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イタリア・ヴェローナのシンボル、古代ローマ時代の円形劇場で野外オペラを鑑賞してみた。

イタリア・ヴェローナのシンボル、古代ローマ時代の円形劇場で野外オペラを鑑賞してみた。

シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』の舞台として知られる、イタリア北部にあるヴェローナ(Verona, ベローナとも)。
ベネチアからもミラノからも列車で1時間ちょっとで、両都市からの日帰り観光地としても人気の世界遺産の街である。

丘の上にあるサン・ピエトロ城から見下ろす世界遺産・ヴェローナ旧市街

ヴェローナの夏の楽しみ、イタリアで最も保存状態がいいローマ時代の円形劇場での野外オペラ

2023年夏、ドロミテでのハイキングのためにヴェローナで乗り換える必要があった私は、友人からこんなアドバイスを受けた。

「いまヴェローナに行くならオペラを見ない手はないわよ、何しろ今年は野外オペラフェスティバルの100周年。きっと盛り上がっているはず」

ミラノで初めてオペラを見たばかりのド初心者だがそれは聞き捨てならぬ。2000年以上の歴史を誇るローマ時代の遺跡であり、街のシンボルでもある円形劇場でオペラを、しかも100周年のタイミングで鑑賞できるなんて、二度と訪れない機会ではないか。

ということで、急遽一泊することを決め、チケットもオンラインでさくっと購入。いざ、オペラへ!

レストランのテラス席の向こうに見えるのが、アレーナ・ディ・ヴェローナ(Arena di Verona)。イタリア国内で最も保存状態が良いと言われるローマ時代の円形劇場である。

ヴェルディの出世作となった名作オペラ「ナブッコ」を鑑賞

この日の演目は、ヴェルディによる『ナブッコ』。妻と子を病で失い、暗い気持ちで書き上げた喜歌劇も不評に終わり、まさに人生のどん底といえる日々を送っていたヴェルディを一躍オペラ界のスターに押し上げた出世作で、1842年ミラノにて初演の名作オペラである。

ミラノにあるヴェルディのお墓。このオペラで知り合った二番目の妻、ジュゼッピーナ・ストレッポーニと並んで眠っている(詳細はこちら

と、偉そうに書いているが、実はチケットを取ってからおっかけ知った情報。バビロニア大王のネブカドネザル(イタリア読みでナブッコ)を主人公とするこの歌劇は、祖国を奪われたユダヤの民が「行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って」を合唱するシーンがハイライト。当時、祖国統一を目指して盛り上がっていたイタリア人の民族感情に強く訴えかけたこの歌は、街中いたるところで歌われるようになり、今ではイタリア第二の国歌とさえ呼ばれている。

野外オペラのチケット購入方法とオペラ鑑賞の注意点

さて、初めて経験した野外オペラ。チケットの取り方や入場方法、休憩時間の過ごし方や注意点などをざっくり説明しよう。

(1)まずはチケットをオンラインで購入https://www.arena.it/
購入画面でシートを選べる。私は安い席だったので33ユーロほど。よっぽどいい席じゃない限り結構直前でもチケットは取れた。100周年でこうなのだから、たぶん心配しなくてもゲットできるはず。

(2)メールでチケットが送られてくる。

チケットはこんな感じ。

当日はこれをスマホなどで表示して入場。ちなみに結構厳重に入り口でのチェックがあり、水筒など固い容器は持ち込めない。なお、オペラといえば超絶おしゃれして行くイメージだが、野外オペラはカジュアルで全然OK。

(3)着席する

ローマ遺跡でシート番号などが振られていない会場で、自分の席を探すのはほぼ無理ゲーなので、そこらへんにいるスタッフに案内してもらおう。

会場はこんな感じ。みんな服装もカジュアルだ。

(5)オペラスタート

9時開演で、3時間ちょっと。途中ちょこちょこある休憩時間には、ビールやアイスクリーム等が売られ、ちょっと日本の野球場っぽさも。

もちろん終わるのは深夜である。タクシーとかはまず拾えないと思うので、歩いて帰れる宿を押さえておくのが吉。ちなみに、夜間女ひとりで10分ほど歩いたが身の危険は感じなかった。

<野外オペラに持っていけばよかった!と思ったもの>

・オペラグラス
以前鑑賞したミラノの劇場では、英語字幕が前のシートの背にあって助かったが、円形劇場ではむっちゃ遠くのパネルに小さく映し出されるのみ。メガネをかけても判読できず、オペラグラスは必須、と思った。

・クッションとかタオル
ローマ時代の石の上に3時間以上座るのはかなりお尻に来る。何か敷くものをもって行くのを強く推奨。ちなみにビールやコーラを売っているスタッフがクッションも売っていたので、辛かったら現地で買ってもいいだろう。

・羽織るもの

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夏の日中は暑いけれど、さすがに夜11時を回ると肌寒く感じる場合も。念のため羽織るものをもっていくと安心。

そして、最後にオペラの感想だが、円形劇場をこう舞台として利用するのか!と関心することが多く楽しめた。兵士らが上段の階段を駆け抜けたり、登場人物が高い場所から登場するなど、普通のオペラハウスではできないだろう演出がダイナミックで楽しい。

ビールやワインを片手に、リラックスしながらオペラを楽しむ人々の様子を眺めるのも楽しかった。ミラノのスカラ座に満ちていた緊張感みたいなものも薄く、夏のお祭りといった印象のリラックスできるオペラ。

今年の野外オペラフェスティバルは終わってしまったけれど、来年チャンスがあれば、一度体験してみるのをおすすめ。

夜の円形劇場。本当に保存状態がいい!

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