ヴァルボナに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/ヴァルボナ 少し違う旅のアイデア Wed, 21 May 2025 20:42:00 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 https://tripplanner.jp/wp-content/uploads/2021/01/cropped-favicon-32x32.png ヴァルボナに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/ヴァルボナ 32 32 南東欧アルバニアの絶景山岳リゾート、ヴァルボナの誰もいない山でトレッキングしてきた。 https://tripplanner.jp/topics/2338 Tue, 25 Jun 2019 17:41:44 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2338 そもそもアルバニアに行こうと思ったのは、ここに来たいからでした。登山体験はわずか数回という初心者が、人っ子一人…

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そもそもアルバニアに行こうと思ったのは、ここに来たいからでした。登山体験はわずか数回という初心者が、人っ子一人いないディープ・アルバニアの山へ挑んだ記録をお届け。

「日本人が一番行かない国」なんて言われたり、そもそもどこにあるのか知らない人も多い、ヨーロッパの片隅にある小さな国アルバニア。

日本での知名度は低いけれど、欧米の若者に大人気の旅先になっている理由は、その手付かずの自然のクオリティと、アジア以下といっていい物価の安さ。ヨーロッパの若者にとって「安くて近くて絶景」の国なので、人気が出るのも当たり前なのだ。

今回私が挑んだのは、「アルバニア・アルプスの宝石」と呼ばれているヴァルボナバレー(Valbonë Valley National Park )でのトレッキング。

本当はTheth(テス)という山の反対側にある村に行きたかったのだけど、私が旅した5月はじめはまだツアーがリリースされておらず今回は断念(5月中旬から売り出すらしい)。

Thethはヴァルボナから山越えしないとたどりつけない秘境的な村で、ヴァルボナからテスへ向かうハイキングコースは初夏から夏にかけて大人気。

距離は長いけれど、知人によれば「高尾山が登れるくらいのスキルがあれば大丈夫」らしい。ま、片道6時間はかかるらしいけれど。(参考URL)

私は一人旅なので山のガイド付きのパッケージツアーに参加。今日は大学生ガイドのミュアヤンくんと二人、ヴァルボナのMaja e Rosit (2,533 m)方面に向けてプチ登山に挑戦するのだ。

宿を出て、牛がうろつく道路脇をスタスタと登山口へ。ちょっと山の方に足を向ければ、もうコースが始まっている手軽さだ。

トレッキングコース入り口。舗装された道路からすっと入るともうこんな風景です。
馬がいてなかなかフォトジェニックな風景なども。

ご覧のように頂上付近は針金のように尖った岩山。あんなところ、さすがに登る人いないよねぇとミュアヤンくんに聞いたら「え、僕登ったよ」とのこと。彼はロッククライミングが大好きなのだそうだ。

「冬になるとあのあたりはすっぽり雪に包まれるんだけど、前にアメリカのCM制作会社がヘリで頂上に乗り付けて、そこからプロスキーヤーに雪山を滑らせてたこともあったよ。」とのこと。場所によってはほぼ崖みたいな角度なのでさぞかしすごいCMになったに違いない。

ヴァルボナ渓谷には、たぶん大昔の火山で吹っ飛んできたのであろう巨石がごろごろしている。磐座(いわくら)信仰のある日本なら、しめ縄を巻いて拝んでしまいそうな立派な岩ばかり。
雪解け水が豊富なため、滝や湧き水が作った池などもそこかしこにあり、「巨石、滝、湧き水」と三拍子揃った、日本だったら何かしらの聖地になってもおかしくない土地だ。

そんなことを考えながら歩いているとガイドのミュアヤンくんが、「もう少し歩くと、この山では最後の村クーカイがあるよ」という。

クーカイ!?   巨石がごろごろしているスピっぽい風景の村の名前がクーカイだと?

「クーカイって日本で最も有名な僧の名前と一緒だよ! 日本人は巨石に神が宿ると信じているので、こんな場所にある村の名前がクーカイだなんて、不思議な縁を感じるわ!」と興奮気味にミュアヤンくんに伝えたが、「へえ」というそっけない回答。

私の英語力の問題で通じてないのか、彼が興味ないのか。どなたか、私のこの思いをヴァルボナのクーカイ村の人にお伝えください……。

「アルバニア人は地名を名前に付けることが多いんだよ。たとえば、男はアルバン、女はアルバーナ、これはアルバニア由来の名前。そして、ベラト、ブローラ、ヴァルボナ(すべて有名な観光地の地名)もよくある名前。地名が名字になるケースも多くて、たとえばさっきのクーカイ村出身の人はクーカイという名字が多い」とミュアヤンくんは付け足す。
「それは日本も一緒だよ。地名が名字になっているケースは多い。でも下の名前に地名を付けるケースは少ないかな」と私は返す。千葉という苗字の人は珍しくないけど、下の名前に千葉は珍しい。

そんな話をしながら到着したクーカイ村がこちら。

Kukai village

……えーと、家が一軒しかないけど本当に村?  という感想しかない。日本とは村の概念がずいぶん違うようだ。

何はともあれ、このクーカイを超えると、山の中には文字通り人っ子ひとりいなくなる。もちろん公衆トイレも、売店も、休憩所も見晴台もない。ちなみに往復3時間ほどのトレッキング中、一人のハイカーともすれ違わなかった。こういうところが「欧州最後の秘境」と呼ばれるゆえんかもしれない。

この日の気温は13度くらいだったけど、半袖半ズボンで登山に挑むミュアヤンくん。若い。力が有り余っているのか、軽装で軽快にスタスタと山を登っていく。登山経験がたぶん5回ぐらいの私は、息切れしながらついていくのが必死。ぜいぜい言う自分の息が見苦しい。

ときおり、私がついてきていないことに気づいて手を振ってくれる若者。こっちは初心者なんだぞ……。す、少しは休ませて……。

とブツブツいうと、立ち止まってくれて、ガイドらしい解説もしてくれた。この木に描かれている白と赤のマークは、「ここが正しいコースだよ」という意味らしい(これは世界共通とも)。道に迷ったかも?と不安になったらこのマークを頼りにするといいんだって、知らんけど。

この日は日本では令和元年の初日となった5月1日。ヴァルボナ渓谷は春を迎え、まさに花盛りだった。
花の写真を撮る口実で休憩しまくっていたら、ミュアヤンくんが「あんまり休むと足に悪いよ」と言い、またスタスタと歩き出す。そ、そうなの?

写真はほとんどミュアヤンくんの後ろ姿である。ついていくのが必死だった記録と言えよう。

ご覧のようにコースのほとんどは、大した傾斜もないので初心者向きというウリ文句に間違いないんだけど、普段から山歩きなどしていない私の心肺機能ではそれなりにこたえる。

「日本から羊羹持ってきたけど、ジャパニーズスイーツに興味ある?」「大変、GoProでムービーも撮らなくちゃ」などと、あらゆる言い訳を駆使して休んではミュアヤンくんの足を止める。

しかし、今日のトレッキングツアーがガイドと二人きりで本当に良かった、と途中胸を撫で下ろした。本来は複数人仕様のパッケージツアーなんだけど、人件費が安いアルバニアでは、一人でも申し込みがあればツアーを催行してくれちゃったりする。
おかげでマンツーマントレッキングが実現したので、それなりにマイペースを保って登山できたのだ。

これがガチアウトドア派のアメリカ人学生たち等と一緒だったら、団体行動に支障をきたしていたか、必死についていこうとして足がもつれて転倒するかしていただろう。登山がらみのツアーに入るときは、自分のレベルをチェックしてから参加がマストだな、という教訓を得た。

写真はほとんどミュアヤンくんの後ろ姿である。ついていくのが必死だった記録と言えよう。

私は日本で登山なんて数えるほどしかやったことがないけれど、眺めやコースそのもののクオリティでいえば、日本にも同じように美しい場所はたくさんあるのかもしれない。が、360度どこに目をやっても、人っ子一人いないという静かな登山風景は珍しいようにも思う。

季節がよく、アクセスもよく、難易度も手軽な山なのにツーリスティック過ぎない、というのが、あるいはアルバニアにおけるトレッキングの魅力の一つなのではないかと思った。絶景を独り占めできる喜びとでも言うのだろうか。どんなに素晴らしい場所でも人の数で印象は変わってしまうものだ。

あとで聞いたら、山岳地帯の住人とはいえアルバニア人やコソボ人にはまだあまり「登山」というカルチャーが浸透していないのだとか。「すぐ近くに山はあるけど基本的に住人はあまり登らない。登っているのはツーリストだけ」なんだそう。

そう考えると日本人はけっこうな登山好きなのかもしれない。同じように山だらけの国に住んでいても、文化が違うのだ。

トレッキングを始めて1時間半くらい経っただろうか。高低差でいうと900mくらい登った地点に、何やら人気を感じる建物を発見。

山羊飼いとかが使う施設らしい。今の季節は当然ながら誰もいないし山羊もいない。でも何かあったら避難場所にできそうだ。ちなみにここあたりの通信環境は完全に圏外。助け、どうやって呼ぶのかしら…。

建物の上を見上げれば、うっすらと雪が残るはだかの山肌がずっと続いている。

半ズボンの若者が、ヘイヘイーこっちだよー、と叫んでいる。彼の背後に広がる風景を見ると、この先頑張って登ってもそれほど目にする風景も変わらないのでは……と正直思ってしまう私。そしてついに意を決して大声で叫んだのだ。

「もう帰りたいー!」

ミュアヤンくんは私のギブアップの叫びを聞くと、スタスタと降りてきて、「予定より30分くらい早いけど、ま、いいか。よし戻ろう」と賛同してくれた。助かった…!

我々はくるりとUターンをして下山を始める。

下りは心臓への負担は減るが、膝や股関節へのダメージは強まる。膝が笑ってしまって気を抜くと転げ落ちそうである。ちょ、半ズボンくん……待って……。

などと弱音を吐きながらも無事下山。往復3時間くらいのトレッキングコース、やり遂げました!!

山を下りると水量の少ない河原に出る。橋がわりに架けられた板を使って乗り越えていく。

山を降りてようやく第一村人発見!  かと思ったが英語を話していたのでツーリスト。イギリス人か、アメリカ人か。

何やら愚痴が多すぎたきらいもあるが、人っ子ひとりいない、家も村も何もない、手付かずの自然を満喫できて本当に素晴らしい体験になったし本当に行ってよかった。

宿に戻ってすぐランチタイム。

この日のメニューはバタータイスといろいろ野菜のソテー添え、さっぱりとした山羊のチーズ入りのサラダ。この宿の料理は初日の夜を除けば、基本的にベジタリアンのようだった。でもこれがすごく美味しい。バターライスのバターの香りの素晴らしかったこと。なんでも、すべて自家製の素材を使うことにこだわっているようだ。

ゲストハウスのドアに掲げられていた「地元の食材しか使ってません」マーク。

半ズボン男子はちょっと目を話したすきにランチを完食していた。飲んだのか!?  的な早食いである。こういうところは日本の体育会系男子と一緒でほほえましい。
個人的にヨーロッパで男子が食事をがっついているシーンを見たことがなかったので(会話を楽しみながらカチャカチャ、みたいな人しかいないエリアだと思っていた)、地味に感動したひとこま。

私は正直もう一歩も動けないレベルに疲れ果てていたのだが、ミュアヤンくんは近所のコンビニ帰りくらいの元気さである。若いってすごい。そして一息つくと、彼はこんな提案を持ちかけてきたのだ。

「午後がまるきり空いちゃったから、サイクリングでもする?」

ということで、ライフはゼロなはずの私が老体に鞭打ってヴァルボナでサイクリングしてみた日記に続きます……。

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アルバニア・アルプスの山岳リゾート、ヴァルボナ。サイクリングで気軽に絶景を楽しもう!

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アルバニア・アルプスの山岳リゾート、ヴァルボナ。サイクリングで気軽に絶景を楽しもう! https://tripplanner.jp/topics/2360 Sun, 23 Jun 2019 20:12:23 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2360 アルバニア北部の絶景スポット、ヴァルボナ渓谷。登山はちょっとハードすぎるってな向きにはのんびり楽しめてそれなり…

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アルバニア北部の絶景スポット、ヴァルボナ渓谷。登山はちょっとハードすぎるってな向きにはのんびり楽しめてそれなりの絶景もばっちり楽しめるサイクリングのご紹介。

アルバニアを旅していて良く思ったのは、「10年後はたぶん全然違う風景になっているのだろうな」ということ。
30年前までなんと鎖国していた(!)国なので観光地としてはまだ発展途上。いままさに工事中! という印象が強いのだ。

facebook経由で友人から聞いた噂を紹介すると、「イタリアでは、アルバニアは10年前のクロアチアみたいだと言われている」らしいこと。世界的な人気観光地と言っていいクロアチア(「魔女の宅急便」のような景色として日本でも人気のドゥブロヴニクなど)も、一昔前までは通好みの、ミステリアスな旅先のひとつだった。それが今やバルカン好きエンジニアの郡山さん(こちらの記事参照)もいうように「完全に西ヨーロッパな感じ」。

美しい山岳リゾートのヴァルボナも、こんなにのんびり静かなのも今のうちかもしれない。

それを証拠に道路沿いに目をやれば、建設中の建物が結構あったりする。


「あの眼の前に見える高い建物は、完成したらヴァルボナで一番の規模のホテルになるんだ」とガイドのミュアヤンくんは言う。今しか見られない風景、静かで美しい雰囲気を、悔いのないように味わい尽くさねば。

ということで、ガイドと一緒に登山のあとはサイクリングに挑戦です。

宿泊した宿にはギアつきの自転車が複数台あり、1日500円程度でレンタル可能(なんでも激安の国だけどレンタル代は普通ですな)。

午前中に登山を終えてもうほぼ体力が残っていない私も、舗装された道路を走るくらいならできそうなので老体にムチ打ってゴー!

ガイドのミュアヤンくんのミッションは午前中の登山で完了しているので、彼は午後、部屋でごろごろしていても何の問題もないのだが、私が退屈だろうと(そしておそらく彼も退屈なので)好意でサイクリングに連れ出してくれている。

なので彼はもう完全にお遊びモードである。「ねぇねぇ写真撮ってよ」と、友達か? のようなリラックスぶりである。しかも、セルフィー文化の強いヨーロッパの、セルフィー大好き世代なので、記念撮影も本気だ。

写真撮るよー、というとここまでやるのが欧米の若者か。

記念撮影はニコパチでいい国から来るとポージングが一歩先を行っている感じ。

「君も撮ってあげるよ!」と言われたので、普通ににっこりして待ってたら「ダメダメ!」とダメ出しされる。
「足を揃えて、センターラインのちょうど中央になるように立って」と注意され、さらに「何かポーズを」と要求された。

アルバニアといえばの定番ポーズ「双頭の鷲」で決めてようやくOKをもらった一枚。

宿から20分も走ると、ロードサイドに建物も見えなくなってくる。

単調な一本道に飽きてきたらしい若者は「せっかくオフロードバイクなのだからもっと面白い道を走ろう」と言い出す。「午前中に登山したので体力残ってないし、あんまりハードなところはちょっと……」と言いたかったが、せっかくオプション料金なしで遊んでくれているのだから……と思い直してOK。……もしかして遊んであげているのはこっちか?

とはいえ、未舗装というだけでそれほどハードな道ではない。時折大きめの石とかに引っかかるとヒヤッとはするけれど。

舗装された道路をそれて未舗装の道をちょっと走ると、わりと瀟洒な宿なんかがひょっこり現れる。どこの国でも、ロードサイドよりはやや奥まったエリアにある宿の方が素敵なものだ。

「さっきからホテルにアメリカ国旗が目立つけどどうして?」と尋ねると「アルバニアはアメリカが好きなんだよ」とのこたえ。本当に親米の国なのだ。

これ以上見るものがなくなると、今度は来た道を戻って反対側に行ってみよう、といいだすミュアヤン。我々は踵を返して宿のほうへ戻り始める。やや下り坂になっているせいか、来るときよりもずっと楽である。私もひゅーっと軽快に走る。

あえて言わなくてもいいかもしれないが、下り坂を行くということは帰りは登る、ということなのだが、このときはうっかり気づいていない。

途中、山羊の群れと山羊飼いに出合う。

やがて日も落ちてきて、空があわいピンク色に染まる。いやあ、本当にきれい……。

うっとり風景に見とれてる私をよそに、ミュアヤンくんはこっちにダムがあるよー、と叫ぶ。

舗装された道から15mくらいの場所で楽しめるコバルトブルーの水辺。昔旅した北海道の神の子池を思い出す神秘的な青。

このダムはとても自然な工法で作られていて環境を破壊しなくって……的なことを説明しはじめるミュアヤンくん。しかし私は体力の限界もあって集中力が極端に落ちているので込み入った英語をノーモア理解できず。細かいところはよく聞き取れなかったが、へえ、そうなんだ、ふうん的な相槌をうってごまかす。

ざっくりまとめると、こういう工法のダムが今度最新の、環境にあまりよくないダムに切り替えられるからヴァルボナの自然が心配だ、的なことを嘆いていた気もするけれど定かではない。

次に来たときはもうないかもしれない絶景。

しかし、本当に美しいところである。暮れなずむ谷の風景が美しすぎて胸が震える。
と同時に、膝も震えている。そう、体力の限界が来たのだ。これ以上とても自転車で走り回ることなどできないのだ。

「もう疲れたから宿に帰りたい」と率直に伝えると、ミュアヤンくん、ああ、そうだよね、帰ろうか? と応じてくれた。

それでは来た道を戻るのかと思うと、なぜかまた未舗装のほうへ走っていく半ズボン。

そうして迷い込んだ道の向こうには、岩山を背にした瀟洒な宿が見える。へぇ、太陽が落ちると岩山は淡い紫色に染まるのか……などという感動を味わう余裕も気力もない私。

これ以上凸凹の道を走る力は残ってなかったので、自転車を降りて手で押しながら半ズボン男子のあとをよろよろとついていく。

「大丈夫?」と聞かれたので、「大丈夫じゃない。疲れていてもう足に力が入らない。ところでこっちは近道なの?」と聞くと、「近道じゃないけど、こっちの道のほうが走っていて楽しいじゃん」とのこと。

「さっきから疲れたって言ってんじゃん!!」

と、初めてキレる日本人。半ズボンはやっと私の本気に気づいて「……sorry……」と小声であやまる。子どもか。

でもこういう、ノーマニュアルな感じの接客は実は嫌いではない。日本のサービス業は優秀過ぎて、教育されすぎていてスキがなく、ちょっとでもスキがあると文句をいう客も多く、ヘルシーではないとつねづね感じているからだ。ミュアヤンくんのようなフリースタイル接客はサービス過剰な国からくると率直で好ましく思えた。嘘がない感じでこちらもリラックスできる。

あらゆる意味で、発展途上なところが魅力でもあったヴァルボナ。10年後は、スイスみたいにたくさんのホテルやコテージができていたりすするんだろうな、という予感のする旅先だった。

<余談>

ヴァルボナの宿の朝ごはんでの気付き。こちらでは目玉焼きの卵は黄身を潰すらしい。焼けるのが早くて便利そうです。

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