イタリアを旅するなら、ローマ、ミラノと並んで鉄板と言える人気の街、フィレンツェ。ルネッサンスが花開いた芸術の都を初めて訪れる人のために、初めて訪れた私の失敗談を交えながら案内します。
フィレンツェの観光に必要な日数は?
1日で回る王道のモデルコースは、ドゥオーモ、ウフィツィ美術館、アカデミア美術館、ヴェッキオ橋、メディチ家礼拝堂や、丘の上の絶景スポット・ミケランジェロ広場、ピッティ宮殿などを回る、というものだ。
しかし、これはルネッサンスの殿堂「ウフィツィ美術館」で、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』とか、レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』といった、これ教科書で見たやつー! なメジャー作品のみ見てあとはスルーするなら可能なプラン。私はウフィツィ美術館に4時間もハマったクチなので、正直1日だとかなり疲弊しそうでおすすめしない。
おすすめは2日間たっぷりステイ。それなら、ウフィツィもゆったり鑑賞できるし、美術館や美しく広大な庭園もあるピッティ宮殿でのんびり半日は過ごせる。フィレンツェといえばの老舗薬局コスメ店で優雅な買い物も楽しめるだろう。
ということで、フィレンツェに2日間いるなら行くべきところ、食べるべき名物をずらっと紹介します!
まずはドゥオーモ中心の1日目のコースから!
ドゥオーモ中心の鉄板!観光モデルコース(1日目)
【1】ドゥオーモ ⇒ 【2】ウフィツィ美術館 ⇒ 【3】安旨ランチ&幸運のイノシシ像⇒ 【4】アカデミア美術館 ⇒【5】ヴェッキオ橋 ⇒ 【6】おしゃれなワイン居酒屋でアペロ
【1】まずは街のシンボル、ドゥオーモへ。
フィレンツェのドゥオーモは、正式名称「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」。1296年に建設が始まり、1887年に完成という、ガウディ設計のサグラダ・ファミリアの工期が可愛らしく見えてしまう、実に600年をかけた大聖堂。
高さ100m、直径40mの巨大なドームは、1413年にルネサンスの建築家ブルネレスキが完成させたもので、当時の技術では不可能とされていたのだとか。
ここはフィレンツェ屈指の観光スポットなので、行列の時間をスキップするようにぜひ、事前にチケットを買っておこう。
・Tickets for the Opera di Santa Maria del Fiore|Florence Cathedral
2023年7月時点のチケットの種類と料金は以下。
●ブルネレスキパス 大人30ユーロ(3日間有効)
サン・ジョヴァンニ洗礼堂、ジョットの鐘楼、ドゥオーモ付属博物館、クーポラ(ドーム)、サンタ・レパラータ遺跡など、ドゥオーモのすべての施設に入ることができる共通券。
●ジョットパス 大人20ユーロ(3日間有効)
クーポラ(ドーム)だけ除外した共通券。
●ギベルディパス 大人15ユーロ(3日間有効)
クーポラ、ジョットの鐘楼を除外した共通券。
【2】ルネサンスの殿堂、ウフィッツィ美術館で名画三昧
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ボッティチェリなどルネサンスを代表する画家の名画のコレクションで有名な美術館。世界屈指の名美術館なので、そりゃあ混みます。チケットの事前購入はマスト!
Official ticketing page | Uffizi Galleries
※ウフィツィだけでなく後述するピッティ宮殿やボボリ庭園のチケットも買えるサイト。
指定した時間に予約専用窓口にパスポートとともに購入したチケット(スマホの画面でいい)を提示して入館。かつてはメディチ家の行政・司法オフィスだったという建築はジョルジョ・ヴァザーリという有名な画家・建築家が手がけたものだ。いわば建物自体もアートの一つ。
ここはもう、教科書で見たな…という名画がずらずらあるので、1時間で観て回りたい!という人は、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロやカラヴァッジョなど有名所だけ観てあとはスキップするしかない。
ただ、迷路のように広い館内に似たような小部屋がいくつもあるので、この名画だけ選んでスキップするのはかなりの難易度。私など、ウフィツィといえばのボッティチェリの小部屋が見つけられず、館内をぐるぐる二周くらいしてしまった。だから4時間もかかるんだよ!
でもこの迷う段階で、ルネサンスの巨匠の名画もいいけれど、そんなに知られていない作品にも素晴らしいものがたくさんあるな、という発見があったので、時間があれば大いに迷ってほしい。
たとえばこの1333年生まれの祭壇画『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』。聖母マリアのこの表情たまらなくないですか…!? 好き♡
ルネサンスの名画はいわば現代的なので、現代人の私からするとわりと見慣れたものにも感じ、一周回ってイタリアのゴシック期の作品がいい…! となって、ルネサンス前の祭壇画ばかりを熱心に鑑賞してしまった。
うんちくとか知識とかがなくても、「これ好き!」「面白い!」だけで十分楽しめるのがアートだよな、としみじみ思った4時間。ちなみにマイナー作品だと思っていた『聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知』もWikipediaに解説が載る程度には名画だと後で知りました…。
【3】幸運のイノシシ&フィレンツェ名物モツ煮込みサンドイッチ
さて、おそらくドゥオーモとウフィツィで午前中がつぶれるので、お次はフィレンツェ名物のストリートフードでランチとしよう。
なんとなく貴族的な雰囲気漂う花の都だが、地元民が愛するのは気取らないB級グルメ。
フィレンツェの名物といえばのランプレドット(牛の第四胃袋)、いわば牛もつ煮込みをサンドイッチにして提供する屋台が街のあちこちにあり、お値段も手頃でおすすめ。
中でもGoogle Mapで高評価の屋台が、こちらの Trippaio del Porcellino(地図)。ウフィツィから歩いてすぐのこじんまりとした市場のそばにあり、いつも行列の人気店だ。
オーダーしたそばから、お兄さんやおじさんが鍋からホカホカのもつ煮込みを豪快に大きなパニーニに挟んでくれる。
中はこんな感じ。モツがやわやわトロトロで、ものすごく美味しい! これで5ユーロくらいで、女の腹なら十分なボリュームだ。
ちなみにパニーニはいらないよ、という人は、もつ煮込みだけ頼むことも出来る。地元民のおじさんなどはもつ煮込みだけを頼んで赤ワインのアテにしていたりした。
おいしいランチのあとは、この屋台のすぐそばにある、フィレンツェ名物「幸運のイノシシ像(ポルチェッリーノ=子豚とも)」にも立ち寄っておこう。Google Mapで検索するときは「Fontana del Porcellino」で探すとヒットする。
この像は、「鼻を撫でると幸せになれる」との言い伝えがあり、お鼻がピカピカなのも微笑ましい。撫で牛の文化のある我々にも親しみやすいラッキースポットですな。ぜひもつ煮込みサンドを堪能した後に、幸運を祈って撫でておこう。
【4】ミケランジェロ作のダヴィデ像で有名! アカデミア美術館
さて、お次の鉄板名所はアカデミア美術館! ミケランジェロの彫刻の数々が見どころのフィレンツェの必見スポットのひとつ!
……なの……だが。
じつは入れなかったのです!(号泣)。
さきほどから口を酸っぱくして事前予約必須!と何度も叫んでいたこの私が、予約できずに撃沈するとは…。
フィレンツェに4日ぐらい滞在する予定だったので、ウフィツィはかなり前に予約しておいたものの、アカデミア美術館は「ま、到着した夜に予約しておけばいいかな…」と油断していたら……。
なんと一週間先ぐらいまで完売!! こういう人気スポットは必ず事前予約して行くのを強くおすすめします。
予約はこちらから。⇒ B-Ticket
ということで、アカデミア書店に行けなった私は、日本でも有名なサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局(地図)などをぶらぶら。
フレスコ画が見事な天井など、建築的にも見どころのあるロマンティックな店内は必見。現存する世界最古の薬局ならでは、まるでミュージアムのような雰囲気に圧倒されるはず。
【5】ヴェッキオ橋
アルノ川にかかる、フィレンツェ最古とも言われる橋。ドゥオーモ側にあるウフィツィ美術館がいわばメディチ家の旧オフィスで、この川を挟んだ対岸に生活の場であるピッティ宮殿があったので、橋の上部はメディチ家にとって通路の役割も果たしていた。フィレンツェに来ると、ひしひしと思うけどここはメディチ家の城下町ですな。
【6】ヴェッキオ橋の近くのワインバーでアペロタイム
最後は、世界屈指のワインの名産地、トスカーナならではのひとときを、ということでヴェッキオ橋を渡ってすぐのところにある人気のワインバー、Le Volpi e L’Uva (地図)でアペロタイム。GoogleMapの評価も恐ろしく高く(4.7!)、常に満席のお店だ。
オーナーがこだわり抜いたその日のおすすめのワインが黒板にずらずらと書かれており、どれもグラス5ユーロくらいと良心的。好みを伝えると選んでくれるのもうれしい。
つまみもワインも美味しく最高のアペロスポットなのだが、難を言えば店が小さいため常に満席。特に夕方のアペロタイムは混み合うので、ちょっと時間をずらしていくのがいいかもしれない。
ひとまず1日めはこんな感じでいかがでしょうか? 夜は適宜好きなものを食べてください!
2日めのプランは↓こちら↓
フィレンツェ観光モデルコース、丘の上で優雅な宮殿と絶景に癒やされる1日編。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。