2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で、ゆかりの地、愛知県岡崎市や静岡県浜松市、静岡市は大変な盛り上がり。しかし、今回はちょっと穴場の徳川家康スポットをご紹介したい。
それは、愛知県新城市、最近は「奥三河」と呼ばれる静かなエリアに佇むパワースポット、鳳来寺山。
1,400万年前の火山の名残という流紋岩などがむき出しになったは標高695mの山は、古くから山岳修験道の霊山。
いまでは車で本堂近くまで行くことも出来るが、仁王門や樹高60m近くの傘杉などを眺めながら1,425段あるという石段を登って訪れるとよりいっそうその厳かさを体感できるはず。ハイヒールは厳禁なので歩きやすい靴でぜひ登ってみたい。
その山頂付近にあるのが、徳川家康とゆかりの深い鳳来寺だ。
荒々しい岩肌をバックにした絶景の寺は、703年に開山された真言宗五智教団の本山。ここは徳川家康の母、於大の方が子授け祈願し、おかげで家康を授かったとされる伝説が残るパワースポット。このお寺が無ければ天下人は生まれていなかったかも? ぐらいの重要スポットなのだ。
ちなみに、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で、幼い頃に井伊直政が預けられていたのもこちらの寺。
かつて鳳来寺の薬師如来に祈願に鏡を奉納する習わしがあったことから、現在も「鏡絵馬」が奉納されており、その絵馬たちもキラキラとしてとてもきれい。
歴史には興味ないよ!という人も楽しませてくれるのが、展望コーナーからの絶景。
ここから外を眺めてみれば……。
ひゃー!絶景!!
それほど標高の高い山がない奥三河の風景は、修験の地といわれても、それほど厳しさがなくどこか優しくて明るい。冬もそれほど寒くならないので初詣にもおすすめ。
日光東照宮と同じく家光が指揮をした、日本三大東照宮の一つ、鳳来山東照宮
さて、このお寺を訪れたなら、隣接する鳳来山東照宮へもぜひ足を伸ばしてみよう。
鳳来寺から東照宮へ道案内してくれるのは、とぼけた表情がチャーミングな昔の狛犬。歩いて2分、近い!
立派な石段を登っていざ参拝。ちなみに、江戸時代はこの東照宮を参拝するには通行手形が必要で、多くの人は、この階段の下の番書で東照宮を想像しながらお参りするのみだったそう。
神聖な空気が漂う鳥居を抜ければ、
真っ赤な権現造りの神社。
日光東照宮を建立した3代将軍の徳川家光が、鳳来寺での徳川家康出生の物語を聞き建立を発願したことから、日本三大東照宮の一つに数えられている。
久能山東照宮、日光東照宮のような規模の大きさはなく「こぢんまり」という表現がぴったりの神社だが、日光東照宮と同時代に建てられた絢爛な建築は一見の価値あり。
日光と同じくらいの長い歴史がある東照宮なので、珍しい歴史小ネタもいっぱい。ぜひゆっくり探してみてほしい。
たとえばこちらの葵の家紋は家光の頃までしか使われていない形をしているレアなもの。葵の茎の部分の形が江戸時代初期のもので、それ以降とは形が違うんだとか。
こちらの六葉葵は、徳川家ではカジュアルな場でよく使われていたそう。へええ。
干寅の年に寅の月寅の日の寅の刻に誕生した徳川家康にちなんだ「寅童子」は、愛知県の郷土玩具でもある起き上がり小法師。社務社で小さいサイズを縁起物として買うこともできる(もちろん買った)。
さらに、戦国時代を終わらせ、270年近くにわたる「パックス・トクガワーナ」(徳川の平和)をもたらした、家康ゆかりの地らしい、ちょっと泣けるエピソードも。
奥にある丸い二つの石はなんだと思います?
実はこれ、狛犬。奥から慶安4年(1651年)、昭和15年(1940年)、平成2年(1990年)製。
出征する武士(兵士)が、家康の武運にあやかろうと弾丸よけに削って持っていったそうで、初代と二代目がすっかり丸くなっているのがなんとも胸に迫る。三代目はもう削られることもないように、平和がずっと続くようにと願わざるを得ない。
鳳来寺山はこれほど豊かな歴史と眺望を誇るのに、まだまだ全国的には知名度も低く、「どうする家康」でも(たぶん)それほどフィーチャーされないだろう。
故・忌野清志郎さんに愛された秘湯、湯谷温泉など、周囲にはぜひ訪れてほしい名所も点在。岡崎や浜松、静岡とともにぜひ訪れてほしい「どうする家康」聖地巡礼スポットだ。