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山々に自生する野草を暮らしに。河合の野草茶と飛騨の食【飛騨市めぐり旅】

山々に自生する野草を暮らしに。河合の野草茶と飛騨の食【飛騨市めぐり旅】

岐阜県文化圏は、大きく飛騨地方と美濃地方に分かれています。飛騨地方で有名な場所と言えば、飛騨高山に下呂温泉、白川郷あたりではないでしょうか。これらが「ドA級観光地」とするなら、「普通のA級観光地」に値する飛騨の有名な場所は、飛騨古川。映画『君の名は。』のモデル地とされています。

飛騨古川を有するのは、平成の市町村合併で生まれた「飛騨市」です。旧古川町、河合村、宮川村、神岡町の4つの町村からうまれました。今回は、そのうち、旧古川町、河合村、宮川村を巡るツアーに参加。山間の豊かな文化に触れてきた。訪れたスポットを順次紹介します。

今回は、飛騨市の薬草を使った取り組みです。生活に密着しているからこそ、そして情熱を持って研究している人たちが役所にいるからこそ、薬草や野草をつかったおいしいものが飛騨市にあふれてました。

のどかすぎる世界! 飛騨かわいで野草茶を体験

およそ9割を森林が占める飛騨市には、245種類以上もの薬草が自生しています。その自然資源を活かした取り組みが、飛騨市薬草ビレッジ構想推進プロジェクトです。その取り組みの代表的なもののひとつが、河合の野草茶。「かわい野草茶研究グループ」は、平成9年から手作りの野草茶を製造販売しています。

ちなみに、葛入りと葛なしがあり、呑兵衛な筆者は葛入りをチョイス。さっぱりとしており、野草味も少なく、飲みやすい味です。麦茶的に愛用できそう!

河合といえば、『あゝ野麦峠』の主人公で実在した政井みねさんの故郷の地。最近、町内の専勝寺境内に銅像が建てられたのだとか。また、寒い土地柄を活かした、高級和紙の山地でもあります。

クルマを降りると、目の前に広がるのは、人々が生活するのどかな風景。この景色の中に、野草茶の原料たちが隠れているのです。

近隣を散策するだけでも「これは、葛」「これはウドで、あっちはオオバコ……」と、出てくる出てくる野草の数々。

散策中にふとタチアオイを見つけて、「これで遊ぶことができるんですよね!?」と聞いたら、メンバーの一人の方が「こうやるのよ」と、恥ずかしがりながらも、とってもかわいい姿を披露してくれました! 野草でお茶を作るだけでなく、こうした自然との遊びも根付いているのですね。本当にかわいい! かわい野草茶研究グループのみなさんは、かわいいんですね!(うっすらダジャレ)

散策の後は、販売されている野草茶と同じ材料を使って、自分たちの好きな割合でオリジナル野草茶作りに挑戦。

クコの葉を入れすぎると苦くなったり、ほうじ茶やハトムギをたくさんいれると飲みやすくなったりと、味に変化がでるとのこと。みんな、それぞれの特徴を聞きながら、好きな割合でお茶作りを楽しみました。

ちなみに、「かわい野草茶研究グループ」の野草茶は、mont-bellの通販、飛騨市内や高山市内のお土産物店、古川町の薬草体験施設「ひだ森のめぐみ」で手に入ります。こういったオリジナル野草茶作りは、イベント時に開催されることが多いとのこと。9月に行われる「全国薬草フェスティバル in ひだ 2024」にも出店されるとのことなので、ぜひ、足を運んでみて!

自然の恵みをおいしく頂く。飛騨のおうち食を実体験

飛騨エリアの家庭で食べられている食には、自然の恵みが多く活かされています。その代表格といえば、朴葉。大きく厚みのある葉には独特の香りがあり、食材を包む用途で使われています。今回はそんな朴葉を使った、朴葉寿司を作りました。

朴葉寿司の中身も地域により変わります。飛騨は富山から近い場所にあります。富山の名物と言えば、マス寿司。飛騨エリアもその影響か、朴葉寿司に使うお魚はマスでした。きゃらぶきや姫たけ(タケノコ)などをトッピング。山椒の葉を叩いて香りを出してから、包み込みます。

万人受けしそう!と思ったのが、じゃが芋をえごまで和えたもの。えごまはシソ科の植物で、その種子は油になったり、こうやって粒状のものを食べたりします。この地域で古くから食べられている食材の一つです。

ほかにも、酒粕をつかった和え物やかき揚げなど、家庭料理がずらり。ボリューム感たっぷりだけど、お野菜中心のヘルシーな食事が完成しました! 日々の暮らしに、野草文化が意識されることなく、根付いていることを感じることができる体験でした。

ちなみにこういった飛騨の地元ならでは食材を手に入れたいのなら、飛騨古川の「三寺めぐり朝市」がおすすめ。料理をおしえてくださったみなさんも、朝市で農作物やお花を販売しています。

お料理を教えてもらったときに登場した姫たけやえごまも販売されていました! 料理の仕方がわからないときは、朝市にいるみなさんに聞いてみてくださいね。

【施設情報】
三寺めぐり朝市
岐阜県飛騨市古川町壱之町10-1
営業時間:8:00-15:00 火曜定休

飛騨市職員さんたちの愛があふれた薬草&野草への取り組み

プレスツアーの交流会では、飛騨市職員さんたちの愛にあふれた野草への取り組みが披露されました。収集された野草や写真が空間にずらりと並びます。

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宴もたけなわになったころ、飛騨市職員の中村さんがドクダミを片手にニヤリ。なんと、その場でドクダミを絞り、ドクダミ生搾りを振る舞いはじめました。まるで罰ゲームでも始まるかのような阿鼻叫喚。でも、実際に飲んでみると、とっても爽やか! 酸味があって飲みやすいんです。ドクダミのイメージが覆った瞬間でした。なかなかない体験です。いや、他では決してできないだろう体験ですね。ありがたや。

また、個人で研究されているアイテムの数々も展示されていました。野草を使ってどのようなことができるのか、自ら率先して行動されていることがひしひしと伝わってきます。お話を聞けば聞くほど、取り組みを見れば見るほど、自分でも野草の知識を得て、いろいろ試してみたくなるほど! これだけ熱い想いで取り組んでいる職員さんがいるからこそ、飛騨市での薬草・野草の取り組みが広がっているのだとわかりました。

彼らのアツい思いは、ちゃんと市販の商品にも反映されています。

とくに、驚いたのがスイーツたち。試食させていただいた野草を使ったお菓子製品たちの美味しいこと! 飛騨ふるかわに店舗がある「井之廣製菓舗」さんは、飛騨名物の味噌せんべいのお店。味噌せんべいに野草グラノーラをトッピングした「野草グラノーラ入り味噌煎餅」は、野草とは思えないほど、オシャレな味なんです。ほかにもふわふわ食感の「あぶらえワッフル」「メナモミワッフル」(ベルギーワッフルと自家焙煎珈琲の店「カノコヤ」)や……。

老舗料理旅館「蕪水亭」が販売している「飛騨役草コハクトウ 小夜-sayo-」(売り切れ次第終了)、「福全寺蕎麦」のえごまやめなもみを使ったオリジナルかりんとう「そばカリッ」など、どれも野草臭さ皆無! オシャレな味ばかり! お土産にも喜ばれそうな品々でした。

もちろんスイーツばかりではなく、お酒でも野草を使ったものも。クラフトビール工房「ヒダノオクブルワリー」のクロモジを使ったビールは、飲みやすくて、ついゴクゴクといってしまいました……。飛騨ふるかわに店舗もあり、その場で飲むこともできるのだそうです。今度はぜひ行きたい!

ちなみに、飛騨市職員さんたちが情熱を注ぐ薬草、野草への取り組みを感じられるイベントがあります。それが9月に開催される「全国薬草フェスティバル in ひだ 2024」! 飛騨のみならず、全国の薬草に関する取り組みを行っている人たちが集まるアツいイベントなんです。

【イベント情報】
全国薬草フェスティバル in ひだ 2024
2024年9月7日(土) 10:00‐15:00
飛騨古川市街地

ぜひ、足を運んでみてくださいね!

手軽に薬草体験ができる施設「ひだ森のめぐみ」もチェック

イベントに足を運べなくても、飛騨の薬草に対する取り組みを体感できる施設が、飛騨ふるかわにあります。

飛騨ふるかわにある「ひだ森のめぐみ」では、様々な商品を購入できるほか、「薬草七味づくり」や「薬草こけ玉づくり」など体験メニューも豊富! 街散策中に、ふらりと飛騨の薬草・野草文化に触れることができますよ。

【施設情報】
薬草体験施設「ひだ森のめぐみ」
岐阜県飛騨市古川町弐之町6-7
営業時間:10:00~16:00

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