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ウィーン郊外の田舎町にある話題の農家で味わう、絶品エスカルゴ

更新:2017年07月28日
みきP

エスカルゴといえばフランス料理の定番……と思いきや、実はウィーンでも昔から食べられていたってご存知ですか?  ウィーン郊外にあるオーストリア唯一のエスカルゴ専業の若き農園主を訪ねて話を聞いてみました。試食レポート付きです!

ウィーン郊外の農村で、オーストリアで唯一専業でエスカルゴの養殖を手がけているGugumuck(ググムック)のアンドレアス・ググムックさんは、異色の経歴の持ち主である。

大学で経済学を学んだ後、約10年ほどIBMでITコンサルタントに従事していたが、あるときエスカルゴがかつてウィーンでさかんに食べられていた歴史を知り研究をスタート。実家であるウィーン郊外にある400年以上の歴史を持つ農家を拠点に、試行錯誤を繰り返し、ついにエスカルゴの養殖に成功した。

ググムック外観。右手建物の1Fはショップ、2Fはビストロ。いかにもヨーロッパの田舎町の農家といった雰囲気が素敵すぎる。

1720年から続くという実家の屋根に掲げられているのはなんとオスマントルコ軍が放った弾。実はこのときに家が焼けてしまい歴史があいまいになってしまったが、「おそらくそのずっと前からここに住んでいますよ」とググムックさん。

これらの活動が評価され、ググムックさんは2012年には欧州議会において「ヨーロッパ最高の若い農家」の1人に選出される。またオーストリアの権威あるグルメ雑誌『A LA CARTE』で、食品界のアカデミー賞的な賞も受賞。そう、彼は実はかなりの有名人なのである。


さっそく農場を案内してもらう。周囲に広がるのは完璧なヨーロッパのカントリー風景である。とてもウィーンの旧市街から直線距離にして7-8kmとは思えないのどかさ。

ググムックさんの家の前に広がる風景。ここも一応、ウィーン市内です。

「エスカルゴは持続可能な未来の食材なんです。たとえば、牛肉は1kgの肉を得るためには14kgの餌が必要ですが、カタツムリなら1kgに対して1.7kgで済む。病気の少ない生き物なので、抗生物質のような薬品も不要です」と、ググムックさんは言う。

大ぶりのエスカルゴと、エスカルゴ農場の前で語るググムックさん。約2000平方メートルの敷地で約20万匹のカタツムリを養殖している。

意外に知られていない、エスカルゴの歴史

今やエスカルゴといえばフランス料理の定番だが、実はオーストリアのほうがかつてさかんにカタツムリを食べていた歴史があるのだそうだ。四旬節の断食の期間に、肉や動物性のものを食べられなかった僧侶らにもとても重宝されていたという。

「1860年代のオーストリアの一番有名な料理本にもエスカルゴ料理が出ていますし、1775年に出版された本にもウィーンの教会の裏でカタツムリを売る女性の姿が描かれているんですよ」とググムックさん。


1775年発行の本に描かれているエスカルゴ売りの女性。

実はこの農場へは、ウィーン商工会議所が認定する「ウィーンならではの美学とクォリティを持つプロダクト」に与えられる称号、「ウィーンプロダクツ」の認定を受けた場所をめぐるメディアツアーで訪れたのだが、「なんでオーストリアなのにエスカルゴ?」とちょっと不思議だった。ググムックさんの解説を聞いて納得、エスカルゴは歴史のあるウィーンの郷土食だったのだ。

あの『会議は踊る』で有名なウィーン会議の際にエスカルゴを出席者たちにふるまったことから王侯貴族の間で大流行し、特にロシアやフランスで人気になったのだとか。へえー!!
こんなコネタ、かなりの世界史好きでもまず知らないのではないか。ググムックさんは何かと勉強家なのである。

残念ながら第一次大戦後にウィーンでは廃れていまい、いつのまにかエスカルゴと言えば本家はフランスのようになった。そんな状況に立ち向かい、歴史あるこの地でエスカルゴを復活させるべく立ち上がったのがググムックさんというわけだ。いまは自身の農園の運営だけでなく、大学の授業や各種セミナーなどを通してエスカルゴの生産者を増やすための活動にも力を入れている。

農場横のオープンエアテーブルでいただく、絶品エスカルゴ

さて、そんなこだわりのエスカルゴをさっそくいただいてみることにしよう。試食場所は木陰が気持ちがいい農場に併設されたオープンエアのテーブル。
端的にいって最高すぎるシチュエーションである。素晴らしい眺め!

気持ちのよい木陰のテーブル。5月〜10月まではガイド付きツアーも実施されており、この場所でワイン付きの試食会も行われている。

まずはじめに登場したのはなんとエスカルゴのキャビア(卵)。食関係のメディアが多かった取材陣も驚きの珍しさだ。

淡白でさっぱりとしたキャビアを、乾燥させた塩漬けのラードの上に載せて、塩こしょうでいただく。プチプチとした食感のさわやかなキャビアに、ラードのうまみが加わり、うわぁ……おいしい!

続いてこちらも珍しいエスカルゴのレバー(肝臓)。

エスカルゴからレバーを取り出す技術を持っているのはググムックさんだけだそうで、いわば世界有数の珍味である。これがまた、ちょっと酒盗を思わせる濃厚な味で、我々日本人的には「日本酒くださーい!」と言いたくなる美味。酒飲みなら間違いなく好きになるはず。

さて、いよいよみんな大好きエスカルゴのグラタンが登場。このエスカルゴの大きさ!



今回は一般的なにんにくやパセリ入りのバター風味の他に、オリジナルレシピだと言うパルメジャーノとローズマリー味もジョイン。どちらもソースを一滴も残したくないほどおいしい。
ググムックさんの農場は完全予約制のビストロも併設していて、そこでは生のグリーンコーヒーや炭などのフレーバーが登場することもあるのだか。エスカルゴのレシピはいろいろ奥深いのだ。

さて、このグラタンのタイミングで、ペアリングされたのが「Goldkehlchen /ゴルドケールヒェン」のシードル。エスカルゴも絶品だったけど、こちらのシードルも素晴らしかったのでぜひ合わせて紹介したい。

コマドリのイラストが超絶にかわいいゴルドケールヒェンのパッケージ。ちなみにググムックの試食会では通常このシードルではなくワインが供されるようです。今回は特別。

こちらのシードルを手がけるているのも同じく若手のアダム・エルンストさん。約4年前に奥様とともに創業し、「オーストリアのシュタイヤマルク州の手摘みりんごを使用」「砂糖、保存料、香料等不使用」などにこだわるシードルを作って来た。その品質の高さから早くもウィーンプロダクツに認定されている。

今回、エスカルゴにあわせて3種類のシードルを味わったが、どれも爽やかな酸味とすっきりと軽い味で本当においしい。
初めて知ったがこのように透明感のあるシードルを作るには通常豚由来のゼラチンで濾過する必要があるそうだが、ゴルドケールヒェンでは使っていないのだとか。ゆえに完璧なビーガンでもある。

自分史上最高に美味しいエスカルゴに合わせたシードルもまた自分史上最高の味。さわやかさとすっきりさ、リンゴの風味の豊かさはこれまで味わったことないレベルだった。見た目もかわいいので、日本の明治屋さんとか成城石井さんあたりが輸入してくれないかな……と帰国後願う日々であります。誰か……!

ショッピングやビストロでの食事も楽しめる



さて、農場横のガーデンでの試食の他に、ググムックのエスカルゴはビストロでも味わうことが出来る。窓の向こうに農園が見える「ファーム トゥ レストラン」なビストロは完全予約制。月に3回、金曜日だけオープンするので早めの予約が肝心だ。すでに日本や中国からの客もいるのだそうだ。

一階にはショップもあり、今回試食したキャビアやレバーも買えます(ただし、要冷蔵)。その他常温で持ち帰れるラグーなどもありパッケージもおしゃれなのでお土産におすすめ。

ググムックがあるロートノイジードルは、粘土質の土地ゆえ古くからレンガ造りがさかんな田舎町。風情ある赤レンガの建物も残り、王宮や貴族の館が立ち並ぶ旧市街とは全く違う、もうひとつのウィーンの風景を探しに行くのも楽しい場所だ。

ウィーンの旅をよりカラフルにするエスカルゴ農場へのプチトリップ。ググムックでの食事は、個人的には次の旅のプランに絶対加えたいことの一つになった。心の底からおすすめです!(みきP)

ググムック
※アクセス方法や試食会やビストロ予約方法等は公式サイトを参照ください

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<取材協力> 
オーストリア大使館商務部 
・ウィーン商工会議所(ウィーンプロダクツ

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