アール・ヌーヴォーに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/アール・ヌーヴォー 少し違う旅のアイデア Wed, 14 Jan 2026 07:13:07 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.9 https://tripplanner.jp/wp-content/uploads/2021/01/cropped-favicon-32x32.png アール・ヌーヴォーに関する旅行の現地取材記事まとめ - トリッププランナー https://tripplanner.jp/topics/tag/アール・ヌーヴォー 32 32 スペイン版アール・ヌーヴォーの傑作、世界で一番美しい病院、バルセロナの世界遺産サン・パウ病院がすごい https://tripplanner.jp/topics/5304 Thu, 10 Apr 2025 13:12:37 +0000 https://tripplanner.jp/?p=5304 世界屈指の有名建築、ガウディのサグラダ・ファミリアを一目見に、いつかはバルセロナに行きたい!と思っているあなた…

The post スペイン版アール・ヌーヴォーの傑作、世界で一番美しい病院、バルセロナの世界遺産サン・パウ病院がすごい appeared first on トリッププランナー.

]]>
世界屈指の有名建築、ガウディのサグラダ・ファミリアを一目見に、いつかはバルセロナに行きたい!と思っているあなた。

もちろんサグラダ・ファミリアは文句なしに素晴らしいけれど、そこからわずか徒歩15分程度で行ける、もう一つの世界遺産をご存知だろうか。渋谷のスクランブル交差点かよ、と言いたくなるほど混んでいるサグラダ・ファミリアから移動すると、天国みたいに感じる、ガラガラの超穴場。それが、今回紹介する世界遺産、サン・パウ病院(Hospital de Sant Pau)である。

サンパウ病院正面。言われないと絶対に病院だと気付かない。

ガウディ建築と同じく、スペイン版アールヌーヴォーの「モデルニスモ」を代表する名建築は、「本当にここが病院だったの…?」と唖然としてしまう壮麗さ。ゆえに「世界一美しい病院」とも呼ばれることも多い。

今回はバルセロナ名建築めぐりレポート第一弾、サン・パウ病院を写真たっぷりでご紹介!

入場はラクラクだが、見学は大変な世界最大のモダニズム建築群

さて、さっそく病院の中へと足を踏み入れてみよう。サグラダ・ファミリアと違って、2週間ぐらい前にチケットを予約しておかないと見学できない!みたいな悲劇も起こらず、当日サクッと入場券が買えるので、ふと時間があいたら気楽に足を運べるのも嬉しい。

ただ、気軽なのはチケットの入手方法ぐらいで、見学となるとかなり大変である。というのもこの病院(跡)である「サン・パウ・モデルニスム区域」は、世界最大のモダニズム建築群。12もの建築が並び、その大きさはサグラダ・ファミリアの約12倍ともいわれている。

サン・パウ病院
頑張ったけど、建物群すべてを写し込むのは無理…。

とにかく広大なので、見学にはせめて2時間程度は確保すべきだろう。私はこの時間配分を間違え、次の予定を入れてしまったので最後は駆け足に…。もっとゆっくり堪能したかったー!

では、早速、この病院がどれくらいゴージャスなのか、ばんばん写真で紹介していこう。

サンパウ病院
入場してすぐに現れる聖サルバドール分館。1916年の病院開業の際に最初に患者を収容した分館。
窓や壁の装飾がいちいちかわいい!
サンパウ病院の庭園
聖サルバドール分館を出ると、中庭が現れる。
中庭でひときわ目立つ、立派な彫刻のある手術室。
サンパウ病院の手術室
教会と見紛うほど、ロマンティックな彫刻群に彩られている。
サン・パウ病院
立ち並ぶ建築はすべて統一されたデザイン。ほとんどテーマパークだ。
聖ラファエル分館
聖ラファエル分館。患者の入院設備がどのようなものだったのかを再現している。天井がとにかく高い!

華麗で、濃密で、病院離れした建築が次から次へと現れる、目に入ってくる情報量がとにかく多く、めまいがしそうなサンパウ病院。2009年まで病院として現役で使われていたなんて信じられない…!

ガウディのライバル、 建築家・ドメネク・イ・モンタネールの代表作

さて、そもそもなぜこんなに豪華な病院が作られることになったのか。それは、設計した建築家ドメネク・イ・モンタネール(ムンタネーとも)の信念のため。

モンタネールはガウディの同時代人であり、かつガウディよりずっと早く名声を得たバルセロナを代表する建築家。なんと若干25歳で建築学校の教授に抜擢され、その学校では2歳年下のガウディも学んでいた。建築家としてはガウディよりはるかに先に”出世”していたのだ。今となってはガウディより知名度は劣るが、生前はガウディと並ぶ巨匠だった。

彼は、「芸術には人を癒やす力がある」と信じており、豊かな色彩のモザイクやステンドグラス、彫刻などの装飾、大きな窓から注ぐ自然光、心安らぐ庭園が、患者の回復への意欲を高めると考えていた。

聖サルバドール分館
聖サルバドール分館の天井。モザイクタイルと、豊かに注ぐ自然光が美しい。

特筆すべきは、地下トンネルでパビリオン同士を接続するシステムを採用したこと。これにより雨天の場合の移動を簡易にする効率性と地上部の景観維持を両立。美しいだけでなく機能面でも考え抜かれていたのだ。

サン・パウ病院
各病棟は地下の廊下でつながっている。
地下の廊下はシンプルだが、しっかりタイル張りで、ちゃんと手がこんでいる。

もちろん大きな代償も払った。その一つが莫大な建築費だ。モザイクや彫刻、ステンドグラスなどに多額の費用がかかったため(当たり前だ)、当初の予算を大幅に超過、加えて建設期間も長期化した。1902年に着工した工事は、完成までに約30年かかり、モンタネール自身が1923年に死去したため、最後は彼の息子が引き継ぐ羽目に。

ガウディといい、カタルーニャの建築家は壮大すぎるヴィジョンを抱きがちなのだろうか……。

サンパウ病院の中で、最もゴージャスな管理事務分館

さて、広大な敷地を歩き回り、いくつもの建物を見て、疲れ果てた頃に現れるのが、見学コース最後の建物、「管理事務分館」である。もうライフはゼロよ…な状態のところでドーン!とすごいのをよこしてくる残酷さよ。しかし、いくら疲れ果てていようとも、この建物だけはスキップ禁止。まるで祭りの最後の打ち上げ花火のような、ハイライトともいえる空間だからだ。

建物の外観と内部を飾る彫刻はスペインの著名な彫刻家、パブロ・ガルガヨ(Pablo Gargallo)によるもの。天使や歴史的人物、病院ケアに貢献した宗教団体などを描いたレリーフも見どころ。

ロビーに足を踏み入れると、鮮やかなピンクの天井がお出迎え。中央のヴォールトの四隅に描かれたシンボルは、バルセロナの紋章、カタルーニャの紋章、聖十字架と聖パウロなど。

ロビーから中庭を望む。

圧倒されるのが、かつては病院の集会場だったという「ドメネク・イ・モンタネール・ホール」。天井の高さはなんと18メートル。木、モザイク、錬鉄、ステンドグラス、大理石など多種多様な素材で彩られ、ため息が出るほどの豪華さ。

見上げると天井もひたすら濃密。

そして廊下も見逃せない。美しいステンドグラスをあしらった窓からはサグラダ・ファミリアが見える。

「花の建築家」と呼ばれることもあったモンタネールならでは。天井や壁などには乙女ゴコロをくすぐる花モチーフもいっぱい。

講堂と呼ばれる部屋のユニークな天井の意匠は、スペインらしくムデハル様式にインスパイアされたもの。

とにかく前後左右、上下と首を忙しく回していないといけない、見どころが多すぎる建築。いやぁこんなん、そりゃ、予算もオーバーしますわね…。

螺旋階段の上に広がる、美しいステンドグラス。

サグラダ・ファミリアから直線距離で約1km、徒歩15分ほどで到着するサン・パウ病院。これだけの美しさなのに、いまいち知名度が低く見過ごされがちなのが本当にもったいない。ガウディと並び、バルセロナのアールヌーヴォーを代表する建築家、モンタネールの代表作、ぜひサグラダ・ファミリアとはしごすることを強くおすすめ!

<関連記事>

”ガウディの都市”、スペイン・バルセロナ建築名所めぐり【MAP付き】

スペインの取材記事一覧

The post スペイン版アール・ヌーヴォーの傑作、世界で一番美しい病院、バルセロナの世界遺産サン・パウ病院がすごい appeared first on トリッププランナー.

]]>
まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する https://tripplanner.jp/topics/4918 Mon, 05 Aug 2024 11:36:13 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4918 すでにレポートしたアール・ヌーヴォーなお屋敷マジョレル邸から歩いて約10分のところにある、アール・ヌーヴォーに…

The post まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する appeared first on トリッププランナー.

]]>
すでにレポートしたアール・ヌーヴォーなお屋敷マジョレル邸から歩いて約10分のところにある、アール・ヌーヴォーに特化した世界でも稀な美術館「ナンシー派美術館」

ナンシー派とはエミール・ガレが中心となり結成された、この地を拠点に活動する芸術家たちが作ったグループのこと。そのナンシー派のコレクターだったウジェーヌ・コルバンの邸宅跡を利用し、家具やガラスなど多くの工芸作品を展示しているのがこの美術館だ。

こぢんまりとしたお屋敷だが、一歩中に入ると、濃密なアール・ヌーヴォー空間が広がっている。

一部屋まるごとアール・ヌーヴォーにしたったぞ!なダイニングルームはこの美術館の白眉のひとつ。

ぐにゃぐにゃ、曲線、装飾過多…これぞアール・ヌーヴォー!な空間にどっぷり浸れ、特に日本人にはエミール・ガレの作品が多いのも嬉しいポイントだろう。

面白いのは、ショールーム的にいろんなアール・ヌーヴォーな小部屋があること。将来インテリアに取り入れたい人には家具の配置や小物のあしらいなど参考になりそうなポイントがいっぱい。

エミール・ガレが手掛けたベッドも展示。
ジャック・グリュベールが手掛けたライブラリー。

ふつうの美術館だと、陶器やガラス製品などが単品でぽんぽんと展示されているケースが多いが、この美術館では、邸宅の室内空間がまるごと当時の雰囲気に再現され、家具やアート、工芸品とともにコーディネイトされているのが本当に素敵。まるでベル・エポックのフランスにタイムスリップしたよう。

奥に掲げられている絵はヴィクトール・プルーヴェによるナンシー派の仲間の家族を描いた絵。マジョレルの家具やドームやガレの照明もずらり。

とはいえ、もちろん、日本でも人気のエミール・ガレの作品などはひとつずつじっくり鑑賞できるようにガラスケースの中に」陳列されている。

エミール・ガレの作品。

わかりやすく美しいガラス製品も多いが、中にはおどろおどろしいものや、日本リスペクトすぎてちょっとおもしろくなってしまっている作品も。

エミール・ガレ作のうちわ

彼がどれほどジャポニスムに影響を受け、日本の美に惹かれていたがわかり、日本人として誇らしい気持ちにも。

ジャック・グリュベールによるステンドグラス、1904年のもの。
アール・ヌーヴォーなピアノまで。

すっきりシンプルな北欧家具に目が慣らされてしまっている私にとってはひとつひとつの家具が、美しいだけでなく興味深い。こんなん、大量生産絶対ムリよね…という現代ではとても手に入らなそうな貴重な展示品の数々。日本人にもとても人気のあるミュージアムなんだとか。

なお、この美術館の庭は、誰にでも無料で開放されており、近所の人たちの憩いの場にもなっている。

私が行った7月には簡易なバーもオープンしていて快適度もアップ。

軽食やソフトドリンク等を購入可能。
とりあえずビール。生き返るわー!

観光客で賑わうユネスコ世界遺産・スタニスラス広場があるナンシーの旧市街に比べ、このあたりは歩いている人もまばらなほどの静かな住宅街。近くには大きな公園もあるので、ここでゆっくり休憩したあとは、ぶらぶらと散策してみるのも楽しい。そこかしこで「小さなアール・ヌーヴォー」を見つけることもできますよ。

Musée de l’Ecole de Nancy Google Map 

公式サイト ※マジョレル邸とセット券を買うのが圧倒的にお得です。

<関連記事>

フランス・ナンシーのアール・ヌーヴォーな邸宅「マジョレル邸」に行ってきた。

フランス・ロレーヌ地方、ナンシーでアールヌーヴォー名所めぐり
アール・ヌーヴォーの都、ナンシーを旅するなら土日がおすすめの理由

お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」
まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会
チェコ、プラハのキュビズム建築めぐり

The post まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する appeared first on トリッププランナー.

]]>
フランス・ナンシーのアール・ヌーヴォーな邸宅「マジョレル邸」に行ってきた。 https://tripplanner.jp/topics/4913 Mon, 05 Aug 2024 08:55:56 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4913 お屋敷好きならナンシーで絶対外せないのが、ナンシー派の家具デザイナー、ルイ・マジョレルの自宅兼アトリエ、マジョ…

The post フランス・ナンシーのアール・ヌーヴォーな邸宅「マジョレル邸」に行ってきた。 appeared first on トリッププランナー.

]]>
お屋敷好きならナンシーで絶対外せないのが、ナンシー派の家具デザイナー、ルイ・マジョレルの自宅兼アトリエ、マジョレル邸だ。

1902年築。まるごとアール・ヌーヴォーな邸宅は、ナンシーではこのマジョレル邸が初だったという。2020年に修復を終えたばかりなので、家の中も外観もまだとてもきれい。

建築、インテリア、内装、家具までナンシー派の芸術家たちが手掛けたという、いわば大規模なコラボ作品とも言えるお屋敷まるごとミュージアム。

入口入ってすぐに現れるのは優雅ならせん階段。奥に見えるステンドグラスはジャック・グリュベールによるもの。シャンデリアはマジョレルがグリュベールとドームの協力を得てデザインしたもの。

家の中央にあるのは喫煙室を兼ねたダイニングルーム。部屋の中央にある個性的なデザインの暖炉は、アレクサンドル・ビゴがデザイン。

このテーブルと椅子のセットもマジョレルがデザイン。サロンの暖炉の上のガラスは、ルイ・マジョレルの息子で画家のジャック・マジョレルが後に加えたものでオリジナルではないとか。
サンルームも素敵。
マジョレルデザインの寝室のベッドもとても個性的。

「これは機械ではとても作れないよなぁ…」としみじみ思う繊細な手仕事で埋め尽くされたナンシーでしか見られない貴重な建築遺産。

デリケートな空間を傷つけないよう、見学時には用意された靴カバーを装着する必要あり。高いヒールなどで行くと嫌がられると思うのでぜひぺたんこ靴で。

近くにはエミール・ガレなどの豊富なコレクションで知られるナンシー派美術館もあり、このマジョレル邸とのお得なチケットもスタンバイ。絶対両方見るのを強くおすすめします。

Villa Majorelle Google Map

<関連記事>

まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する
フランス・ロレーヌ地方、ナンシーでアールヌーヴォー名所めぐり
アール・ヌーヴォーの都、ナンシーを旅するなら土日がおすすめの理由
お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」
まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会
チェコ、プラハのキュビズム建築めぐり

The post フランス・ナンシーのアール・ヌーヴォーな邸宅「マジョレル邸」に行ってきた。 appeared first on トリッププランナー.

]]>
フランス・ロレーヌ地方、ナンシーでアールヌーヴォー名所めぐり https://tripplanner.jp/topics/4804 Sun, 14 Jul 2024 03:40:09 +0000 https://tripplanner.jp/?p=4804 ロマンティック建築ファンとしては、死ぬまでに一度は行っておかねば、と思っていた場所の一つ、フランス北東部の街、…

The post フランス・ロレーヌ地方、ナンシーでアールヌーヴォー名所めぐり appeared first on トリッププランナー.

]]>
ロマンティック建築ファンとしては、死ぬまでに一度は行っておかねば、と思っていた場所の一つ、フランス北東部の街、ナンシー。アール・ヌーヴォーの都として有名で、日本でも人気のエミール・ガレもこの地の出身だ。

お店のファサードも、アール・ヌーヴォー風だったり。

今回、この街を訪れた目的は、ずばりアール・ヌーヴォー建築めぐり。直線的で、機械的で、ちょっとつまらない、昨今の建築とは著しく違う、有機的で曲線的、草花のモチーフが絡み合う、ロマンティックな建築を本場で見てみたい!

ということで、今回は私が足を棒にして歩いて見たアール・ヌーヴォーな建築・インテリア・アートをGoogle Map付きでご紹介!完全保存版です!

・ナンシー駅からナンシー旧市街エリアの必見アール・ヌーヴォースポット

まずはユネスコ世界遺産・スタニスラス広場があるナンシーの旧市街から攻めていこう。狭いエリアにぎゅぎゅっと名所が詰まっているので簡単に見て回ることができ、足もそれほど疲れない。

以下に挙げた有名スポット以外にも、そこかしこに、アール・ヌーヴォーなデザインを発見できるので、ぜひドアノブや手すりなどに目を凝らしながら街歩きを楽しんで。

1.ブラッセリー・エクセルシオール

さて、もしあなたが、ランチタイムやカフェタイムにナンシー駅に降り立ったなら、まず足を向けてほしいのが、ブラッセリー・エクセルシオールだ。

駅前の好立地。

1911年にナンシーの工芸家たちが参加して作られたアール・ヌーヴォーなインテリアが見事な老舗ブラッスリー。ルイ・マジョレルによる家具やシャンデリア、ドームによるランプ、そして階段の手すりはジャン・プルーヴェが手掛けるなど、参加アーティストもため息が出るほど豪華。

これこれー!こういう空間に浸りたかった!

こんな豪華なレストラン、さぞかしお高いんでしょ? と心配になるが、それが思ったほどでもなかった。私はランチタイムに、せっかくだからとこの地方の名物、キッシュロレーヌを注文したが、10.5ユーロとわりと普通。

本場のキッシュ・ロレーヌ。

バターや生クリームたっぷりのキッシュにサラダとパンがついてくるので、女の腹ならこれで十分。

食後のエスプレッソは3.6ユーロ。ナンシー名物のマカロンとベルガモットのキャンディー、チョコレート付き。

ベル・エポックのナンシーに迷い込んだような体験ができてこの値段なら文句なし。ナンシーに来たならぜひ一度は行ってほしいブラッセリーだ。

Brasserie L’Excelsior  https://www.excelsior-nancy.fr/
Google Mapはこちら 

2.ジェナン穀物商店

エクセルシオールからも歩いてすぐの有名アール・ヌーヴォースポット。1900年から1901年にかけて作られた歴史的建造物で、設計はアンリ・ギュットン、ステンドグラスはナンシー派(エコール・ド・ナンシー)の巨匠、ガラス工芸家のジャック・グリューベルが手掛けたもの。

Commanditaire Jules Génin Goole Map

3.スターバックス・ナンシー

1912年築のアール・ヌーヴォー様式の建物内にあるスタバ。もとは新聞「L’Est Républicain」の本社があった場所だとか。建築はアールヌーヴォーだが内部は普通なので、外観だけ眺めるのでOK。

Starbucks Nancy Est Republicain Google Map

4.ヴァクスレール百貨店跡

1899年から1901年にかけて、建築家シャルル・アンドレと息子のエミールによって建てられた百貨店跡。

l’ancien magasin Vaxelaire Google Map

5.LCL 旧クレディ・リヨネ銀行

1901年に完成した建物で、ジャック・グリュベールによる長さ23m、幅8mの天井のステンドグラスが見どころ。今も普通に銀行として営業しているので、内部を見たいなら平日の営業時間内に。

外観はこんな感じ。

LCL Banque et assurance Google Map

6. 商工会議所の入口

アール・ヌーヴォーの工芸家のグループ「エコール・ド・ナンシー」の芸術家たちが参加して作られたアール・ヌーヴォー建築。特にその優美なファサードが見学ポイント。

Chambre de Commerce et Société industrielle de l’Est  Google Map

7.ナンシー美術館

世界遺産、スタニスラス広場に面する美術館。中世から現代まで豊富な絵画のコレクションを展示しているが、アール・ヌーヴォー的見どころは、地下のドーム兄弟による圧巻のガラス工芸品コレクション。フランス最大の(ということはつまり世界最大)の900点ものドーム コレクションを誇り、展示総数は約300点!

地下展示室がまるごとドーム兄弟エリア!
年代ごとに展示されており、アール・ヌーヴォーからアール・デコへ。流行の移り変わりも目撃できる。

薄暗い照明のもとで美しい光を放つガラスの数々は、ひたすら美しく、ため息の連続。なにか一つでも買って帰りたいな、と美術館の帰りにアンティークショップに立ち寄ってみたけれど、思い出のために買うには高価すぎて断念。この美術館の空間を脳裏にやきつけておこう…。

・ナンシー派美術館周辺エリアのアール・ヌーヴォースポット

旧市街からは少し離れているけれど、ナンシーでアール・ヌーヴォーを堪能したいなら絶対に外せないのがナンシー派美術館。そこまで足を運ぶなら頑張って一緒にめぐってほしい2つの名所とは? 結構歩くけど、歩けないほどじゃない距離なので頑張ってめぐってみて!

1. マジョレル邸

ナンシー駅から旧市街と反対側に、線路を超えて歩いて約20分で到着するのがこちらの優美な邸宅。アンリ・ソヴァージュによる設計で1902年築、ナンシー派の家具デザイナー、ルイ・マジョレルの自宅兼アトリエだった建物で、現在はミュージアムとして一般公開されている。内部等の詳細レポートはこちらから!

Villa Majorelle Google Map

公式サイト

2 ナンシー派美術館

マジョレル邸から歩いて約10分、ナンシー派美術館はアール・ヌーヴォーに特化した世界でも稀なミュージアム。ナンシー派の美術館としては世界唯一。

ナンシー派のコレクターだったウジェーヌ・コルバンの邸宅跡を利用し、エミール・ガレを筆頭に、家具やガラスなど多くの工芸作品を展示している。内部等の詳細なレポートはこちらから!

Musée de l’Ecole de Nancy Google Map

公式サイト

3 ラング邸、マルグリット邸、グリシーヌ邸などコロネル・ルナール通りのアール・ヌーヴォー邸宅群

ナンシー派美術館から徒歩20分ほど頑張って歩くと、なぜかアール・ヌーヴォー様式の豪邸が密集しているコロネル・ルナール通りにたどり着く。今も現役で使われているお屋敷なので内部見学はできないが、外壁などに建築家の名前や建築年が記されているので、外から鑑賞するのは観光局的にOKということなんだろう。

グリシーヌ邸
マルグリット邸
ロシェ邸
ラング邸

とまぁこんな感じで、いわば1900年代初頭生まれのお屋敷街。

1871年、普仏戦争でプロイセンに敗れたフランスは、アルザス・ロレーヌ地方をドイツに割譲。フランス領として残ったナンシーには、ドイツに併合されるのを嫌った人々(主に多くの資産家)がそれらの地方から大挙して移り住み、ナンシーの人口は急速に膨れ上がったとか。

1900年はじめに花開いたナンシーのアール・ヌーヴォーは、そうした彼らの資金力も大いに貢献したはずだ。おそらく当時の資産家たちが暮らしたでろう優雅な住宅街を歩いていると、戦争の副産物として花開いたナンシーの黄金時代のきらびやかさを肌で感じることができるのだ。

Rue Colonel Renard Google Map ※Villa Lang(ラング邸)を目指していくとわかりやすい。

…と、ものすごく長い記事になってしまったが、基本的に上記すべてを徒歩で巡っても1日あればOK。旧市街はカフェや店がたくさんあるが、ナンシー派美術館付近はわりとガチな住宅街で、店も少なめ。水分補給など困るケースもあると思うので、駅前等で入手していくのがいいですよ。

<ナンシーへのアクセス>
・パリからTGVで約1時間半
・隣国ルクセンブルクから普通列車で約1時間半

飛行機の場合、ルクセンブルク空港か、メス・ナンシー・ロレーヌ地方空港が最寄りとなる。ルクセンブルク空港のほうがヨーロッパ各都市からのアクセス至便。さらに詳しく。

<関連記事>

まるでアール・ヌーヴォー専門のショールーム、「ナンシー派美術館」で未来のインテリアを夢想する
フランス・ナンシーのアール・ヌーヴォーな邸宅「マジョレル邸」に行ってきた
アール・ヌーヴォーの都、ナンシーを旅するなら土日がおすすめの理由
お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」
まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会
チェコ、プラハのキュビズム建築めぐり

The post フランス・ロレーヌ地方、ナンシーでアールヌーヴォー名所めぐり appeared first on トリッププランナー.

]]>
お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」 https://tripplanner.jp/topics/2628 Sun, 23 Sep 2018 21:01:27 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2628 日本で”アール・ヌーヴォー”というと、パリで活躍したミュシャの絵とか、エミール・ガレの…

The post お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」 appeared first on トリッププランナー.

]]>
日本で”アール・ヌーヴォー”というと、パリで活躍したミュシャの絵とか、エミール・ガレのランプとか、ルネ・ラリックのガラス工芸とか、フランスの香りがするロマンティックで華麗な何かを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。はい、私もそうでした。

Wikipediaの説明文にも冒頭に「花や植物などの有機的なモチーフ」などと書かれていますしね。

実際、パリに行けばご覧のような、想像していたとおりのアール・ヌーヴォー空間が今もカフェやレストランとして現役で活躍しています。

こちらは、パリの地下鉄のエントランスなどで知られるエクトール・ギマールによる「カステル・ベランジェ」。パリで最初のアール・ヌーヴォー建築と言われているとか。ロマンティックな佇まいで今見てもすてきですねぇ……(※建築当初はものすごく批判されたみたいですけど)。

でも。

何度かヨーロッパに足を運ぶうちに、少女の頃の夢みたいな華麗な空間だけがアール・ヌーヴォーではないのだ、と気づき始めます。

たとえば、パリのアール・ヌーヴォーにだって、こんな変化球が。


取っ手がトカゲという、子どもが泣きそうなドアの真上に女の生首!   趣味が悪い…とさえ感じてしまいますが、これ、実はパリの名建築のひとつ。ギマールと並び、アール・ヌーヴォー建築家として著名なジュール・ラヴィロットによる1901年の代表作「ラップ通りの集合住宅」の入り口なんです。

でもまぁ、ちょっとズレてはいるものの、まだ私の中の「アール・ヌーヴォー」観を覆すほどではありません。

それが、ウィーンに来るとこうなります。

植物のような、曲線で有機的な……みたいな概念からずいぶん離れてきました。こちらも建築的には名作中の名作、ウィーンを代表する建築家オットー・ワーグナーによるアム・シュタインホーフ教会。ちなみにドイツ圏では、「アール・ヌーヴォー」ではなく「ユーゲント・シュティール」といいます。

さぁ、どんどん行きましょう。次はベルリン

もう植物のような曲線美とかほとんどなくなってますね。むしろ四角い。ええと、アール・ヌーヴォーとは……。

お次はフィンランドの首都、ヘルシンキ

こちらも名建築、フィンランドの国民的建築家エリエル・サーリネンによる「ヘルシンキ中央駅」。特にちょうちょやお花などは舞っていませんが、立派なアール・ヌーヴォー建築です。

ヘルシンキにはこのほか、(たぶん)無名の建築家によるアール・ヌーヴォー建築がたくさん残っていて、個人的には結構ファン。北欧雑貨を思わせる、かわいいものが多いんですよねぇ(萌え♡)。

「フィンランドのアール・ヌーヴォー」という本が出たら絶対買うのに、といつも思っているのですが、全然出ないみたいで、アール・ヌーヴォー界では、フィンランドの知名度はいまひとつなのかもしれません。

最後に、私がヨーロッパで一番驚いたアール・ヌーヴォー建築をご紹介します。それはバルト三国、ラトビアの首都、リガにある「アール・ヌーヴォー建築群」です。

どーん!

え? 怖い!?

いえいえ、こちらも名作中の名作で、設計を手がけたのは世界的に有名な……映画監督のお父さんです!

『戦艦ポチョムキン』などで知られ、モンタージュ理論を確立したことで映画史にその名を残すセルゲイ・エイゼンシュテインの父は建築家のミハイル・エイゼンシュテイン。世界的な映画監督の父親の感性も、やっぱり半端なかったのですね。

そんな彼の一風変わった建物を含む、リガ独特のアール・ヌーヴォー建築が街の一角を埋め尽くすという空前絶後の不思議スポット。もう冒頭でご紹介したパリのアール・ヌーヴォーが思い出せなくなるほど、私達は遠くへ来てしまったようです。

知れば知るほど、アール・ヌーヴォーがよくわからなくなりますが、言葉の意味としては、フランス語で「新しい芸術」ぐらいなんですよね。ヨーロッパ各地で好き放題(?)やって全然足並み揃ってなくても、これでいいのかもしれません。

ヨーロッパで楽しむ、国ごとに特色のあるアール・ヌーヴォー建築ウォッチング。個人的にはとってもおすすめなアクティビティの一つですよ。

The post お国によってこんなに違う! ヨーロッパの「アール・ヌーヴォー建築」 appeared first on トリッププランナー.

]]>
まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会 https://tripplanner.jp/topics/2227 Wed, 27 Sep 2017 02:59:01 +0000 https://jp.tripplanner.jp/?p=2227 オーストリア、ウィーン郊外にある建築家オットー・ワーグナーの最高傑作の一つとされるアム・シュタインホーフ教会。…

The post まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会 appeared first on トリッププランナー.

]]>
オーストリア、ウィーン郊外にある建築家オットー・ワーグナーの最高傑作の一つとされるアム・シュタインホーフ教会。当時一流の芸術家や職人が参加した、まるごとアートな教会の、圧倒的な美しさをたくさんの写真とともにご紹介。どこよりも詳しい行き方付き徹底ガイドです!

「運命の神の美しき皮肉ではなかろうか。ウィーンで最初の分離派様式のまともな建物が、まともじゃない人々のために建てられただなんて」

1907年に完成したアム・シュタインホーフ教会を見て、あるオーストリアの州議員はそう言ったという。まるで映画の台詞みたいなエモーショナルな感想ではないか。

しかし110年後にこの地を訪れた私も、似たような、感傷的な気持ちを抱いた。それはこの教会の特異ななりたちに関係しているのかもしれない。

ウィーン郊外の森の中にあるこの教会の正式名称は「聖レオポルト教会」、アム・シュタインホーフ精神病院付属の礼拝堂である。

1.4キロ平方メートルという広大な敷地内に複数の白い病棟が並ぶこの病院は、20世紀初頭に作られ、約2,000名の患者を収容する当時ヨーロッパでは最大最新の精神病院。その起工式にはハプスブルク皇帝フランツ・ヨゼフも出席するほどの力の入ったプロジェクトだった。

なだらかな丘陵地帯の森の中に突如現れた「白い街」、その最も高い場所にそびえる個性的すぎる教会は、病院の中にある礼拝堂にしてはあまりにも華麗すぎるため、訪れるものに何か壮大の物語の中に巻き込まれたような感覚を与えている。

その印象から、冒頭で紹介したようなセンチメンタルな感慨が生まれたのだろう。

◎  20世紀初頭は議論の的となった「問題作」は今やワーグナーの代表作に。

建設当初は「インドのマハラジャの墓所のようだ」などともいわれ議論の的となったというこの教会も、今ではウィーンを代表する名建築の一つであり、近代建築の巨匠オットー・ワーグナーが手がけた中で最も美しいと評価されているマスターピース。

19世紀末のウィーンの都市計画を牽引したワーグナーが手がけたユーゲント・シュティール(アール・ヌーヴォー)の建築は美しい駅舎をはじめ、ウィーン旧市街でいくつも見ることが出来る。

オットー・ワーグナー・パビリオン・カールスプラッツ / OTTO WAGNER PAVILLON KARLSPLATZ
オットー・ワーグナー・パビリオン・カールスプラッツ / OTTO WAGNER PAVILLON KARLSPLATZ。近代建築の父、ウィーンを代表する巨匠、ワーグナーの設計で1898-99年に完成した駅舎で、今はワーグナーに関する資料を展示する博物館。美しい駅舎のインテリアを楽しみながら、ワーグナーが手がけた建築の模型や、各種資料を見学できます。

しかし、ここは多少の不便を押してでも訪れる価値がある、まるでアートのような、というか、実際まるごとアートな教会なのだ。

建築を彩る各種彫刻、椅子などの家具、ステンドグラス、祭壇画などを手がけたのは当時一流の職人や芸術家たち。
ウィーン美術アカデミーの教授だったオットー・ワーグナーの面目躍如ともいえるすさまじいプロデュース力に恐れ入るしかない、有名アーティストたちの夢の競演。
迫り来るハプスブルク帝国の崩壊の前に、まるで爆発するように一瞬きらめいた世紀末ウィーンの美。

たとえば、教会の正面で祈りを捧げているかに見える、黄金の翼を持つ天使像を手がけたのはウィーン分離派のオトマー・シムコヴィッツ。ウィーン中心部にあるワーグナーが手がけた有名な世紀末建築メダイオンハウスや郵便貯金局の屋上にある女性像も手がけている建築彫刻家だ。

天使の像の後ろにポンポンと打たれている丸い点は、ワーグナー建築ではおなじみの手法となっているリベット(頭が丸い鋲)。鉄板を留めるように鋲で固定された大理石の表情がとても個性的でおしゃれ。

黄金のドーム屋根の前で人々を見下ろすのは、オーストリアの保護聖人である聖レオポルトと、起源400年頃ドナウ地方の伝道者だったという聖セヴェリンというウィーンにゆかりのある二人。

やさしげな天使像の上にそびえる二つの像は、優美にふれがちな教会の印象をきりりと引き締め、男性的な力強さを添えている。


ちょっと日本の城の石垣を思わせる石の壁、ねじの形の銅製の柱、白い大理石にうがたれた鋲など、教会の外観は天使の像を除けばどちらかといえば力強くハードな印象で、威厳があるとさえ言っていい。けれど、この扉を開けると、驚くほどがらりと印象が変わるのだ。

さぁ、ワーグナー劇場へ足を踏み入れてみよう。

◎  ウィーン分離派の美に溢れた、奇跡のようなアール・ヌーヴォー教会

堂内に足を踏み入れると目の前にぱっと広がるのは、光り溢れる白と金の世界。

あまりの美しさに多くの人が声をもらす。もちろん私だってもらす。
外と内の印象の差がドラマティックすぎる!

金色に輝く繊細で優美な装飾や照明、透明感のある白い大理石の壁、優しく包み込むような神々の姿。光り溢れる祈りの場は、世紀末ウィーンの芸術家たちの夢の跡。


まるで天国へ足を踏み入れたよう。けれど手放しに楽園にきたとは喜べない、どこかアンニュイな美はウィーンならでは。

華麗で装飾過多になりがちなアールヌーヴォーに、モダンな印象を添えているのが幾何学模様の壁や天井。重厚と軽妙のバランスが素晴らしい。

参加している芸術家の中でも特に有名なアーティストが、ステンドグラスを手がけたコロマン・モーザー。
ヨーゼフ・ホフマンらとウィーン工房を設立したデザイナーで、ヨーロッパでは有名な、ワーグナーが最も信頼していた芸術家のひとり。
日本でも2016年に銀座のギャラリーで作品展が開催されるなど注目を集めている。

両脇の祭壇の上の壁画は、ウィーン分離派の画家ルドルフ・イェットマーが手がけている。

教会の入り口の上にあるのはオルガン職人スボボダが手がけたパイプオルガン。こちらも極めて珍しいアール・ヌーヴォー・スタイルのオルガンである。

全てが徹底的にアール・ヌーヴォーな堂内は、個性が強い作品が集まっているのにもかかわらず見事に調和している。その耽美な美しさはあまりにも完璧でちょっと辛いほど。

そんな研ぎすまされた空間に暖かみを添え、ほっとさせてくれるのが、ウィーン工房がオリジナルで作ったという素朴な佇まいの木製の椅子。角が丸いのは、病人たちがぶつかってけがをしないためだとか。

アム・シュタインホーフ教会の内部は通常非公開だが、毎週土曜日の15時からガイドツアー(ドイツ語のみ、約1時間=大人8ユーロ)を行っており、その後も16-17時まで開館していて(ガイドツアー後に入る場合は入館料2ユーロ)見学が可能。日曜も12-16時まで開館(入館料2ユーロ)、16時からガイドツアー(ドイツ語のみ、約1時間=大人8ユーロ)を行っている(2017年夏時点)。

私は張り切りすぎてドイツ語のガイドツアーにまで参加してしまったが、正直何を言っているのかわからず、人々が注目する視線の先を見て、「あ、あそこが重要なんだな」と推測するくらいだった。約1時間、じっとそれを聞いているのが辛い人は、入館だけでもいいように思う。

入り口で売っている公式ガイド本には日本語バージョンもあるので、それを購入して見学するとより理解が深まっておすすめ。

◎ どこよりも詳しいアム・シュタインホーフ教会への行き方

それでは最後に、どこよりも詳しいウィーン中心部からアム・シュタインホーフ教会までの行き方を伝授しましょう。たっぷりの写真付きで図解しているので迷わずたどり着けるはず。

まず、地下鉄U4で「Volkstheater(フォルクス劇場)」駅に向かいます。

上の写真がフォルクス劇場。この入り口の隣にある小さな公園の横にバス乗り場があります。下の彫刻が目印。写真左端に「H」という文字が見えますよね? そこが乗り場です。

あまりにも小さくて目立たないバス停なので、拡大版はこちら↓。48Aに乗ります。

時刻表を見るとびっくりするぐらい本数が出ているので乗り遅れてもご安心を。下の写真で赤い矢印でチェックを入れいるOtto-Wagner-Spitalが降りるバス停。

バスの中はこんな感じ。正面モニターで次の駅がどこか表示されているのでとてもわかりやすく、言葉がわからなくても大丈夫。約30分で到着します。

バス停を降りたら、下の写真左のゲートを入って左に進みます。下の写真右のような案内板があるので、Kircheのほうへ進み、約5分ほど丘を登れば到着。なだらかな丘陵地帯にあるので眺めも最高です。

帰りは道路を渡ってすぐのところにバス停があります。

 

またフォルクス劇場まで乗って地下鉄で帰るもよし、終点までいけばトラムにも乗り換えOK。

注意事項としては、病院周囲にはスーパーマーケットはおろかカフェ等も何もないので、飲み物を街の中心部で買っていったほうがいいことかな。けっこう坂を上るし喉が渇きます。

 

2018年はオットーワーグナーが亡くなってからちょうど100年。奇しくもクリムト、シーレ、コロマン・モーザーらウィーンを代表する芸術家たちも同年にこの世を去った。オーストリア=ハンガリー帝国の崩壊とともに一斉に消えたウィーン美術界のスターたち。なんだかすべてが出来すぎた小説みたいだ。そんな歴史を思うと、いっそうアム・シュタインホーフ教会の美しさが胸に迫る。

2018年は火花のように散ったアーティストたちのメモリアルイヤー。イベント等ももりだくさんのようなので、きっとアートファンがハプスブルク家ゆかりの古都に集まる一年になるはずだ。

アム・シュタインホーフ教会

参考文献:『アム・シュタインホーフ教会』(Psychiartisches Krankenhaus der Stadt Wien, 1998、※教会内で販売されている公式ガイド本)

<取材協力>
オーストリア大使館商務部
この記事はウィーン商工会議所(ウィーンプロダクツ主催のプレストリップ参加時に、個人的に訪れて執筆しました。

The post まるでアール・ヌーヴォー美術館。巨匠オットー・ワーグナーの最高傑作、ウィーンの森にあるアム・シュタインホーフ教会 appeared first on トリッププランナー.

]]>