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ポルトガル在住者に教わったポルトの名物グルメ実食レポート

ポルトガル在住者に教わったポルトの名物グルメ実食レポート

主な名所は徒歩でめぐれて絵本のような風景が広がる、ポルトガルの世界遺産の街「ポルト」を、現地で働くエンジニア長澤光希さんに案内してもらった記事グルメ編。ポルトの名物グルメ「フランセジーニャ」ほか、ポルトガルのおいしいものを教わりました。

みなさんはポルトガル料理を食べたことがあるだろうか。
フレンチやイタリアンに比べると、そこかしこにあるというカテゴリの料理ではないので、あるいは未経験の方も多いかと思う。
かくいう私も、東京で一度、マカオで一度しか食べたことがなく決して詳しくはない。けれども、我らが「天ぷら」の起源はポルトガルであり、米と魚が大好きな国、どこか奥深いところで味覚が似ているのでは、という期待もある。

「ポルトガル料理は日本人の口に合うと思いますよ」と、ポルトで働く長澤光希さんも同意してくれる。

「特にポルトガルの人たちが好きなのはバカリャウと呼ばれている干しダラ。これを使ったレシピは数百はあると言われているほどポルトガルでは基本的な食材です」。

タラは日本人も大好きな魚だが、さすがに数百もレシピはないかも。そんなに好きって!

スーパーマーケットにも大量に売っている干しダラ。

「今日はその干しダラに加えて、ポルトのご当地B級グルメ、フランセジーニャが食べられるポルトガル料理のお店を予約しておきました。僕の同僚たちも大好きなお店で、誰に聞いても美味しいと太鼓判を押してくれる人気店です」と長澤さん。

フランセジーニャとは、「フランスの女の子」という意味で、クロックムッシュがもとになっているというポルトならではのグルメ。厚切りのパンにハムやステーキなどをサンドし、チーズをたっぷりとかけてトマトソースをかけていただくという濃厚な一品だ。

「ポルトにはあちこちにフランセジーニャを出すお店があって、日本でいえばラーメンみたいにそれぞれの店のこだわりあって味も違うんです。色々食べ比べてみると楽しいかもしれないですよ。」

■ 地元民おすすめのポルトガル料理店でまずは名物グルメを一通りチェック

ということで長澤さんの奥様も交えて、街の中心部という好立地のCervejaria Brasão Aliadosへ。ウッディなお店の内装があたたかみのある、気取らない郷土料理店だ。

まずは気になるポルト名物フランセジーニャから。

どーん!!

写真では伝わらないかもしれないけれど、3人で食べないと死ぬぐらいの大きさ。なので半分サイズでも注文できるようになっている。

ナイフで切ってみるとちょっとびっくりするぐらいの量の肉が入っている。パン、肉、卵にチーズどばどば。カロリーは一体……なんて考え出すと手が震える一品。あの気どった(失礼!)クロックムッシュがなぜこんな育ち盛りの高校生が考えたみたいな豪快グルメになったのか、ポルトガル人の旺盛な食欲を感じる変貌ぶり。もちろん美味しい。

続いてポルトガル名物の干し鱈のコロッケ、バスティシュ・デ・バカリャウ

サックサクの衣に、細かくほぐした干しダラとマッシュポテトを混ぜた旨味たっぷりの小ぶりのコロッケ。うまーい! ビールのアテにもぴったり。

ちなみにこのバスティシュ・デ・バカリャウ、国民食すぎてワインセラーが並ぶドウロ川沿いのガイヤ地区に最近テーマパークのような専門店までオープンしてしまっている。


こんな宮殿みたいな施設を干しダラのコロッケのためだけに作ってしまうなんて、ポルトガル人、どれだけこの料理が好きなのか。

その場で作られる干しダラのコロッケをワインとともに楽しめるというワンテーマで勝負する豪華すぎるコロッケエンターテインメント。日本で言うとラーメン博物館みたいなノリなのかもしれない。

レストランでの食レポに戻ろう。
パン粉がサクサクのコロッケには肉バージョンもあり、こちらはチーズとともにいただく一品。

もちろん美味しい。こちらもビール泥棒ですな。

続いてはバカリャウを使った揚げ物ではない名物を。

干しダラとじゃがいも、玉ねぎなどをオーブンで焼き上げたバカリャウ・デ・セボラーダも名物のひとつ。セボラーダとは、タマネギのシチューやペーストを使った料理の意味。

干しダラがプリプリでうまみたっぷり! こっちは白ワインかなぁ。

「ポルトでおすすめのワインは、個人的にはグリーンワインですね」と長澤さんの奥さんがいう。「アルコール度数が低くて微炭酸、飲みやすいのでお酒が弱い私たちでもおいしく飲める軽いワインなんです。」

スーパーマーケットに並ぶグリーンワイン。ポルトではポピュラーな飲み物。お土産にもおすすめだ。

ポルトガル語ではヴィーニョ ヴェルデ(Vinho Verde)と呼ばれるグリーンワインはポルトガル北部ヴィーニョ・ヴェルデ地方の名物。完熟する前に収穫するぶどうで作られるため若々しくさっぱりとした味わいが特徴だ。

私も一口飲んですっかり気に入ってしまった。魚料理や和食なんかにも合いそうな爽やかな味。日本でも買えるので気になる方はぜひお試しあれ。食事をしながら、この他にポルトで食べておくべき名物グルメはなにか、話を聞いた。

「ワインセラーが集まるガイヤ地区にあるフードコートMercado GAIAに入っている子豚の丸焼きを使ったサンドイッチのお店Leitao do Ze はおすすめです。とっても美味しくて有名店なんですよ」


こちらが後日食べに行った子豚の丸焼きのサンドイッチ。ワインの名産地なので当然飲む。

厨房には子豚の丸焼きが!

ふわふわの白パンに、こんがりパリパリの皮をまとった柔らかくてジューシーな豚肉をたっぷりサンド。確かにハッとする美味しさ。そして肉の量が日本人の想像を超えている。これ一つで十分おなかいっぱいだ。

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ポルトガルといえばのおやつ、エッグタルトも食べたいがポルトだとどこが有名なのだろうか。

「こちらではパステル・デ・ナタと呼ばれているエッグタルトで、一番有名なのはマンテガリアですね。ポルトだと市場の近くと、サオ・ベント駅の近くにも店舗があります。」


こちらも後日食べに行ってみた。お店で焼いているので焼きたてを食べられるのが高ポイント。ポルトガル式のエッグタルトはマカオでしか試したことがないが、本場の味はよりあっさりな印象。さっぱりとしたカスタードクリームで軽いので、女子でも2つぐらいぺろりといけそう。

最後にお土産におすすめのポルトガル名物についても質問してみる。

「意外かもしれないけれど、アヴェイロなど製塩で栄えたまちが海辺にいくつかあることから、ポルトガルは塩が美味しいんです。割れないしお手頃だし、塩はお土産にぴったりですよ。特に旨味がたっぷりのFlor de Salを買って行くといいですね」と長澤(妻)さん。

地元の人の言うことは素直に聞くタイプなのでもちろん買った。後日足を伸ばした塩の名産地、アヴェイロで聞いたら、Flor de Salとは日本語で言うと塩の花。天日干しした塩の上のほうにだけできる貴重な塩の結晶を集めたもので、いわば塩の上澄みである。下のほうより清潔だし美味しいんだとか。なめてみると結構しっかりしょっぱくてこれぞ海の味。ミネラルもたっぷりなんだとか。

アヴェイロでなめさせてもらったFlor de Sal。荒々しい海を感じるインパクトのあるしょっぱさ。

コーヒーが大好きだという長澤さん(夫)がポルト土産におすすめするのはコーヒー豆だ。
「ポルトガルはブラジルとの関係が深いので実はコーヒーが美味しいんです。僕のお気に入りはSanzala Coffee Roasters。豆はここで買うって決めています」。

グルメ談義を楽しみながら、たっぷり食べて飲んで3人でお会計も8,000円くらい。お手頃で美味しいお店でした。次に旅するときも絶対行こう。

■おまけ:ポルトで暮らす日本人夫婦セレクション、足を伸ばすと楽しい近場の名所

今回はポルトガルに8日間滞在予定の私。2−3日はリスボンに行こうかなと思っていたが、ポルトののんびりした雰囲気が気に入ったのと、第二の都市も第一の都市もそんなに変わらないかも(リスボンに失礼!)……と思ったのと、長旅で疲れてしまいスーツケースを転がして移動するのが嫌になったのもあって、長澤さん夫妻と食事中に今回の旅はポルト一箇所に絞ろうと決意。さすがに徒歩で回れる街に一週間以上いては飽きてしまいそうなので、ポルトから1泊2日、もしくは日帰りで行ける近隣のおすすめも教えてもらった。

1. マトジーニョス(Matosinhos)
ポルト中心部から地下鉄で30分で行ける港町。ビーチや市場があり炭焼き魚レストランが多いので、ランチ狙いでプチトリップがおすすめだそうだ。

もちろん行って魚介のリゾットを堪能。詳しくは別の原稿でレポートします。

2.ジェレス(Geres)
ポルトガル北部にある国内唯一の国立公園であるペネダ・ジェレス国立公園があるハイキングスポット。スペインとの国境付近にあり、岩山、滝、川などが点在。ポルトから日帰りツアーなどで行けるほか、ブラガからバスでも行くことが可能。

もちろん行ったのでこちらも別の原稿でレポートします。

3. アヴェイロ(Aveiro)
前述した塩の話でも出た塩田で知られる港町。水の都とも呼ばれ、ポルトガルのヴェニスなんて呼ばれることも。
ポルトから鉄道で1時間で行ける町。ポルト中心部からのツアーもたくさん出ている。

こちらも行った!ので別原稿でレポート予定。

4. ピニャオン(Pinhão)
ドウロ川上流にあるぶどう畑が美しいまち。ワイン畑が広がり、ポルト市民のハイキングスポットとしても人気。

ポルトで8日間なんてさすがに飽きるかな? と思ったが、これだけ1dayトリップの行き先があれば、むしろ日程が足りないぐらいである。

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