以前、岐阜県飛騨市の野草・薬草の取り組みをご紹介しましたが、岐阜県内にはもう一カ所、薬草作りが活発なエリアがあります。それが揖斐川町です。岐阜県の中でも西側に位置する揖斐エリアには、伊吹山という大きな山があります。カルシウム分が豊富な土地には広葉樹の森林がのこり、さまざまな植物が自生しているのです。その種類は、なんと1000種とも。
かの有名な植物学者の牧野富太郎も3回ほど訪れていると言います。
今回は、そんな伊吹山の麓に広がる揖斐エリアにある、薬草の取り組みをご紹介します。
信長の薬草園があった伊吹山
そんな伊吹山には、かつて織田信長が薬草園を作ったと言われる場所があります。険しい山を登った場所では、信長の薬草園をもう一度復活させるべく、薬草が作られていました。
日本の在来種ではないものが伊吹山だけに自生しているそうで、信長が海外からもらって移植したものが、ここで生き残っているのではないかと言われているそうです。
この薬草園を管理しているのは、NPO法人山菜の里いび理事長の小寺春樹さん。信長の薬草園を再現するために、日々奮闘されています。小寺さんの後ろにある植物は、なんとヨモギ! 和菓子などでおなじみのヨモギも薬草の一種ということに、この瞬間気づかされます。
筆者の中では、ヨモギ=地面に近いところに映えているイメージが強かったのですが、伊吹山ではこんなにも大きく育つのだそうです。実際に葉をかじらせてもらったところ、香り高く濃厚。ここで作られたヨモギは高級和菓子などにも用いられていると言います。生の葉の段階で、ヨモギ餅になったら、最高においしいことが想像できるって、すごい!
飛騨市は山の中に自生していた野草を活用していましたが、こちらは薬草園という形で管理栽培していることがメイン。ほかにも、薬草の種を絶やさぬよう、「薬草の里親制度」とつくり、地域に配って育ててもらったりもしているとのこと。その時に使われるプランターは、間伐材を使うなど、地元のものを活用されています。
人々の手を掛けることで、濃厚なヨモギのように、おいしい薬草が育つのですね。
ちなみに、ここで育った薬草は、入浴剤やお茶、ジントニックなどの商品として販売されてますよ。
かすがモリモリ村 リフレッシュ館で薬草三昧!
薬草園の薬草たちはどのように活用されているのでしょうか。
薬草園のある場所から、クルマでしばらく下ったところにある「かすがモリモリ村 リフレッシュ館」では、薬草風呂や薬草を使ったお食事などが頂けます。
この日頂いたランチでは、揖斐川町春日の在来種「春日きゅうり」や「沢アザミ」など、この地域で採れる食材をふんだんに活用したもの。優しい味に癒やされます。お茶には薬草茶が登場。健康になれそうなラインナップでした。
こちらの施設には売店も併設されており、薬草の紹介もあります。
さらに敷地内には、施設の薬草園も! いくつも何度も説明されているうちに、うっすらと薬草も見分けがつくように。香りも特徴的なので、覚えやすいんだなと感じました。
こちらの施設のお風呂には薬草風呂もあります。お風呂にはいって、地元の食材をたっぷり食べて、お土産を買って、さらにチラッと薬草園をみて……と、薬草でおもいっきりリフレッシュできる場所。揖斐エリアの観光の際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
【施設概要】
かすがモリモリ村 リフレッシュ館
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合3429
オシャレなクラフトコーラも登場!はるひの案内所
「かすがモリモリ村 リフレッシュ館」からほど近い場所にある「はるひの案内所」は、揖斐川町春日地区の情報を教えてもらえたりするほか、地元の特産品を扱っていたり、お茶作り体験ができる施設。カフェとして、のんびり休むこともできます。
こちらの店主さんが仲間と作り上げたのが、クラフトコーラの「GIFU COLA」。揖斐川町の薬草が4種類使われている地元ならではのクラフトコーラなのです。
パッケージもオシャレで現代的。味も薬草という感じはなく、とっても飲みやすい味なんです。お土産にも喜ばれそう!
ほかにもオリジナル茶を作る体験も。以前、飛騨河合で体験したお茶作りとまた葉っぱの種類が異なるのか、違った味のお茶を作ることができました。薬草や野草もブレンドする量や種類によって、味わいが変わるので、何度体験しても楽しめそう!
食後の休憩やちょっとひと息つきたいとき。そして、このエリアについてオススメのスポットが知りたいときなどにも。優しい店主さんが、きっといろいろ教えてくれますよ!
【施設情報】
はるひの案内所
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合3068-1
薬草を使った地元の和菓子をお土産に
ほかにも揖斐の薬草を使ったおいしいものは存在します。「揖斐菓匠庵みわ屋」では、薬草を使った和菓子やクッキーを製造販売しているんです。
パッケージもオシャレですよね。クッキーなら、手軽に手土産にできます。個人的な推しは「おばば最中」。名前から、おばあさんの形をした最中が入ってるかと思いきや、この地域の民謡「おばば」に登場する桶が入っていました。民謡を知らなかったので、開けた瞬間、想像と違ってビックリ! 形も味も、地域ならではが詰まっているので、ぜひチェックしてみてくださいね!
【施設情報】
揖斐菓匠庵みわ屋
岐阜県揖斐郡揖斐川町三輪925-9
岐阜のマチュピチュ「天空の茶畑」も忘れずチェック!
もちろん、揖斐川町を訪れたのなら、岐阜のマチュピチュ「天空の茶畑」は忘れずチェックを! 頑張って山道を登れば、眼下に茶畑が広がります。しっかりとしたスニーカーのような靴で行くこと、両手が自由になる状態で向かうことがおすすめ。
駐車場の近くには、天空の茶畑で採れたお茶を使ったドリンクやスイーツを提供しているカフェも。今では珍しい在来種のお茶も飲めます。在来種の特徴は、味が薄めで渋みがあるのだそう。手間がかかるので、生産量がとても少ない貴重なお茶なのだそうです。
今回選んだのは、「在来レモングリーンティーソーダ」(Mサイズ550円)山登りで疲れた体を癒やしてくれる優しい味でした! 駐車場付近には売店もあるので、天空の茶畑のお茶も購入できますよ。
【施設情報】
岐阜のマチュピチュ天空の茶畑
岐阜県揖斐郡揖斐川町春日六合
静かな山間のまちに息づく薬草文化を味わって
決して派手な観光地ではないけども、薬草文化が根付いているからこその楽しみに出会える揖斐川町。山間の風景や自然を楽しみながら、おいしい薬草をもとめて訪れてみてくださいね。