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はづ木
Vol.61

奥三河、湯谷温泉の小さな温泉宿「はづ木」が素敵すぎたのでかなり長文で語ってみる

トリッププランナー編集部 みきP

About  はづ木

奥三河、湯谷温泉の渓谷に佇む純木造数寄屋造りの宿。清流・板敷川の眺めを全部屋から楽しめ、漢方薬膳懐石料理と源泉掛け流しの温泉で身体の中からリラックスできる。

漢方薬膳料理の宿 はづ木

いよいよさわやかな行楽シーズン到来。紅葉に温泉、トレッキングなどやりたいこといっぱい!……なのは、皆同じでありまして、この季節の旅で悩ましいのが混雑。

そこで今回は、とっておきの穴場をご紹介。2016年2月に新東名 豊田東JCT~浜松いなさJCTが開通し、東京から車でわずか2時間半程度で行けるようになった奥三河、湯谷温泉の小さな温泉旅館、はづ木です。南伊豆より近い!

日本百名湯にも選ばれている湯谷温泉は、鳳来寺の開祖、利修仙人により発見されたと伝わる開湯1300年の歴史を持つ古湯。川底が板を敷いたように見えることから、板敷川とも呼ばれる宇連川(うれがわ)沿いの小さな温泉街は天竜奥三河国定公園の一部で、鳳来峡(ほうらいきょう)は紅葉の名所でもあります。

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奥三河の秋の風景(写真提供:はづ木)

関東地方の感覚だと、三河というと名古屋のあたり?などと思ってしまいますが、ここ、奥三河は実は浜松のちょっと先。彦根藩初代藩主であり徳川四天王で有名な井伊直政の養母かつ女領主、井伊直虎を主人公にした来年の大河ドラマの舞台、奥浜名湖も、湯谷温泉からは車で30分くらいなのだそう。奥三河屈指の観光名所の鳳来寺は井伊直政が幼年時代に預けられたゆかりの地でもあります。

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近くにある鳳来寺。徳川家康と井伊直政ゆかりの地。

とはいえ、ここ湯谷温泉は温泉旅館の数も10軒に満たない山間の秘湯。周囲にはコンビニもスーパーマーケットもなく(もちろんイオンもTSUTAYAもなく、B級グルメもゆるキャラもなく)、駅前には素朴な郷土料理を出す茶屋が一軒のみ。あとは山と川と、ほんの少しの宿があるだけ。観光地化され過ぎている温泉地にげんなりし、非日常を求める旅人にとっては、この「何もなさ」が嬉しい。

さらに湯谷温泉が素晴らしいのは、この規模の温泉街には珍しく、驚くほど洗練されたおもてなしを受けられる上質な日本旅館があること。しかも、今となっては高くなりすぎてしまった伊豆や箱根の宿に比べて圧倒的にリーズナブルな宿泊料金です。

今回宿泊したのは、湯谷温泉を訪れる人の半分以上が宿泊するという「はづグループ」が手がける4軒の宿のうち、中国薬膳料理にこだわるはづ木と、築200年の重厚な合掌造りの宿はづ合掌

古民家再生の宿とかウェルネスリゾートといった言葉が流行するずっと前に、このコンセプトで開業したはづグループの先見性とクリエイティビティ!ミュージシャンの忌野清志郎さんが愛した宿としても知られています。

まずは湯谷温泉駅から徒歩約6分、築約70年の純木造数寄屋造りの宿「はづ木」の滞在レポートからお届けします。

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「はづ木」はどの部屋からも清流の眺めを楽しめるわずか5室の小さな宿。日本の美に満ちた建物の中は民芸調のインテリアで統一されていて、木のぬくもりが旅人を温かく迎えてくれます。

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職人の技が光る建具類がいちいち美しい(写真提供:はづ木)

すてきだなと思ったのが、館内に張り紙や観光案内パンフレットといった「余計なもの」がいっさいないこと。サービス精神からか注意書きや地元の観光ポスター等をつい貼ってしまう宿が多い中で、こういう「ふつう」が以外と珍しいのです。

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窓辺のラウンジ。窓の外の川の景色も美しい。

宿に着いたら、眺めのよい窓際のラウンジスペースでウェルカムドリンクをいただきつつチェックイン。薬膳の宿ならでは、健康にこだわるお茶がお菓子とともにサーブされます。

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その後、お部屋に通されると、まず目に飛び込んでくるのはまるで絵のような美しい窓辺の風景。

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日本旅館の風情にホテルのような快適さを備えた宿で、スタッフの方のサービスもさりげなくて良い感じです。

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お茶のセレクトも健康にこだわります。
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薬膳の宿ならではの、身体に良いおやつがテーブルの上に。
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さっぱりとシンプルなインテリア。さりげなく生けられた花もかわいい。
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洗面台には高級ホテルのように充実したアメニティも。ウォッシュレットのトイレもついて快適。

一息ついたら、まずは渓流沿いの露天風呂へ。 はづ木のお風呂は、時間ごとの入れ替え制。宿泊客なら、近くの「はづ別館」と「湯の風HAZU」のお風呂も無料で利用できます。湯めぐりもこの宿での楽しいアクティビティのひとつ。

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脱衣所のカゴも木製。
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風呂桶も椅子も木製。床は板張り。こういうこだわりが素晴らしい。
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川を望む檜の露天風呂。川の音も気持ちよい。
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シャンプーやコンディショナーもセンスの良いセレクトでいい香り。

ほんのり黄色い温泉の泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉で、神経痛や消化器病、冷え性、皮膚病、婦人病などに効能があるとか。

美しい眺めと川の音を聞きながら、心の底からリラックス。

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お湯から上がると、目の前には温泉の湯であたためた五穀茶と、冷たい柚子みつが用意されていました。身体に負担をかけない優しいドリンクでのどの渇きを潤します。こういうさりげない心遣いがうれしいですね。

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夕食は楽しみにしていた中国薬膳料理です。
はづ木の「漢方薬膳懐石料理」は、上海の薬膳料理の名店・新苑賓館と料理提携しているという本格派。漢方薬膳は、中国本土でも滅多に出会えない実は珍しいお料理なのだそう。

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お品書きには13もの料理が並び、一皿ずつできたてが運ばれてくるので、食べ終えるまで1時間半以上かかります。 これも山間の秘湯では珍しい充実ぶり。

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新鮮な中性の前菜。
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紅花入りエビの炒め物。
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黄耆や天麻を浸かった魚の蒸し物。この日は金目鯛。
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ダチョウ肉の醤油煮込み。菊の花を散らしていただきます。

中国薬膳料理というと中華のイメージから、ちょっと脂っこいのなのかな? と思っていましたが、どのお料理も素材の味を生かしたシンプルな味付けで和食に通じるものを感じました。精進料理のルーツが中国というのもうなずけます。

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愛知の酒蔵、関谷醸造の純米大吟醸「美」もいただきました。まろやかで香りの良いお酒。

珍しい漢方食材の効能なのか、食べているそばから血流が良くなってきて、ああ、食べ物って薬なんだな、と実感。日々の適当な食事を振り返り、しばし反省したりもしました。

お料理にはどんな効能があるのか書かれていて、漢方食材のパンフレットもあるので、色々勉強しながらいただくのも楽しかったです。一部食材やお茶などはお土産処で買うこともできます。

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チンゲンサイの炒め物。
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烏骨鶏のスープと漢方トシシ入り炊き込み御飯。
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白キクラゲのデザートにたんぽぽコーヒー。

食事の後は、姉妹感のはづ別館や湯の風HAZUのお風呂をはしごしに行ってもよし、食事中に敷かれた布団でゴロ寝を決め込むのもよし。 美しい景色と温泉とおいしい食事とゴロ寝。これぞ正しい温泉旅行の過ごし方ですね。

さて、翌日の朝ご飯も当然薬膳です。 お食事処の場所を夜とは違った部屋にしてくれ、違う眺めやインテリアを楽しませてくれる心遣いも嬉しい。

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食後のコーヒーはラウンジへ移動していただきます。

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川の音を聞きながらゆるりコーヒーブレイク。ゆったりとした時間が流れます。

玄関の近く、こだわりのお土産コーナーもちょっと覗いてみます。

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愛知県田原市の鈴木養蜂園のハチミツは、完熟してから絞って濾過しただけの天然、無加工のはちみつ。3種ある中で、特にクロガネモチの花から採取した蜜で作られたハチミツが珍しく、お土産に買って帰りました。さらりとした舌触りで甘さも控えめ、樹木のコクが感じられてすごく美味しかったです。パッケージもかわいい。

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お風呂上がりにいただいた柚子みつも買えます。はづオリジナルだったのですね。

さて、チェックアウトする前に、はづグループの若主人で、湯谷温泉エリアの4つの宿を統括する加藤直詳さんにお話を伺うことができました。

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ロンドン留学経験もあり語学に堪能なはづグループ社長室長 加藤直詳さん。

——とても素敵な宿で感激しました。奥三河という土地は正直言って、首都圏ではあまり知名度がないのですが、お客様はどのようにしてこの宿を発見するのでしょうか。

その通りで、首都圏での認知度はまだ低く、お客様の約半分は愛知県内ですね。でも、実は首都圏からいらっしゃるには非常に便利な秘境だと思いますよ。新東名を使えば東京から車で2時間半程度で来れますから。
訪れるお客様のきっかけはほとんどがクチコミです。リピーターが多いのもはづグループの特徴。年代としては30〜40代のお客様が多く、ひとりでのんびり旅をされている方も多いですね。

——中国薬膳料理の宿ということで健康に気を遣って訪れる人も多いのでしょうか。

必ずしもそういうわけでもなく、宿の中でゆっくり過ごしていただくためのリラックスの一環だと思っています。閑散期にはファスティングのプランも提供していて、それは2−30代の健康志向の女性に人気です。

——はづ木ではどのような過ごし方がおすすめですか?

湯谷の魅力は、川と温泉に尽きます。景色を眺めてのんびりと過ごしていただきたいですね。

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宿の裏手を流れる川。

——加藤さんはご留学の経験もあるので、今後は外国からのお客様向けの取り組みなども考えていらっしゃいますか?

海外の方にとっては湯谷温泉や奥三河はメジャーな観光地ではないのですが、体験型の旅を楽しんでいただけるのではと思います。奥三河はお茶の産地でもありますし、酒蔵もありますので、それらを体験していただきたい。 来年は欧米のお客様を対象にウォーキングツアー等を実施しているWalk Japanといっしょにお茶摘みと酒蔵見学を絡めたツアーをやる予定です。

——初めて訪れましたが、奥三河は手つかずの自然が素晴らしいし、不自然な町おこしもしておらず、本当の山里を体感できる場所。滞在型の旅行を好む欧米の人たちに人気が出るのでは、と個人的にも思いました。

川と温泉と山以外に何もないのが良いと感じていただけると思います。湯谷温泉を訪れるお客様の半分ははづグループの宿に宿泊されるので、この地域を盛り上げて行く課題も感じており、2017年早々には、カフェとシェアオフィス、ゲストハウスを備えた複合施設もオープンします。

——駅からすぐに絶景と秘湯を楽しめる湯谷温泉は女性一人旅にもおすすめですね。特に宿のクォリティが高い秘湯は珍しいので、個人的にもぜひリピートしたいと思いました!(加藤さんインタビュー終わり)

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はづ木は、電車と徒歩で簡単にアクセスできる秘湯の宿というの珍しいし、山間の宿でこれほど都会的なサービスを受けられるところも珍しい。何より純数寄屋造りの建物に漢方薬膳料理という組み合わせがユニークです。 必要なものだけがきちんとあるだけのシンプルさには強い哲学と美意識を感じました。

川と温泉だけだと退屈してしまうなら、ちょっと足を伸ばせば、武田勝頼と織田信長・徳川家康の連合軍が戦ったことで有名な長篠の合戦場や、子授け祈願をしたら徳川家康が誕生したと伝わるパワースポット、鳳来寺山などもあります。特に日光・久能山と並ぶ三大東照宮がある鳳来寺山は、眺めも素晴らしいので歴史好きじゃなくても訪れてほしい絶景スポットですよ。

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鳳来寺山の風景。まさに絶景。

次はお隣の駅、飯田線三河槙原駅から徒歩15分の場所にある、はづグループの「はづ合掌」宿泊レポートに続きます!

漢方薬膳料理の宿 はづ木
<アクセス> 
車:東京→(新東名高速 約2時間40分)→新城IC→(R151~飯田・東栄方面へ右折 約11キロ約15分)→湯谷温泉
名古屋IC→(新東名高速 約45分)→新城IC→(R151~飯田・東栄方面へ右折 約11キロ約15分)→ 湯谷温泉
電車:JR飯田線 湯谷温泉駅から徒歩約5分

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