この前の原稿で、シラクーサの見どころをざっくり紹介したけれど、実のところ、一番楽しみにしていたのは食である。もともとその大地の肥沃さから、世界の大国に狙われ続けて来たシチリア。ギリシャ、ローマ、イスラム、フランスにスペインにドイツと、支配層が次々に変わる複雑な歴史の副産物として、この土地ならではの名物も多数生まれた。
たとえば、イスラムの影響と言われるお米のコロッケのアランチーノや、日本でも最近人気急上昇中のお菓子カンノーリなど。
ということで、今回はシラクーサの食まとめ。大衆食堂からシックなレストランまで色々食べまくったのでご参考に。最後に総評もありますぞ!
1 【安旨】Antica Giudecca ⇒map
シラクーサの観光名所「パペット博物館」近くにある、いつも大混雑の大衆食堂。
店内のショーケースに並ぶシチリア名物のアランチーノやピザ、パスタ、パン、ビスコッティなどから注文するスタイル。観光客というより地元民に人気といった様子で、恰幅の良いご婦人がテキパキと注文をこなす。しかし、どこの国も、食堂のおばちゃんって似た雰囲気ありますな。ちなみに英語は通じません。
私が頼んだのは、ラザニアとビール。これで5ユーロ(日本円で約700円)。ビールが3ユーロくらいだったので、ラザニアは2ユーロくらいか。安い!そして旨い。
ヨーロッパのレストランはいつも量が多すぎて食べきれないので、これぐらいの量でランチができて助かった。そして写真よりもずっと食べごたえがあり、そう若くもない女の腹には十分。
2. 【高旨】Macallè Sicilian Bistrot ⇒ Map
昼を安く済ませたので、夜は少し奮発してシックなリストランテへ。このお店はアメリカ版Forbsが推薦していたお店で、「伝統料理を現代風にアレンジした料理を提供」と記事にある。しかし、他の店が安くて美味しすぎる街ゆえか、金曜日の夜なのに店内はガラガラ。
ハンサムな青年が英語でオーダーを取りに来てくれる。ワインリストにはシチリア各地の名物ワインがずらり。
このお店は、一皿の量も日本人サイズで女性でも無理なく食べ切れるのもいい。
グラスワイン1杯(7ユーロ)、サラダ(16ユーロ)とパスタ(26ユーロ)、水(4ユーロ)に、席料と税で合計57ユーロ(日本円で7,800円)。美味しかったけど、シラクーサの物価的にはちょっと高すぎるかも。高旨グルメはこれにて打ち止め!
閑話休題。
市場めぐりの時に買い食いしたいちご。見て!この新鮮さと大きさ。10粒位入って1.5ユーロだった。いちごは日本が世界一おいしいと思い込んでいたけど、シチリアのいちごも果実がしっかりしていて甘くて最高に美味しかった。朝ごはんがわりにぜひ。
3. 【やや高旨】Apollonion – Osteria da Carlo ⇒Map
オルティージャ島の観光名所、古代ギリシャ時代のアポロ神殿近くにあるシーフードが専門のオステリア。GoogleMapの評価も高いのでお試しに入店。
飲食店の値段がやたら安い日本から見ると、やや高旨と分類せざるを得ないが、西側ヨーロッパのレストランとしては値段的に普通だと思う。今後【やや高旨】と書いた店は、【ヨーロッパでは普通】と読み取っていただきたい。
入店すると出してくれるパンの量に驚き、これはあと一品頼めばお腹いっぱいになるな…と思い、注文は白ワインと水とパスタだけ。
シジミみたいな大きさのアサリと小エビと、旨味たっぷりのドライトマト、イカスミが添えられたパスタ。量は昨日のMacallè Sicilian Bistrotの1.5倍くらい。旨味たっぷりで昨日のリストランテのパスタよりは個人的にはこっちのほうが好き。
でもYouTubeなどで調べると、ここの店では生の魚介を食べるのが良さげだったが、一人では食べきれない感じの量だったので断念。次に来るときはグループで来たいな。ワイン、水、パスタで26.5ユーロ(日本円で3,700円くらい)。
4. 【やや高旨】EVOÈ ⇒Map
夜は、やたらとGoogle Mapの評価が高いワインバーへ。昼が重めだったので、夜はサラダにパンくらいがいいかな、という気分だったのだ。
壁一面にワインが並ぶお店、まだ若い店主はとても熱心で親切で、接客に温かみがあり、ワインの提案なども丁寧だった。それほどワインに詳しくないので価値がわからないが、その筋に強い人ならより楽しめるのではないかと思う。
昨夜初めて食べてから大ファンになってしまったオレンジのインサラータをここでもオーダー。昨夜の店に比べると家庭料理感はあるが、野菜も果物もとても新鮮。
これとパンで正直ほぼ満腹だったが、お店の居心地がよく、常連客とワインについてわいわい語り合うオーナーの気持ちの良い接客の姿などを眺めつつ、もう少し長居したいな…という気分になり、レンズ豆とそら豆のスープをオーダー。
「チーズ入れる?」と聞かれ、ちょっと胸がいっぱいだったので「無しで」と頼んだら、豆そのものみたいな味のスープが到着。写真で見るよりずっと大きくて、正直食べきれなかった。
サラダもスープも、素朴な家庭料理という味で心安らいだが、この店ではハムやチーズの盛り合わせが評判が良さそうで、みんなそれを頼んでいた。こちらも一人ではちょっと持て余しそうだったので次はグループで来たい…。ワイン1杯と水ととサラダとスープで合計24.5ユーロ(日本円で3,400円くらい)。
5. 【安旨】Levante Gelato Artigianale ⇒ Map
ワインバーのあと、ぶらぶら歩いて市場近くの人気のジェラテリアへ。ここのジェラートがあまりに美味しすぎて驚愕し、滞在中毎日通ってしまったほど。後でシェアするけど、シチリア名物の朝ごはんも絶品。
材料はシチリア産にこだわり、Google Mapの口コミも「人生最高のジェラート!」など大絶賛である。ここでお気づきかもしれないが、私の店選びはかなりGooogle Mapの評価に依存している。4.5以上のスコアの店が失敗する確率が低いのでいつも重宝しております。
ピスタチオとリコッタチーズのジェラートは、「もはやこれはアイスではなくケーキでは…?」という濃厚さ。スモールサイズで3ユーロで大満足。お店の接客も温かく、お持ち帰り用の焼き菓子などもおいてあるのでお土産を買うのにもおすすめ。
6. 【ふたたびの】Levante Gelato Artigianale ⇒ Map
ということで、翌朝もやってきました、このジェラテリア。お目当ては、シチリアの朝ごはんといえば、のグラニータである。
知ってました? シチリア人って朝ごはんにシャーベット食べるんですよ…。
グラニータとは、日本でいうとシャーベット。果物やコーヒー味の冷たいシャーベットをほかほかのブリオッシュに挟んで食べるのが定番。
日本でも最近、朝アイス健康法などが話題になったりするけれど、やってみたら意外にこれもあり。何より果物そのものみたいな味だから、朝に食べてもそんなに違和感がないのだ。
ジェラートも絶品だったけど、頼んだいちごのグラニータは、もういちごだけすり潰しました?というフレッシュな美味しさ。ブリオッシュとセットで5ユーロ。
7. 【やや高旨】La Tavernetta Uno da Simone ⇒ Map
狙っていた店が満席だったので、Google Mapで見つけて入った適当に入ったシーフードレストラン。観光客に人気の小道沿いにある。
今日は何が何でもタコを食べたい気分だったので、潔くオーダーは白ワインと水とタコのグリルのみ。
接客してくれたウェイターは、店が混み合うまでの間、一人客の私に気を使って英語で雑談の相手を務めてくれるなどとても親切。というか、シラクーサに来てから、店で嫌な思いや、ぶっきらぼうな対応を取られたことが皆無で、皆、私が想像していた「親切でフレンドリーなイタリア人」というイメージそのもの。いいぞ、シチリア!
タコのグリルは火入れもちょうどよく、さっぱりしていて美味しかった。タコのグリルが18ユーロ、ワインや水、席料を足して合計27.5ユーロ。
大体わかったてきたけど、レストラン風の店での食事は、ワイン一杯と一皿、水のセットで概ね26〜27ユーロくらいが相場のようだ。これにメインやデザート、コーヒーなどを付けるのが普通だとすると、40ユーロくらいになる感じだろうか。
8. 【安旨】A Putia ⇒ Map
3日間、いつ行っても満席で全然入れなかったシチリア料理店。最終日の昼にようやく入れて、メニューを見てわかったけどとにかく安い。
無料のパンがついてくるので、前菜の盛り合わせだけをオーダー。ナスとズッキーニのマリネ、たっぷりのサラミ、たっぷりのオリーブ、たっぷりのチーズ。この盛り合わせが6ユーロ。ワインも並々ついでくれて5ユーロ。
正直完全な酒のつまみであり、ワイン泥棒ばかりで昼間から飲みすぎてしまうところだったが、どれも美味しく、合計11ユーロと今回の旅では破格。人気の理由がわかるわぁ…。
ということで、食べて飲んだシラクーサの旅。もっと胃が丈夫な人なら色々試せただろうが、胃弱の私はこれで精一杯。印象としては、チーズとトマト!というイタリア料理のイメージに比べ、さっぱりとした味付けが多かったように思う。
どこも美味しかったのだが、値段と味のバランスを考えると、個人的には大衆食堂的な店に軍配が上がる。レストランで一人食事をするのはやはりやや寂しく、最初に入ったAntica Giudeccaのような店のほうが、一人客も多いし落ち着くのだ。
次に来た時は何を食べたいかというと、Antica Giudeccaで食べそこねたシチリア名物のアランチーニに、A Putiaで人気だというカポナータかなぁ。
そう、結局の所、1番と8番の安旨グルメが一番気に入ったのであった。貧乏性!
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