「西の伊勢詣り、東の奥詣り」と言われるほど古くから信仰を集めている東北のパワースポット出羽三山。お参りすれば生まれ変わることが出来るとされた、神秘的な北の聖地へ。
昨今のパワースポットブームで、縁結び祈願の若い女性で賑わい、神聖な、というよりも華やかな雰囲気が漂っている神社も多い昨今。
たまにはぞっとするようなピリリとした空気を感じる、そこに神社が作られた理由に合点がいくような、「ここは宗教的な場所なのだ」と説明なしで感じるような場所へも足を運んでみたいもの。
山岳信仰の聖地・山形の出羽三山は、そんな思いを満たしてくれる神秘的なパワースポット。今回はその神聖な空気も伝わるような写真とともに古くから修行の場として信仰を集めて来た羽黒山と月山をご紹介します。
出羽三山は、もともと人の「現在(羽黒山)・過去(月山)・未来(湯殿山)」を巡り、生きながらに生まれ変わるための山岳修験の場。今も山伏姿や白装束で参拝する人々が目立ち、とても神聖な雰囲気です。
現世の幸せを羽黒山で、死後の極楽浄土を月山で、生まれ変わりを湯殿山で願うのが正式なルートだけれど、 初心者なら羽黒山山頂の出羽三山神社を目指すのもおすすめ。出羽三山神社には、月山、羽黒山、湯殿山の三山の神を祀る羽黒山三神合祭殿があり簡易に出羽三山巡りが出来るのです。
鶴岡駅からバスで30分で着く羽黒センターで下車するとすぐ、出羽三山神社の神域の表玄関、随神門。ここをくぐると全長約1.7km、2446段の長い石段の参道が始まります。石段の両側にはミシュラングリーンガイドジャポンで3つ星を獲得した樹齢350〜500年の杉並木が連なります。
歩き出してすぐに出会える、出羽三山のポスターに良く使われる樹齢1000年の爺杉と国宝の五重塔のコラボ風景
道ばたのお地蔵さんに思わずくすり。すてきなヘアスタイルですね!
ここから先はとにかく登る、登る、登る。杉の巨木が並ぶうっそうとした霧の立ちこめる道を歩いていると、母胎の中にいるような気持ちになれるから不思議です。
退屈なら、石段を眺めて登れば、盃や蓮の花などが掘られているのにときおり気づくはず。これを33個見つけられたら願いがかなうと言われているとか。ちなみに私が見つけたのは5個ぐらいでした…。
杉並木は国の天然記念物でもあります。
一時間程度登れば、出羽三山神社に到着。立派な社殿に設けられた羽黒山三神合祭殿にお参りしてよみがえり体験。
3つの神出羽三山神社 羽黒山三神合祭殿。月山、羽黒山、湯殿山の三山の神を祀る祭殿。出羽三山すべて詣でるのが無理ならここにお参りを。鶴岡駅からバスで30分ほどで来れるので、足腰が弱くても参拝OK。祭壇前には鏡池があり、池底から見つかった平安時代や鎌倉時代の鏡は、すぐそばの出羽三山歴史博物館で見ることができます。
神社前にある鏡池には霧が漂い、いっそう神秘的な雰囲気。年間を通しほとんど水位が変わらない神秘な御池として古くから信仰を集めています。ちなみにこの池から発掘された鏡は、近くの出羽三山歴史博物館で見ることができます。
強いオーラを感じた鏡池。
さて、ここで満足してバスで鶴岡に戻るのもいいですが、7月〜9月に訪れたなら、羽黒山山頂からバスが出ているので、月山まで足を伸ばしてみるのもおすすめ。
修験道では過去世、死後の世界とされる月山は出羽三山の主峰。山頂には月山神社があり、太陽神・天照大神の弟の月読命(つきよみのみこと)を祀っています。
パワースポット云々に関係なく、高山植物を目当てにハイキングに訪れる人も多いさわやかな自然散策スポット。バス停近くに高低差の少ない遊歩道が整備されたトレッキングコースもあるので、もうたくさん歩けない……!という人はここをぐるっとするだけでも楽しい。
どちらかというと、バス停まわりをトレッキングするだけ気分で月山八合目で降り立った私が目にしたのは、またもや不思議な風景。
いかにも死後の世界への入り口っぽい霧の演出!(偶然です)
霧が晴れた時は、吸い寄せられるように山を登り始めていました。お年寄りや小さい子ども連れ等ファミリー層も多い明るく健康的な山ですが、やはり、時々、白装束の人が足ばやに山をかけるように登っていきます。私が行った時は、雪が残る山に白いコバイケイソウが咲き誇り、いっそう幻想的な風景に。
幻想的な白の世界
ああ、自分はいま本当に俗世界から離れられたのかもしれない。 昔の人たちがここを死後の世界だと感じたことにひどく納得をしながら、しばらく風景に見入っていました。
※月山を登山する方は、登山用の装備でおでかけしましょう。8合目のトレッキングコースだけなら歩きやすい靴なら大丈夫です。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。