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アルバニア・アルプスの山岳リゾート、ヴァルボナ。サイクリングで気軽に絶景を楽しもう!

アルバニア・アルプスの山岳リゾート、ヴァルボナ。サイクリングで気軽に絶景を楽しもう!

アルバニア北部の絶景スポット、ヴァルボナ渓谷。登山はちょっとハードすぎるってな向きにはのんびり楽しめてそれなりの絶景もばっちり楽しめるサイクリングのご紹介。

アルバニアを旅していて良く思ったのは、「10年後はたぶん全然違う風景になっているのだろうな」ということ。
30年前までなんと鎖国していた(!)国なので観光地としてはまだ発展途上。いままさに工事中! という印象が強いのだ。

facebook経由で友人から聞いた噂を紹介すると、「イタリアでは、アルバニアは10年前のクロアチアみたいだと言われている」らしいこと。世界的な人気観光地と言っていいクロアチア(「魔女の宅急便」のような景色として日本でも人気のドゥブロヴニクなど)も、一昔前までは通好みの、ミステリアスな旅先のひとつだった。それが今やバルカン好きエンジニアの郡山さん(こちらの記事参照)もいうように「完全に西ヨーロッパな感じ」。

美しい山岳リゾートのヴァルボナも、こんなにのんびり静かなのも今のうちかもしれない。

それを証拠に道路沿いに目をやれば、建設中の建物が結構あったりする。


「あの眼の前に見える高い建物は、完成したらヴァルボナで一番の規模のホテルになるんだ」とガイドのミュアヤンくんは言う。今しか見られない風景、静かで美しい雰囲気を、悔いのないように味わい尽くさねば。

ということで、ガイドと一緒に登山のあとはサイクリングに挑戦です。

宿泊した宿にはギアつきの自転車が複数台あり、1日500円程度でレンタル可能(なんでも激安の国だけどレンタル代は普通ですな)。

午前中に登山を終えてもうほぼ体力が残っていない私も、舗装された道路を走るくらいならできそうなので老体にムチ打ってゴー!

ガイドのミュアヤンくんのミッションは午前中の登山で完了しているので、彼は午後、部屋でごろごろしていても何の問題もないのだが、私が退屈だろうと(そしておそらく彼も退屈なので)好意でサイクリングに連れ出してくれている。

なので彼はもう完全にお遊びモードである。「ねぇねぇ写真撮ってよ」と、友達か? のようなリラックスぶりである。しかも、セルフィー文化の強いヨーロッパの、セルフィー大好き世代なので、記念撮影も本気だ。

写真撮るよー、というとここまでやるのが欧米の若者か。

記念撮影はニコパチでいい国から来るとポージングが一歩先を行っている感じ。

「君も撮ってあげるよ!」と言われたので、普通ににっこりして待ってたら「ダメダメ!」とダメ出しされる。
「足を揃えて、センターラインのちょうど中央になるように立って」と注意され、さらに「何かポーズを」と要求された。

アルバニアといえばの定番ポーズ「双頭の鷲」で決めてようやくOKをもらった一枚。

宿から20分も走ると、ロードサイドに建物も見えなくなってくる。

単調な一本道に飽きてきたらしい若者は「せっかくオフロードバイクなのだからもっと面白い道を走ろう」と言い出す。「午前中に登山したので体力残ってないし、あんまりハードなところはちょっと……」と言いたかったが、せっかくオプション料金なしで遊んでくれているのだから……と思い直してOK。……もしかして遊んであげているのはこっちか?

とはいえ、未舗装というだけでそれほどハードな道ではない。時折大きめの石とかに引っかかるとヒヤッとはするけれど。

舗装された道路をそれて未舗装の道をちょっと走ると、わりと瀟洒な宿なんかがひょっこり現れる。どこの国でも、ロードサイドよりはやや奥まったエリアにある宿の方が素敵なものだ。

「さっきからホテルにアメリカ国旗が目立つけどどうして?」と尋ねると「アルバニアはアメリカが好きなんだよ」とのこたえ。本当に親米の国なのだ。

これ以上見るものがなくなると、今度は来た道を戻って反対側に行ってみよう、といいだすミュアヤン。我々は踵を返して宿のほうへ戻り始める。やや下り坂になっているせいか、来るときよりもずっと楽である。私もひゅーっと軽快に走る。

あえて言わなくてもいいかもしれないが、下り坂を行くということは帰りは登る、ということなのだが、このときはうっかり気づいていない。

途中、山羊の群れと山羊飼いに出合う。

やがて日も落ちてきて、空があわいピンク色に染まる。いやあ、本当にきれい……。

うっとり風景に見とれてる私をよそに、ミュアヤンくんはこっちにダムがあるよー、と叫ぶ。

舗装された道から15mくらいの場所で楽しめるコバルトブルーの水辺。昔旅した北海道の神の子池を思い出す神秘的な青。

このダムはとても自然な工法で作られていて環境を破壊しなくって……的なことを説明しはじめるミュアヤンくん。しかし私は体力の限界もあって集中力が極端に落ちているので込み入った英語をノーモア理解できず。細かいところはよく聞き取れなかったが、へえ、そうなんだ、ふうん的な相槌をうってごまかす。

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サモボル城から旧市街を見下ろす。

ざっくりまとめると、こういう工法のダムが今度最新の、環境にあまりよくないダムに切り替えられるからヴァルボナの自然が心配だ、的なことを嘆いていた気もするけれど定かではない。

次に来たときはもうないかもしれない絶景。

しかし、本当に美しいところである。暮れなずむ谷の風景が美しすぎて胸が震える。
と同時に、膝も震えている。そう、体力の限界が来たのだ。これ以上とても自転車で走り回ることなどできないのだ。

「もう疲れたから宿に帰りたい」と率直に伝えると、ミュアヤンくん、ああ、そうだよね、帰ろうか? と応じてくれた。

それでは来た道を戻るのかと思うと、なぜかまた未舗装のほうへ走っていく半ズボン。

そうして迷い込んだ道の向こうには、岩山を背にした瀟洒な宿が見える。へぇ、太陽が落ちると岩山は淡い紫色に染まるのか……などという感動を味わう余裕も気力もない私。

これ以上凸凹の道を走る力は残ってなかったので、自転車を降りて手で押しながら半ズボン男子のあとをよろよろとついていく。

「大丈夫?」と聞かれたので、「大丈夫じゃない。疲れていてもう足に力が入らない。ところでこっちは近道なの?」と聞くと、「近道じゃないけど、こっちの道のほうが走っていて楽しいじゃん」とのこと。

「さっきから疲れたって言ってんじゃん!!」

と、初めてキレる日本人。半ズボンはやっと私の本気に気づいて「……sorry……」と小声であやまる。子どもか。

でもこういう、ノーマニュアルな感じの接客は実は嫌いではない。日本のサービス業は優秀過ぎて、教育されすぎていてスキがなく、ちょっとでもスキがあると文句をいう客も多く、ヘルシーではないとつねづね感じているからだ。ミュアヤンくんのようなフリースタイル接客はサービス過剰な国からくると率直で好ましく思えた。嘘がない感じでこちらもリラックスできる。

あらゆる意味で、発展途上なところが魅力でもあったヴァルボナ。10年後は、スイスみたいにたくさんのホテルやコテージができていたりすするんだろうな、という予感のする旅先だった。

<余談>

ヴァルボナの宿の朝ごはんでの気付き。こちらでは目玉焼きの卵は黄身を潰すらしい。焼けるのが早くて便利そうです。

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