神社仏閣・聖地 に関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/category/mysterious 少し違う旅のアイデア Tue, 21 Oct 2025 11:40:18 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 https://tripplanner.jp/wp-content/uploads/2021/01/cropped-favicon-32x32.png 神社仏閣・聖地 に関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/category/mysterious 32 32 なぜか「100円ショップ」がいっぱい!? 奈良にある日本最古の道「山の辺の道」を歩く https://tripplanner.jp/topics/5604 Fri, 25 Jul 2025 08:30:58 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5604 オフィスビルが林立する東京の真ん中にひっそりと残された古い石垣を見て、失われた江戸城の広大な姿が目に浮かぶ、と…

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オフィスビルが林立する東京の真ん中にひっそりと残された古い石垣を見て、失われた江戸城の広大な姿が目に浮かぶ、といった空想力が失われてから、もう何年経っただろうか。

自分の脳には、もう見えないものを幻視する力も、心の余裕もなくなってしまったのかもしれない、と寂しく思いはじめた昨今、ここなら何らかの脳トレができるかもしれない、と思ったのが奈良にある日本最古の道、「山の辺の道」である。

山の辺の道

何しろ、この道を味わい尽くすなら、失われてしまったかつての風景を幻視する能力は必須。なんの予備知識もなく歩くとごく普通ののどかな田園風景にしか見えないが、実はすごい史跡、みたいな場所がたっぷり待ち構えている歴史ロマンあふれる地なのだ。

おすすめはボランティアガイドをお願いして一緒に歩くこと。なんと10名までなら一人1000円という破格でガイドの方をお願いできる。

こんもりと盛り上がった丘が古墳だったり、なんてことのない池がかつての大寺院の一部だったりと、その風景を読み解くための知識を一朝一夕で得るのは簡単ではない。ガイド付きで歩けば、ここが日本最古の道なのだと実感できるだろう。早めの予約が必要なので、ぜひサイトで要項のチェックを(詳細はこちら)。

今回は、「山の辺の道」でも、アップダウンが少なく所要時間も3時間程度とライトな、石神神宮(いそのかみじんぐう)〜長岳寺を結ぶコースを歩いてみた。ここからは、写真とともにその感想をシェアしていきたい。

山の辺の道のハイライトの一つ、ロマンあふれる「石神神宮」へ

さて、前の原稿でも書いたが、山の辺の道を歩くにあたり、宿泊先に選んだのは「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」。石神神宮から徒歩16分程度で、宿の名前にもある通り山の辺の道を歩くのにぴったりの立地の宿である。モダンで機能的な客室は、若い世代にも過ごしやすいと思う。

「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道 」で注文できる朝ご飯。素晴らしく美味しかったし、見た目もうるわしい!

柿の葉寿司など奈良の名物が並ぶ朝ご飯をいただいたら、さっそく石神神宮へ。山の辺の道沿いにある神社仏閣の中でも屈指の由緒を誇る神社である。

2025年の4月〜6月まで奈良国立博物館で開催された『超 国宝』展の目玉のひとつだった七支刀(しちしとう)など、多くの宝物を収蔵していることでも有名で、古代、武門の棟梁だった物部氏の総氏神でもあったという歴史ある神社。とり・みきさんの漫画『石神伝説』にもミステリアスな場所として登場しているので、読んでからいくとさらにわくわくするかもしれない。

境内を歩く神鶏の姿もフォトジェニック。国宝の拝殿など見どころも多い。

石神神宮

山の辺の道を歩き始めて最初に、早くもハイライトともいえる超名所に来てしまったが、ここをすぎれば、お待ちかねの(?)想像力で補わないと真価がわからない、奥深い風景が待っている。

100円玉必須! 古代の道に並ぶ美味しい無人ショップ

石上神宮をあとにすると、いよいよ、歩くことがメインのアクティビティになってくる。正直、しばらくは石神神宮クラスのわかりやすい名所もなく、目に映るのはただひたすらの田園風景だ。

言われないと、ここが日本最古の道なんてわからないよね〜という、ザ・田園風景。
のんびりとした風景が続く。

かつてここが文化人たちを魅了した場所なのだと思い出させてくれるのが時折現れる歌碑。古今和歌集に選ばれた名歌や、松尾芭蕉や柿本人麻呂、小野小町などが読んだ歌碑が道沿いにぽつんぽつんとあり、その筋の素養がある人には楽しいかもしれない。

しかし、その筋の素養がない人でも楽しめるものも点在している。それが、ボランティアガイドの人が「100円ショップ」と呼ぶ、無人の野菜や果物、お菓子などの直売所だ。

新鮮な野菜がお値打ち価格で!
美味しそうな干し柿も100円!

これがもう、どれもすごく美味しそうで安く、100円玉ジャラジャラ持ってきて良かった! としみじみ思ったもの。野菜やら果物などをたっぷり買い込んでしまった。

私が訪れた5月は冷蔵庫にいちごが冷やしてあった。これがまた甘くて絶品!

これから山の辺の道を歩くという人がいたら、私は絶対に「100円玉を10枚は持っていけ!」とアドバイスする。

池や丘、建物に残る歴史を感じ、読み解いてこその山の辺の道

さて、100円ショップめぐりに夢中になっているうちに到着したのが、この小綺麗な池。

実はこの池は、かつて「西の日光」と呼ばれるほどの大寺院で、50を超える堂塔を有していたという内山永久寺のあと。明治の廃仏毀釈で廃寺となり、今はこの池のみがかつての面影を伝えている。その歴史については奈良県のサイトに詳しいので興味あれば一読を。

歩いていたらこんな風景も。フォトスポットとして有名だというトンネル。ウクライナの「愛のトンネル」みたい?

なんと大小あわせて1700以上もの古墳が集中するという天理市ならでは、ぼんやり歩いていると見逃してしまう古墳も、道沿いにあまたある。たとえば下の写真の、畑の隣にあるこんもりとした森も、実は古墳だ。こんもり盛り上がった場所はだいたい古墳だと思っておけば間違いない、みたいな感覚である。

ここが古墳だなんて、自分ひとりでは絶対に気が付かない。
なんと寺院の敷地内にも古墳が。古墳の上に墓地が重なるのは、理にかなっているかも。

古墳の他、この道を歩いていて出合うユニークな風景が環壕(かんごう)集落。これは濠で囲まれた集落のことで、戦乱が多かった中世に、村の暮らしを守るために考え出されたもの。のどかに見える風景からは想像できないが、乱世にはそれなりにこの地にも危険が満ちていたんだろう。

歌碑、100円ショップ、古墳に環壕集落。神社仏閣のようなわかりやすい見どころとが多いとは言えないが、奈良ならではの歴史の年輪に触れつつ脳内で古の風景をイメージして歩くこと約3時間、ついに目的地の長岳寺に到着!

日本最古の楼門で、創建当時から残る唯一の建物。

824年に弘法大使が開いたとされる古刹で、四季折々の花の美しさでも知られ、「花寺」とも呼ばれる長岳寺。日本最古の玉眼仏や狩野山楽による大地獄絵など文化財も多く、山の辺の道散策の半日コースの締めくくりにうってつけの華やかな名所。

訪れた5月末はカキツバタが花盛り。

長岳寺に隣接する「天理市トレイルセンター」には、「洋食Katsui」も併設しており、ここでランチ休憩をとれば完璧。

天理市トレイルセンター
洋食Kastuiのごはんの一例。牛のカツレツやら
ローストビーフやら。美味しかった!

スタートとゴールに、わかりやすく華やかな神社仏閣を据え、残りはのんびりとした田園を歩く3時間ほどのゆるハイキング。普段それほど歩かない人でも、それほど疲れない良いコースだったと思う。

途中にはお店らしいお店がないので、夏場は十分な水分補給など熱中症対策は必須。歩きやすいのはやはり春と秋だろうか。

奈良公園付近のような「ザ・観光地」といった雰囲気とは無縁だが、古代奈良への理解も深まる田園散歩。また違った奈良の魅力に出合えるはずだ。

宿泊した「フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道」は、道の駅「なら歴史芸術文化村」の隣。文化財保存や修復などを行う施設を見学できたり、美味しいおみやげショッピングも楽しめて便利。

<紹介した主な場所>

フェアフィールド・バイ・マリオット・奈良天理山の辺の道

石上神宮

長岳寺

天理市トレイルセンター

洋食KATSUI

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千葉・鴨川でワーケーション体験! 海と山、美食と癒しの最強スポット巡り https://tripplanner.jp/topics/5278 Tue, 25 Mar 2025 07:00:56 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5278 ライターという職業は、どんな場所でもパソコン(とWi-Fi)があれば仕事ができるため、自宅以外の場所である程度…

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ライターという職業は、どんな場所でもパソコン(とWi-Fi)があれば仕事ができるため、自宅以外の場所である程度まとまった期間、仕事と休暇を組み合わせる「ワーケーション」も私、尾関の働き方の一つのスタイルです。今回は千葉県鴨川市で3泊4日のワーケーションを体験してきました。

鴨川市でワーケーションに関するシンポジウムに参加

2025年3月13日、ウェルネスポーツ鴨川がワーケーションに関するシンポジウムを開催しました。そこで登壇された旅行アナリストの鳥海高太朗さんによると、ワーケーションの場所を選ぶポイントとしては大きく以下の3つがあるそうです。

●観光スポットは多すぎないくらいちょうどいい
●グルメは最大のリピート要素となる
●夜の街が楽しいのも、とても大事なこと

「観光スポットが多すぎないのがちょうどいい」その訳とは、誘惑に負けてワーク(仕事)が疎かになってしまうから。確かに近くに観光スポットがたくさんあると、つい観光に熱が入り仕事なんてしたくなくなってしまいますよね。

鴨川市は有名な観光スポットはそう多くはないかもしれませんが、海も山もあり、何より美味しい食があり、のんびりワーケーションするにはぴったりな場所なんです。ワーケーション中に気に入った推しスポットを紹介します。

【推しスポット①】大海原と鴨川の街並みが一望できる「魚見塚展望台」

一つ目にご紹介するのは、鴨川を訪れたらまずは外せないスポット、「魚見塚展望台」です。海抜約110メートル地点に位置し、展望台の頂上には女神像「暁風」が立っています。

日本の渚百選にも選ばれた「前原海岸」や外房随一の名勝と言われる「鴨川松島」、千葉県指定の名勝で新日本百景にも選ばれた「仁右衛門島(にえもんじま)」をはじめ、鴨川の街並みが一望でき、なんといっても晴れた日の気持ちよさは格別です!

ここにはE-bike(電動アシスト付きスポーツ自転車)で訪れましたが、それでもかなりハードな山道。しかしそんな疲れも一瞬で吹き飛ぶような絶景を楽しむことができました。近くで見る海とはまた違い、空が近く、高いところから眺める海というのもまたいいものです。新たに造られている建物が何か想像したり、トンビが優雅に飛んでいる姿を上から眺めたり、つい時間を忘れて見入ってしまいました。

春夏秋冬、朝方、夕暮れ時、夜景など、訪れる時期、時間帯によって異なる表情が楽しめるため、何度でも訪れたい場所の一つです。

【推しスポット②】厄割り玉で日頃の悩みや不安もスッキリお祓い!「清澄寺」

清澄山の山頂近くに静かに佇む「清澄寺」。日蓮聖人が勉学に励んだという古刹に着くとひときわ目を引く、樹齢およそ800年といわれる清澄の大杉(千年杉)が参拝者を出迎えてくれます。

高さ約47メートル、幹周りは約15メートルもある大杉は、見ているだけでパワーをもらえそうです。

そしてここにはストレス過多な方にぴったりな「厄割り玉」なんて珍しいものがありました。こちらの玉に日頃の悩みや愚痴、身体の厄などを吹き込み、厄割り石に投げつけることで厄を払うというもの。玉が割れた瞬間、スッと心が軽くなる感覚は癖になってしまいそう。日々のストレスも人生の悩みもしっかり吐き出し、また新たな気持ちで仕事にも励むことができそうです。

【推しスポット③】ゆったりした空間で食も仕事も進む「BEACH CAFE kamogawa」

安房鴨川駅から徒歩5分の場所にある「BEACH CAFE kamogawa」は、観光中に寄るにも、ワークスポットとしてもおすすめのスポット。海辺のビーチハウスをイメージして造られたカフェは、広い店内にはテーブルとソファがゆったり間隔で配置され、自分時間をじっくり楽しむことができます。居心地が良すぎて、気がついたら「もうこんな時間⁉ 」と驚いてしまうかも。

おすすめのBEACH PLATEは、ロコモコ・マヒマヒ・ガパオライスの3種類。ドリンクメニューが豊富なのもうれしいポイントです。

【推しスポット④】ワインにあわせた創作メニューが並ぶビストロ「ばんばん」

「海鮮丼やお寿司もいいけれど、それ以外の美味しいものにも出合いたい」「ワイン片手にちょっと優雅に楽しみたい!」そんな方にぜひおすすめなのがこちらのお店、ビストロ「ばんばん」です。

首都圏のフレンチで腕を磨いた店主が、42年続いた両親の喫茶店を受け継ぎビストロへと進化させたという「ばんばん」は、喫茶店当時の面影も残り、なんだかほっとする空間。初めて訪れたはずなのに、いつも訪れているような“馴染みのお店”のように感じられる、そんなあたたかな空気が出迎えてくれます。

料理はすべて“ワインに合う”がコンセプトに創られたものばかり。千葉名産のかずさ和牛を使ったメインディッシュは時期によって使用する部位や調理法などは異なるものの、必ずメニューには並ぶそう。この日は「かずさ和牛のランプのロースト」でした。あまりにも美味しくてもう一度同じメニューを頼もうか本気で悩んだほど。胃袋に余裕があればもう一回頼みたかった…(涙)。次回の楽しみにとっておこうと思います。

名前も見た目もインパクト大の「どっかん春キャベツソテー アンチョビソース」。キャベツの甘さとアンチョビの塩気が絶妙で、もう一口、もう一口…、となかなか手が止まりません。ワインも一緒にすすんでしまいます。

ワインのラインナップは日本産を中心に、日本特有の旨みを重視し、セレクトしているそう。日頃あまり飲まないようなワインと出合えるのもこのお店の魅力の一つです。仕事がひと段落した際にぜひ訪れてみてくださいね。

自転車移動なら、車移動よりも発見がいっぱい!

今回滞在中の移動は、おもにE-bike(電動アシスト付きスポーツ自転車)を使用しました。E-bikeは廃校をリノベーションした「小湊さとうみ学校」で借りることができます。

E-bikeなら多少の坂道でも楽に上ることができるので、体力がなくても自転車移動を楽しめます。なにより風を切って走る気持ちよさは癖になりますよ! 日頃の運動不足解消にも一役買ってくれたり、車移動では見落としてしまうような小さな発見があったり、地元の方とあいさつを交わしたり。自転車だからこそ出合えるものがたくさんありました。

煮詰まったときは、海を眺めながら考えてみよう

海と山に囲まれた鴨川市は、東京から車で90分ほど、電車でも特急利用で2時間弱と適度な距離にあり、いざという時にはささっと東京に戻ることができる距離です。東京からちょっと足を延ばしただけなのに、そこにはゆったりとした時間が流れていました。

いつもより長く滞在したワーケーションだからこそ、単なる旅行では出合えなかったであろうスポットにも訪れることができ、美味しい食べ物、そして自然に囲まれ過ごすうちに、蓄積した疲れや悩みも溶け出し、身も心もリフレッシュすることができました。いつもの働き方に物足りなくなったら、ぜひ鴨川でワーケーションしてみませんか。

執筆と撮影:おぜきめぐみ+都恋堂

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山奥で縄文と出会う。「塩竃金清神社」&「飛騨みやがわ考古民俗館」【飛騨市めぐり旅】 https://tripplanner.jp/topics/4943 Sat, 31 Aug 2024 00:00:13 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4943 岐阜県文化圏は、大きく飛騨地方と美濃地方に分かれています。飛騨地方で有名な場所と言えば、飛騨高山に下呂温泉、白…

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岐阜県文化圏は、大きく飛騨地方と美濃地方に分かれています。飛騨地方で有名な場所と言えば、飛騨高山に下呂温泉、白川郷あたりではないでしょうか。これらが「ドA級観光地」とするなら、「普通のA級観光地」に値する飛騨の有名な場所は、飛騨古川。映画『君の名は。』のモデル地とされています。

飛騨古川を有するのは、平成の市町村合併で生まれた「飛騨市」です。旧古川町、河合村、宮川村、神岡町の4つの町村からうまれました。今回は、そのうち、旧古川町、河合村、宮川村を巡るツアーに参加。山間の豊かな文化に触れてきた。訪れたスポットを順次紹介します。

今回ご紹介するのは、飛騨宮川の「塩竃金清神社」です。

縄文時代の遺跡に建つ山奥の“縄文神社”

以前、トリッププランナーに登場した武藤郁子さんの著作『縄文神社』では、神社と縄文遺跡の重なりを指摘していました。今回訪れた塩竃金清神社は、まさにその条件に当てはまる山奥の“縄文神社”! 神社の斜め前にある飛騨みやがわ考古民俗館には、この塩竃金清神社周囲にあると言う「塩竃金清神社遺跡」から発掘された石棒がたくさん収容されています。

石棒とは、石棒の聖地である飛騨みやがわ考古民俗館という場所を舞台としていかにして関係人口を増やしていけるかという地方創生のチャレンジングな試みに挑戦している「石棒クラブ」のHPによると、「男根を模したと考えられている縄文時代の石器です。子孫繁栄など様々な幸せを願ったり、祭祀などに使われていたと考えられていますが、真実は誰にもわかりません。」と書かれています。

位置は飛騨市から富山県に抜ける道から、少しそれた場所。田舎の片隅にある地元に密着した神社という風情です。地元の方がお掃除してきれいに保っている姿も見ることができました。

本堂にあがって参拝。無数の折り鶴が飾られた空間

こちらの神社は本堂の中に入ってもOK。靴をぬいで、きれいな本堂の中で参拝することができます。

きれいに保たれた空間から、こまめに人の手が入っていることがわかります。地元の方がいかに神社を大切にされているかが伝わってくるんです。

天井には無数の折り鶴。色とりどりの鶴が目を引きます。なかなか他ではみない風景に、思わず写真をパシャリ。でも、本殿側に目を向けると、カラフルな折り鶴とは全く異なる印象のご神体が。

さすが石棒がたくさん出てきた場所。この御神輿は昔はお祭りで使われていて、若い女の子たちが、これを担いで子孫繁栄や安産を願っていたそうです。壁には当時のお祭りの様子を映したお写真も。

もし、お祭りが今も続いていたら奇祭と言われたかもしれないですね。

「百度参り」カウント用アイテムも登場

この神社には、数字が書かれた木の札も残されています。これ、何だと思いますか? 実は、百度参りの時に数を数えるための道具なのだとか。

いつの時代のものかわかりませんが、墨で書かれた文字もきれいに残っていました。誰かが百度参りをしていた証しともいえる品。誰かがこれを使って祈りを捧げていたのですね。ちょっと胸が熱くなりました。

ここで発掘されたアイテムは「飛騨みやがわ考古民俗館」に

神社のななめ前には、年間30日しか開館しないことでも有名(?)な「飛騨みやがわ考古民俗館」があります。塩竃金清神社遺跡で発掘されたアイテムも、こちらに保管されているとのこと。ちなみに無人開館にもチャレンジされているそうですよ。詳しくはHPなどをチェック!

実はこのあたりは、石棒がたくさん出てきただけでなく、石棒の産地という機能があったことがわかっているのだそう。近くに、石棒の元となった塩屋石の産出地があり、このあたりに生産されていた痕跡が見つかっているのだそうです。こんな山奥で、なぜ!? 古代ロマンが広がります。

館内には、縄文に関する展示も盛りだくさん。

巨大な石棒は、目立つ場所でぐるぐると周りながら、存在を主張していました。

縄文土器ももりだくさん。静かな空間で縄文アイテムとキャッキャできます。最高です。

この館は縄文だけじゃありません。昔の暮らしを伝える民俗資料も豊富! 池ヶ原湿原自然保護センターの所長をつとめる岩佐 勝美先生が、どんな風に道具を使っていたのかを説明してくれました。実際に使い方をきくと、ただの不思議な道具に命が吹き込まれたかのように、使っている姿を想像しやすくなります。解説って偉大。

そして、道具の使用用途だけでなく、描かれているイラストのかわいらしさに悶絶! 描いた人は「ときめいてもらおう」なんて、ちっとも考えてなかったと思うんです。でも、時を経て、どこのだれかもわからない私のような人を笑顔にしてくれてるって、すごいですよね。

玩具系もかわいらしいアイテム勢揃い。土人形のなかで、特にときめいたのは、桃から生まれた(はずだけど瓜から生まれた感もある)桃太郎でした!

【施設情報】
飛騨みやがわ考古民俗館
岐阜県飛騨市宮川町塩屋104

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これが1万年続く聖地…!『縄文神社』著者と川崎のミステリアスな縄文神社を訪ねてみた。 https://tripplanner.jp/topics/4607 Tue, 23 Jan 2024 00:35:49 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4607 みなさんは縄文神社という言葉をご存知だろうか。これは『縄文神社 関東甲信篇』『縄文神社 首都圏篇』の著者、武藤…

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みなさんは縄文神社という言葉をご存知だろうか。これは『縄文神社 関東甲信篇』『縄文神社 首都圏篇』の著者、武藤郁子さんが作った「縄文遺跡と神社が重なっている場所」を意味する言葉。いわば、1万年以上、祈りの場として続いている最強の聖地を指す。

縄文神社 関東甲信篇
2023年12月に発売されたばかりの『縄文神社 関東甲信篇』。なんと明治神宮も縄文神社だった!?

縄文遺跡といえば、青森の三内丸山遺跡とか長野の諏訪など、東北、甲信越をまず思い浮かべてしまうが、武藤さんのリサーチによれば、実は圧倒的に多いのは関東地方。渋谷とか池袋といった大都会にも普通にあるのが縄文遺跡、あるいは縄文神社なのだ

そんなに身近な聖地なら一緒に参拝しましょう、ということで、贅沢にも武藤さんのガイドで首都圏の縄文神社へ行く機会に恵まれた。これはそのレポートである。おお…これが縄文神社か!という興奮をお伝えできると嬉しい。

⇒前作『縄文神社 首都圏篇』の際にインタビューした記事はこちら

■多摩丘陵でひときわ高い場所の聖地へ

今回私が行ってみたい!とリクエストしたのは、縄文遺跡が数多くあることでも知られる多摩丘陵にある長尾神社。この神社がある川崎市多摩区は、日本民家園、藤子・F・不二雄ミュージアム、岡本太郎美術館など多くの観光名所があり、なんとなく人を引き寄せるパワーがあるように感じたからだ。

長尾神社は多摩丘陵の中でも、最も標高の高い権現台に位置するので、足腰が弱い人なら登戸駅などからバスで行ったほうが良いのだが、武藤さんによれば「宿河原駅から30分ほど歩いて行って、多摩丘陵の登り下りを体感するのがおすすめです。長尾神社の良さはあの地帯を歩いてみてわかる良さなので」とのことなので、我々は宿河原駅からの徒歩コースで向かうことにする。

駅を出て長尾神社方面に少し歩くと、驚くほどの透明度の小川が見えてくる。二ヶ領用水といい、明治から大正にかけてはこの水で天然氷が作られ、東京方面に出荷されていたらしい。それぐらいきれいな水なのだ。

カモもいっぱい。桜並木があるので春は綺麗だろうな。

縄文神社は水との関係が深いらしいので、この清らかな水を前に、来たぞ来たぞ…と思いつつ先へ進む。

長尾の花めぐり
長尾神社への道はおすすめの散歩コースらしく、看板などもあった。

■丘の上にある絶景の縄文遺跡へ

ちょっとした低山登山なみの坂をえっちらおっちら登ると、最初に現れるのがふじやま遺跡公園(長尾台遺跡)である。縄文、弥生、古墳時代の竪穴(たてあな)住居跡が約30軒ほど発見された場所だが、現在は特に再現されておらず、見晴らしのいい公園になっている。

なお、武藤さんが定義する縄文神社が鎮座する典型的な「縄文ロケーション」は、

  1. 湧水がある山麓や台地崖下
  2. 見晴らしの良い台地
  3. 水辺に突き出した土地の先端
  4. 霊山の形が綺麗に見える丘陵や自然堤防の上
  5. 岬の先にある島や湖沼の中の島

とのことだが、この遺跡はまさに、に当てはまるな…と実感。

遠くに新宿や六本木が見える!夜はさぞかしきらびやかだろう。

何しろ、公園の片側は完全なる崖。
「最も海進が進んだ頃には、川崎市千年から宮内のあたりまで海が来ていたそうなので、右手には海が見えたことでしょう」(『縄文神社 関東甲信篇』P167)という武藤さんの文章を参考にしながら、縄文人が見た景色を思い浮かべる。の「水辺に突き出した土地の先端」とは言えないが、遠くに海を望む土地の先端ではあったのだろう。

よし、心がだんだん縄文人に寄り添ってきたぞ…!

■ 山のふもとにあるお寺を経て、高台の長尾神社へ

この遺跡から少し歩けば、長尾神社とも縁が深いという妙楽寺が見えてくる。

こぢんまりとしたお寺だが、文化財も豊富で、手入れされたお庭、掃き清められた境内がすがすがしい。紫陽花の名所でもある。その歴史は古く、源氏ゆかりのお寺として知られ、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の愛されキャラ(?)阿野全成が住職をしていた威光寺の旧跡とのこと。

なお、妙楽寺と長尾神社とは、つながっているといっていいほど近く、明治の廃仏毀釈まではほとんど一体だったのではないか…と感じるほどだ。

妙楽寺をお参りし、さらに坂道を少し登っていよいよ長尾神社へ。

長尾神社
着いたー!と思ったらまだ登る!

プチ登山の最終地点ともいえる神社は、さらに急勾配の石段を上がった先に鎮座する。何しろ、このあたりの最高丘陵(海抜約82m)にあるお社である。

鳥居の向こうには都会の絶景。

長尾神社の公式ホームページには、霊峰富士丹沢山塊など、関東一円の山々が一望できるとある。これは、縄文ロケーションその4「霊山の形が綺麗に見える」に当てはまるではないか! むっちゃ縄文神社だ!

「ここはもともと修験の人たちの道場だったみたいで、昔は水源があって、滝のような水場もあったかもしれませんね」と武藤さん。縄文ロケーションには水も大切な要素だが、今は神社の周囲は住宅地となっており近くに泉のようなものは見当たらない。崖の上という地形を考えると、おそらく以前は湧水があったのだろうが、枯れてしまったか、開発時に埋められたのか……そこは想像するしかない。

ご挨拶をする武藤さん

長尾神社は、明治以前は五所権現社という名の修験道のお社だったという。なぜ「五所」かというと、五柱の神仏を祀っていたからだそう。この5という数字は、このあとに知ることになる、神秘的すぎるこの土地の歴史のキーワードでもある。

神社の裏手の林では、猫たちが楽しそうに走り回っていた。のんびりとした空気と、木々を揺らすやわらかな風が心地よい。

「このおだやかな感じ、流れる空気のよさが縄文神社の特徴なんですよね」と武藤さんがニコニコしながら言う。きっと縄文人たちも、同じようにこの場所を気持ち良いと感じていたことだろう。

猫に話しかける武藤さんと、ツンデレちゃん

■五所塚から長尾神社へ、ミルフィーユのように重なるミステリアスな歴史

さて長尾神社を訪れたなら見逃せないポイントがある。権現台遺跡という縄文時代中期から後期の集落跡がある平坦な台地部分に、長尾神社とともに並んでいる五所塚第一公園

この五所塚第一公園が、なんとも言えない不思議スポットなのだ

どうがんばっても、写真ではそのミステリアスさをお伝えできないので、ぜひ現地に足を運んでほしいのだが、要するに、土をまんまるに盛った「塚」が、ぽんぽんぽん、とほぼ等間隔に5つ並んでいるのである。正直、それまでにみたことがないユニークなルックス。しかもその塚はよほど神聖なものなのか、がっちりと柵でガードされており立ち入ることはできない。

「五所塚は、直径四メートル・高さ二メートル前後の五つの塚が南北に並んでいることから、地元では古くから、こう呼ばれてきました。外観は古墳時代の円墳(えんぷん)に似ていますが、実際は、中・近世に村境や尾根筋に築かれた十三塚などと同様の、民俗信仰に基づく塚であると考えられています。」と、川崎市教育委員会による掲示にある。

「なんの根拠もないんですが…」と断った上で、武藤さんが話す。

「私の想像では、密教の修法の中でも大がかりな五壇法みたいなことをやった跡ではないかと思います。五箇所の塚の前に壇を築いて修法を行った可能性もあるんじゃないでしょうか」

五壇法とは、不動明王を中心に、降三世明王、大威徳明王、軍荼利明王、金剛夜叉明王の五大明王それぞれに壇を築き、5人の行者が各座にて息災などを祈願する、かなり強力な密教の修法

神社について語り合う武藤さんと『狛犬さんぽ』著者のミノシマタカコさん。塚が結構大きいのがおわかりいただけるだろうか。

ちなみに、川崎市教育委員会が言う十三塚とは、Wikipediaによれば、13基の塚(マウンド)から構成される土木建造物。「十三塚は中世の遺構なんですが、こういう形は本当に珍しいんですよ」と武藤さん。確かに十三塚で画像検索を試みても、こんな妙な(?)ルックスのものは見当たらない。こんなにミステリアスなのに、ほぼ猫と近所の子どもの遊び場でしかないなんて! 『ムー』編集部あたりでぜひ謎を解明してほしい。

そして、さらに私が衝撃を受けたのが、このあたりで五角形という特異な形状の縄文中期の竪穴住居跡と祭祀跡が発見されたと同じ掲示に書かれていたこと。

五角形の竪穴式住居があった場所に、つの塚が築かれ、その隣に五柱の神仏を祀る社が作られた…だと?

五角形の竪穴式住居は縄文中期(5000~4000年前)のものなので、五所塚が作られた中世には地中深くに埋れており、人々はその存在を知らなかったはずだ。
なのにそこに5つの塚を作るなんて、その符号は一体何? 超能力!? 教えて『ムー』編集部ーー!

「縄文神社の一つの仮説は、人が聖なる場所に選ぶ基準は意外と変わっていない、ということ。今の私たちは、発掘調査などからここに縄文時代の祭祀跡があったことはわかっています。でも、そんなことを知らなかったはずの中世や近世の人たちも「聖なるものを作るならここだ」と思った。やはり誰もが祈りたくなる場所は不変だからなのだと思います」と、武藤さん。

五所塚から長尾神社方面を望む。遠くに見える高い木が神社のもの。同じ高さの平坦な台地上に5に関係する2つの祈りの場が連なる。

縄文時代の祭祀跡、中世の祈りの場、鎌倉幕府から重要視された天台宗の寺院、そして修験の道場でもあったという長尾神社。いくつもの異なる時代と、異なる祈りの形がミルフィーユのように重なり合うこの土地の不思議。

時代は移れど、変わらない何かを軸に私たちは昔の人たちとしっかり繋がっているのだ…そんな実感に心震えた縄文神社なのだった。縄文神社巡拝、くせになりそうに良い…!

長尾神社界隈は閑静な住宅街でコンビニなどは見当たらないので、散歩のときは必ず水を持参しよう。

【取材協力】
武藤郁子(むとういくこ)さん

埼玉県生まれ。立教大学社会学部卒業後、出版社に入社、単行本編集に携わる。独立後、ベストセラー作家の時代・歴史小説やエッセイなどの編集に携わるかたわら、文化系アウトドアライターを名乗り、本質的な美や「場」に残された古い記憶を探し求める旅を続けている。webサイト「ありをりある.com」と「縄文神社.jp」を運営。近著に『縄文神社 関東甲信篇』(双葉社)、著書に『縄文神社 首都圏篇』(飛鳥新社)、共著に『今を生きるための密教』(天夢人刊)がある。
現在、密教に関する著書を執筆中。
ありをりある.com  https://ariworiaru.com/
縄文神社.jp  https://jomonjinja.jp/

■長尾神社 https://nagaojinjya.com/

<関連リンク>
『縄文神社』著者・武藤郁子さんに聞いた、縄文時代×神社=縄文神社の魅力 とは?

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写真で選ぼう、京都の紅葉。穴場の小さなお寺も見逃せない! https://tripplanner.jp/topics/4462 Sun, 12 Nov 2023 12:23:07 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4462 京都の紅葉、どこで見るか決められない人のために、私が過去に訪れて心打たれた風景を写真でご紹介。ピンと来たら、写…

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京都の紅葉、どこで見るか決められない人のために、私が過去に訪れて心打たれた風景を写真でご紹介。ピンと来たら、写真下の詳細情報をチェック。混雑具合など個人的感想も添えていますよ。

(1) 京都屈指の紅葉の名所は混雑もすごいけどやっぱりすごい

こちらは京都で紅葉といえばまず名前が挙がる、超名所の永観堂 。歴史ある建造物や仏像鑑賞も楽しみだが、紅葉の季節はのんびり庭園を散策するのが楽しい。紅葉は赤一色よりも、緑や黄色などが混ざっていたほうがキレイよね、と実感できる、鮮やかな色彩を堪能できるはず。拝観券を買うまでも結構な苦労なので、なるべく早朝を狙うのがおすすめ。

永観堂公式サイト

(2) 山門楼上から見下ろす京都市街が絶景、時代劇でもおなじみのお寺

美術館などアートスポットも多い岡崎エリアにある浄土宗の大本山、金戒光明寺。ここはぜひ夕暮れどきを狙って行き、山門から階段を登って京都を見下ろしてみたい。

紅葉シーズンは夜間ライトアップも実施。永観堂に比べれば人も少ないけど、まぁそこそこ混むので穴場とまでは言えない。ちなみに幕末は京都守護職の会津藩の本陣としても使われたので、時代劇ファンにはおなじみのお寺でもある。

金戒光明寺公式サイト

(3)真っ赤なもみじが印象的、そこそこ穴場の「女人守護」のお寺

金戒光明寺近くにありながら、ぐっと人手も少ない、わりと穴場の紅葉名所「真如堂」。ここはとにかく真っ赤系の紅葉を楽しみたい人におすすめ。三重塔とモミジのコラボなど、ザ・日本の紅葉でとてもフォトジェニック。ちなみに年に一度だけ公開される御本尊の阿弥陀如来立像は、女人守護の仏様として有名だ。

真如堂公式サイト

(4)重森三玲のモダンな庭で探したい、小さな紅葉

これまで紹介した紅葉の名所に比べれば、赤みが圧倒的に少ないが、個人的におすすめしたいのが東福寺の塔頭、光明院。昭和の作庭家・重森三玲が手がけたモダンな枯山水「波心庭」が素晴らしく、禅寺ならではの削ぎ落とされた美を堪能できる。

この小さなお寺で探したいのは、カーニバルのような色の洪水ではなく、こんな小さな紅葉。有名寺社からちょっと離れてポツンとある立地のせいか、人も少なめで穴場なのもいい。もちろん東福寺も超が付く紅葉の名所、あわせて訪れてみて。

光明院公式サイト

(5)あの有名紅葉名所のとなりにポツンとある、小さなお寺

永観堂と並ぶ京都屈指の紅葉名所、南禅寺。その入口入ってすぐのところにある塔頭、天授庵は、本堂から眺める絵画のような枯山水庭園、優美な池泉廻遊式庭園で知られる紅葉の名所。こちらも南禅寺に比べればぐっと人も少なく、ある意味穴場。しかし京都のお寺は塔頭が素晴らしすぎますな…。

・南禅寺天授庵(Google Map)

(6)嵐山を借景とする庭園が見事、春・秋以外は公開されない紅葉名所

また塔頭になるが、世界遺産・天龍寺の塔頭、宝厳院の紅葉もいい。回遊式山水庭園 「獅子吼(ししく)の庭」は、苔の緑、紅葉の赤、岩や石のグレーと、目にも鮮やか。塔頭といいつつ結構大きなお寺で、紅葉の名所として大人気、春秋の特別公開期間中はたくさんの人で賑わう。

宝厳院公式サイト

なんだかんだで塔頭推しになってしまった京都紅葉ガイド。紹介した以外にも名所はたくさんあるが、個人的には、迷ったら超有名なお寺の塔頭を狙うことにしている。ハズレがないので選ぶ基準としておすすめ。

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心震える美しい祈りの空間。驚きに満ちたル・コルビュジエ設計のラ・トゥーレット修道院に宿泊してきた。 https://tripplanner.jp/topics/3530 Fri, 27 Jan 2023 10:18:22 +0000 https://tripplanner.jp/?p=3530 20世紀を代表する建築家の一人、ル・コルビュジエ。2016年に、近代建築運動への顕著な貢献として7カ国17の作…

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20世紀を代表する建築家の一人、ル・コルビュジエ。2016年に、近代建築運動への顕著な貢献として7カ国17の作品が世界遺産に登録されたくらいの巨匠中の巨匠である。

彼が切り開いたであろう四角い箱のような、直線的で機能的な建築は、現代の我々にとってはいわばスタンダード。
ゆえに彼の作品の中では、造形的に特徴のあるパリ郊外のサヴォア邸とかロンシャン礼拝堂などのほうに、個人的には興味が傾いていた。だって、私たちの住む街には、四角く直線的な建物ばかりが溢れているではありませんか?

サヴォア邸
ミーハーなんで行きました!サヴォア邸。

ロンシャン礼拝堂ロンシャン礼拝堂については別の原稿でたっぷり語っています

などという思い込みゆえ、巨匠の代表作の一つだとか、傑作!などと言われても、ご覧のように一見するとシンプルな箱型(に見える)外観のラ・トゥーレット修道院については、「何かのついでがあったら行くかな……」ぐらいのテンションだった。

ラ・トゥーレット修道院
ラ・トゥーレット修道院といえばこの角度からの写真が有名。確かに四角い。

■ 美食の都リヨンから列車で行く、リーズナブルに「泊まれる世界遺産」

そして、そのついでは2022年にやってきた。意を決してずっと憧れていたロンシャン礼拝堂に行くと決めたのだ。

同じフランスにあるとはいえ、この2箇所間は電車で5時間以上かかる距離であり、後から思えば全く「ついで」ではないのだが、北海道で札幌と釧路を周遊しようとするアホな東京人のように、無邪気な旅程を組んでしまったのである(⇒詳細な経緯はこちらでどうぞ)。

この名建築のいいところは、なんといっても宿泊できること。日本で言えば宿坊みたいなもので、簡素だが個室に泊まれ2食付きで54ユーロ(2023年1月時点)と、お高いおフランスのホテル事情を考えればわりとリーズナブルなのだ。

オンラインブッキングのような手頃な予約方法はないが、メールや電話で問い合わせるなど手間を惜しまなければ泊まることが可能。見たところ冷房も暖房もなさそうだったので、春や秋など良い季節を選んだほうがいいかもしれない。

私が行ったのは2022年の7月中旬。正直もう暑くなるはずの時期だが、運良く夜はそれほど蒸さず、冷房なしでも快適に過ごすことができた。

ラ・トゥーレット修道院の最寄りの都市は、フランス中部の都市、リヨン。今回は目的地へ急いでいたのでランチしかしなかったが、素通りするには惜しいくらい綺麗な街だった。

美食の街リヨン
美食の街として有名なリヨン。多くの有名ビストロが並ぶ。ゆっくりしたかった…!

そこから約30分ほど列車に乗りラルブレル (L’Arbresle)駅下車後、徒歩30分。フランスで列車に乗るのは難しそうな印象があるが、最近はSNCFが作ったスマホアプリ(SNCF Connectで検索してダウンロード)があるのでとても便利である(このあたりは別の記事『死ぬまでに見たい名建築、ル・コルビュジエの「ロンシャン礼拝堂」に行ってきた』を参照)

ラ・トゥーレット修道院へ向かう道
ラ・トゥーレット修道院へ向かう道。こんな風景が楽しめる。

結構な坂道なのであまりに重い荷物やスーツケースで行くのはおすすめしない。駅前にタクシーなんか止まっていないのでなるべく歩きやすい服装で行こう。

■ ラ・トゥーレット修道院の見学ガイドツアーに参加

えっちらおっちらと小高い丘を登れば、見逃しようがない異様なフォルムの修道院が見えてくる。

ラ・トゥーレット修道院
のどかな田園との対比が凄まじい、要塞のような建築。

そして、これほど巨大な修道院なのに、なんと入り口が……。

ラ・トゥーレット修道院の門

鳥居…?

建築のサイズ感に比すると簡素すぎる門。コルビュジエ、もしかして日本の神社リスペクトか?

早くもこの建築の不思議ちゃんぶりに心を掴まれつつ受付へ。

受付横にあるベンチ。左側の赤い扉は鍵がかかっており、宿泊者かガイドツアー参加者しか中には入れない。

意外なのが、ロンシャン礼拝堂よりもずっと、この修道院のほうが「建築を学ぶ人達の聖地」感があったことだ。私がロンシャンを訪れたときは、見学している人は3−4人といったところで、かつ、カップルとか家族連れとか、一見すると建築マニアではなさそうな客層だったが、こっちはガチで建築学科の学生っぽい人たちで賑わっていた。宿も満室である。

もしかしてロンシャン礼拝堂よりもこっちのほうが世界的には人気なのか? 日本人にはロンシャンのほうが有名なイメージがあったのでちょっと意外だった。

この日はチェックイン後すぐに建築ツアーが始まったので(有料)、荷物を部屋にぶち込んですぐさま見学へ。

さまざまな線が交差する、中庭。
ラ・トゥーレット修道院の廊下
廊下
ラ・トゥーレット修道院のライブラリー
客間とライブラリー
ラ・トゥーレット修道院の小礼拝堂
ライブラリー近くの小さなチャペル。ミニマルとはこういうことか…!
ラ・トゥーレット修道院の食堂
食堂。眺めが素晴らしい。

コルビュジエらしい、シンプルで直線的で、すっきりとした空間がひたすら続く。とにかく広い。最近ではカンファレンスセンターとして利用されているのも納得の公共建築感。

だが、この「すっきり機能的」という印象は、礼拝堂へ足を踏み入れた瞬間がらがらと崩される。

この空間に足を踏み入れたときの驚きは、写真ではうまく伝えられないかもしれない。赤や黄色、青のわずかな光のみが簡素なコンクリートの空間を優しく照らし出す静謐な祈りの空間。光以外に派手な装飾は一切ないが、その光が心震えるほど美しいのだ。まるで光のアーティスト、ジェームズ・タレルの作品のよう。

祭壇から「光の大砲」と呼ばれる丸い天窓が見えるや、見学ツアーの参加者たちがため息を漏らす。簡素で無駄のない空間をえんえんと歩いてきた先に現れるこの色彩の洪水。もはやこれはショーですね。見せ場がちゃんと作られている!

「光の大砲」が見えるほうとは反対側の壁。

さて、「光の大砲」がある地下礼拝堂も見学させてもらおう。

シンプルな素材、シンプルなデザインと完璧に調和するカラフル。美しいというよりかっこいい。

この空間に少しでも長くいたくて、キリスト教徒でもないのにミサにも参加させてもらった(誰でも参加可能なのだ)が、それがまた忘れがたい体験になった。この修道院の設計には、現代音楽作曲家であり建築家のヤニス・クセナキスがコルビュジエの弟子として関わっているが、そのせいか音響が素晴らしいのである。

修道士たちが読み上げる聖書の声や賛美歌は神秘的な響きをたたえ、美しい建築空間にこだまする。その震えるような音は言葉がわからない私の心の奥に力強く響く。正直言って、ちょっと泣いた。

■ 宿泊できる僧坊はこんな感じ

さて、見学ツアーが終わったあとは、夕食までは自由時間だ。自分の部屋に戻り、一息つくとしよう。

ベッドとデスク、小さなベランダがある簡素な部屋だが、色使いが楽しいので侘しさはない。

入り口近くには洗面台とロッカーがある。新しいシーツとタオル、紙コップが備え付けられているのみなので、歯ブラシなどは持参していこう。私は念の為、飲み水とおやつも持っていった。トイレとシャワーは共同で、各フロアにある。

ゲストハウスのドミトリーなどで過ごすのに比べればプライバシーは確保されているし個人的にはこれで十分だと感じた。

■ 夕方から夜にかけての過ごし方、気になるご飯は?

この修道院は建築だけでなく大自然の景観もまた素晴らしく周囲は公園でもある。日が暮れる時間帯を狙って夕日を見に外に出た。

美しい夕暮れ。

カメラを抱えて丘から修道院を撮影していたら、同じ目的の仲間たちがやってきて、「この角度からのほうがいい」とか「あっちも眺めがいい」など色々教えてくれる。そう、基本的に彼らはコルビュジエのファンなのだ。我々はいわば推し活仲間なのだ。仲良くならないはずがない。

7時半からはお楽しみのディナータイムである。食堂に集まり、1テーブル4,5人ずつ着席する。
私のテーブルには、アメリカから来てコルビュジエ建築巡りの旅をしているという老夫婦と(マルセイユのユニテ・ダビタシオンとカップ・マルタンに行ってきたとか)フィレンツェから一人で来たという女性が座っていた。

女性は子育てを終え、今は趣味の絵を描くのが楽しいという。「ここに3日ほど滞在して、昼は絵を描くのよ」と笑う。

会話が弾んでいたので、食事を細かく撮影するタイミングを逸してしまったが、唯一の写真がこれ。

食事にはしぼりたてみたいにフレッシュな赤ワインが添えられるのだが、これがすごく美味しかった。いまそこで絞ってきました!みたいな爽やかさで、何杯でも飲める。そんなに飲まなかったけど。

野菜を中心に全部で4皿ぐらいあっただろうか。コース料理のようにひとつずつ運ばれて来て、食べ尽くすと、おかわりいる? と聞いてくれる。どれも丁寧に作られていて美味しく、お腹もいっぱいになった。

この修道院の設計をコルビュジエに依頼したのは、ロンシャン礼拝堂も依頼したというクチュリエ神父である。彼は南仏にあるマティスが内装をすべて手掛けたことで有名なロザリオ礼拝堂にも関わっているという謎の仕掛け人なのだ。
おそらく芸術への思い溢れる神父だったに違いになく、この修道院が「ほとんどアート」といっていい空間になったのは彼の存在も小さくないのだろう。

ロンシャン礼拝堂の「ついで」に来たラ・トゥーレット修道院だが、そのスケールの大きさ、外観と内部のコントラストの激しさ、音と色の素晴らしさに圧倒され、個人的にはロンシャン礼拝堂よりも好きになってしまった。

翌日は列車で5時間もかかるロンシャンへの移動のために早朝に出発しなければならず、思いの外素敵だったリヨンも、この修道院の美しい朝もゆっくり楽しめなかった。次は絶対3泊はしよう、と心に決めている。

 

<ラ・トゥーレット修道院 Couvent de la Tourette> 基本情報
BP105 Eveux, 69591 L’Arbresle cedex 公式サイト

1960年竣工のカトリック ドミニコ会の修道院。2016年、ル・コルビュジエの建築群としてユネスコの世界遺産に登録。

アクセス: L’Arbresle駅下車徒歩30分。Lyon-Gorge de Loup駅からは平日は15分〜3o分間隔 、日曜は1時間に1本の便あり。Lyon-Part Dieu 駅だと2時間に一本となる。

宿泊料金:シングルルームのみ 1泊(夕食+宿泊+朝食): 54ユーロ
※18時にフロントが閉まるので到着は17:30までに。ホテルは8月とクリスマス休暇の間は閉鎖。

修道院の内部ガイドツアー:日曜の午後のみ開催。[email protected] へメールするか、電話で問い合わせる。 +33 4 72 19 10 90

※上記情報は2023年1月に公式サイトにて確認したものです。

<コルビュジエ関連記事>

死ぬまでに見たい名建築、ル・コルビュジエの「ロンシャン礼拝堂」に行ってきた。
泊まれる世界遺産、ル・コルビジェによるマルセイユの名作「ユニテ・ダビタシオン」訪問レポート

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死ぬまでに見たい名建築、ル・コルビュジエの「ロンシャン礼拝堂」に行ってきた。 https://tripplanner.jp/topics/3484 Wed, 25 Jan 2023 11:12:15 +0000 https://tripplanner.jp/?p=3484 最近の旅のマイブームとして、一つしか見るものがない場所へ行く、というのがある。 ほら、パリとかフィレンツェとか…

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最近の旅のマイブームとして、一つしか見るものがない場所へ行く、というのがある。
ほら、パリとかフィレンツェとか名所旧跡が多すぎる観光地って、あっちだこっちだ!ってつい忙しくなっちゃうでしょう? それがもう、トシのせいか、疲れてきちゃったんですよね…。

というわけで、今回は正真正銘のワンテーマ(しかない)なスポット、フランスのロンシャンに行って参りました!

■ロンシャンといえばのコルビジェの世界遺産

建築好きの人なら、ロンシャンと聞けば、すぐこの不思議な形の建築が思い浮かぶはず。

ロンシャン礼拝堂
1955年竣工。2016年、ユネスコの世界文化遺産に登録された。

これはスイスで生まれ、主にフランスで活躍した建築家、ル・コルビュジェ(1887-1965)が設計したロンシャン礼拝堂。フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエとともに「近代建築の三大巨匠」の一人に数えられる彼の晩年の傑作だ。

コルビュジェといえば、アール・ヌーヴォーやらアール・デコやら、やたら装飾的だった建築が主流だった時代に、直線的で機能的な、むしろ今の我々が慣れ親しんだスタイルの建築を確立させた、モダニズム建築の父、というイメージが強い。

たとえばこの、ユニテ・ダビタシオンなんかが典型だ。

ユニテ・ダビタシオン
マルセイユにある日本の団地の元祖?とも噂される、ユニテ・ダビタシオン。

それが、どうした? コルビュジェ…?
かっちりきっかり、機械のような直線が好きじゃなかったのか?

……と建築雑誌でひと目見たときから心つかまれ、以来、死ぬまでには絶対に見に行こう、と決めていた場所、それがこのロンシャン礼拝堂なのだ。

■  ロンシャン礼拝堂きっかけにプランした、フランス・スイス名建築巡礼の旅。

で、このロンシャン礼拝堂だが、地図で見るとこんな場所にある。

緑一色の地図から、このあたりが完璧な田園地帯であることがわかる。かんたんにいうとド田舎なのである。

一番近い大きめの都市をGoogle Mapで探してみれば、なんとスイスのバーゼルになってしまうではないか。そう、ここはフランスとはいえ、ほとんどスイスといったエリアなのだ。

バーゼルは建築好きの聖地と言われる「ヴィトラ・キャンパス」の拠点となる街だし、ついでに一緒に回るのも悪くないかもしれない。フランスのド田舎つながりで、ロンシャン礼拝堂と同じクチュリエ神父が依頼した「ラ・トゥーレット修道院」まで思い切って足を伸ばしてしまおうか……。

などと考えた私が作った旅程はこちら。

<1日目> リヨンに入り、「ラ・トゥーレット修道院」宿泊。※なんとここは泊まれる世界遺産。詳細はこちら。
<2日目> 「ラ・トゥーレット修道院」から列車で約5時間ちょっとかけて「ロンシャン礼拝堂」へ。見学後、列車で約2時間のバーゼル泊。
<3日目> バーゼルからバスでヴィトラ・キャンパスへ。バーゼル泊。訪問レポートはこちら
<4日目> バーゼルからチューリッヒに移動して飛行機で出国

えーと…、これは建築学科の学生の就学旅行ですか?

という3泊4日の旅プラン。詰め込みすぎや!
忙しい旅に疲れたって冒頭で言ってなかったっけ?

話をロンシャン礼拝堂に戻そう。

この礼拝堂への最寄り駅はRomchamp。ここがまた、急行が止まらない無人駅で、しかも電車の本数もごくごく少なく、事前に相当な準備をしないと時間のロスが激しく、下手をすればたどり着かない…という声がネットで多数の、行き方の難易度の高い駅なのだ。

でも、心配ご無用!

フランスの国鉄SNCFが作ったスマホアプリがあれば、自分が乗る駅と降りる駅で検索すれば、一番乗り継ぎがいい便を一発検索。日本でよくある乗り換え案内アプリとほぼ同じ使い勝手で英語OK。良いルートが見つかったら同じ画面で切符をかんたんに買えてクレジットカード決済、発券もスマホで完結する。

フランス語がわからないのに窓口で切符を買わなければならなかった頃はえらい大変だった鉄道の旅が、こんなに簡単になるとは……ありがとうテクノロジー!

sncfアプリ
フランス鉄道の旅をするならマストでダウンロードすべきアプリ、SNCF Connect.

このアプリがあれば、自分が今どのあたりを走っているのかもわかるし、乗るべきプラットフォームの番号も、乗り継ぎ時間も教えてくれ、列車に遅れが出れば最新の時間で表示してくれる。日本の新幹線の予約サイト等の使いにくさを知っている身からすると、神レベルの使い勝手。IT後進国の日本、もっと頑張れ……。

というわけで、わりと難なくロンシャン駅に到着。しかし、実はここからが予想外に難易度が高かったのだ。

■ロンシャン駅に着く前に絶対にしておくべきこと

覚悟していたが、駅は緑生い茂る小山の上にあり、周囲には何もない。私が行ったのは2022年の7月下旬。もうバリバリに暑い時期である。

ロンシャン駅

この日、駅を降りたのは私一人。建築ファンの聖地だからもっと巡礼者がいるかと思ったのに…心細すぎる。

駅の前の風景はこんな感じでただの自然。「Chapelle Notre Dame du Haut」の看板があるのは、おそらくこの駅で降りる人の大半がここを目指しているからなのだろう。通称ロンシャンの礼拝堂の正式名称は「ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂」なのだ。

ロンシャン礼拝堂に向けて駅から少し歩くとこんな風景に変わるので、一瞬、「おお、街だ!」と喜ぶものの、残念ながら店らしい店はほぼゼロ。小さなスーパーぐらいはあるだろう、とタカをくくっていたがものの見事に何もない。そして私は、このクソ暑いのに水を持参していなかったのだ。

やっと一軒の薬局を見つけ、水を求めて入店してみたら、すでに先客のカップルがいて私と同じく水を所望していた。店主の答えはノーである。……マジか……。

駅からロンシャンの礼拝堂までは徒歩約30分ほど。もちろんタクシーもバスも見当たらないので歩くしかない。

見て、この乾ききった山道。

灼熱の中、熱中症の恐怖と戦いながら山道をひたすら歩く。これはなかなかドキドキした。もしここで倒れても、こんな辺鄙な山道では誰も見つけてくれなそうである。
これからロンシャン礼拝堂に行く人は、絶対に軽いスナックと水はどこかの街で買っておくことを強くおすすめする。

■ ロンシャン礼拝堂、まずは彫刻的な外観を堪能……のはずが!

山道をひたすら歩き続け、ついに目の前に近代的な建物が!

そう、ここはロンシャン礼拝堂の正門であり案内所。や、やっと着いたぞ〜助かった……。

ちなみにこの建物はレンゾ・ピアノ設計。

ここで入場料を払えば、いよいよあのコルビュジェ晩年の傑作を目にすることができるのだ。ちなみに水も売っている(到着後すぐ買ってがぶ飲みした)。

しかし。胸を踊らせ、礼拝堂のある丘へ向かって歩き出した私の視界に飛び込んできたのは……。

えええーーーー工事中!(号泣)

みなさん、どこかに行くときは必ず公式サイトをすみずみまでチェックするようにしましょう。2024年まで修復工事中のアナウンス、完全に見落としていた……。

気を取り直して、工事していない部分の外観をとりあえず見学。

ロンシャン礼拝堂この角度からの礼拝堂も悪くない

モダニズムがにじみ出る階段エリア。
ロンシャン礼拝堂
見る角度によって驚くほど表情を変える巨匠の名作。
ロンシャン礼拝堂
個人的には裏側から見たこの外観がツボ。ゾウの鼻みたいな形の雨樋の面白さよ。手前にあるオブジェみたいなものは雨水をためる水槽だそう。

■ いよいよ内部を見学。多数の窓が並ぶ有名な「光の壁」へ。

外観をあらゆる角度から鑑賞し、満喫したあとは、いよいよ礼拝堂の中へ。

いっそ「かわいらしい」とさえ言ってしまいたくなる、マッシュルームみたいな外観からは想像できないほど、おごそかで神秘的な空間が現れる。

色とりどりの光に満ちた空間を生み出しているのは、壁一面に穿たれた様々な大きさの窓。カラフルなステンドグラスが埋め込まれており、祈りの空間を美しく照らしている。

受付でもらったリーフレットによれば、壁には、第二次世界大戦で破壊された旧礼拝堂の石が使用されているとか。

この礼拝堂は、ローマ時代の1世紀頃にすでに聖域があったと言われるスピリチュアルな場所に建つ。1092年にはすでに教会があったとされ、その後荒れ果てるも1843年に再建。しかし、第二次大戦中の1944年、ドイツ占領からのフランス開放時に破壊されてしまったのだ。

そんな歴史もこの礼拝堂は各所で継承している。

たとえば、写真右のマリア像は、18世紀の旧礼拝堂にあったものだ。

また、内部にある3つの小礼拝堂の一つの壁は赤く塗られ、キリストの磔刑と1944年に亡くなった兵士の両方を表しているとか。

外の明るさによって、表情を変える内部空間。

ベンチや祭壇、十字架や燭台など、ほぼすべてをルコルビュジェがデザインした幻想的な祈りの空間。四角い箱のような建築を数多く手掛けてきた彼が、60代も終わりになって、絵を描くように、彫刻を彫るように作ったアートのような作品。私にはそう思えてならなかった。

■ 建築ファンにはたまらない、礼拝堂以外の見どころ

さて、コルビュジェによる礼拝堂を出て、広大な敷地を歩いてみよう。ちらほらと有名建築家やデザイナーの作品があるのでお見逃しなく。

ジャン・プルーヴェの鐘楼

たとえばこちらの鐘楼は、2022年夏に日本の東京都現代美術館で行われた展覧会も記憶に新しいジャン・プルーヴェによるもの。ここでも1944年の爆撃を生き延びた鐘が使われている。

平和のピラミッド
1944年のフランス解放時の戦闘で犠牲になった人たちを弔うために建てられた「平和のピラミッド」。ル・コルビュジェの助手のアンドレ・メゾニエがデザイン。

丘を下ったところには、コルビュジェ設計の「巡礼者の家」もある。

もとは礼拝堂の建設労働者の住まいで、竣工後は巡礼者などが滞在する場所だった。

建物の前にはベンチがあり、そこから見下ろすロンシャンの風景もまた素晴らしい。

礼拝堂再建の依頼を受けて、この地を訪れたコルビュジェはその風景に感動したのだとか。

さらに丘を下ると、レンゾ・ピアノ設計の「聖クララ修道院と礼拝堂」(2011年)がある。日本だと関空や銀座のメゾン・エルメスを設計したことで知られ、世界ではポンピドゥー・センターなど超有名作品を多数手掛ける現代イタリアを代表する建築家だ。

ロンシャン礼拝堂の案内書
丘に半分埋まっているから、コルビュジェによる礼拝堂からは見えないのだとか。
壁の大きな十字架は1417年にスペインの説教者からもたらされたもの。

一部工事中なのが残念ではあったが、十分に楽しめたロンシャン礼拝堂。晩年になり、自らが打ち立てた「近代建築の五原則」とは全く異なるものを作った彼の、複雑な心の内側に分け入ったような気持ちになれた訪問だった。

<ロンシャン礼拝堂:正式名称 ノートル・ダム・デュ・オー礼拝堂>
Chapelle Notre-Dame du Haut
13 Rue de la Chapelle, 70250 Ronchamp

公式サイト(日本語)※サイトには事前予約が必要そうなことが書いてありますが必要ないです。

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映画「君の名は」の聖地になった諏訪湖で、地元民おすすめの観光&グルメスポット。 https://tripplanner.jp/topics/3471 Sun, 22 Jan 2023 11:45:29 +0000 https://tripplanner.jp/?p=3471 新海誠監督作品『君の名は』にヒントを与えたと言われる諏訪湖ビューの名物公園ほか、全国各地に6500ほどある諏訪…

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新海誠監督作品『君の名は』にヒントを与えたと言われる諏訪湖ビューの名物公園ほか、全国各地に6500ほどある諏訪神社の総本社、諏訪大社でも知られる諏訪湖界隈。
生まれも育ちも諏訪っ子に案内してもらった鉄板名所をご紹介。地元民ならでは、ランチスポットもそばもうなぎもハズレ無し!

<観光名所編>

諏訪大社 上社本宮

全国各地に6500ほどある諏訪神社の総本社で、日本で最も古い神社のひとつ。7年目毎に行われる勇壮な御柱祭でも有名。諏訪湖のまわりに、上社前宮・上社本宮・下社春宮・下社秋宮と4つの社があり、徒歩ではまわりきれないほど離れている。こちらは上社本宮。拝殿や左右片拝殿などは江戸時代に作られたもので重要文化財。

信濃国一之宮諏訪大社 下社秋宮

信濃国一之宮諏訪大社 下社秋宮
長野県諏訪郡下諏訪町5828

諏訪大社の下社秋宮。青銅製では日本最大という狛犬や大きな注連縄の神楽殿、1781年に立川和四郎初代 富棟の棟梁で落成した御社殿など見どころもいっぱい。

立石公園

立石公園
長野県諏訪市上諏訪10399

映画 「君の名は。 」のヒントになった風景ということで、今やファンの聖地となっている諏訪湖を見下ろす絶景の公園。信州サンセットポイント100選、新日本三大夜景・夜景百選にも選ばれた標高938メートルの高台にあるロマンティックスポット。

高島城 復興天守閣

高島城 復興天守閣
長野県諏訪市高島1丁目11−16

かつては湖に浮く難攻不落の城だったという諏訪湖近くにあるお城。明治まで天守が残っていましたが、政府の命により棄却されてしまったそうで(もったいない…)今は復興天守がそびえています。
毎年5月初旬に見頃を迎える天守前の藤は、なんと明治9年に植えられた市内最古のもの。

上諏訪温泉 片倉館

大正から昭和の初期にかけてシルクエンペラーと呼ばれた片倉財閥が昭和4年に設立した娯楽施設で、建築は国の重要文化財。
ロマンティックなステンドグラスもある大きな浴槽は、深さがあり、立って入浴するしくみ。湯船の底に敷かれた小石が足の裏をほどよくマッサージしてくれて気持ちいい。

<立ち寄りグルメ編>

登美

登美
長野県諏訪市大字上諏訪立石町10318−1

立石公園近くにある諏訪湖ビューの手打ちそばのお店。地元民がプッシュするだけあって、おそばも眺めも絶品! 霧ヶ峰や八島湿原ドライブのあとの立ち寄りごはんにもおすすめ。人気店なので可能であれば予約してから訪れたほうが安心。

うなぎのうな藤

うなぎのうな藤
長野県諏訪市湖岸通り5丁目5−2

このうなぎを食べるためだけに途中下車をおすすめしたい、諏訪湖エリアにあるうなぎやさん。
大人気店なので休日は行列覚悟だが並ぶ価値あり。関西風だといううなぎだが、じゅうぶんやわらかく、歯ごたえとしてはぷりふわ、という表現がぴったり。やわらかすぎず、個人的にこれぐらいがアルデンテ(じゃないけど)!と言いたくなる火の通し方。和風の建物も風情があっていい。諏訪っ子におすすめされた店で、やはり地元民の推薦は正しい!と納得。

くらすわ

くらすわ

諏訪湖畔にある、養命酒製造がプロデュースするお土産&フードスポット。最上階にはテーブルのある展望スポットもあり、諏訪湖の絶景を眺めながらソフトクリームなんかを食べると最高。
おみやげショップのクォリティも高く、発酵食、味噌、ジャム、郷土菓子、手仕事など信州の良いものが揃います。ベーカリーカフェもあるのでご飯を軽く食べたりも。

<関連記事>
昭和に民芸…松本でレトロなグルメスポットめぐり。

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「俺の白兎」で話題沸騰の織田信長を祀る、京都の絶景神社「建勲神社」。 https://tripplanner.jp/topics/3424 Sun, 15 Jan 2023 10:00:11 +0000 https://tripplanner.jp/?p=3424 NHK大河ドラマ「どうする家康」第一回放送時、Twitterで世界トレンド一位になった「俺の白兎」。岡田准一演…

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NHK大河ドラマ「どうする家康」第一回放送時、Twitterで世界トレンド一位になった「俺の白兎」。岡田准一演じる魔王感溢れる織田信長が放った名セリフ(?)だ。

ということで、今回は旬の人物をピックアップ。あまり知られていないが、実はあの京都に、織田信長が御祭神の神社があるのである。

■ 京都の山々を見渡せる、船岡山にある絶景神社

観光客でごった返す四条あたりとはうってかわって、のんびりとした空気が漂う船岡山。清少納言が「丘は船岡…」と讃えるなど、平安時代から風流な人々に愛されてきた標高112メートルの小山である。

山頂に位置するのが織田信長を御祭神とする「建勲神社」(たけいさおじんじゃ、けんくんじんじゃとも)。京都にしては歴史は浅く、創建は明治2年(1869)。

標高112メートルの小山とたかをくくるとわりと息が切れたりする。歩きやすい靴で行くのがおすすめ。

とはいえ、織田信長とのこの山のゆかりについては、もう少し長い歴史がある。

本能寺の変で織田信長が没すると、豊臣秀吉はその御霊をここ船岡山に祀ろうとした。以来この地は信長の大切な地として伝わり、明治天皇が神社を創建したというわけだ。

山全体が神社になっているよう。

この神社の素晴らしさはなんといってもその眺め。

何も遮るもののない小山からは比叡山・大文字山などの京都の山々が見えまさに絶景。京都府の『京都の自然200選』にも指定されているのにも納得。

■ 登録有形文化財の建物や、刀剣ファンに人気の御朱印も。

境内の建物の多くは国の登録有形文化財。拝殿の中には、羽柴秀吉、蒲生氏郷、前田利家や池田恒興ら織田信長の三十六功臣のうち十二功臣の額が飾られており、戦国ファンも胸アツ。

国の登録有形文化財の神門(祝詞舎)。

この神社は、桶狭間の戦いで織田信長が今川義元から奪った名刀で重要文化財の「義元左文字」(よしもとさもんじ)を所蔵していることから、近年は刀剣ファンの聖地にもなっており、「京都刀剣御朱印めぐり」も人気。ちなみにこの刀、信長亡き後は豊臣秀頼、そして家康の手に渡ったことから「天下取りの刀」と呼ばれているとか。

個人的には信長公の天下布武御朱印がお気に入り。かっこええ。

天下布武龍章御朱印 500円

■ 帰りは船岡温泉に立ち寄るのもグッド。

参拝が住んだら、ぜひ近くにある登録有形文化財の銭湯「船岡温泉」に立ち寄ってみよう。⇒関連記事

大正時代のレトロなタイル装飾が残る美しく、全国の銭湯ファンが訪れる名所。ロマンティックな内装を楽しみながらプチ登山で疲れた足を癒やすのもよし。

ちなみに船岡温泉のすぐ近くに同じくタイル装飾が美しい銭湯建築を活用した美しいカフェ「さらさ西陣」もあり、こちらもおすすめ。

さらさ西陣
昔の銭湯の装飾の素晴らしさを堪能できるカフェ

<建勲神社> http://kenkun-jinja.org/index.html
京都市バス「建勲神社前」または「船岡山」バス停より徒歩9分。

<船岡温泉> http://funaokaonsen.net/dish.html
京都駅より市バス206系統、千本鞍馬口バス停下車、徒歩約5分。
地下鉄鞍馬口駅から徒歩約20分。

<さらさ西陣> 公式サイト
京都市北区紫野東藤ノ森町11-1  075-432-5075

<関連記事>

冬の京都はお風呂で温活。美しいタイルで知られる西陣のキングオブ銭湯と銭湯カフェへ。

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富士山を楽しむための絶景ホテル! 静岡の日本平ホテル満喫レポート。 https://tripplanner.jp/topics/3391 Sat, 31 Dec 2022 08:37:14 +0000 https://tripplanner.jp/?p=3391 通勤電車の中から富士山がちらりと見えただけで「今日はツイてる!」と思ってしまう。 東海道新幹線は富士山が見える…

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通勤電車の中から富士山がちらりと見えただけで「今日はツイてる!」と思ってしまう。
東海道新幹線は富士山が見える座席のほうがすぐ埋まる。
初夢で見るともっとも縁起がいいと言われるのは富士山だ。

私たちのDNAのどこかにラッキーアイテムとして組み込まれているとしか思えない、霊峰・富士山。何を隠そう、私も大好きである。

あの美しい姿をたっぷり堪能できれば、特に他に何もしなくてもいいのではないか……と思いたち、ある冬の日、静岡の日本平ホテルへ向かった。
ここは「風景美術館」というキャッチコピーで知られる、富士山の眺めの素晴らしさでは国内屈指の絶景ホテルである。

宿泊者ならではの日本平ホテルの楽しみ方

日本平ホテル
窓一面に広がる富士山と三保の松原。この風景がすでにアート。

もちろん、日本には、山中湖や河口湖、伊豆、箱根エリアなどに「富士山の絶景」が楽しめる素晴らしい宿がいくつもある。でも、正直言って、ちょっと宿泊料金がお高いのよね……一人一泊3万円くらいするのがザラ。

しかし、日本平ホテルは、富士五湖や伊豆などのザ・観光地に比べ、静岡市という「えーと、政令指定都市でしたっけ…?」みたいな、いわゆる地方都市にあり、料金体系がビジネスホテル並みなのだ。時期を選べば、一人一泊1万円くらいで宿泊できたりする。

おまけに東京都心から新幹線でわずか1時間ちょっとの「静岡駅」から無料のシャトルバスが出ており、アクセス至便。ここを穴場と言わずしてどこが穴場であろうか。

日本平ホテル
日本平ホテル外観。背後にちらりと富士山が見える。

このホテルは特に有名建築家が手掛けたわけではないが、どこを見ても品がよく、シンプルでかっこいい。

日本平ホテル
現代のカリスマ左官職人と呼ばれる久住有生による壁面。
日本平ホテルのエレベーターホール
エレベーターホールもシンプル&スタイリッシュ。
日本平ホテルの客室
客室はこんな感じ。

いやぁ…シンプルで上品、高級感たっぷり。こんなホテルに、ビジネスホテル並の料金で泊まれるなんて!

さて、荷物を置いて一息ついたら、さっそく自慢の庭に繰り出してみよう。

世界遺産、富士山と三保の松原のコラボを愛でるガーデン散歩。結構な広さなのでわりといい運動になる。

このホテル、ランチやカフェタイムは、富士山の絶景を楽しみたいゲストで大混雑するが、実際のところ、彼らの多くは日帰り客。夕方になると、ホテル内はぐっと静かになり落ち着いた雰囲気を帯びてくる。ここからが宿泊客ならではのお楽しみターイム!

まず絶対行くべきは、最上階の「アッパーラウンジ」。夕暮れちょっと前の時間帯を狙っていけば、刻々と色を変える、富士山の眺めを堪能できる。

日本平ホテルのアッパーラウンジ
ほんのりピンクに染まって美しい富士山と一緒にアペロタイム。
コースターにも富士山♡

私が行ったときは、ラウンジ内はほぼ貸し切り。ここで一人静かに、ただひたすら富士山の色の移り変わりを楽しむなんて、贅沢すぎる時間だ。

日が沈んだ後、富士山は深い青に包まれ、より神秘的な眺めに。明かりがつき始めた清水港もキラキラしてとてもきれい……。

夜景をより楽しむためにと、双眼鏡を貸してくれた。

とっぷり日が暮れたら、そろそろディナーにしましょうか。正直歩いていけるところにディナースポットはないので、タクシーを呼んでどこかへ行くか、ホテル内で食べるしかない。私はカクテルも飲んじゃったし面倒なので、ホテル内のレストランをチョイス。

日本平ホテル特製 ハンバーグステーキ
日本平ホテル特製 ハンバーグステーキ  2,500円

ホテル内のレストランというとつい身構えてしまいがちだが、ここはコース以外ならわりとリーズブル。パスタやカレーなどは1000円台からスタンバイしていたりする。

ホテルから一歩も出なくても、世界遺産の富士山をこれでもか! と楽しめる日本平ホテル。手軽なステイケーション先としておすすめだ。

日本平ホテル近隣で楽しむ観光ガイド

とはいえ、やはりちょっとくらいは観光したい……と思うあなたに、日本平で楽しめるアクティビティをいくつかご紹介しよう。まずは2018年にオープンした有名建築家・隈研吾設計の「日本平夢テラス」。ホテルから歩いて行くことができる。

日本平夢テラス
地元静岡県産のヒノキ材を使った特徴的なデザイン。

富士山や駿河湾、三保松原のほか、伊豆半島や南アルプスまで。日本平の絶景を楽しむための施設で、入場は無料だ。

日本平夢テラス
法隆寺の夢殿にヒントを得て、八角形にしたのだとか。

日本平夢テラス

ここにはカフェエリアもあり、軽食をいただくことも可能。日本平ホテル滞在時の手軽なランチスポットしても活用できる。

私はひつまぶしセットみたいなものをいただいた。

名建築と富士山のコラボを楽しんだあとは、徒歩で日本平ロープウェーへ。ここから、徳川家康を祀る絢爛豪華な神社、久能山東照宮へ行けるのだ。

わりと険しい山を下るので乗り物好きもワクワク。

久能山東照宮については、別の原稿でたっぷり紹介しているので詳細は省くが、ここは徳川家康を祀った日本で最初の神社。1617年創建、日光東照宮より前に作られた国宝の神社だ。

久能山東照宮
2023年はNHK大河ドラマ『どうする家康』に合わせて注目度アップが必至。

富士山は見えないけれど、駿河湾の眺めが美しい絶景の神社。春は梅が咲き誇り、天国のような雰囲気。

額縁のような門のむこうに駿河湾が。

最後におまけ。

旅といえば、温泉!大浴場!という思考回路も、おそらく我ら日本人のDNAに組み込まれてしまっているのかもしれない。富士山の眺めは最高だったけど、お風呂がなぁ…と思ったあなたは、帰りに静岡駅付近の有名サウナへ立ち寄ってみよう。

ここ、「サウナしきじ」は素朴な銭湯という外観だが、実は全国のサウナーがこのためだけにやってくる「サウナの聖地」。テレビや雑誌、ネットなどあらゆるメディアでさんざん紹介されている超有名スポットだ(ぜひ、「サウナしきじ」で検索してみてください)。

サウナしきじ
静岡駅から市内バスで登呂コープタウン行き「登呂コープタウン」下車、徒歩3分。
芸能人のサインがずらり。

気持ちよさが異次元レベルという、地下天然の湧き水を使ったミネラル豊富な水風呂で整えば、旅の満足度もアップするはず。

手頃な値段で楽しめるパワースポット富士山を愛でる首都圏からの一泊二日旅行。空気が澄んだ冬の旅のアイデアにいかが?

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大河ドラマ「どうする家康」で盛り上がる! 静岡市でぜひ訪れたい5つの徳川スポット

<関連スポット>

日本平ホテル
日本平夢テラス
久能山東照宮
サウナしきじ

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