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旅やおでかけの達人インタビューや、おすすめの旅先レポートなどをお伝えする特集コーナーです。
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旅屋さん
Vol.6

運と、出会いと、なりゆきで、OLから文具店主に

旅屋店主 長谷川淳子さん

Profile

新井薬師にある旅を感じる文具雑貨店「旅屋」店主。リフォーム関連の会社員を経て、2010年にショップをオープン。20代はお金を貯めてはヨーロッパで建築や世界遺産などを見て回る日々。ショップでは旅をテーマにした展示会を実施したり、クリエイターとコラボレーションしたオリジナル製品のリリースにも携わる。
http://tabiya-nkn.ocnk.net

——長谷川さんは、長い間普通のOLをしていて、一昨年お店をオープンされたとのことですが、旅をテーマにしたお店をやろうと思った経緯は何だったのでしょうか?

話すとがっかりされるんじゃないかと思うのですが、本当に成り行きなんです。 もともと旅が大好きで、20代は、契約社員やアルバイトをしてお金を貯めては、仕事を辞めて長期で旅行をするということを繰り返していました。

——海外はどのあたりに良く行かれたのですか?

ヨーロッパが中心ですね。インテリアの勉強をしていたので、建物と世界遺産が見たくて。神話も結構好きだったので、パルテノン神殿を訪れた時はすごく感動しました。宗教には興味ないんですが、宗教的な感じにはなぜか惹かれるんです。

海外旅行のスナップ
当時撮影した旅先のスナップ
ワーキングホリデーでオーストラリアに一年間住んだこともあるのですが、その後、外国に住みたいな、と思い始めて、もっとお金を貯めなくてはときちんと就職したんです。結構長い間会社員をやりながら貯金をしていたのですが、いつの間にか、その貯めたお金でお店をやることになって……(笑)。

——移住資金がいつしか開店資金になってしまったわけですね。どれくらいの間お金を貯めていたのですか?

7年くらいでしょうか。その間は海外に2回しか行けなかったので、旅も封印していましたね。

——お店は文具店にしようと決めていたのですか?

そうですね。でも、ただの文房具屋さんだと結構いっぱいあるので、テーマを設けたほうがいいかな、と。それで、旅と文房具という、単に好きなものをくっつけちゃったという。

——文房具さんのノウハウは?

もう、ぜんぜん(笑)。お店もやるのもはじめてだし、接客も苦手で、業界もはじめてで、知り合いも全然いないし、何もかも手探りでした。宣伝方法もわからなかったので、本当にひっそり始めた感じですね。最初は近所の方が立ち寄って下さるだけだったのですが、ちょうどオープンの時期と重なって文房具ブームが始まって、その波に乗れたのがラッキーだったかもしれません。今では、休日はわりと遠くからもお客様が来てくださるようになりました。

——お店がとてもコンセプチュアルだからでしょうね。文具店としては窓が大きくて明るくて、開放的な感じも素敵です。

旅屋店内
実は新井薬師にお店を出すことにしたのも、この物件が気に入ったからなんです。メイン通りからちょっと入ったところにある立地と、間口の広さがとても気に入りました。内装も全部やり直して、その時はリフォーム関係の仕事をしていたノウハウが生かせましたね。
オープン時は周囲にお店があんまりなくて、大丈夫かな……と思っていたのですが、最近は若者向けの雑貨店もまわりに増えてきて、休日は女性のお客様もとても多いです。今後、近辺に大学が3つぐらい開校するらしいので、若いお客様がもっと増えてくれるといいなと思います。

——接客が苦手とおっしゃいましたけれど、最近はいろんな方とコラボしてオリジナル商品の開発をしたり、随時ユニークな展示会を行ったりしていらっしゃいますよね。

接客が苦手とはいえ、やらざるを得ないので、頑張っていろいろお話しするようにしていたら、じゃあ何か一緒にやってみましょうか? と声をかけていただくことも増えて……本当にご縁ですね。
中野は作家さんや職人さんが多い町なので、この旅屋オリジナルの本革製品も、そんな職人さんに声をかけていただいて生まれたんです。正直、安く作りすぎてしまい、売れても売れても利益がないんですが……。

——それはファン作りということで(笑)。でも、なぜ利益のでない商品を?

旅に持って行くものだし、丈夫で、シンプルで、安く、というテーマで作ったらそうなってしまいました。
でも最初に作った手帖の皮カバーが思ったより売れたので、今はいろいろなオリジナル商品を作っています。職人さん一人でやっているので、あまりたくさんは作れないんですけれど。
その後、これもまたご縁で、TVチャンピオンの文具通選手権「準チャンピオン」の佐久間英彰さんが作ったすごい手帳、ジブン手帳の専用革カバーをブング・ジャムの他故壁氏さんが設計してくださって、旅屋とダブルネームで売り出すことになったんです。 今は予約を受け付けているんですが、こちらもすごく反響が大きいですね。

ジブン手帳の専用革カバー
旅屋の本皮製品たち
——接客が苦手でもこんなにいろんなことがプロデュースできるなんて、ある種の人たちにとっては本当に勇気づけられるエピソードですね。

ご縁や、運だけでやってきたというか……。コンセプチュアルにしっかり設計して、計画的に実施するというのには憧れるし、そうやっているように思われることもあるんですが、すごくかっちり用意してこうしよう! というのは疲れちゃうんです……(笑)。

——お店から伝わってくるメッセージの強さとは全然違うのですね。第一印象では、すごくかっちり練られたお店だと感じました。でも、ご縁が舞い込むのも、そんな気負いの無い自然体なお人柄が、相手を安心させるからなんでしょうね。 これからも、いろんな旅のアイテムが生まれるのを楽しみにしています。 今日は貴重なお話をありがとうございました。

長谷川淳子さんのマイページ | トリッププランナー

最初に旅屋を訪れたとき、隙のない商品セレクト、品の良いインテリア、随時開催されているセンスのいい展示会などを見て、「かなり計算し尽くしてオープンしたお店に違いない」と確信し、その熱い開業秘話などを聞き出すつもりで取材を申し込んだのだが、お話してみると、店主の長谷川さんはそんなこちらの妄想とは無縁の、気負いのない、自然体のおっとりとしたかわいらしい女性であった。
人付き合いもネットも苦手で、お店経営のノウハウもなく人脈もないという、マイナスからのスタートといっていい長谷川さんは、今では各種イベントも仕切り、次々とクリエーターとコラボ商品を出し、TwitterやInstagramなどのソーシャルメディアを活用しながらECの売り上げも伸ばしている。
ああ、自分もなんか、ちょっと肩の力を抜こうかな、となんだか勝手に癒されて、帰りは旅屋さんの隣の越路屋で名物揚げまんじゅうを買って、新井薬師をぶらぶらして帰った。ほっこりといい一日だった。(取材・文 野口美樹)

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旅を感じる文具雑貨店「旅屋」

旅屋は2010.09.01に"旅"と"人"をコンセプトにOPENした 文具と雑貨のお店です。
"旅"は人生そのもの。
誰もが常に旅をしています。
想像し、計画し、楽しみ、記録しそして思い出に。

そんな人生の旅をより楽しく、 より豊かにする物たちを集めました。

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