すれちがう日本人から漏れ聞こえる話題は、12年前は主に韓流ドラマだったが、今やヒアルロン酸やシミ取りといった美容関連ばかりなのに隔世の感を抱いた、久しぶりのソウル旅。
江南〜カロスキル界隈を徒歩で歩き回ってみたら、意外と楽しく、美味しかったのでおすすめスポットをシェア。ソウルあんまり行ったことない、海外で公共交通機関に乗るの苦手な人に向けたガイドとしてぜひチェックを。
泊まったのは彦州駅近くの「ホテルカプチーノ」
格安でソウルに行きたがる層が選ぶ空港といえば仁川(インチョン)だが、ソウル中心部からえらい遠く…いわば成田空港ポジション。でもこのホテルカプチーノなら仁川からのシャトルバスが、文字通りホテルの眼の前に止まるから、時間はちょっとかかるけどアクセス至便。ホテルからカロスキルあたりまでは徒歩圏だし、洒落たインテリアのわりに宿泊代もまぁまぁリーズナブルなのが決め手で予約。


ホテル近くの一人飯スポット、お手頃マラタン
泊まったホテルカプチーノは幹線道路沿いにあり、周囲は大型ホテルなどが連なって、パッと見、近隣に気軽に食事できそうなところは見当たらない。Google Mapで飲食店を探してみると、大通りから脇にそれた小道沿いにいくつか飲食店が連なっているらしく、そちら方面に向けて一人飯スポットを探しに行ってみた。

しかし、ここでトラブルが発生。期待していたデータローミングがうまくいかず、外に出てみたらネットが全くつながらないのである。韓国語は翻訳アプリで乗り切ろうとしていた私にとって、これは致命傷。メニュー指差しでなんとかなりそうなファーストフードしか乗り切れそうもない。
そんな時に見つけたお店がこちら。どう見てもファーストフード店だし、若者で賑わっているし、具がいっぱい載った麺の写真もなんだか美味しそうではないか。
しかし、この時点で私は全く知らなかった。ここが、自分で食べたい具材を選び、肉やスープなどをカスタマイズして食べるマラタンの店だということを。
店に入るなり、ボウルを渡され、このケースの前に誘導された私。い、一体何をどうすれば…?
翻訳アプリも使えないので、試しに英語で「どうすればいい?」と聞いてみるも、もちろん通じず。身振り手振りでなんとか気に入った具材をボウルに放り込めばいいらしいと理解。
韓国語が一切わからないのにこんな店に入るなんて、英語が全く話せない人がアメリカでサブウェイに行くぐらいの暴挙である。ソウルで食事する時はファーストフードっぽいから安心、という油断は禁物!
しかし、ネットがなかった頃の海外旅行の難易度を思い出した。そして、言語のほとんどはボディランゲージでなんとかなるという、昔の成功体験も蘇った。もうこうなったら身振り手振りだ!
見て、韓国語一切使わずにちゃんと注文できた!(号泣)
残念ながらGoogle Map上には情報がないのだが、このあたりにあるお店なのでホテルカプチーノに泊まったら、散歩がてら探してみて。店名は「황비홍 마라탕」。황비홍 = ファンビホン(黄飛鴻 )、마라탕 = マラタン(麻辣湯)なので、とりあえずファンビホンマラタンとしておく。
徒歩でカロスキルに向かう途中で、ソルロンタンで朝ごはん
さて、翌朝は徒歩で宿からカロスキル方面へ。朝ごはんは、道中にある牛骨スープが滋味深いソルロンタンを。
頼んでないのにボウルいっぱいにどーんと来たキムチにビビるが、これは食べる分だけハサミで切っていただくスタイル。うまみたっぷり、淡白なスープと相性もばっちり。
この店でぜひ一緒に頼みたいのは、こちらのマンドウ。細かく刻んだ野菜たっぷりの餡を薄い皮でつづんで蒸し上げた大きめの餃子のような一品。見た目の大きさにびびるが、あっさりと軽い味なので、ばくばくいただける。
地元民しかいない風情のローカル感いっぱいの店なので、カードが使えるか心配だったけど問題なく使える。実は今回、なんと両替なしでここまで来てしまったのだ。
店舗デザインも必見、ジェントルモンスター&タンバリンズ
おい、食べてるだけかよ、という声が聞こえそうなので、そろそろお店も。何しろこの界隈は、東京でいえば青山とかそんな感じのポジション。マンドウとかマラタンばかりを食べている場合ではない。もっとお洒落を楽しまないと!
ソルロンタンの店から歩いてすぐ、店舗を見るだけでも価値があるのが、韓国発のアイウェアブランド、ジェントルモンスターのフラッグシップストア。日本にも店舗があるので知っている人も多いかと思う。
お店の中は現代アートの美術館のようなので、メガネを買う予定がなくてもぜひ立ち寄りたいもの。内装は季節によって変わるが、たとえばこんな感じだ。
そして、同じ通りにある、ジェントルモンスターが手がける香水店タンバリンズも一見の価値あり。
ここの店舗デザインももちろん素敵なのだが、興味深いのが店舗の前がフォトスポットになっていること。それこそ常に若い女の子たちが群がり、店の前でセルフィーをとりまくっていた。
お目当てはTAMBURINSのキャンペーンモデルを務めているBLACKPINK、ジェニーの巨大写真。こういう文化、日本であんまり見かけない気がする。そんな異文化を見つけるのも、街歩きの楽しみのひとつだ。
Gentle Monster Flagship Store
Tamburins フラッグシップストア 新沙
私はタンバリンズで香水と、目についたシルバーのお店でアクセサリーを購入。このあたりは気ままに横道にそれてもなんかしら気になるお店があるので、ガイドブックなどなくても歩いて楽しい。
しかし、ショッピング中に驚いたのが、この街、平均年齢、23歳ぐらいなんじゃないの? というぐらいの客層の若さ。なんか通りの入口で検問でもあるんかいな? ぐらいに見事に若者ばかりである。
日本にも若者が集うエリアはたくさんあるが、それでもある程度は中高年も混じっていたりするものだ。カロスキル界隈、おじさんおばさんは一体どこに消えた?
と、いい年こいたおばさんである私はやや気まずくなり、ふらふらと現代百貨店 狎鴎亭本店へ逃避。安心してください!このデパ地下は中高年も入りやすいぞ!



イベントスペースに並ぶ、お餅や惣菜などがどれも美味しそうで、あれも食べたい、これも食べたい、となったが、日持ちがその日限りというものが多く買い物を断念。通常の販売エリアにはごま油や乾物など日持ちするものも並んでいるので、お土産にはそちらをディグるとよいと思う。
あと、一人でも気軽に入れそうなフードコートがあるのもポイント高し。手軽なランチスポットにおすすめだ。
夕飯はカンジャンケジャンの老舗へ。
さて、ウィンドウショッピングやら、百貨店でのおみやげ探しやらをしているうちに、もう夕飯の時間である。夜は豪華に、ソウル名物のあのうまいカニをいただくとしよう。
「元祖馬山ハルメアグチム」は、新沙洞(シンサドン)で1969年から営業を続けるカンジャンケジャンの老舗。なんと24時間営業なので、夜遅くソウルに着いた、なんて向きにも嬉しいお店だ。



おすすめスポットと言えど、結局食べ物ばかりになってしまって笑う。もっとおしゃれスポットを紹介すべきエリアなのに!
言い訳のように書くけど、カロスキル界隈はカフェ激戦区で、特にこじゃれたコーヒーロースターも多い。ぜひそんなお店を見つけたらコーヒーブレイクを楽しんでみよう。そこも若者しかいなかったけどな。
夕飯を食べたら、トコトコあるいてホテルカプチーノへ。結構歩くけど、食後のはらごなしにはちょうど良い運動。
ちなみに本日の観光はすべて徒歩で現金を一切使わずに乗り切れました。キャッシュレス社会ありがたや。
そして、夜のカロスキル界隈もやっぱり若者ばかりで、日本に比べてエリアごとの年齢縛りがきついのかもなぁ、とおばさんは少し居心地の悪い気がしたのだった。
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。