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チェコ、プラハ市民会館にある麗しく力強い「ミュシャの部屋」へ

更新:2017年03月03日
みきP

3月8日から始まる国立新美術館の「ミュシャ展」。アール・ヌーヴォーを代表するアーティストでありデザイナーでもあるアルフォンス・ミュシャの美に触れるなら、彼の祖国チェコにある「まるごとミュシャ」の部屋を訪れてみるのはいかが?

チェコを代表するアール・ヌーヴォー建築の一つ、「プラハ市民会館」。今はコンサートホールなどに利用されているこの建物は、建築された20世紀はじめ、当時一流の画家や彫刻家たちがその内装に参加したことでも知られ、とりわけアール・ヌーヴォーの旗手、アルフォンス・ミュシャ(チェコでは”ムハ”)が手がけた部屋が有名です。

これぞアール・ヌーヴォーな市民会館の外観。建築家オスヴァルド ポリーフカとアントニーン バルシャーネクが共同設計し、1912年に完成。

コンサートに行かないけど中を見たい!という人のためにガイドツアーも実施中。英語とチェコ語のみですが、日本語のプリントももらえたりするので、ぜひ参加してその美を堪能してみましょう。



建物の中はアール・ヌーヴォー好きにはたまらないロマンティック空間。家具、装飾、照明、時計など、どこを見回しても手が込んでいてうっとりです。

建設当時、まだオーストリア=ハンガリー帝国の支配下にあり、チェコ人たちを鼓舞しアイデンティティを目覚めさせるような建築にしたいという願いを込めて作られたというプラハ市民会館。彼らの夢が濃密に詰まったインテリアは、どこも手を抜いてない本気感がすさまじい。

さて、いよいよ有名なミュシャの部屋、正式には「市長ホール」へ入ってみましょう。




まさにまるごとミュシャ! 壁や天井、柱やドア、カーテンや窓などにも徹底してアール・ヌーヴォーなミュシャらしい絵やデザインが施されています。

部屋の印象は深みのあるブルー。ステンドグラスからのやわらかな光も、いっそうこの部屋を幻想的に彩っています。



ミュシャならではの優美なアール・ヌーヴォースタイルの部屋ですが、壁画が描いているのはとても力強いテーマ。天井の丸い壁画は「スラブの団結」を表し、その円を支えるように描かれている8つの人物画は、チェコの歴史上の重要人物たち。壁には「犠牲(過去)」「自信の力(未来)」「男らしさ(現代)」という題の3つの壁画。「男らしさ」……!

各柱に描かれている典型的なミュシャデザインの女性像の上には、歴史上の人物を象徴する言葉がミュシャならではの飾り文字で書かれています。「忠誠」「厳格さ」「独立」「正義」……。フォントは優美だけどこちらのメッセージも実に力強く、当時のプラハの気分を表しています。まさに「チェコ人たちを鼓舞しアイデンティティを目覚めさせるような建築」のためにミュシャが考え抜いたメッセージなのかもしれません。

印象的なステンドグラスもミュシャのアイデアで作られたもの。ソファのある窓辺の席など、彼が活動の場に選んだパリのカフェみたいですね。

絵や彫刻、ステンドグラスやカーテンまでこだわり抜いて作られたこの部屋。さぞかし制作が大変だったと思いますが、なんとミュシャは無償で引き受けたのだそう。長い間祖国を離れて活動していたミュシャは、とりわけ愛国心が強かったことでも知られています。そんな彼の強い願いは、1918年のオーストリア=ハンガリー帝国の崩壊とともに叶えられました。

3月8日から始まる国立新美術館の「ミュシャ展」では、スラブ民族のアイデンティティをテーマにした《スラヴ叙事詩》がチェコ以外では世界ではじめて全20点まとめて公開されるそう。この機会に、チェコで彼が描いた壮大なスラブの物語に触れてみては?(みきP)


すぐ近くにある「キュビスム博物館」もおすすめ!

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