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名古屋城本丸御殿
Vol.30

400年前のお殿様が見た美が蘇る、名古屋城本丸御殿は今訪れるべき最高のアートスポットだっ!

みきP

Sumally

名古屋城は金のシャチホコだけではありません。今進行中の「日本の美」の壮大な復元プロジェクトをたっぷりの写真付きでリポートします! ちなみに今、名古屋はまちを舞台にあちこちで伝統芸能などのイベントを実施する「やっとかめ文化祭」も開催中(2014年10月31日〜11月24日)。歴史と日本文化に興味があるなら、いま、名古屋は訪れるべき場所なのです。

観光地におけるお城というのは、一部のマニア以外にとっては「まぁ名所だし一度は見ておくか」ぐらいなものだったりする。

かくいう私も、江戸時代に建てられた天守が現存する(日本に12カ所しかありません)など、特別な理由があるときは熱心に見物するけれど、それ以外は「その町の歴史博物館」としてとりあえず押さえる、といったぼんやりした気持ちで行く場合が多い。

名古屋おもてなし武将隊
名古屋城は観光客誘致の為に「名古屋おもてなし武将隊」がいてちょっと楽しい。ちなみにこちらは加賀百万石を築いた前田利家公でございます。

その点で、金のシャチホコで有名な名古屋城も同じであった。どうせ戦後に再建されたコンクリートのお城でしょ、と、正直それほど興味の対象ではなく、これまで何度も名古屋を訪れておきながら一度も中に入ったことがなかったのだ。

ああ、ごめんなさい!!!

帰ってきたばかりでまだ余韻に浸っているだけに、やや感情が高ぶっているが、ここはもう、今絶対に見に行くべき空前のアートスポットですよ。歴史に興味がない人でも、美しいもの、手仕事、建築が好きなら絶対感動するはず!

みなさんはいま、名古屋城で工期10年、総事業費約150億円をかけた壮大なプロジェクトが進行しているのをご存知でしょうか。

実はこの名古屋城、戦前、世界遺産・姫路城に先立ち1930年に国宝第一号に認定された、江戸時代の天守や本丸御殿がそのまま残る日本を代表する美しいお城でした。しかしその貴重な城郭建築は終戦の三ヶ月前に空襲により全焼し、その後、日本に数多くあるコンクリートで再建されたお城の一つとなってしまったのです。

在りし日の名古屋城
名古屋城の在りし日の姿。

しかし国宝に指定されていたことが救いとなりました。数多くの設計図、写真が残されていたことに加え、ふすまなど外に持ち運ぶことが可能だった調度品の多くが戦争中に疎開によって消失を免れたため、完全に復元できるデータが揃っていたのです。今回、その豊富な資料や実物の文化財をもとに、本丸御殿を建築当初の材料と工法で完璧に復元し、蘇らせるプロジェクトが発足、狩野派の絵師たちによる絢爛な障壁画も、顕微鏡やコンピュータを用いてミクロ単位の研究され、極限まで忠実に再現されています。

名古屋城本丸御殿
これが当時の姿に復元された本丸御殿。薄さ3ミリ程度の板を一枚ずつ竹釘で打ち付け重ねて作られる超絶に手間のかかる屋根の曲線が見事。

真新しい本丸御殿は、檜の清らかな白さがまぶしいほど。遠くまで濃厚に漂う檜の香りに、ああ、新築の檜の御殿というのはこれほどに強烈に香るものか、と、視覚で捉えた外観の美しさに加え、嗅覚でもその豪華さを実感。これだけは現地に足を運ばないと鑑賞できない五感で味わう日本の美。御殿が完成した1615年の尾張の殿様や家臣たちの感動するさま、訪れた客人たちが圧倒される様子が目に浮かぶよう。

名古屋城本丸御殿
名古屋城御殿玄関一之間。有名な竹林豹虎図。本物は重要文化財に指定されています。

戦国時代は強そうだった虎も、太平の世は親子で描かれ、ちょっとほっこり。金色がまぶしく、その色彩のあざやかさ、絵のデザイン性には見とれるばかり。建設当時に使われた絵の具等を用いて忠実に再現された襖絵は、今観ても超絶にあざやかできらびやか。金色だけはなかなか画面で再現できないので、ぜひ現地でその美しさに圧倒されてみてください。

名古屋城本丸御殿
名古屋城御殿玄関二之間。
名古屋城本丸御殿
来客の家臣が控えた部屋約39畳の名古屋城御殿玄関三之間。障壁画には高貴な生き物と考えられていたジャコウネコが描かれています。
名古屋城本丸御殿
名古屋城本丸御殿
奥にお殿様が座る上段の間があり、建物の中で最高級のお部屋である表書院一之間。世が世なら全く縁のない場所ですね。ただただ、美しいです。

ちなみに武家諸法度により新規にお城を作ることが禁じられたのが1615年。江戸時代初期の日本人ですらほとんど目にすることが出来なかった「ま新しいお城」を、21世紀の自分が見ることができるなんて!と思うとさらに感動。

今回復元された襖絵や障壁画の多くは現存していて、かわりばんこに名古屋城の中で展示されています。そちらも合わせて見てみたのですが、正直昔のものなので、色もはげ、古びていて、復元された襖絵を見たあとではかすんでみえたほど。

名古屋城本丸御殿

これは当時の狩野派の絵師たちが描いたすごく価値の高いものなんだぞー、という情報を加算しないとなかなか感激するにいたらない本物と、描かれた当時の美しさを精密に再現した復元と、どちらが同時代にそれを目の当たりにした人々の感動を追体験できるという点で本物だろう? と思うと、やっぱり復元なんじゃないかと思いました。

名古屋城本丸御殿
月・水・金・土・日曜日は復元工事の見学も可能。竹の釘をつかって屋根を葺く職人さんたちの精緻な作業はただ見とれてしまう素晴らしさ。

「今はまだ新しいけれどこれからまた新たな歴史を刻んで、大切な文化遺産になっていくのです」という名古屋城のスタッフの方の言葉に、数百年先まで残る日本の宝を今から作るのだ、という壮大なビジョンと夢を感じ、心からその志の高さに感動。

ワルシャワの歴史地区は、第二次大戦の空襲で全焼した後、壮絶な努力と願いで元通りに復元したことから「本物」でなくとも世界遺産に認定された。

名古屋城も、その奇跡を起こせるのではないか、とその圧倒的な美を前に強く感じたのであります。

(2014年11月4日 みきP)

名古屋城本丸御殿

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