ヨーロッパ最後の秘境!? 南東欧アルバニアの旅。治安・事前準備、Wifi、両替は大丈夫?
特に日本で情報収集が難しい不思議の国アルバニア、意外と快適だった旅の実態をレポートします。
■事前情報が少なすぎるアルバニア、実態は?
アルバニアに行くと決めてから国内で手に入りやすいガイドブック(とはいえ『地球の歩き方 中欧』のごく一部に触れられているくらい)やウェブの情報をいろいろ漁ってみると、このバルカン半島の小さな国の概要はだいたいこんな具合になる。
・ギリシャの上、イタリアの海を挟んで向かい側にある四国の約1.5倍の広さの国
・国土の7割は山
・人口は約290万人
・バルカン半島の国だが旧ユーゴスラビアではない
・共産党の独裁者エンヴェル・ホッジャの政策により1990年ごろまで鎖国していた
・その時代に仮想敵国に怯え国内に50万とも100万とも言われるシェルター(トーチカ)が設置され今や負の遺産に
・共産党政権が崩壊後、国民の3分の1が「ねずみ講」のため全財産を失う事案が発生⇒ヨーロッパ最貧国に転落
まったく旅心がくすぐられない独特すぎる情報、ありがとうございます!(涙)
おまけに独自通貨のレク(1レク=1円)は日本では両替できず、アルバニア国内では日本円の両替もできないから一旦ユーロに換えていく必要があるとか、国内の移動手段はミニバンみたいなバスしかないし時刻表情報も調べるのが難しいとか、旅の難易度が高そうな情報ばかりをネットで拾ったりする。
あまりにも独特な文化と歴史なので「ヨーロッパ最後の秘境」なんていうコピーで紹介されていたりもする「不思議な国」なのだ。
けれど結論から言えば、これら前情報は正直悪すぎ。愛用しているオンライン英会話でアルバニアの先生ばかりを指名して独自に聞き込み調査をしてみると、ふつうに安全で便利そうな国だったりする。
「今度ひとりでアルバニアを旅するつもりなんだけど、スマホを外で出しても大丈夫かな」と、あるとき私は英会話講師に聞いてみた。パリなどヨーロッパの大都市で「スマホを人前で出すとひったくられるから出さないように」みたいな張り紙を目にしていたからだ。特にiPhoneなど端末価格が高いスマホは要注意らしい。
その質問を受けて、首都ティラナに住んでいるという先生はポカーンとし、「え、なんで人前でスマホ出せないの?」と不思議そうに聞く。
「いやほら、ひったくりとかさ」
「えー、ないない! iPhone、Nexus、Galaxy、ピカピカの新品をみんな思い切り使っているよ!」
「じゃあさ、ティラナで夜、女ひとりで歩いても大丈夫かな」
「驚くかもしれないけど、ティラナでは夜8時過ぎたあたりから街が賑わい出すんだよ。子供連れの母親もそれぐらいの時間に集まってくるし、女ひとりで歩いている人も多いよ」
まぁ私はチキンなので、そう言われても基本的に夜10時前には宿に戻るようにしていたが、少なくとも人通りの少ない暗い場所や公園など、日本だって危ないよ! というエリアを避けて常識的な時間帯に歩く分には全く問題ない印象だった。
■ 両替、通信、あらゆることがばっちりすぎた旅の真実。
両替だけは最後まで情報がはっきりしなかったものの、思い切ってユーロに換えないままアルバニアに入国。この国ではクレジットカードはあまり普及してないので(これは本当だった)、もしレクが入手できなかったら結構まずい。
でもそんな心配は空港で一気に解決してしまった。まずティラナ国際空港が小さいながらも結構近代的で、24時間OPENのATMがゴロゴロあるのだ。
国際クレジットカードか海外でも使えるVisaデビット付キャッシュカードがあれば、ATMでさくっとレクがおろせてしまう。両替が不安な人はぜひこの2つを用意していきましょう。もちろん空港だけでなくティラナなど都市部ならあちこちにあります。
そして、ネット環境も空港内でさくっとゲット。
レンタルWifiもいいけれど、私は荷物が増えるのが嫌いなので基本的に海外旅行では現地SIM派。SIMフリースマホをお持ちで、旅先でもネットを使いたいなら、迷わず空港内のVodafoneへ向かいましょう。
ここでSIMを買うと端末にセットしてテスト、開通までスタッフがやってくれて安心。私は電話番号付き10ギガのSIMを1300円くらいで購入。
まだまだWifi環境が整ってないだろうと思い多めのギガにしたのですが、結論として8日間の旅で2ギガしか使わず。ホテルやカフェ、レストランで普通にWifiが使えたので、田舎に行く人以外はこんなにギガいらないかも。
Wifiだけで乗り切ろうという猛者は、日本でアルバニアのGoogleMapとアルバニア語⇔日本語のGoogle翻訳のデータをスマホにダウンロードしていくと便利です。
旅行業に携わっている人や若者はたいてい英語が話せるし、なんか思ってたより快適なんですけど、ここ、本当にヨーロッパ最後の秘境なの……!?
■ 時間もきっちり。トラブルもなく。
これまでヨーロッパは13カ国ぐらい旅してきたけれど、南側に来るのはアルバニアがはじめてだったので、「きっと温かい地方の人は時間にルーズに違いない」「ヨーロッパ最貧国の一つなんだからホテルのお湯が出ないくらいは覚悟しよう」などと、偏見まるだしで思い込んでいたけれど、結論から言うとこれらのトラブルも個人的には全く体験しなかった。
ちなみにアルバニアは別に温かい気候でもなく冬はふつうに山間部では雪も降るし、全体的に日本に近いです。
ティラナで滞在先に選んだ3つ星ホテルは、人気の市場やレストラン街に近く一泊3千円程度だけど普通にお湯も出るしトイレも流れるし(当たり前か)冷蔵庫にフリーWifiまでついて設備も十分。朝はコンチネンタルブレックファーストもついている。
山奥の秘境、ヴァルボナ渓谷のバンガローはWifiはないものの(というか通信回線事態が弱い)、お湯もトイレもトラブル無し。
このホテルで2度ほどツアー会社のピックアップや、タクシーの迎車を体験したけれど、すべて送迎時間きっかりに迎えにきてびっくり。いや、びっくりするのも失礼なんだけど、イタリアとかギリシャに近いからもう少しラテン系の、ゆるい文化だと思いこんでいたのよねぇ……。本当に疑ってごめんなさい!
と、いうことで覚悟していたより全然都会だし普通に快適だったアルバニアの旅。
ひとつだけこれはちょっと危険、と思ったのはドライブマナーだろうか。
公共交通機関があまり発達していないので、もしかしたらレンタカーするかも? と思い一応国際運転免許証も持参で行ったけど、タクシーに乗った時点で私レベルのスキルではあの国では運転は無理…! と実感。スピードは出すし、がんがん煽るし、急な車線変更もあたりまえ。驚いたのはみんな100km以上出しているような高速道路にも突然人が飛び出してきたり、何ならたまに牛まで飛び出してきたこと。
首都ティラナ近郊では、交通事故で亡くなった人に捧げられた花、下手したら500mおきにあるのでは……という区間もあり、さすがにうわぁ…と思いました。タクシー運転手さんも「若い子たちが本当に制限速度守らないんだよ。信じられないよ。取り締まって欲しいよ」と嘆いていました。
ということで、街歩きは安心だけど車の運転はちょっと注意してほしいアルバニアから旅の準備編をお届けしました。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。