アール・ヌーヴォースタイルのロマンティックな駅舎などウィーンの世紀末建築を多数手がけた建築家のオットー・ワーグナー。ウィーン建築会の父と呼ばれる彼が手掛けた、未来感あふれる異色作を紹介します。
1912年築ってマジか!
……と、ハプスブルク家の都として知られる優美な古都ウィーンで叫ぶには適切ではない雑な言葉が思わず出てしまった、旧市街にある名建築。
郊外にあるアム・シュタインホーフ教会と並んで、ウィーン建築会の巨匠、オットー・ワーグナーの代表作とされることも多い「郵便貯金局」だ。
鉄やガラス、アルミニウムなどを使ったインテリアは、現代のSF映画のセットと言われてもたぶん疑わないであろう未来感。
こちらは同じ建築家による駅舎。こんなにガーリーでロマンティックな駅舎を手がけているのに、同じ頭でこれほどクールなデザインができるなんて、天才か! あ、天才だった。
丸いアルミの鋲がぽんぽんと打たれた外壁や、
ネジの形の柱もあって、まるで鉄で作られた機械のよう。ガラスと鉄の建築が珍しくない現代を幻視していたかのような先見性で、こんな想像力が100年以上も前に具現化されていた歴史に驚くしかない。
すごく現代的な建築なのに、どこかクラシックで優美に見えるのは、シンプルで無機質なものと、アール・ヌーヴォーならではの美が共存しているから。
たとえば、すっきりシャープな建物の天井に添えられた二対の天使像など、そこかしこに、ロマンティック担当がいたりする。
一緒に訪れた旅ライターの方と二人揃って、「ひゃー、かっこいい!」「うわー、かっこいい」と、完全に語彙力を失いながらただ感嘆するのみだったウィーン屈指の名建築。
ウィーンを旅するなら絶対訪れてほしいおすすめスポットですよ。
・郵便貯金局/Österreichische Postsparkasse
Georg-Coch-Platz 2, 1010 Wien, オーストリア 地図
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トリッププランナー編集長。 これまで行った旅先は世界40カ国、うち半分くらいはヨーロッパ。興味関心のあるテーマは歴史と建築、自然。一眼レフ好きだったが重くて無理になりつつある今日このごろ。