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古川陽子さん
Vol.17

いま、ポートランドを目指す人が多い理由

ポートランド・オレゴン観光協会 古川陽子さん

Profile

日本で(財)日本ユースホステル協会に勤務したのち、2000年にポートランド州立大学に社会人留学。卒業後、2005年からポートランド・オレゴン観光協会のアジア担当アシスタントとして、ポートランドとその周辺地域の観光促進マーケティングやPR業務に従事。ポートランド居住歴は13年。

http://www.travelportland.com

ーーポートランドは、最近特に女性誌などで旅先として取り上げられることが増えてきて、私のまわりでも注目している人が多いんです。ここ最近で注目される契機のようなものはあったんですか?

ニューヨークタイムズのトラベルセクションはアメリカ国内で非常に影響力が高いのですが、5,6年くらい前からポートランドがグルメシティとして毎週のように取り上げられるようになって、その辺りからじわじわと注目されるようになってきましたね。

ポートランドの食
最初はグルメで注目されたポートランド 左:photo by Rob Finch/右 photo by John Valls via www.travelportland.com

けれどポートランドに最近特に何か起きたわけではなく、基本的には昔からずっと変わっていないんですよ。むしろ周囲の価値観や考え方が変わってきたのかな、と思います。

ーーポートランドの価値観というのは?

環境に気配りをし、生活の質を大事にする。大量生産よりもハンドメイド、自動車より自転車や歩行者を優先、地産地消にこだわる、などですね。
かつて理想郷を求めてオレゴンにやってきたヒッピーの人たちが多いため、ポートランドは他のアメリカの地域とは違う独自の文化を作ってきました。自動車優先社会のアメリカで、1970年代から街中心部にあった既存の高速道路を撤去して公園にし、高速道路建設計画を撤回してその予算を路面電車建設に振り替えるなど、先進的な政策で「グリーンシティ」を築いてきました。

ポートランドの自転車
North Portland Bike Works, photo by Rob Finch via www.travelportland.com

今の世の中は悲しいニュースとかネガティブな情報ばかりで、アメリカもきっと何だか疲れてしまっているんですよね。そこに、オルタナティブな世界観が提示されたというか、こういう生き方もあるんだよ、と見直されて、「ポートランド的」なものが注目されるようになったのだと思います。

ーーなるほど、ポートランドが変わったわけではなく、周囲がポートランドに寄り添うようになってきた、と。

注目が集まってきてからは、ポートランド的ライフスタイルを求めて移住してくる若者たちも増えました。その多くがクリエイティブクラスと呼ばれるIT、デザインなどの創造的な仕事や志向を持つ人達です。
ポートランドの大企業はナイキやインテルくらいしかないので、結局仕事が見つからなくて、じゃあ自分でなんか始めよう、となる。そこでフードカートといわれている屋台でこだわりの食事やコーヒーなんかを売りはじめ、人気が出るとレストランに発展して……そんなふうに、次第に個人経営のこだわりのお店が増えてきたんです。そんな若者たちを街も応援する気風がある。ちょっと高くてもチェーン店のものよりは個人の手作りやこだわりの品物にお金を払おうというコミュニティ意識がポートランドにはあるんです。

ポートランドの革製品
こだわりの革製品で知られるTanner Goods, photo by www.travelportland.com

ーー若者が小さなお店を出すことは真似できても、多少高くても地元のものを買おう、という消費者側の意識はなかなか真似するのが難しいし、今の価格競争が激しい世の中で素晴らしい気風ですね。特に富裕層が多い街だったりするんでしょうか。

特にそんなことはなくて普通ですけれど、富裕層だけが住む住宅を作ったり、貧困層ばかりを固めるようなことは政治的に回避しています。たとえば、新しくコンドミニアムを建てる時は、住民に必ず低所得者を何割かいれなくちゃいけないといか、いろいろな収入のある人を一緒に住ませる仕組みを取り入れているんです。だからスラムもできないし、治安も維持されている。

ーーそこはビバリーヒルズに象徴される階級社会的なアメリカのイメージとは違う、フラットな考え方ですね。

ポートランドにはかつてのヒッピーカルチャーが連綿と続いているからだと思います。
チェーン店ばっかり、安売り競争ばっかりじゃない場所があって、ちゃんと理想と経済的な成功が共存できている珍しい土地なので、最近では町づくり業界の注目も集まっていて、日本からも視察に来る方がいます。

ポートランドのティールーム
Steven Smith Teamaker, photo by www.travelportland.com

あと、農業を始める若い人が増えている、というのも世界的に珍しいと思います。大学の農学部が新しく起業したい人に対する講座を開いていたりとシステムも整えられていて、小さな農場を始める人が多い。ファーマーズマーケットに行けば、そんな地元産の美味しい果物なども楽しめますよ。

ーーちなみに観光客は街でどんな過ごし方をするのでしょうか?

日本から来る人は、美味しいコーヒーを飲んで、自転車を借りて個人経営のこだわりのお店をまわり、ブルワリーでクラフトビールを飲んで、という、いわゆるのんびりとした街歩きを好みますね。特に地ビール・ブルワリーの数は市内に50数軒と世界一の数です。「ネイバーフッド」と呼ばれる特色のある各地区に足を伸ばす人も増えています。ポートランドの面白いところは、各ネイバーフッドに名店があること。たとえば普通の住宅街にレベルの高いレストランやコーヒーショップ、ブルワリーが普通にあったりします。

ポートランドのコーヒーショップ
ポートランドが起こしたコーヒーの第三の波、Coava Coffee, photo by Jamie Francis, via www.travelportland.com

——ちょっとブルックリンっぽいですね。

そうそう、似てます。実際にブルックリンから移住してくる人も多いですよ。 ただ、ポートランドがブルックリンと違うのは、自然がすぐ近くにあるので、アウトドアが好きだったら、ちょっと足を伸ばせば、ハイキングもできるし、スキーも森林浴もできる。フォレストパークという都市型森林公園としては全米一の面積を持つ公園はダウンタウンから電車で15分で行けて、鬱蒼とした森の中を110kmものトレイルが走っています。ポートランドの街自体が森に囲まれた感じで、木や植物が身近に感じられます。

ーーアメリカの都市って1ブロックが大きかったりして、歩いて回れるような町が少ないので、ポートランドは日本の女性にも人気が出そうですね。こだわりの個人商店が多くて、歩いて回れて治安の良い、食べ物が美味しい場所はやっぱり女性の好物です。

女性が好きそうなトピックスでいえば、年に2回、5月と12月に開催されるクラフティワンダーランドというクラフトフェアがおすすめですよ。200〜300くらいのブースが並び、手作りのアクセサリーやハンドメイドのかわいい雑貨なんかがいろいろ手に入ります。あまりに人気なので、ダウンタウンに常設店もできました。
新しいものよりも古くてエコなものを大切にする土地柄なので、古着屋さんやヴィンテージショップもとても多いですよ。アンティークやヴィンテージショップの集まったネイバーフッドもあります。

ーーちなみに旅のベストシーズンというと?

ポートランドは晩秋から春にかけては雨と曇りの日が多いので、晴れて気持ちがいい日が多い夏がやはりベストですね。夏はコンサートやフェスティバルなどの野外イベントも盛んです。ただ、アメリカ国内でも人気の旅先なので、正直言ってホテルがかなり取りにくくなります。穴場としては9月でしょうか。
とはいえ、秋はワイナリーめぐりに良い季節ですし、冬はスキーも有名です。ポートランドの町から車で1時間くらいのところにはマウントフッドという富士山と同じくらいの高さがある山があって、そこには素晴らしいスキー場がいくつかあります。

ポートランドのワイナリー
Beran Winery, photo by Janis Miglavs, via www.travelportland.com

一番有名なティンバーラインスキー場には大恐慌時代に建てられた建物そのものが美術館のようなロッジ「ティンバーラインロッジ」があり、彫刻家が手がけた階段の手すりやモザイクの壁画など本当に素晴らしい手仕事のインテリアも楽しめます。元祖「ハンドメイド」ですね。このスキー場は夏スキーも可能なので、日本からスノーボードのサマー・トレーニング・キャンプなども訪れます。

ーーお話を伺っていると、ポートランド旅は、2泊3日くらいを街歩き、あとは自然やワイナリーなどを満喫して一週間くらい滞在、といったプランが良さそうですね! 残りのおすすめスポットはぜひトリッププランで教えてください! 今日はどうもありがとうございました。(2013年12月)

ポートランドのエースホテル
ポートランドで人気のAce Hotel Lobby photo by Torsten Kjellstrand, via www.travelportland.com

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