秋の京都で紅葉狩り。
死ぬほど混んでいようと、宿が無茶苦茶高かろうと、この言葉には抗いがたい吸引力がある。かくいう私も、これまで何度も紅葉シーズンの京都に勇んで出かけてみては、敗北感を抱いてきた。何に負けたのか。もちろん人混みに、である。
目当てにしていた寺の入口の行列の長さに驚きUターンした。
乗ろうとしていたバスが混んでて乗れなかった。
ベストショットを狙っても写真にどうしても人が映り込む…
こうした数々の負け戦を経て、「何も京都まで遠征しなくても、紅葉は日本各地で楽しめるではないか…」と、数年ほど足が遠のいていた。
しかし、ある時、私は気づいてしまったのだ。秋の京都がなぜ特別なのかについて。

京都の紅葉の魅力は、その背後やそばに寄り添う「背景」にある。葉っぱだけなら、どこで見ても同じだが、その後ろにある太鼓橋や苔むした庭園、紅葉を切り取る丸窓こそが、京都の紅葉を特別なものにしているのだ。


このことに気づいてから、私は京都であまり負けなくなった。
紅葉の名所を目指すのではなく、紅葉を引き立てるべく静かに寄り添う背景を探すのだ。それは意外と、人がいないところで簡単に見つけられたりするし、そんな自分だけの風景こそ愛おしい。

どこで撮ったのかは思い出せないけれど、確かに京都を感じる紅葉写真。スマホのカメラロールに自分だけの京都の秋の風景を溜め込む、負けない京都。

次の京都は人混みを避けて、名前のない風景を探してみるのはどうだろうか。そこかしこに素敵な「背景」があるのも、千年の都ならではだ。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。