ティラナに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/ティラナ 少し違う旅のアイデア Thu, 30 Mar 2023 10:15:06 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 https://tripplanner.jp/wp-content/uploads/2021/01/cropped-favicon-32x32.png ティラナに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/ティラナ 32 32 アルバニアの首都ティラナ、複雑すぎる歴史と「負の遺産」に触れるウォーキングツアー。 https://tripplanner.jp/topics/2379 Mon, 29 Jul 2019 06:18:58 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2379 観光スポットなんてあるの? という印象のアルバニアの首都ティラナ。確かに華やかな観光スポットはないけれど、誰で…

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観光スポットなんてあるの? という印象のアルバニアの首都ティラナ。確かに華やかな観光スポットはないけれど、誰でも参加できる無料のガイドツアーから見えてくる景色もありまして……。

これまでハイキングだ雑貨ハンティングだと、楽しくて一点のくもりもない旅行体験記を書き散らかしてきたわけだが、首都ティラナで過ごす1日には、やや影がある。

もちろん、人々が優しくてオープンマインドなのは変わりないし、街歩きも楽しいのだけれど、首都には共産主義時代の傷跡がそこかしこに残されており、国の人々はそれを「反省すべき定点」として冷めた目で見ているように感じる機会が多いからだ。

そんな憂いを帯びた首都のなりたちをさくっと知りたいなら、おすすめなのが毎日オペラハウス前から午前10時、午後6時スタートしている無料のウォーキングツアー

この日のガイドは、ティラナ大学で歴史を学んだというアルバンさん(仮名)。とても流暢な英語を話す。

オペラハウスがあるスカンデルベク広場は、国立歴史博物館などもあるティラナの中心地。

ここに残されている1789年築の「ジャーミア・エトヘム・ベウト」は、共産主義時代に無神国家を目指した政府によって一度閉鎖され、その後1991年に宗教の自由を求める国民のデモによって復活した記念碑的なモスク。そう、参加者たちはまず最初に「無神論」という極端なアルバニアの歴史の1ページに触れるのだ。

この無神論に限らず、アルバニアの近代史をちらりと読むとしばしば、風変わりなエピソードに出合う。作家の清水義範さんも『夫婦で行くバルカンの国々』(集英社文庫)の中でアルバニアのことを「なんだか変な国」だの「面白い国」だのと度々語っているが、たとえてみればクラスに一人はいる変わった子という印象の国なのだ(というとかわいいが、国民はたまったものではないのかもしれない)。

「共産主義時代、私たちはいつも友達を探していました」とアルバンさんは言う。
「最初はユーゴスラビア、その後はソ連。彼らとうまくいかなくなると今度は中国に声をかけました。でも、あの国はとても遠いし、新たな友情もうまくいきませんでした。そして最後には、私達は鎖国することになったのです」。
誰も友達になってくれないなら一人でいい! クラスで一度は浮いた存在になったことのある人なら、ちょっと胸がつまるような歴史ではないだろうか。

この鎖国政策のせいで、アルバニアは「ヨーロッパの北朝鮮」などと呼ばれたりすることもある。

 

 

かつての友人、ソ連の独裁者たちの銅像は、いまやナショナルアートギャラリーの裏にうち捨てられている。

レーニン、スターリンに並んで、破壊され上半身だけ残されているのは共産主義時代のアルバニアの独裁者、エンヴェル・ホッジャ。「これらはもう私達にとって重要ではない」と何度も反芻できるように、わざと残しているのではないかと思うぐらい、ぞんざいな扱いである。

同様に、見る人をぎょっとさせるのが、街の中心地にある旧エンヴェル・ホッジャ博物館だ。落書きだらけの壁、割れたガラス、廃墟にしかみえない巨大な建物が、壊されることなく放置されている。

1985年、ホッジャが亡くなると、後任のラミズ・アリアは、ホジャのモニュメントを作ろうと発案。こうして、娘のベラ・ホジャがピラミッドのようなユニークな建築を設計、これが今やティラナのB級スポットとなっている。

「かつてここを訪れたアルバニアの人々は泣いたものでした。けれども今や、泣く人はいません」とガイドのアルバンさんはいう。

「一度は壊してアパートメントを建てようという話も出ていました。けれど、この建物を”醜い”という人たちと、”面白い”という人たちで議論した結果、”面白い”が優勢となり、壊されずに再利用されることになったのです」。
今後は、内部は若い人たちがテクノロジーを学ぶためのエディケーションセンターに、外は誰でも登れる階段のある公共スペースとして利用するのだとか。

ティラナのマザーテレサスクエアの近くにある公園でも、こうした共産主義時代の「負の遺産」が、忘れ去られないようにオブジェ化して残されている。丸いコンクリートの塊、アルバニア名物の「トーチカ」だ。

かつて外国が攻めてきたときに備え、国民の三人に一基の割合で作られたシェルターで、国内に50万〜100万基とも言われるほど膨大に残っている。あまりにも頑丈すぎて壊せないのだそうだ。

「これはアルバニアのパラノイアの歴史なのです」とアルバンさんは言う。

このトーチカは私には不安神経症の発作の名残のようにも感じてしまう。古代より、ローマ、ギリシャ、オスマン・トルコ、近代では隣国イタリアなど、常に巨大な隣人に脅かされ続けてきたアルバニア。

恐怖の連続だった歴史がもたらしたパラノイアを、単純に「変わってる」と笑い飛ばすこともできない。日本の歴史にだって、そういう不安神経症やパラノイアはいくらでも見いだせるからだ。

「ユニークなことにティラナのメインストリートにはジョージ・W・ブッシュという名前がつけられています」と街角で足を止め、アルバンさんは解説する。

メイン通りにアメリカ大統領の名前がつけられている。

「2007年、NATO加入が決まったアルバニアをブッシュ大統領が訪問しました。彼はこの国を訪れた唯一の米大統領なんです。もしトランプが我が国を訪問したら、きっと新しいビルにはトランプタワーという名前がつけられるでしょう(笑)」

かつては家の中にコカコーラのボトルを飾る人もいたくらい、アルバニアは親米なのだという。理由はバルカン紛争時に、常にアルバニア側に立ってくれた国だから。

「こんなにアメリカ文化が好きなのに、アルバニアにはまだマクドナルドもスターバックスもありません。でもケンタッキーフライドチキンだけはあちこちにあって人気です。そして、皮肉なことに、ティラナのケンタッキーは、かつてホッジャの官邸として使われていた邸宅の道路を挟んだ向かい側にあるんですよ」とアルバンさんは笑う。

ケンタッキーフライドチキンの向かい側にある旧首相官邸。資本主義と共産主義が向かい合う、意味深い場所だ。

ウォーキングツアーで垣間見て来た近代史を踏まえると、新しい友だちを手放しで愛するアルバニアにやや不安を覚えたりもする。「そんなに手放しで誰かを信用して大丈夫?」と、実際に会ったアルバニアの人たちがいい人たちばかりだったために、その人を疑わない性格が心配になってしまうのだ。

ユーゴ、ソ連、中国と決裂し、鎖国状態になってからは、国中にシェルターを作りまくり、宗教を禁じるなど混乱を極めたホッジャ時代のアルバニア。彼の死後は安定するかと思えば、国内の大手金融会社が「ネズミ講」式に資金を集めた挙げ句、いわば国ごと破産のような形になり、一時は無政府状態に。ついにはヨーロッパ最貧国と呼ばれるまでの事態になったアルバニア。

ヴァルボナツアーをガイドしてくれた、いつも半ズボンの明るくて無邪気な青年も、ドライブ中にふと、「ねぇ、日本で暮らしていて幸せ?」と真顔で聞いてきたことがあった。「そうね、たぶん幸せだよ。あなたは?」とこたえると、「うーん、政治があまり良くないかもしれないな……」と答えた。

手付かずの美しい自然、明るくて親切なアルバニア人と接しているだけでは見えてこない、複雑な国民感情。

ティラナはけっして観光地ではないけれど、国はいとも簡単に変な国になってしまうこともある、という歴史に触れられる貴重な場所でもあった。自分はあまりにもノンポリすぎる、少しは危機感を持たないと……と意識も高まる約2時間のツアーなのだった。
※ガイドツアーは無料ですが、気に入ればチップをどうぞ。

<おまけ>アルバニアの首都ティラナ1日街歩きプラン

女の足でも十分回れるコンパクトなまちの観光名所をご案内。

1.国立歴史博物館 / Muzeu Historik Kombëtar

国立歴史博物館 / Muzeu Historik Kombëtar

ティラナにある、古代から現代までのアルバニアの歴史が俯瞰できる博物館。ティラナの鉄板観光名所のひとつ。ローマ、ギリシャ、オスマン・トルコなど時代により支配者が変わる複雑な歴史を学ぶことができます。地味ですがミュージアムショップもあり、アルバニアのハンドメイド品などが並んでいるので、手仕事に興味がある人は覗いてみるといいかも。ショップへは入場料なしで入れます。⇒ 地図

2.House of Leaves


個人的に、アルバニアの首都ティラナでいちばん行くべきと思った博物館。共産主義時代のアルバニアの秘密警察(シグリミ)の本部だった建物を使った、盗聴、盗撮、諜報、監視に関するあらゆるものが展示されているミュージアムで、ディスプレイとキュレーションの巧みさから、現代アートを見ているような感覚にもなる不思議な空間です。
個人の自由、プライバシーの大切さについて深く考えさせられるとともに、この監視は今もなお続いているのだと気付かされて、ちょっと背筋が寒くなります。⇒ 地図

3.エンヴェル・ホッジャ博物館


ティラナにある通称ピラミッドと呼ばれるミュージアム跡地。アルバニア共産主義国家時代の独裁者として、鎖国や国内にトーチカというシェルターを70万ほども作るなど国をやや風変わりな方向にリードしたエンヴェル・ホッジャの名を冠していますが現在は閉鎖中で、まちの一等地にあるのに完全に廃墟(!)。

あの時代が今となっては市民に全くリスペクトされていないのをアピールするかのように放置されていますが、いくつかの議論を経て、壊さずに違う用途にリニューアルされるそうです。⇒ 地図

4. Postbllok – Checkpoint


ティラナのマザーテレサスクエアの近くにある公園。アルバニアの負の遺産といわれるトーチカがオブジェのように残されていて中に入ることができたり、共産党時代の孤立を忘れないために、とドイツから寄贈された本物のベルリンの壁の一部が飾られていたりします。
混乱した歴史を経て立ち上がろうとするアルバニアの意志を感じる公園。ちなみにこの公園の裏手(市庁舎方面)は、ティラナきってのクールなエリアらしく、夜はナイトクラブやバーが若者で大変盛り上がるとか。地価も一番高いんだそうです。⇒ 地図

5. Pazari i Ri

ティラナにある果物や乾物、ハンドクラフト品、はちみつなどが並ぶ市場。

ここでははちみつも買ったのだけど、すごく良い香りのする逸品だった。2つ買うとちょっとおまけしてくれて、大きな瓶ふたつで1000円くらい。

その周りにはカフェやレストランもいっぱい。ここで売っているドライフルーツのクォリティは、日本に帰ってきてから信じられないレベルだったと気付かされるので、ぜひおみやげに買うのをおすすめします! ⇒ 地図

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アルバニアの首都から日帰りで行ける絶景の山城「クルヤ」。英雄スカンデルベグゆかりの地への行き方と見どころ。 https://tripplanner.jp/topics/2277 Sat, 29 Jun 2019 03:35:33 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2277 「ヨーロッパ最後の秘境」などと言われることもある南東欧のアルバニア。 主な観光資源は山や海などの大自然と史跡で…

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「ヨーロッパ最後の秘境」などと言われることもある南東欧のアルバニア。
主な観光資源は山や海などの大自然と史跡ですが、唯一のお買い物好き女子におすすめのスポットと言えるのは、首都ティラナから日帰りで行ける山城のある「クルヤ」。
ハンドメイドの逸品がリーズナブルに買えるオールドバザールは石畳の小径もフォトジェニック。史跡や絶景も楽しめるよくばりな場所なんです。

アルバニアの首都ティラナからクルヤへは安いバスも出ているけれど、バス停はまちの外れだし、時間通りに来るかも謎だったし、サイトにも「時間が変更する可能性あり」みたいな注意書きがあったので、思い切って送迎&ガイド付きの1日90ユーロの日帰りツアーに申し込むことにした。

もうバックパッカーじゃないし、わずかな日程で来ている失敗が許されない働きマンなのでここはお金で解決だ。

90ユーロと言うと物価が日本の3分の1以下くらいのアルバニアでは結構な値段なので、最小催行人数もなく、前日にホテルのフロントを通して予約したら即決となった。

要は客は私ひとり、完全プライベートツアーである。今回の旅でもうひとつ3日間のヴァルボナ渓谷ツアーにも申し込んでいたのだけれど、それも申し込み人数1人でも実施になったので(とはいえ目的地付近で別のツアーに混ぜられたので完全プライベートツアーではなかったけれど)、一人旅にはなかなか使い勝手の良い国である。

最初に写真を見せてしまうと、本日の旅の目的地はこんな場所。

石畳の小径に刺繍、レース、編み物、織物、木工細工、カゴ、アンティーク♡

手仕事好きの女子ならこの風景を見ただけで「行きたい!」と思ってしまうはず。実は私も、UKOARAちゃんの記事「悶絶級にかわいい「クルヤ」のオールドバザール」を見て、胸熱になったクチ。アルバニアに行くならマストゴーと思っていた場所でした。

■ティラナからクルヤまでの道のり

ティラナのホテルまで送迎に来てくれたツアー会社のドライバー兼ガイドは30代くらいの男性で(ここからは便宜上ベラトさんと呼ぶ)、ホテルのレセプションとしてヨーロッパ各地で働いていたというキャリアの持ち主。観光業界歴が長いだけあって物識りだし親切。質問するとたいていのことには答えてくれる。

たとえば、アルバニア到着後、空港からティラナ中心地へ向かう途中に見かけた衝撃的な風景。

あきらかに爆撃を受けたような一角で、「何かの紛争で被害を受けたのだろうか。やはりここはバルカン……」としんみりしていたのだが、クルヤへのワンデートリップの途中、ふたたび前を通ったので、ベラトさんに破壊の理由を尋ねてみると、

「あー、これは高速道路を作るために拡張工事をしていて、周辺の建物を壊してるんですよ」とのこと。何だよ!!

まだ人が暮らしているような状態で爆破しちゃうのもびっくりだが、瓦礫の中で普通に暮らしているアルバニア人もたくましい。

道すがら、ベラトさんはアルバニアについて教えてくれた。

「アルバニアの産業の第一位は農業ですが、第二位は観光産業。日本では観光地として人気がないみたいだけど、物価が安くて海や山などリゾート地も多いのでヨーロッパの人々、特にドイツ人とイギリス人に人気なんです。夏のビーチなんかすごい人ですよ。貧しい国とはいえ、もう10年ぐらい経済成長も続けています」

そして、途中通過したフシュ・クルヤという町では、こんなコネタをくすくす笑いながら教えてくれた。

「2007年に欧州を歴訪していたアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領がこの町に立ち寄ったんです。ここはティラナ空港から近いですから。ブッシュ=フシュという名前の近さもあってか、この町の人々は大歓迎。その後、ジョージ・W・ブッシュの銅像まで作ってしまったんですよ。さらにジョージ・W・ブッシュという名前のベーカリーやカフェもあります」

なにそれ面白い!というと、わざわざ銅像の前で車を止めてくれたので一回来ただけの大統領の勇姿をパシャリ。

フシュ・クルヤにあるブッシュ像。オバマ政権誕生時に小浜市が盛り上がった国から来たので笑えないです…。
ジョージ・W・ブッシュという名のパン屋さん。

あとで知ったのだが、首都ティラナにある通りの名前にもジョージ・W・ブッシュの名がつけられていた。とにかくアルバニアは大の親米なのだ。

■クルヤに到着!

共産政権時代に作られた安普請のコンクリートビルが多いティラナからくると、ぐっと風情があるクルヤの町。それもそのはず、ここはティラナよりずっと長い歴史がある国の英雄スカンデルベグゆかりの地。今も中世の城壁が残るアルバニアが誇る観光名所だ。

このスカンデルベグ、アルバニアを旅するなら絶対知っておいたほうがいい超重要人物なのでここでざっくりとプロフィールを紹介しよう。何しろあちこちに銅像があり、お札にもなっており、国旗に描かれた双頭の鷲もこのスカンデルベグの家紋が由来である。

15世紀から20世紀初頭までオスマン帝国の支配下にあったアルバニア。紀元前はローマ帝国、その後はビザンチン帝国、かと思えばオスマン帝国と、常に近隣の大国に占領され従属を強いられてきたアルバニア史の中で、一瞬の奇跡のような輝かしい時代を築いたのがスカンデルベグだ。

1405年、アルバニア中部の領主の子として生まれたスカンデルベグ(本名 ジェルジ・カストリオティ)は、子どものころ人質としてイスタンブールへ送られ、彼の地で軍事教育を受ける。
その勇猛さから帝国内で頭角を表し、ついにはオスマン軍の司令官としてアルバニアに赴任。オスマン帝国は、わりと実力主義で植民地の国の出身者も出世できたりしたのだ。

1443年、彼はこのクルヤの土地で突如オスマン軍に反旗を翻しトルコのスルタンに勝利、その後、約25年間、アルバニアの独立を勝ち取ったのである。

幼少期から今川義元の人質として育てられ、桶狭間のあと故郷の岡崎城に入るや今川から独立を企てた徳川家康を思わせるエピソードだ。

クルヤの城壁内にあるスカンデルベグの博物館にて。中央にいる強そうな人がスカンデルベグ。

アルバニア最大の英雄がレジスタンスの拠点とした栄光の土地クルヤに来たならば、まずは城壁の中に足を踏み入れてみよう。

城内にある観光資源のひとつが、スカンデルベグに関する資料を展示しているミュージアム。

展示品に興味がない人でも楽しめる、絶景のバルコニーもあるので、ぜひ足を踏み入れてほしい。

博物館前に残る石垣は5〜6世紀くらいのものだとか。そのほか、トルコ風浴場ハマムや民族博物館などもある。

城内を見学したあとはお楽しみの手仕事のお店が連なるオールドバザールでお買い物をするか、

オールドバザールに隣接する4つ星ホテル内の絶景レストランでランチを楽しむのもいい。
高級ホテル然としているけど、パスタが500円くらいというアルバニア価格のリーズナブルなレストランです。

なお、オールドバザールでのお買い物について詳しく言及すると長くなるので、次回お届けするとして、今回はさらにディープなクルヤ観光をご紹介したい。

100円のバスで来なくてよかった!とつくづく思ったのは、山頂のディープな史跡にまで車で連れていってもらえたこと。ふつうバスで来たらクルヤ城址とオールドバザール見物でジ・エンドなのだけど、実はこのスピリチュアルな山には知る人ぞ知る名所があるのだ。

■クルヤ山頂にある絶叫スポット、神秘主義教団の聖地。

クルヤ城から先は、切り立った岩山沿いの曲がりくねった道を行く。

道路沿いには山羊の姿も。そういえばスカンデルベグの兜には山羊の頭部が付いていた。

約20分も走ると、駐車場もある山頂に到着する。車を降りればそこは……

絶景!!

というか、晴れた日にはアドリア海まで見渡せる絶壁。高所恐怖症の人は正直無理な感じの眺めです。

「ここにはベクタシュ教団の聖地とされている洞窟があるんです」とベラトさんは言うと、足がすくむほど急な階段をすたすたと降りていく。

ベクタシュ教団について詳しくはWikipediaをご覧いたただきたいが、簡単に言うとアルバニアやバルカン半島、トルコなどで支持されたイスラム教の神秘主義哲学の教団。


洞窟の入り口。

「あの、私イスラム教徒じゃないけどこういう聖地みたいなところに入ってもいいのかしら?」とベラトさんに聞くと、「全然問題ない。僕もクリスチャンだし。普通に家族の幸せとかお願いすればいいんです」とのこと。

そういえば、アルバニアは共産政権時代に宗教活動を禁止していたせいか、宗教に関しては寛容、というかゆるく、日本人と感覚が似ているのだという。データ上はイスラム教徒となっている人のうち7割以上はモスクに行かない、なんて語るガイドさんもいる。

洞窟へ入ると、ベラトさんは私にお願いごと用のろうそくを手渡してくれた。ありがたく頂戴し、火をつけ無病息災などを祈る。そういえば山頂の駐車場でベラトさんが道端で何か買っていたのだが、この洞窟でお願い事をするときに使うろうそくを買っていたのだった。お願いごとをするなら洞窟へ降りる前に購入をお忘れなく 。

なんとなくこの風景、既視感があるな……と思ったら、鎌倉の長谷寺の弁天窟にちょっと似ているのだった。「日本でも洞窟に入って、ろうそくに火をつけてお願いごとをするお寺があります。私達は近い文化を持っているのかもしれないですね!」とベラトさんに伝えると、なんだか嬉しそうだった。

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ヨーロッパ最後の秘境!? 南東欧アルバニアの旅。治安・事前準備、Wifi、両替は大丈夫? https://tripplanner.jp/topics/2266 Sat, 22 Jun 2019 15:29:34 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2266 特に日本で情報収集が難しい不思議の国アルバニア、意外と快適だった旅の実態をレポートします。 ■事前情報が少なす…

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特に日本で情報収集が難しい不思議の国アルバニア、意外と快適だった旅の実態をレポートします。

■事前情報が少なすぎるアルバニア、実態は?

アルバニアに行くと決めてから国内で手に入りやすいガイドブック(とはいえ『地球の歩き方 中欧』のごく一部に触れられているくらい)やウェブの情報をいろいろ漁ってみると、このバルカン半島の小さな国の概要はだいたいこんな具合になる。

・ギリシャの上、イタリアの海を挟んで向かい側にある四国の約1.5倍の広さの国
・国土の7割は山
・人口は約290万人
・バルカン半島の国だが旧ユーゴスラビアではない
・共産党の独裁者エンヴェル・ホッジャの政策により1990年ごろまで鎖国していた
・その時代に仮想敵国に怯え国内に50万とも100万とも言われるシェルター(トーチカ)が設置され今や負の遺産に
・共産党政権が崩壊後、国民の3分の1が「ねずみ講」のため全財産を失う事案が発生⇒ヨーロッパ最貧国に転落

まったく旅心がくすぐられない独特すぎる情報、ありがとうございます!(涙)

いまや廃墟化している「エンヴェル・ホッジャ博物館」。この不思議な風景もティラナの名物のひとつ。

おまけに独自通貨のレク(1レク=1円)は日本では両替できず、アルバニア国内では日本円の両替もできないから一旦ユーロに換えていく必要があるとか、国内の移動手段はミニバンみたいなバスしかないし時刻表情報も調べるのが難しいとか、旅の難易度が高そうな情報ばかりをネットで拾ったりする。

あまりにも独特な文化と歴史なので「ヨーロッパ最後の秘境」なんていうコピーで紹介されていたりもする「不思議な国」なのだ。

けれど結論から言えば、これら前情報は正直悪すぎ。愛用しているオンライン英会話でアルバニアの先生ばかりを指名して独自に聞き込み調査をしてみると、ふつうに安全で便利そうな国だったりする。

「今度ひとりでアルバニアを旅するつもりなんだけど、スマホを外で出しても大丈夫かな」と、あるとき私は英会話講師に聞いてみた。パリなどヨーロッパの大都市で「スマホを人前で出すとひったくられるから出さないように」みたいな張り紙を目にしていたからだ。特にiPhoneなど端末価格が高いスマホは要注意らしい。

その質問を受けて、首都ティラナに住んでいるという先生はポカーンとし、「え、なんで人前でスマホ出せないの?」と不思議そうに聞く。
「いやほら、ひったくりとかさ」
「えー、ないない! iPhone、Nexus、Galaxy、ピカピカの新品をみんな思い切り使っているよ!」
「じゃあさ、ティラナで夜、女ひとりで歩いても大丈夫かな」
「驚くかもしれないけど、ティラナでは夜8時過ぎたあたりから街が賑わい出すんだよ。子供連れの母親もそれぐらいの時間に集まってくるし、女ひとりで歩いている人も多いよ」

夜9時過ぎのティラナの街角。両親がディナーを楽しむ横で子供が走り回っていて「わ、本当に夜遅い街に子供がいる!」と驚きました。

まぁ私はチキンなので、そう言われても基本的に夜10時前には宿に戻るようにしていたが、少なくとも人通りの少ない暗い場所や公園など、日本だって危ないよ! というエリアを避けて常識的な時間帯に歩く分には全く問題ない印象だった。

■ 両替、通信、あらゆることがばっちりすぎた旅の真実。

両替だけは最後まで情報がはっきりしなかったものの、思い切ってユーロに換えないままアルバニアに入国。この国ではクレジットカードはあまり普及してないので(これは本当だった)、もしレクが入手できなかったら結構まずい。

ターキッシュ・エアラインズでイスタンブール乗り換えで入国。このほかアリタリア航空でローマ乗り換えもおすすめのルート。

でもそんな心配は空港で一気に解決してしまった。まずティラナ国際空港が小さいながらも結構近代的で、24時間OPENのATMがゴロゴロあるのだ。

国際クレジットカードか海外でも使えるVisaデビット付キャッシュカードがあれば、ATMでさくっとレクがおろせてしまう。両替が不安な人はぜひこの2つを用意していきましょう。もちろん空港だけでなくティラナなど都市部ならあちこちにあります。

そして、ネット環境も空港内でさくっとゲット。
レンタルWifiもいいけれど、私は荷物が増えるのが嫌いなので基本的に海外旅行では現地SIM派。SIMフリースマホをお持ちで、旅先でもネットを使いたいなら、迷わず空港内のVodafoneへ向かいましょう。

ここでSIMを買うと端末にセットしてテスト、開通までスタッフがやってくれて安心。私は電話番号付き10ギガのSIMを1300円くらいで購入。
まだまだWifi環境が整ってないだろうと思い多めのギガにしたのですが、結論として8日間の旅で2ギガしか使わず。ホテルやカフェ、レストランで普通にWifiが使えたので、田舎に行く人以外はこんなにギガいらないかも。

Wifiだけで乗り切ろうという猛者は、日本でアルバニアのGoogleMapとアルバニア語⇔日本語のGoogle翻訳のデータをスマホにダウンロードしていくと便利です。

旅行業に携わっている人や若者はたいてい英語が話せるし、なんか思ってたより快適なんですけど、ここ、本当にヨーロッパ最後の秘境なの……!?

■ 時間もきっちり。トラブルもなく。

これまでヨーロッパは13カ国ぐらい旅してきたけれど、南側に来るのはアルバニアがはじめてだったので、「きっと温かい地方の人は時間にルーズに違いない」「ヨーロッパ最貧国の一つなんだからホテルのお湯が出ないくらいは覚悟しよう」などと、偏見まるだしで思い込んでいたけれど、結論から言うとこれらのトラブルも個人的には全く体験しなかった。

ちなみにアルバニアは別に温かい気候でもなく冬はふつうに山間部では雪も降るし、全体的に日本に近いです。

ティラナで滞在先に選んだ3つ星ホテルは、人気の市場やレストラン街に近く一泊3千円程度だけど普通にお湯も出るしトイレも流れるし(当たり前か)冷蔵庫にフリーWifiまでついて設備も十分。朝はコンチネンタルブレックファーストもついている。
山奥の秘境、ヴァルボナ渓谷のバンガローはWifiはないものの(というか通信回線事態が弱い)、お湯もトイレもトラブル無し。

宿泊したJolly Hotel. 実はティラナ在住のオンライン英会話の先生におすすめされたホテル。立地もホスピタリティーも素晴らしかった。

このホテルで2度ほどツアー会社のピックアップや、タクシーの迎車を体験したけれど、すべて送迎時間きっかりに迎えにきてびっくり。いや、びっくりするのも失礼なんだけど、イタリアとかギリシャに近いからもう少しラテン系の、ゆるい文化だと思いこんでいたのよねぇ……。本当に疑ってごめんなさい!

と、いうことで覚悟していたより全然都会だし普通に快適だったアルバニアの旅。

ひとつだけこれはちょっと危険、と思ったのはドライブマナーだろうか。
公共交通機関があまり発達していないので、もしかしたらレンタカーするかも? と思い一応国際運転免許証も持参で行ったけど、タクシーに乗った時点で私レベルのスキルではあの国では運転は無理…! と実感。スピードは出すし、がんがん煽るし、急な車線変更もあたりまえ。驚いたのはみんな100km以上出しているような高速道路にも突然人が飛び出してきたり、何ならたまに牛まで飛び出してきたこと。

首都ティラナ近郊では、交通事故で亡くなった人に捧げられた花、下手したら500mおきにあるのでは……という区間もあり、さすがにうわぁ…と思いました。タクシー運転手さんも「若い子たちが本当に制限速度守らないんだよ。信じられないよ。取り締まって欲しいよ」と嘆いていました。

ということで、街歩きは安心だけど車の運転はちょっと注意してほしいアルバニアから旅の準備編をお届けしました。

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