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旅やおでかけの達人インタビューや、おすすめの旅先レポートなどをお伝えする特集コーナーです。
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吉田晃子さん
Vol.3

仕事で旅すればするほど、仕事以外でもっと旅をしたくなる

新潮社『芸術新潮』編集部 吉田晃子さん

Profile

大手電機メーカー勤務を経て新潮社入社。ネイチャー誌『SINRA』、書籍部門、日本最古の旅行誌『』を経て、現在は1950年に創刊された伝統あるアート誌『芸術新潮』編集部所属。香港とビールが大好き。静岡県浜松市出身。

−−吉田さんは『旅』編集部に約5年いたということもあって、さぞかし国内外をたくさん旅されていると思いますが、これまで大体何カ国くらいを訪れたのですか?

約30カ国くらいですね。

−−すごい! やっぱり旅雑誌の編集者はいいですね〜。

いえ、実は半分以上は個人的に行っているんですよ。

−−えっ、そうなんですか。旅雑誌の編集者って、普段あちこち行かれているからオフの時はゆっくりしたいものだとばっかり思ってました。

目的地に向かうはずが気になる路地をのぞきたくなる、あるいは郷土料理を食べようと予定していたのにビアパブに魅かれて心変わりとか、旅では気の赴くままに行動するのが楽しいですよね。
でも取材だとスケジュールがびっしりで寄り道は無理。プライベートな時間は夕食後にちょっとあるんですが、飲みに行く以外にやることもないし、翌日は早朝から取材だし。むしろ仕事で旅をすればするほど、自分の時間が欲しくなってくる。
だから、まとまった休みが取れるとヨーロッパに年に1回ぐらい行って、年に3回ぐらいは週末アジアへ、という感じで、芸術新潮に異動する前はわりとプライベートでもあちこち行ってましたね。今の編集部は、入稿スケジュール的に長期休暇が取りにくく、必然的にアジアばっかり行くようになってしまいました。

旅編集部時代
「旅」編集部時代のスナップ
−−アジアはどこらへんが好きなんですか?

実はほぼ香港で、もう20回以上は行っています。見るべきところは全部見てしまっているので、基本的に行っても飲んでるだけなんですけど。

−−飲むだけなら都内でもいい気がしますが(笑)、あえて香港に飲みに行く理由は?

やっぱり海外に行くとたとえ飛行機で数時間の場所でも解放されるからかな。加えて、食べ物も美味しいし、街がものすごく小さくて、徒歩圏内に、秋葉原と銀座と青山と六本木があるといったところなので、動き回るのも楽だし。
最近は、「吉田は担当する特集が校了したら香港に行く人だ」というイメージを編集部内で広めようとたくらんでいたりします。それが成功したら、次は「たまにヨーロッパにも行くよね」と思わせて休暇を少しずつ延ばしたい(笑)。

−−これまでで忘れがたい旅先やエピソードなどはありますか。

真冬に行った北海道のタウシュベツ橋梁はすごく印象深かったですね。これは、ダムに沈んだ国鉄時代の鉄道橋で、見る時期によって湖に沈んだり再び姿を現したりして、幻の橋と呼ばれているんです。本当に幻想的な風景なのに、その近くでおじさんが呑気にワカサギを釣っていたり、そのゆるい組み合わせも含めてとても感動的でした。

タウシュベツ
−−ここは観光サイトを見ると夏も素敵そうですね。他に何か思い出深い旅はありますか?

数年前のゴールデンウィーク時期に、航空券が安いという理由だけで突然行ったイギリスは、宿も決めず、何もかも行き当たりばったりですごく効率が悪かったのですが、そのちんたらした旅が案外楽しかったですね。大人になると休みを効率的に消化しようとするので、学生に戻ったみたいで新鮮だったのかもしれません。

コッツウォルズ
行き当たりばったりの旅で訪れたコッツウォルズの町
−−特にふだん取材で旅をされていると、いかに効率的に回るかが勝負だと思うので、プライベートでは思いっきり非効率に旅してみたい、というのは何だかわかる気がします。ちなみに、公私ともに旅に行くことが多い吉田さんが、読者向けに旅のコツを伝授するとしたら?

うーん、基本的なことですが、やっぱり現地の人に聞いた情報が一番正しい、ということでしょうか。ガイドブックだとどのレストランも美味しそうに書いてあるので、一つを選ぶのが難しいじゃないですか。そういう時に、ホテルの人など現地の人に「どれがいい?」と聞いてから行くと大抵外しません。

−−そこだけは、どんなに便利になっても変わらない旅のTipsなんでしょうね。最後に、今後行ってみたい場所やテーマは?

宮田珠己さんの『四次元温泉日記』に載っている宿をひとつずつ潰していきたいですね。ひなびた温泉と迷宮みたいな宿の組み合わせにとても心惹かれます。

−−私もあの本を読んで旅情を募らせていたところです。ぜひ今度ご一緒しましょう!

四万温泉
『四次元温泉日記』にも掲載されていた温泉宿、四万温泉

吉田晃子さんのマイページ | トリッププランナー

個人的な話になるが、卒業論文が「トーマスクックとパッケージツアー」であり、旅が大好きだった私にとって、旅雑誌の編集者というのは、長い間憧れの職業ナンバーワンであった。その叶わなかった夢をこじらせて、ついには会社を辞めて旅行サイトをオープンしたりしている。
しかし、吉田さんのインタビューを終えて、「旅雑誌編集者もそれなりに辛い」というのがよくわかり、妄想で勝手に憧れてごめんなさい、という気持ちになった。どんなに地下マニアでパリでは絶対に下水道博物館に行くのだ、と思っている人であっても、取材ではカフェやニューオープンのレストランや雑貨店を回ることしか許されないのだ。当たり前だが仕事とはそういうものなのだ。だからこそ、プライベートで思いっきり自分のやりたいように、非効率に、だらだらと旅をされている姿は何とも微笑ましかった。
吉田さん、今度はスタイルも宮田珠己さん流に、昼は勝手に動いて夜だけ集合という気楽な旅をご一緒しましょうねっ。(取材・文=野口美樹)

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