、ここは結構好きなエリアかも♡と思った場所をご紹介したい。特にアート&建築好きなら楽しめること請け合いですぞ。

さて、ベネチア屈指の観光地いえば、聖マルコというキリスト教のものすごく偉い聖人の骨が安置されているサン・マルコ寺院前にある、サン・マルコ広場である。

サン・マルコ広場
ナポレオンが世界一美しい広場と称賛したというサン・マルコ広場。

ここは、寺院だけでなく、ヴェネツィア共和国時代は政治の中枢だったというドゥカーレ宮やロマンティックな老舗カフェなどが連なり、まさにベネチアを代表する観光名所。

サン・マルコ寺院のファサード
サン・マルコ寺院のファサード。豪華絢爛!

なので、もちろんいつも大混雑である。私はサン・マルコ寺院前の行列の長さにおののき、ファサードをちらりと見学して退散。この広場近くの船着き場からトラゲット(Traghetto)という安い渡し船に乗って、対面のドルソドゥーロ地区へと避難したのだが、これが大正解!なのだった。

■安藤忠雄建築もあるぞ!ギャラリーひしめくドルソドゥーロ地区とは?

ドルソドゥーロ地区とは、下の地図でいうと、サン・マルコ広場から大運河を渡った画面下あたり。サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会などがある島の南側である。

サン・マルコ広場から出た船が着くと、すぐ前にあるのが、ブンタ・デッラ・ドガーナ、我らが安藤忠雄が設計し、かつて税関だった歴史的建造物を再生させた現代アートの美術館だ。

トラゲット(Traghetto)
トラゲット(Traghetto)に乗ってドルソドゥーロ地区へ。この乗り物がいかにお得かは、別記事にてご確認を。

・【必見スポット1】ブンタ・デッラ・ドガーナ

プンタ・デラ・ドガーナ
「ICÔNES」というエキシビション開催中(2023年4月 —23年11月23日まで開催)のブンタ・デッラ・ドガーナ内部。

歴史を感じる木造トラス小屋組みとレンガ壁と、安藤建築ならではのコンクリート打ちっぱなしの空間が共存する、おそろしくかっこいい建築。開催中のエキシビションもすばらしく、アート好きならベネチアで外せないスポットではないかと思う。

ザ・安藤忠雄なコンクリートと古い煉瓦のコラボ。※展示内容により見え方が変わります。

建築もアートも最高なのだが、個人的にぐっと来たのは、館内のどの窓からも海が見えること。
まさに海に浮かぶ美術館! こんなん、ベネチアにしかないって!

プンタ・デラ・ドガーナ
こちらを見ても海
プンタ・デラ・ドガーナ
あちらを見ても海。

プンタ・デラ・ドガーナ

それもそのはず、建物はこんなふうに、もう海ギリッギリのところに建っているのだ。なんならちょっと沈みかけてない?ぐらいのひたひた感。

先を急いでなければ、館内にある、やたらワインが充実したカフェコーナーで一杯飲んでゆっくり過ごすのもおすすめ。軽食もあり、客が異常に少ないせいか、スタッフのかたもとても親切、ワインもサンドイッチも美味しかった。
カフェの前には小さなギャラリーショップも併設しているのでお土産も買える。

Punta della Dogana 公式サイト

・【必見スポット2】サンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

ブンタ・デッラ・ドガーナのすぐとなりにあるのが、ベネチアバロックの傑作と言われるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会

ここは建築もさることながら、ヴェネツィア派の巨匠・ティツィアーノの巨大作品が鑑賞できることでも有名。ルネサンスといえばフィレンツェ、と思いがちだが、ここヴェネツィアを中心に生まれたルネサンスもあり、それがヴェネツィア派と呼ばれていたりする。

常々、もとあった場所から美術館などに移された美術品は、どこか蝶の標本のように生気を失っている気がして、アートはオリジナルの場所で鑑賞したいものだ、と思っているクチなので、教会などで見る絵は大好物である。

ティツィアーノ「精霊降臨」
ティツィアーノ作 「聖霊降臨」は、必見名画のひとつ。

・【必見スポット3】アカデミア美術館

お次は、ヴェネツィア派の作品がてんこ盛りのアカデミア美術館へ。フィレンツェにも同名の美術館があり、正直そっちのほうが圧倒的に有名だが(何しろミケランジェロによるダビデ像がある)、こちらだってなかなか負けていない。

ご存知でした? ベネチアは昔ひとつの国だったこと。しかもそんじょそこらの国じゃなくて、1,000年以上も続いた歴史上最長の共和国で、一時はアドリア海から東地中海まで支配下に治めていた一大海洋国家だったのだ。

ローマよりはコンスタンティノープル(ビザンチン帝国)とがっつり組んでいた国なので、アートもまた、ビザンチン風が目立つ。

美術館のエントランス付近がすでにビザンツ風。

参考までにフィレンツェのウフィツィ美術館の内部はこんな感じである。

比べれば明らかに違う文化圏なのが一目瞭然。今では列車で2時間程度で移動できる距離なのに、ベネチアとフィレンツェ、こんなに差があるなんて、イタリアは本当に奥深い、というか複雑である。

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マルタ島ビルグ

展示されている作品も、いかにも貿易国らしく、いろんな人種の人たちが描かれていたりいて面白い。

聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子
ヴェネツィア派の巨匠の一人、ジョヴァンニ・ベッリーニによる「聖カタリナとマグダラのマリアのいる聖母子」。こちらも有名作品。

個人的には、ヒエロニムス・ボスの作品が何点かあったのが嬉しかった。日本でも世界でも、意外と作品を見る機会が少ない画家の一人。奇妙な怪物やら不思議な動物やらを好んで描く彼に、鳥獣戯画の国の民としてはやや親近感を抱いてしまうのである。

絵の一部をクローズアップ。やっぱり彼、どこかおかしいよね。。。

・そぞろ歩きも楽しい「キレイなベネチア」

その他、ペギー・グッゲンハイムコレクションという近現代アートの小さな美術館のほか、小さなギャラリーも点在し、アート散歩にうってつけのドルソドゥーロ地区。

このエリアが気に入った理由はアートだけでなく、全体的に「キレイ」なところ。正直言って、サンタ・ルチア駅近くのサンポーロ地区や、サンマルコ広場周りなど、中心部は壁とかボロボロだったり、落書きが目立ったりしてあまりキレイとはいえない場所も多かった。

落書きだらけの壁は、街の中心部でわりとよく見た風景。こんなに観光客がいるのに街にお金ないのかな?とやや心配にも。

だが、この地区は全般的にメンテナンスされているというか、新しめというか、こざっぱりとキレイな印象。

明らかにメンテされているっぽいのがおわかりいただけるだろうか。

観光客もそれほど多くないので、おやつに美味しいジェラートなどを舐めつつ、のんびりアート散歩を楽しみたいエリアだ。

アカデミア美術館近くのジェラテリア「Gelateria lo Squero」はすごく美味しいのでおすすめ。ベネチアならではの運河と太鼓橋を背景に映える写真も撮れちゃうぞ。

<関連リンク>

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