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【山陰】アクロバティックすぎる神事! 島根・温泉津温泉の石見神楽に心臓バクバク。

更新:2019年01月29日
オフィシャルプランナー矢口あやは

日本の古来から脈々と受け継がれてきた神事「神楽(かぐら)」。なかでもエンタメとパフォーマンス性の高さで鳴らすのが、島根県・石見(いわみ)地方に伝わる「石見神楽」。国内外からも高く評価されていると聞いて、ずっと見てみたいと思っていました。機会が訪れたのは、温泉津(ゆのつ)温泉に宿泊したときです。

先日、「え? 飲み会のこと? 直会(なおらい)っていうよ!」という島根生まれ・島根育ちの生粋の島根っ子の言葉に、さすが出雲のあるお土地柄! と感動しました。

この島根・石見地方に古くから伝わる神事のひとつが「石見神楽(いわみかぐら)」。神事というと、能のようなおごそかなものを思い描きがちですが、ちょっとちがいます。

神楽とは、神さまに奉納する舞楽のこと。アマテラスが天岩戸に引きこもってしまった時、アメノウズメが舞った面白ダンスも神楽です。

ちなみに、天孫降臨の伝説がある宮崎・高千穂でみた「夜神楽(よかぐら)」はこんな感じでした。

天井に、竹を格子状に組んで真っ白な紙垂(しで)を垂らした天蓋が、神事らしい印象です。神楽は地域によってスタイルが異なり、お酒を酌み交わしながら夜を徹して舞うところも。まさに高千穂は夜通し系でした。

さて、そんな地域色の濃い神楽の中でも、エンタメとパフォーマンス性の高さで鳴らすのが「石見神楽」。

国内外からも高く評価されていると聞いて、ずっと見てみたいと思っていました。機会が訪れたのは、温泉津(ゆのつ)温泉に宿泊したときです。

■温泉津温泉で石見神楽をみる夜

温泉津は、薬効の高さで温泉マニアの間でも有名な温泉です。1000年超えの温泉がゴロゴロある島根の中でも、この開湯は1300年前。発見当時のエピソードが、とってもカワイイんですよ。 

たまたま通りかかった旅の僧が、湯につかって怪我をなおしているタヌキを発見。それがこの温泉だったといいます。

お湯は、湧き出したときは透きとおっていて、湯船に注いだときには黄土色に。温度高めのアチチな温泉です。 

さて、話を戻しましょう。温泉津の湯を楽しんだお風呂上がり、夜のとばりの中を宿泊客とぞろぞろと連れ立って、近くの「龍御前(たつのごぜん)神社」へ出かけました(写真はお昼の模様)。

■花火にスモーク!? アクロバティック神事 

ステージは高千穂よりもずっとカラフル。ステージ床と客席は、イルカショーならズブ濡れの距離。かぶりつきです。笛や太鼓のお囃子に乗って、私たちは神代の世界へ。

それにしてもテンポが軽快! しかも速い! 踊りだしたくなるリズムです。 

と思ったら、本当に踊りながら颯爽と登場しました。笑みをたたえた神さま・恵比寿さんが。

衣裳がキラキラ。なんたるゴージャス。これはもう小林幸子さんだわ。と思いきや、だいたい固定されている(?)幸子さんと違って、動く、動く。想像の上をゆく、とんでもない躍動感

恵比須さんはその後、釣ろうとしている鯛が客席に逃げこんだので、まき餌として客席に飴を雨あられと投げまくり、無事に釣り上げたあとはホクホク顔で去っていきました。

ああ……なんか、濃い。もうこの時点ですでに映画を1本見たみたいです。ドキドキしすぎて心拍数がおかしい。

続けて始まったのは、「八幡」なる演目。こっちはこっちで、すんごい顔の鬼が出ました。ギラつく金色の目、なんとも噛み合わせの悪そうなキバ。シュールな髪型。私が子どもなら泣いてたなぁ。

一同、もう鬼に釘付け。ヒーローの顔がまったく思い出せません……まさに鬼の所業

善と悪が切り結び、剣や杖をふりまわす大立ち回り。こうこうと輝く火花、そしてスモーク。二人の激しい動きに合わせて、衣裳に縫いつけられた金糸や鏡の破片がキラキラ。

す、すごいぞ、日本の伝統芸能!

 

■予想のナナメ上を行くヤマタノオロチ

最後に、おまけとしてヤマタノオロチが登場しました。そうそう、これこれ。石見神楽といえばこれ! 

すごいんですよ。ちょっと見て。ニョロニョロ……

にょきっ。

タテに! まさかのタテに! 

この後、横に使う鍋しきを垂直に置いたみたいな形になりました。実際の演目では、15mを超える大蛇(オロチ)がスサノオを相手に火花を散らしながら暴れまわるんだとか。なんなの島根県。こわい。最高。

ちなみに、オロチの中にはちびっこ楽師のお父さんが入っていました。汗だく!

全国的にはちょっと存在感が薄めの島根県ですが、その身のうちに秘めるポテンシャルには畏れさえ湧いてきます。

■庶民の芸能として進化していた

しかし、ここでギモンがひとつ。この神楽、ところどころカメラが捉えきれないスピードなのです。

見てください、鬼のこの機動力。

他の地域の神楽より確実にアクロバティック。どうしてこうなったんでしょう? 

調べてみると、石見神楽の起源には諸説ありますが、室町時代の後期にはすでに神主さんらによって舞われていたんだそう。しかし、明治になって政府が「神職演舞禁止令」を発令。

おうおう、出たな。政府の大きなお世話問題。でも、思えば秀吉も「フグ食禁止令」とか出してたのは有名な話。先日はアメリカ・ミシガン州の「ピエロの仮装禁止令」騒動もありましたね。

さて、「神職演舞禁止令」を機に、石見神楽は神職から民間の手へと渡りました。そこからエンタメ性を帯びはじめ、音楽はゆるやかな六調子から軽快な八調子のものも生まれ、衣裳も、金糸銀糸による派手な方向へチェンジしたそう。

もとは秋の収穫に感謝する舞として奉納されてきましたが、現在は公演もあって、季節を問わず通年で見られます。

 

■神楽面の絵付けにチャレンジ 

石見には、この神楽面を作る工房がいくつかあります。

その中の一つが小林工房。切り盛りするのは、11歳から石見神楽面の職人・柿田勝郎さんに師事し、技法を学んだ小林泰三さんです。

小林さんはこれまでに、華道家「假屋崎省吾」氏とのコラボレーション『牡丹コラボレーション假屋崎省吾×八岐大蛇』や、「EXILE TRIBE PERFECT YEAR2014」の蛇頭制作、大蛇演出、ツアーアシスタントに携わってきたそう。

石見神楽は各界のアーティストたちにも注目されていたんですね。

工房では絵付け体験ができます。昨日見た恵比須さんの面に色を塗らせてもらいました。

全国の神楽では木彫りの面を使うのが一般的。一方、石見神楽でつける面は、名産・石州和紙を使った張り子面。他の神楽より舞が激しいために、軽くて動きやすい面として和紙製になったんだとか。

お面の軽量化が、あのダイナミックな動きを支えていたんですね。

できあがった面をつけてみました。

めっちゃ怖い。

ちなみに、面に続いて、衣裳も気になるところ。石見神楽の衣裳は型紙とりから刺繍・金糸縫い・仕上げまで、すべて手作業。とくに金糸は、そのまま縫い付けるのではなく、模様を描きながら赤い糸で、一針、一針ととめていきます。

衣裳の金額は、1着あたり数百万円するものもあるそうです。眼福です。

神さまと一緒に超エキサイティングできる石見神楽。島根を訪れた際は、ぜひご観覧を!

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