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まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する

まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する

すでにレポートしたアール・ヌーヴォーなお屋敷マジョレル邸から歩いて約10分のところにある、アール・ヌーヴォーに特化した世界でも稀な美術館「ナンシー派美術館」

ナンシー派とはエミール・ガレが中心となり結成された、この地を拠点に活動する芸術家たちが作ったグループのこと。そのナンシー派のコレクターだったウジェーヌ・コルバンの邸宅跡を利用し、家具やガラスなど多くの工芸作品を展示しているのがこの美術館だ。

こぢんまりとしたお屋敷だが、一歩中に入ると、濃密なアール・ヌーヴォー空間が広がっている。

一部屋まるごとアール・ヌーヴォーにしたったぞ!なダイニングルームはこの美術館の白眉のひとつ。

ぐにゃぐにゃ、曲線、装飾過多…これぞアール・ヌーヴォー!な空間にどっぷり浸れ、特に日本人にはエミール・ガレの作品が多いのも嬉しいポイントだろう。

面白いのは、ショールーム的にいろんなアール・ヌーヴォーな小部屋があること。将来インテリアに取り入れたい人には家具の配置や小物のあしらいなど参考になりそうなポイントがいっぱい。

エミール・ガレが手掛けたベッドも展示。
ジャック・グリュベールが手掛けたライブラリー。

ふつうの美術館だと、陶器やガラス製品などが単品でぽんぽんと展示されているケースが多いが、この美術館では、邸宅の室内空間がまるごと当時の雰囲気に再現され、家具やアート、工芸品とともにコーディネイトされているのが本当に素敵。まるでベル・エポックのフランスにタイムスリップしたよう。

奥に掲げられている絵はヴィクトール・プルーヴェによるナンシー派の仲間の家族を描いた絵。マジョレルの家具やドームやガレの照明もずらり。

とはいえ、もちろん、日本でも人気のエミール・ガレの作品などはひとつずつじっくり鑑賞できるようにガラスケースの中に」陳列されている。

エミール・ガレの作品。

わかりやすく美しいガラス製品も多いが、中にはおどろおどろしいものや、日本リスペクトすぎてちょっとおもしろくなってしまっている作品も。

エミール・ガレ作のうちわ

彼がどれほどジャポニスムに影響を受け、日本の美に惹かれていたがわかり、日本人として誇らしい気持ちにも。

ジャック・グリュベールによるステンドグラス、1904年のもの。
アール・ヌーヴォーなピアノまで。

すっきりシンプルな北欧家具に目が慣らされてしまっている私にとってはひとつひとつの家具が、美しいだけでなく興味深い。こんなん、大量生産絶対ムリよね…という現代ではとても手に入らなそうな貴重な展示品の数々。日本人にもとても人気のあるミュージアムなんだとか。

なお、この美術館の庭は、誰にでも無料で開放されており、近所の人たちの憩いの場にもなっている。

私が行った7月には簡易なバーもオープンしていて快適度もアップ。

See Also

軽食やソフトドリンク等を購入可能。
とりあえずビール。生き返るわー!

観光客で賑わうユネスコ世界遺産・スタニスラス広場があるナンシーの旧市街に比べ、このあたりは歩いている人もまばらなほどの静かな住宅街。近くには大きな公園もあるので、ここでゆっくり休憩したあとは、ぶらぶらと散策してみるのも楽しい。そこかしこで「小さなアール・ヌーヴォー」を見つけることもできますよ。

Musée de l’Ecole de Nancy Google Map 

公式サイト ※マジョレル邸とセット券を買うのが圧倒的にお得です。

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