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北欧の田園への旅。バルト三国ラトビアで貴族の館に迷い込む

更新:2017年10月21日
みきP

ちょっとディープな北欧旅のご案内。 バルト三国ラトビアの田園には、クラシカルな木造のマナーハウスが残り、心癒される風景と美味しいランチが楽しめます。首都リガに次ぐ古都ツェースィスから足を伸ばして、18世紀の貴族の館に迷い込んでみませんか。

バルト三国ラトビアといえば、最近はミトンなどの手仕事が日本の雑貨屋さんでも人気で、ハンドメイド好きの女性にはちょっと知られるようになった北欧の小さな国。



まだまだ旅慣れた人向けの旅先のイメージが強いけれど、実は北欧なのに物価がとても安く、フィンランドのヘルシンキから首都のリガまでは飛行機でわずか1時間とアクセスも良く、英語も大抵通じるので、初心者にも十分おすすめの穴場だったりする。

そんなラトビアだけど、今回はちょっとだけ上級者向けの話題。首都リガからバスで約2時間ほどで到着する、古都ツェースィスの近隣に残る貴族の館で過ごす田園旅行のご提案です!

◎ ラトビアの歴史を早回しで知る、18世紀のマナーハウス

ツェースィスから15kmほどの田園の中に佇むウングルムイジャ領主館は、1732年に建てられたラトビアに唯一残るバロック様式の木造建築。かつてはバルト・ドイツ人貴族カンペンハウゼン家が暮らしていたお屋敷で、現在は博物館、レストラン、ホテルとして利用されている。



なぜお屋敷主がドイツ系かといえば、このあたりは13世紀頃から北ドイツを中心としたハンザ同盟に加盟しており、その後ドイツ騎士団の分団であるリヴォニア騎士団の支配下に置かれていた土地だから。




このお屋敷の中で特に貴重だとされているのは、壁一面に残る18世紀に描かれた壁画。素朴なタッチが今見るととてもユニークで、歴史的価値も高い。




二階の踊り場に描かれているのは、一説によるとピョートル一世らしい。なぜドイツ系貴族の館にロシア皇帝の絵があるかといえば、このあたりは18世紀にはすでにロシア支配下。ドイツとロシアの争いに飲み込まれた複雑な歴史を今に伝える目撃者とも言えるアートなのだ。

博物館や本で学ぶといささか難解なバルト三国の歴史も、荘園主のお屋敷という生きた遺産を通してみればじんわりと心に沁みるものがある。この屋敷でひととき過ごすだけで、ラトビア史を早回しで観たような気分。




なお、資料館だけあってカンペンハウゼン家の方々の写真も展示されている。彼らは第二次大戦の独ソ戦を機にこの地を引き上げたそうで、現在子孫はドイツに住んでいる。



個人的にぐっと来たのがメイドさんたちが楽しむ雪合戦の古写真。複雑な歴史に翻弄されつつも、のどかな田園の暮らしを楽しんでいたのだなぁと少しほっこり。

◎ インテリアの参考にしたい北欧カントリーの世界

さて、陰影に富んだラトビアの歴史に思いを馳せるのはこれぐらいにして、せっかくなのでお屋敷めぐりの最大のお楽しみ、インテリアウォッチングを。

かぎ針編みの白いテーブルクロスにクラシックな柄のティーセットの組み合わせがかわいい窓辺のひとこま。



シャンデリアを彩る素敵な天井の装飾。洋館を見学するときはついつい眺めてしまう個人的に好きなパーツだ。



こちらの階段は崩壊寸前? 
真ん中が見事にへこんでいるのは、第二次大戦後、一時期この屋敷が小学校として使われていたころの名残りだそう。子どもたちがどたばたと走り回った記憶までもしっかり刻んでいる歴史の生き証人なのだ。




屋敷の庭にはなんと
35本のご神木があり、冬菩提樹を女性が、柏を男性が抱きしめるとご利益があるとか。自然崇拝など、日本と何かと共通点が多いとされるラトビアならではの信仰だ。



庭の奥に見える小さな建物はティールーム。ラトビアのマナーハウスの特徴的な設備の一つで、夏はここでハーブティーとケーキのセットなどもオーダー可能だそう。私たちが見学したときは既に店じまいしていたので、ひょっとしてお屋敷の窓辺にあったティーセットはこちらから運ばれたものなのかもしれない。

◎ 欧州連合食文化遺産に登録されているレストランで地産地消ランチ

お庭の一角には、この地域の農民の子どもたちの学び舎としてカンペンハウゼン家が提供していたという木造の古い建物も残っており、今はレストランとして利用されている。



このレストランはマナーハウスの料理人がかつて使っていた古いレシピに従って調理した料理にこだわり、欧州連合食文化遺産にも登録されている名物スポット。食材は近隣の農場から仕入れているほか、この地区の森林で採れた野生の果物やキノコなども扱う。肉、乳製品、卵などもすべて地産地消だ。


たとえばこちらは、この地域の特産品であるヤギのチーズ。臭みがなく、油分も少なめでさっぱりと食べやすい。

地元の野菜がたっぷり添えられたチキンソテー。野菜は新鮮そのものだ。

ラトビアの伝統的なデザート、ライ麦パンプディング。コケモモなどのベリーとクリームが入っておりミントが添えられたさわやかなおやつ。
しかし、田舎料理なはずのに盛りつけが美しく本当にフォトジェニック。これはラトビアに限らず、今回旅した北欧の田園のどこでも同じだった。
日本の田舎でいただくような、五平餅とか伊勢うどんみたいな、素朴なルックスの料理にはついに出会えなかった。北欧のおそるべきおしゃれ力……!



インテリアもクラシックでかわいいこちらのレストランは、前菜やデザートは5ユーロ程度、メインも12ユーロぐらいなので、貴族の館にしてはなかなかリーズナブルではないだろうか。

建築だけではなく、食も通してラトビアの歴史を学べるマナーハウス。宿泊も出来るので、ゆっくり滞在して北欧の田園を満喫する旅も良さそうだ。(2017年9月の滞在記:みきP)

ウングルムイジャ領主館

取材協力:CAITOプロジェクト
CAITOプロジェクトとは、バルト海沿岸のフィンランド、エストニア、ラトビアの田園ツーリズム産業を日本をターゲットに促進するプロジェクトです。

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