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神田宗俊さん
Vol.2

語学、感性、そして何よりも体力勝負の日々

マルニ木工 神田宗俊さん

Profile

小売り業界を経験後、住商インテリアインターナショナルでブランド家具の輸入業を担当し、2009年株式会社マルニ木工入社。現在、インターナショナルセールスマネージャー。深澤直人と共同開発した「HIROSHIMA」を始め主力商品を世界中でセールスする傍ら、海外向けのブランディングやコミュニケーション戦略も担当。インテリア業界でのキャリアは15年以上で、これまでに訪れた国は50カ国を超える。

http://www.maruni.com

――マルニ木工は、深澤直人、ジャスパー・モリソン、SANAAなど多くの著名クリエイターとコラボレーションされ、その洗練されたデザインの木製家具は海外でも評価が高いですね。現在、セールス先は何カ国くらいですか?

取引が成立しているのは22カ国ですが、交渉中や過去にアプローチしたところも含めますと50カ国以上行ってますね。メインマーケットは欧米ですが、コロンビアやアルゼンチン、南アフリカなど、あちこちに行っています。

――まさに世界を股にかけている感じですね。ちなみに、海外事業は何人でやってやっていらっしゃるんですか。

一人です。

――ひとり!

単純なセールスだけじゃなく、グローバルなブランディングやコミュニケーション戦略も担当業務ですので、マルニ木工の英語版ページのプロデュースの他、海外向けSNSでの情報発信もしています。

――すごいですね……! ちなみに、年にどれくらい海外出張されているのでしょうか?

1年の3分の1は海外にいる感じですね。
毎年4月にミラノで行われる家具の国際見本市「ミラノサローネ」が業務の軸になっているので、その前後はずっとヨーロッパにこもっている感じです。 一度行くと2ヶ月ぐらい滞在するので、出張回数にするとそれほど多くはないんですが。

ミラノサローネ
世界最大の家具の見本市・ミラノサローネ
——2ヶ月って出張としては長いですね。

もう放浪ですよね(笑)。
出張の時の荷物は50キロくらいになるんですが、ヨーロッパってバリアフリーがあまり浸透してないので、 それを抱えて100段くらい階段を登ったりすることもあります。悪夢のようですが。

——インテリア業界って洗練されたイメージがありましたけど、想像以上にハードですね……。

いまの仕事に必要とされる能力って、語学や感性なども重要ですが、実は体力勝負なところもあって、体も鍛えないといけないんですよ。 私もずっとジムでトレーニングしていますし、出張先ではジョギングも欠かせません。

——ちなみに出張中はオフはあるんですか。

基本的にないですね。

——2ヶ月間働き詰めですか?  やっぱり日本のビジネスマンはすごい!

夏であれば、ヨーロッパは日が長いので、6時ぐらいに仕事が終わっても結構気分転換が出来たりします。 丸一日オフというのはないのですが、日曜日は仕事の合間に極力美術館を回るようにしています。 その国の感性、歴史や文化を学ぶには美術館が一番いいものですから。それが休憩がわりになっているのかもしれません。
また、食事はどうせしなくてはならないので、極力美味しいものを食べるようにしています。

美術館
——その美味しいお店はぜひ後で教えてください(笑)。 ちなみに、海外でのセールスで気をつけていることはありますか?

これはブランド戦略の一環なんですけれど、どのお店に商品を卸すかという点には気を使っています。 欧米と言えども、ただ取引先を見つけるという事だけで言えば、そこまで困難な事ではありません。 しかし、自社のブランドを正しく理解し、それを適切に表現してくれ、取引を行う事で自社のブランド価値の向上にまでつながるディーラーや会社と契約を結べるかどうかは、営業マンの持つ情報力と知識、経験や感性、そして何より営業力に掛かってきます。
そういう意味で、入社以来、当社の海外事業の売上規模が毎年倍増ペースで伸びている事は、大きな自信につながっています。

——海外における御社の主力商品というと?

やっぱり深澤直人さんのHIROSHIMAですね。
過剰に日本を出していないシンプリシティが受け入れられています。特にこの曲線は、生半可な技術と知識では具現化出来ないので、 そんなマルニのクラフトマンシップに惚れ込んで下さっているお客様も多いです。

HIROSHIMA
——この曲線は本当に美しくて思わず触りたくなりますよね。 ちなみに、今年の出張で印象深い思い出などはありますか?

フィンランドとスウェーデンで展開が決まったことはやっぱり思い出深いですね。
北欧は木製家具の本場で、中途半端な品質では入っていけないマーケットですから。 2年間アプローチをし続けてきたので相手が根負けしたのかもしれませんが(笑)、ようやく開拓できました。 それが一番嬉しかったですね。

——それはおめでとうございます! 敏腕セールスマンとしては、次はどこを狙っているのでしょうか?

そんな(笑)。五大陸すべてでマルニブランドを構築したいのですが、残すは南米とアフリカ大陸だけなんです。 今年は南米への大きな足がかりとなるメキシコ展開が決まったので、引き続きアプローチしたいと思います。

——地球の裏側ですね。最後に、今後のご予定を教えて下さい。

11月に東京デザイナーズウィークがあるので、 秋はそれに注力して日本にいるようにしています。
その後は、アジアをぐるっと回る予定で、年が明けてしばらくしたらまたミラノに向けてヨーロッパに長期出張です。

——本当にお忙しいですね。春にサイトがオープンしてたらきっと神田さんにはお会いできなかったと思うので、秋にリリースで良かったです(笑)。 今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。

神田宗俊さんマイページ | トリッププランナー

今回はまるで「情熱大陸」を見ている気分になった取材だった。ヨーロッパの石畳の階段を50キロの荷物を抱えて登り、2ヶ月間休みなしで働き、五大陸制覇を目指し飛び込みで新地へ乗り込んで行く。穏やかで品の良い印象の神田さんには失礼かもしれないが、まるで子どもが冒険家の体験談を聞くときのようなワクワクした気持ちで話を聞いていた。日本の職人の技もすごいけど、それを売るビジネスマンのタフさも半端じゃありません!(取材・文 野口美樹)

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