京都嫌いな人こそ、騙されたと思って行ってみてほしい美しい7つのお寺
皆さんは京都好きですか?
毎月どこかしらのメディアで特集が組まれる古の都。著名なお寺はもちろん、独自のカルチャー、美味しい食事処、最近はエッジの効いたカフェやショップもたくさんOPENし、恐らく世の女性の8割が好きだと答えると思います。そんな私も大好きすぎて今年は2回も通ってしまいました。
ですが、残りの2割はこう言います。
「混んでるから、嫌い。お寺よく分からない」
分かります。混んでますよね。お寺よく分からないですよね。でも「混んでるから、嫌い」な方々って恐らく清水寺、金閣寺、伏見稲荷など、超・有名所を修学旅行で行ったきりという方も多いはず。
しかし、京都のお寺の底力は超・有名スポットだけではないんです。 小さなお寺にこそ古の都の底力が眠っているのです。寺の庭分からない? 見て美しいと思えればそれでいいんです!(多分)
そこで、寺好きな私が、京都嫌いなまま大人になってしまった人にお届けする、超・私的オススメのお寺を7つご紹介します。
1. 三千院だけじゃ勿体無い! まさに大原の宝「宝泉院」
最近、京都特集などでフィーチャーされることが多くなった大原地区。大原というと苔庭とかわいらしいお地蔵さまが有名な三千院が有名ですが、ストーーップ! 三千院だけで帰らないで! その奥にある額縁庭園が見所の宝泉院に寄ってから帰って!
まず宝泉院は拝観料が800円。この拝観料の中にお抹茶とお菓子がついてきます。そして見えるはこちらの額縁庭園。赤い毛氈の上でお抹茶を頂きましょう。
「いつまででもいてくださいね」というお言葉に甘えて、ついつい長居してしまいます。この額縁庭園が一番美しく見える位置にお座布団が置いてあります。人が少ないので待ち時間ほとんどナシでお座布団の上に座ることができます。また、水琴窟の音が響くように設定されているので、美しい水の音を聞きながらお抹茶を飲みながら素晴らしい時間を過ごせます。
2. お花のしつらえに感動!! 細やかな配慮が随所に伺える「雲龍院」
色紙の間で最近有名になった雲龍院。受付を済ませると、急にその間は現れます。また、オススメのビューポイントにお座布団が置いてあるのでそちらに腰掛けさせていただきましょう。
また、禅寺なので丸い「悟りの窓」と「迷いの窓」も。
ですが、私がオススメしたいのはしつらえです。
なんと生け花の先生が2週間に一度、お寺中のお花を変えにいらしているそう。季節に応じたしつらえをされているので、しつらえからも季節を感じられます。
こんなに空間を贅沢に使ってしつらえをしているお寺なかなかありません。細やかなところにまで人を迎える準備をしていて、京都でもこんなお寺はなかなかないのではないでしょうか。
こちらでも別料金でお抹茶がいただけますので、お抹茶を飲みながらゆるゆるとした時間を過ごしてみては。
3. 徳川家康公の開いたお寺はミステリアス&モダン「圓光寺」
一乗寺から徒歩15分ほどのところにある円光寺。徳川家康公が開き、明治時代は尼寺の修行場だったそうで、足を踏み入れた瞬間からなんとも不思議な空気感に包まれます。(ちなみに私は霊感ゼロです)
まず目に飛び込むは、平成の枯山水「奔龍庭」。白砂が雲龍、石柱を龍に見立てたなんともモダンな枯山水です。この枯山水がなんとも不思議な気持ちにさせてくれたのかもしれません。
個人的にお勧め、応挙が愛したという竹林を抜けて、境内山上に登ってみましょう。まず徳川家康の“歯”が祀られているお墓があります。お墓ですが、とっても素敵な雰囲気なんですよ。紅葉の木がまるでお墓に寄り添うように植わっていて、お墓見てため息ついたのはじめてです。
また、さらに奥へずんずん進んでいくと洛北が一望できるビューポイントへたどり着きます。私は朝に着いたのですが、きっと夕方、夕日が落ちる頃に行くととっても素敵だと思います。あと、“月”と書いてあり、丸く覗き穴がある石が建っているのですが、おそらく十五夜のときなんかに手前の石に座って月見とかしちゃうんですかね…。
おしゃれか! そう、京都のお寺っておしゃれなんですよ。結構広いので、1時間くらいかけてのんびり見学することをオススメします。
4. 江戸時代のクリエイター集落で、トリップ体験を「光悦寺」
金閣寺よりももう少し奥にある、光悦寺。悟りの窓で有名な源光庵のご近所さんです。まず入り口がよく分かりません。鬱蒼とした木々に囲まれた小さい入り口を抜けると、紅葉の一本道がお出迎え。一本道を抜けると、そこは小さな茶室が点々と散らばる芸術家集落。
芸術家本阿弥光悦がこの地に移り住んだあと、光悦の親族や職人を集め工芸家集落にしたということで、その他のお寺とは少し趣が違います。まるで迷路のような道なりは、自分がファンタジーの住人になったのではと錯覚します。
くるくると生垣を抜けると、鷹峰の山々が美しく見えるスポットに到達!
ばーんと開けたその場所は、今まで狭い生垣を巡っていたとは思えない景色です。一本道から、生垣の迷路、それから鷹峰の山々。短い時間で景色がすごく移り変わるので、まるで狐に化かされたような気分を味わえます。凝ったお庭やしつらえはありませんが、現世からのトリップを味わってみてください。
5. 嵯峨野の竹林より、こっちの竹林が断然オススメ!「地蔵院」
竹林といえば、嵯峨野。ですが、こちらの地蔵院の竹林も大変おすすめです。
苔寺や鈴虫寺から歩いて5分ほどのところにある地蔵院。あたりは鬱蒼としているので、少し怖いですが、小さい受付で拝観料を納めたら、アッと驚く竹林がお出迎え。嵯峨野では車や、人力車、人で前に進むのも写真を撮るのも困難ですが、地蔵院は8月末のお昼頃に伺ったら誰もいませんでした!
まっすぐの竹林を抜けると、本堂、右へ向かうと現方丈が。(こちらにも枯山水がありますが、撮影禁止です。お気をつけて)
現方丈でもシーンと静かで、背筋がピンと伸びてしまいます。360度竹林に囲まれ、自分がちっぽけに感じます。
嵯峨野の竹林でガッカリしてしまった方は是非地蔵院へ。
6. 東福寺行ったなら、ここも寄って! 三玲作、ダイナミックな虹の苔寺「光明院」
秋の紅葉シーズンはたくさんの観光客が押し寄せる東福寺。東福寺にも重森三玲の有名な八相の庭がありますが、こちらもとっても素敵ですが、東福寺の近く、東福寺光明院波心庭にも絶対寄ってみて!!
重森三玲作の通称虹の苔寺という石庭がお出迎え。ちなみに必ず行く前に小銭を用意しましょう。なぜなら受付に人がいません。大きな竹筒が置いてあり、「お気持ちを納めてください。(300円くらい)」と紙がペタっと貼ってあります。志納システムでお釣りはありません。私は知らずに向かったところ、生憎小銭が一銭も入っていなかったので、1,000円納めさせていただきました…!
それでも後悔はないほど、ダイナミックな石庭は開かれた本堂と書院のどこから見ても感動。違う顔を覗かせてくれるのです。本当に素敵。それではどうぞごらんください。
本堂や書院では寝転んではいけませんが、少し地図を見返したり、身支度を整えさせてもらったりしました。東福寺で疲れた体を少し休めさせてもらってはいかがでしょうか。
7. 高桐院人気の今がチャンス! 細やかな石庭の世界観が美しい「龍源院」
今、大徳寺がアツい! この夏から狩野永徳の襖絵が特別公開されたり、高桐院が人気だったりとおそらく観光客がぐんぐん増えている大徳寺。ですが、個人的には「龍源院」の石庭がオススメです。まず出迎えるは日本一小さい石庭と言われる「東滴壺」は、水の波紋から大海原を表した石庭で、この小さなスペースにも石庭を作ってしまう、細やかさにグッときます。
少し奥に進むとメインの一枝坦、滹沱底、龍吟庭がお迎え。こちらも悠然と構える枯山水、石庭が大変美しいです。
私は滹沱底を眺めながら縁側で少し一休みさせてもらいました。
クオリティの高い枯山水をのんびり、しかも見比べることができます。自分のお気に入りの枯山水、石庭を見つけて是非ゆるりと楽しんでみてください。
超・私的オススメの7つのお寺をピックアップさせていただきました。
京都のお寺って何がいいの? の個人的なアンサーは計算され尽くした美しさと心意気だと思います。
座る位置によって、お庭の木や灯籠が美しく見えるように配置されているお庭設計。
石や砂で海や山を表現するセンス。それが隅々までに行き届いていて、京都のお寺は参加できるアートスポットです。
京都はまだまだ素敵なお寺がいっぱいあるはず。ちなみにですが、個人的には青紅葉が美しい初夏に行くのが一番オススメです。混んでいないし、青や苔が瑞々しく本当にため息ものの美しさですよ。また来年もお寺を見に京都をくるくるしたいと思います!
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フリーランスエディター、ライターとしてwebを中心に活動。 お寺のお庭、アート、歴史的建造物巡りが旅のテーマ。 縦横無尽にあちこち歩き回るタイプ。 趣味は写真とビール(お酒)。ハマっているのは夏の京都。