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静岡茶の祖の故郷、元祖縁側カフェ「山水園」で日本茶の奥深さを知る

静岡茶の祖の故郷、元祖縁側カフェ「山水園」で日本茶の奥深さを知る

おいしいお茶を求めて旅するなら、東京からのアクセスばつぐんのお茶のまち、静岡へ。中でも、静岡茶の祖と言われる聖一国師生誕の地に佇む茶農園は、お茶の奥の深さを学ぶにはうってつけの「秘境」です。

日本茶の生産量日本一のグリーンティーカントリーを訪れるなら、一度は体験して欲しい、静岡でしか体験できないディープなお茶があります。

それは、奥静岡(通称オクシズ)の山奥、栃沢の里山に佇む、江戸時代から続く茶農家「山水園」でのお茶体験。山水園は、栃沢のお茶をより多くの人に味わって欲しいと1980年代から自宅の縁側を開放してきた、いわば「縁側カフェ」の先駆けでもあります。

100年以上昔に建てられたという味わい深い古民家もすてき。訪れると、まずはこちらの縁側で「山の茶人」であり、農園主の内野清巳さん自ら入れてくれたお茶と、手づくりの御茶請けをいただきます。

思わず笑みがこぼれる、ライターのミノシマタカコさん。

栃沢は、鎌倉時代の高僧で、留学先の宋から茶の種を持ち帰ったことから「静岡茶の祖」といわれる聖一国師(しょういちこくし)が生まれた場所。歴史と、昔ながらの茶農家が集まる集落の風情、お茶のおいしさ、そして、格式の高いお茶の世界に触れられる「静岡茶事始め」にはまさにうってつけの場所が、ここ山水園なのです。

お茶に使うお水も、栃沢の岩清水を利用。なんとこのお水、聖一国師ゆかりのお祭りである博多山笠の際には、ここから福岡まで届けられるという、由緒ある水だったりします。

内野さんと、無農薬にこだわる茶畑。

手がけるのはたくさん飲んでも胃に来ない「常茶」。現在、紅茶も研究中だそう。茶摘みのシーズンである5月を除けば、事前予約をすれば縁側でのお茶の試飲、工場と茶畑見学、茶摘み体験が可能です。

さらにディープな体験をしたいなら毎年5月と11月に行われるお茶席体験がおすすめ。ここでは、厳選された茶葉を使ったお茶を内野さん自らが入れてくれるのですが、これが、個人的にも緑茶の概念を覆すほどの体験でした。

縁側から古民家の中へ入ると、そこには立派なお茶席の用意が。

まず驚いたのが、お茶がシャンパングラスで出されること。針のように細く鋭くぴんと張った茶葉も見るからに極上です。こちらに30-40度のぬるいお湯をほんの少し注ぎ、それをすするように頂くのが一煎目。まずは香りを存分に楽しみます。濃厚なお茶には、今まで味わったことのない独特の「うまみ」も。

「私たちは“山のおだし”と呼んでいます」と内野さん。確かに、おだしの効いた味、という表現がぴったりのうまみです。こんなお茶飲んだの初めて!

御茶請けは、徳川家康の時代から徳川家の御用窯だった歴史ある賤機焼(しずはたやき)で出されます。この焼き物、なんと裏を返すとこんな感じ。

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「鬼福」といって、縁起物なのだそう。

温度を少しずつ変えて三煎いただき、味の違いを楽しんだ後は……、

「どうぞ、塩をかけてお召し上がりください」と内野さん。え? 食べるの!


最初は驚いたものの、これがとっても美味しい! お茶を頂きながら何ですが、ちょっと日本酒をひっかけたくなるうまさ。

緑茶って飲食店や会議室などあらゆるところで無料で出されすぎて、抹茶に比べるとカジュアルな飲み物だと思い込んでましたが、こんなに格式の高いものだったとは……。空気のように当たり前にあるお茶についてあまりにも無知だったことを反省するとともに、もっと深く知りたいという気持ちに。最近都内でもおしゃれな日本茶カフェが増えてきているので、めぐってみようかしら。


ちなみに山水園のお茶は直販のみで、市場には流通していません。訪問時に買えますが、お取り寄せも可能。問屋を通さないことで良心的な価格を維持し、全国のごひいきさんに届けているそう。

そんな贔屓筋のお客様向けに毎年5月と11月に実施されるお茶席は、トリッププランナーを見たと言えば参加できます。

山水園   電話 054-291-2219   メール [email protected]

新茶のシーズンなど、静岡茶生誕の地での格式高い最高のお茶を味わいにぶらりオクシズまでドライブしてみては?

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