20世紀初頭に、ピカソやブラックが主導した切子を思わせる幾何学的なデザインが印象的なキュビズム運動が建築に適用されたのはチェコだけ。
現実とはほんの少しルールが違う異界に放り込まれた不思議の国のアリスのような気分になれる、ギザギザな世界を味わってみましょう。
キュビズム博物館
観光名所が多くにぎやかなプラハの中心地にある「ブラック・マドンナ」(黒い聖母の家)内にある美術館。
家具、絵、インテリア雑貨、照明や建築模型など、あらゆるキュビズムを堪能できます。
ここは建築も、最も多くのキュビズム建築を残したというヨゼフ・ゴチャールが手がけ、中にあるカフェまでキュビズムです。
グランド・カフェ・オリエント(Grand Café Orient)
キュビズム美術館がある「ブラック・マドンナ」にあるカフェ。照明からコートハンガー、カップ&ソーサーまでギザギザや多面体! ⇒ 公式サイト
ブラック・マドンナ(黒い聖母の家)
観光名所が多くにぎやかなプラハの中心地にあり、キュビズム美術館やカフェを併設する「ブラック・マドンナ」(黒い聖母の家)(1912)。手がけたのは最も多くのキュビズム建築を残したというヨゼフ・ゴチャール(1880-1945)。
外見もさることながら、中の階段のあしらいがすばらしい。
フラッチャニの二世帯住宅
最も多くのキュビズム建築を残したというヨゼフ・ゴチャール(1880-1945)が手がけた住宅。プラハ城の裏手の閑静な住宅街にあり、観光名所ストラホフ修道院へ向かうトラムで途中下車すると簡単に行くことができる。
あまりギザギザが強調されていない控えめなキュビズム。それもそのはず、この邸宅は、アール・ヌーヴォー様式で進んでいたものに、途中からキュビズムを足していったのだそうだ。⇒ 地図
ネクラノヴァ通りの集合住宅
チェコのキュビズム建築を代表する建築家のひとり、ヨゼフ・ホホルの代表作と言われている「ネクラノヴァ通りの集合住宅」(1913-1914)。宝石を思わせるプリズム型のモチーフが、殺風景になりがちな白い壁面を立体的に彩っている。白い箱のような建築に見慣れない斜めの直線が加わっただけで、こんなに前衛的に思えるなんて。すごく変わっているものよりも、錯覚かもしれないと思う程度に変わったもののほうが、より深い印象を残すものなんだなぁ、と、この建築をみてしみじみ思う。
キュビズム建築が多数残るヴィシェフラト地区にある。 ⇒ 地図
コヴァチョヴィチ邸
チェコのキュビズム建築を代表する建築家のひとり、ヨゼフ・ホホルによる「コヴァチョヴィチ邸」(1912-1913)。一見シンプルで機能的な現代の建築のようだが、よく見ると、ギザギザの柵、カクカクとしたパターンが連続する壁面などが普通とは違うことに気づく。鋭利なナイフで慎重に削ぎ落としたような壁面に入る陰影が印象的な邸宅だ。
キュビズム建築が密集するプラハのヴィシェフラト地区にある。⇒ 地図
ヴィシェフラトの三世代住宅
チェコのキュビズム建築を代表する建築家のひとり、ヨゼフ・ホホルが最初に手がけたキュビズム建築「ヴィシェフラトの三世代住宅」(1912-1913)。
門扉や窓枠がギザギザしているが、屋根の形などは昔風でかわいらしい印象。キュビズム建築が密集するプラハのヴィシェフラト地区にある。⇒ 地図
チェコスロヴァキア・レジオン銀行
最も多くのキュビズム建築を残したというヨゼフ・ゴチャールが手がけた銀行。「あれ、キュビズムなのにギザギザじゃない?」というのが第一印象。この果てしなく○が連なる不思議なスタイルは、後に「ロンド・キュビズム」と呼ばれるようになる建築様式。
銀行内部。ガラスの天井からは明るい光が射しこみ、実際にたたずんでみると、その豪華さに圧倒されてしまう。世界の美しすぎる銀行ランキングというのがあったとしたら間違いなく上位に入りそう。
この建築の成功により、ゴチャールはチェコを代表する建築家として不動の地位を得たのだそう。⇒ 地図
アドリア宮
チェコを代表するキュビズム建築家、パヴェル・ヤナーク(1882-1956)によるロンド・キュビズム建築、「アドリア宮」(1922-1925)。
アドリア宮とはいっても、別に宮殿ではなく、もともとはイタリアの保険会社のためにたてられたビル。重厚で宮殿のようであることからアドリア宮と呼ばれるようになったそう。
ある意味で重苦しい外観だが、中は、ロマンティックと言っていい優しげなデザインでした。⇒ 地図
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。