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ワインマガジン編集長&酒旅ライターの岩瀬大二さんが選ぶ、旅して心満たされるワイナリー5選。

ワインマガジン編集長&酒旅ライターの岩瀬大二さんが選ぶ、旅して心満たされるワイナリー5選。

伊勢志摩サミットで各国の要人に提供されるなど、近年たびたび話題になる「日本ワイン」。
そのはじまりは明治時代。歴史としてはずいぶん浅い方ですが、近年では世界のコンクールで優れた賞を次々と受賞するなど海外からも熱い注目が集まっているとか。
シャンパーニュ専門のWEBマガジン「シュワリスタ・ラウンジ」編集長であり、“酒旅ライター”としても活躍する岩瀬大二さんが、フォトジェニックな絶景や美食が味わえる国内ワイナリーを5つピックアップしてくれました!

――岩瀬さん、5つのおすすめワイナリーを伺う前に、そもそも「日本ワイン」に注目しはじめたきっかけから教えてください。

時期は2005年ごろだったかと思います。それまでは、“日本のワイン”といえば昭和の観光土産のイメージ。ちょっとネガティブな印象を持っていて、わざわざ取り寄せてまでは飲まない…と思っていました。

が、いくつかのワインを「仕事の延長線上」で「仕方なく」テイスティングしたら、衝撃の美味。日本ワインがアップデートされていないのではなく、自分がアップデートできていなかったことにショックを受けました。

それ以降、日本ワインも世界のワインのひとつの個性ととらえるようにして触れてきました。そのころはまだまだ悪い意味で“昔ながら”のワインも多かったのですが、ここ5年は本当にすばらしい個性をもつワインが、当たり前のように世に出てきたと感じます。

――現在の日本ワインはめきめきとレベルアップしてきた結果なんですね。ちなみに、現在のトレンドは?

日本ワインの路線は大きく分けて、地のブドウでクラフト的なワインを作るものと世界標準を目指すものがあります。今はその両方に優れたものが出てきていますね!

現在、各ワイナリーでは、むずかしい品種や技術にも積極的にトライし、さまざまな実験が活発に行われているようで、楽しみですね。こうしたマニアックな路線も極めていく一方で、もっと気軽に飲めて愛されるものも増えてくれるといいな、と思います。

――最後に、そんな岩瀬さんからみた「日本ワイン」の魅力って?

日本の土地で生まれたものゆえに、やはり日本の食事によくあいます。和食というより、郷土料理、あるいは普段の食卓にぴったりなのです。

日本ワインの造り手は、大手といえども規模は小さめ。その分、手作りらしい素直な風合いがあり、造り手の姿が見えやすく、距離が近いところも楽しいですね。

そして、なんといっても一番の魅力は気軽な旅先になること! ワイナリーは広々とした斜面でぶどうを育てていることが多く、見晴らしのいい絶景の丘にあったり、レストランやテイスティングコーナーが併設されていたりして、まさに絶好の旅スポットです。

ワインマガジン編集長&酒旅ライターが選ぶ、注目のワイナリー5選。

富山県氷見市 SAYS FARM

(画像提供/岩瀬大二さん)

寒ブリで有名な氷見湾を見下ろせる絶景の丘の上にたたずむワイナリー。ここは、ぼくがもっていた日本ワインの常識をあざやかに覆してくれました。
味やバランスといったワインの質はもちろん、デザインに至るまでどれもが秀逸。宿泊施設やレストランも併せ持つ、まさに誰もが楽しめるワイン・リゾートです。

⇒ SAYS FARM

山梨県甲州市 グレイスワイン

(画像提供/グレイスワイン)

東京から約2時間の勝沼にあって、気軽に訪ねられる老舗ワイナリー。
醸造家・三沢彩奈さんの造るシャンパーニュ方式を用いたスパークリングワインが、世界でも高い評価を受けています。また、新たに開かれた「明野」というエリアのブドウを使ったワインも秀逸。
あっという間に完売してしまうワインも多いので、ぜひワイナリーを訪れたときはショップのチェックもお忘れなく。

⇒ グレイスワイン

宮崎県児湯郡 都農ワイナリー

(画像提供/岩瀬大二さん)

旅先で、美食とワインのペアリングを味わってみたい。そんな方にオススメなのが、宮崎県都農市にある「都農ワイナリー」。青空と青い海を眺めながら、山海の豊富な食材を誇る宮崎の食とのペアリングが楽しめます。

注目は「キャンベルアーリーのロゼ」。甘さとフレッシュ感のバランスが良く、この品種のブドウを使ってここまで愛らしくガストロノミックに仕上げたワインはなかなかお目にかかれません。

ちなみに、美食といえば京都にある丹波ワイナリーもオススメ。こちらもレストランを併設し、京野菜やジビエといった丹波の地のものとワインをペアリングできます。訪れた際は、ぜひ自社農園で育てている日本でも珍しいブドウ品種「タナ」にご注目を。

⇒ 都農ワイナリー

北海道小樽市 オサワイナリー

(画像提供/岩瀬大二さん)

飲食・小売りとお酒業界で働いていたご夫婦のワイナリー。
現在は小樽の街中でワインをつくっていらっしゃいます。使うブドウは、北海道の地品種。かわいらしく、素朴で、きらめく。そんな長所を生かしながら、ご夫婦が好きだという北イタリアの洗練も感じさせるワインです。

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ホテル・ザッハーのザッハトルテ

(画像提供/岩瀬大二さん)

デザインもすてきで、今や入手が難しいレアなワインになりました。訪れたらぜひ一本、いや、一本と言わず何本でもお土産に。

⇒ オサワイナリー

長野県塩尻市 シャトー・メルシャン桔梗原ワイナリー

(画像提供/シャトー・メルシャン)

小規模ゆえのクラフト人気が高まっている日本ワイン。でも、大手のパワーと品質も知っておくと、より深く日本ワインの世界を探検できます。
この最大手にあたるのがこのシャトー・メルシャン。140年かけて培った技術や収穫量の多さなどからなる安定した品質を武器に、土地の魅力を活かしたワインを造りつづけています。

(画像提供/シャトー・メルシャン)

山梨県の勝沼、長野県の桔梗ヶ原・椀子(まりこ)という3つのワイナリーをかまえていて、なかでも、映画「ウスケボーイズ」でも描かれた“幻のメルロー”を今も誇りにするのが「シャトー・メルシャン桔梗ヶ原ワイナリー」。ここを訪れたら、まずメルローというのが鉄板です。ただし、ワイナリーの一般公開は年に数回だけ。もしも行けたらラッキーですね。

(画像提供/シャトー・メルシャン)

一方、近隣にある「シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー」(長野県上田市)も見逃せません。こちらは2019年9月にオープンした新星で、ワイン観光に取り組む世界最高のワイナリーを選ぶ「ワールド・ベスト・ヴィンヤード 2020」では、なんと日本のワイナリーとして初選出され、世界第30位、アジア第1位に輝きました。こちらは通年で見学ツアー(要予約)がありますよ。希望の風を感じる旅になりそうです。

⇒ シャトー・メルシャン公式サイト
※ワイナリー営業日は事前に上記ホームページでご確認ください。

岩瀬大二(いわせだいじ)

酒旅ライター、ワインナビゲーター、MC

シャンパーニュ専門WEBマガジン「シュワリスタ・ラウンジ」編集長をはじめ、各種酒メディアやイベントの企画・運営にも携わる。

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