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リアル『かもめ食堂』の世界、心も体も喜ぶ北欧のキノコ狩りをたっぷりの写真でレポート

更新:2017年10月21日
みきP

北欧では旅行客だって森でキノコ狩りが楽しめるのをご存知でしょうか。国立公園だってどこでだって、自由に果実やきのこ摘みを楽しめるワイルドフード天国でのおいしいハイキングをたっぷりの写真でお届けします。おとぎ話のようなラトビアとフィンランドの森の風景にも癒されますよ。お料理試食レポート付き!

3,000m級の高山も珍しくない、国土の7割以上が山という国の住民からすると、最高峰でも300mくらいというバルト三国や、それよりは高いとしても最高峰はせいぜい1,300m程度のフィンランドの印象は「ものすごく平らな国」である。

エストニアのトルクセ湿原の展望台からの眺め。どこまでも真っ平な風景は山国から見ると新鮮。

今回、初めて北欧でキノコ狩りを体験し、いっとき「森の人」になってみて感じたのは、平らな国の森ならではの優しさだった。日本の山に分け入るときは、その高低差ゆえに多少の緊張感がつきものなのだが、北欧の森にはそれがない。キノコ狩りなんか日本でだって出来るではないかとも思ったけれど、このほんわかのんびりキノコ狩り体験は北欧でしかできないことの一つだろう。

ということで、今回は『かもめ食堂』でも印象的に登場した、北欧の人が愛してやまないキノコ狩りの体験レポート。美味しくいただいたお料理や、キノコ狩りの注意事項もあわせてご紹介します。

◎ 北欧では森はみんなのものでした、そう旅人にも。

まずはじめにキノコ狩りに挑戦したのは、ラトビアの「ガウヤ国立公園」。日本の国立公園で何かを摘みでもしたら大目玉だけれど、北欧諸国には「自然享受権」があり、土地の所有者に迷惑をかけない限り誰でも(旅行者でも!)森や自然の恵みを得る権利が保証されている。美しい自然の中を散策したり、釣りをしたり、お花を摘んだり果実やキノコを摘んだりするのは人間の権利なのだ。

わーい! と飛びつく前に注意事項を。まず第一に、素人には毒キノコを見分けるのは非常に困難なので、いくら旅行者にも権利があるからといってむやみに食べるのは厳禁。必ず専門家に見てもらうようにしよう。
また、普通の公園や道ばたでも立派なキノコを良く見かけるけれど、市街地のキノコは食用には適さないので、必ず国立公園や田園地帯にある森等、自然豊かな場所で採集すること。
家族経営の小さな田舎宿などでは、穫ってきたキノコを見分けてくれることもあるらしいので、宿の人に相談してみるのもいいだろう。

今回私は、CAITOプロジェクトのプレストリップに参加してキノコ狩りを体験したので、ラトビアでは菌学者に、フィンランドでは宿泊先の宿のご夫婦にサポートしてもらった。キノコ狩りが好きすぎる北欧では「キノコアプリ」も普及しており、どれが食用かをスマホで見分けている人も多いのだそうだ。

さて、万全のサポートが見つかったら、さっそくキノコ狩りに挑戦!

用意するのは、小さなカゴと、小さなナイフ、そして手袋に袋。このカゴが可愛すぎて、おとぎ話のような北欧の森の風景にもぴったり。




さっそく発見! と思いきや、これは食べられないタイプのキノコ。全てではないけれど、一般的に真ん中がぽこっと盛り上がっているタイプのキノコは食べられないことが多いとか。



良いキノコを見つけたら石突きの部分を地面に残してナイフで切り取るのがマナー。そうすると新しいキノコが生えてきて何度でも楽しめるのだ。

菌学者の先生は、摘み取ったらキノコのかさの内側をチェックしていた。ここが汚れているのはもうダメになっているキノコだそう。

このかわいこちゃんは菌学者の先生の相棒。一応キノコ狩りを手伝ってくれているのだ。



キノコを探しながらひとりで森を歩いていると、何だかものすごく充ち足りた気分になってくる。風の音、鳥のさえずり、木々の葉の揺れるさま。獲物を探して草をかき分けているときに自分の中に感じる、普段忘れてしまっている「動物」的な何か。



キノコ狩りは「収穫」ではなく、一種の癒しでもあると感じたのは、なだらかで平坦な北欧の森の優しさゆえだろうか。時おり見つけて口に放り込むベリーの甘さにも心やすらぐ。



と、心までリフレッシュしつつ森の恵みもしっかりとカゴの中へ。約30分ほどでこれだけ摘めた!

◎ ラトビアの領主の館でキノコ料理を堪能

ガウヤ国立公園で摘んだキノコは、近くにあるカントリーホテル「カールリャムイジャ領主館」に持ち帰って鑑定してもらう。



約10人ほどで採りも採ったりのキノコたちの図。けれど残念ながら真ん中よりやや左側から先は毒キノコ。いかにも毒がありそうな青いのはともかく、他のやつはなかなか美味しそうではないか。キノコの判別の難しさにあらためてゾクゾク。やっぱり素人はプロのサポートなしで体験するのは危険だ……。



さて、せっかくなので宿ではキノコ料理をいただくことに。
今回、特別にテラスでライブクッキングをしてくださったのはフランスでも修行したというシェフ。18世紀の領主の館の風情ある壁に、シェフの髪の色から服まで完璧にマッチしていて絵になりすぎている。なんだかプロのコーディネーターが撮影用に用意したかのような完璧な色のグラデーション!



ここは普通の素朴な田舎宿なのだけれど、テラスのテーブルセッティングのセンスの良さがすごい。インスタ映えとか全然考えてないだろうけど、自然にどこもフォトジェニックになってしまっている北欧のおしゃれ偏差値の高さ。

目の前で豪快に調理されているのはアンズタケのクリームソテー。



こちらはキノコのうまみたっぷりのポタージュ。



カラカサタケというキノコのカツレツは、むっちり美味しい! とろりとしたキノコのマリネやキノコの塩漬けなどが添えられているキノコ尽くしの一皿。



私は田舎暮らしの経験がないので、キノコというと、スーパーマーケットの常連、しめじ、しいたけ、まいたけ、エノキあたりしか普段は食べないので、こんなにたくさんの種類のキノコをいっぺんに味わうのは初めて。どれもとびきり美味しくてクセになりそう。やっぱり秋の味覚の王様はキノコ!

このカールリャムイジャ領主館は、お料理もおいしく、環境もすばらしく、建物は歴史あるマナーハウスで、個人的にもいつか再訪したいと思った宿泊先の一つだった。今度泊まる時はキノコの鑑定をしてもらえるか問い合わせてから、近くの森でマッシュルームピッキング(キノコ狩りを現地ではそう呼ぶ)に挑戦してみたい。

ちなみに小人数なら前日までに予約すればレストランだけの利用も可能。今回私たちが体験したような実演付きのアウトドアディナーを希望する場合は問い合わせを。

カールリャムイジャ領主館

◎ フィンランドのキノコ狩りはこんな感じです

さて今回の旅ではフィンランドの宿でもキノコ狩りを楽しむことができた。協力してくれたのはスウェーデン人口率がフィンランドで一番高い98%という南岸部のリゾート地にあるカッリオラ・カンファレンス&イベントセンター
普段は結婚式やセミナー等に使われている施設だけど、敷地内に立派な森があり、キノコ狩りも楽しめるのだ。



ガウヤ国立公園は誰でも入れるキノコ狩りスポットだけに、9月の時点では結構摘み取られた後のような印象だったけど、こちらはさすが宿の敷地内。わりと立派なキノコがたくさん残っている。



宿のオーナー夫人が思わず笑ってしまうサイズのポルチーニをゲット。もちろん食べられる。

ちょっとうろついただけでどっさり穫れたキノコたち。

宿の夕食のとき、スモークしたヘラジカに添えられて登場したキノコたち。もちろん文句無く美味しい。
アンズタケ、今回の旅ですっかりファンになったので、日本でも探して食べよう。


お料理を担当したのは、フィンエアーの機内誌『BLUE WINGS』2017年秋号の表紙も飾った、ワイルドフード分野で注目されている若手シェフ、ニック・ヴィクトルツォン(Nick Victorzon)さん。

ここはほとんどスウェーデンなのでもちろん名物ザリガニも出てくる。


フィンエアー機内誌の表紙に登場したときの写真はこちら。

ネットでも閲覧できる。

ワイルドフードが北欧の食でトレンドという巻頭特集にシェフとして参加。いやぁ、かっこいい!

このカンファレンスセンターは一般客が泊まれないのが残念すぎるほど料理のレベルが高くて、今思い出しても胸が熱くなるほどの美食スポットだった。



抗酸化作用で注目されているスーパーフード、チャーガ(別名「シベリア霊芝」)と、庭の白樺の葉から作ったというアイスクリームや、



朝食で出された木の実ぎっしりのパンなど、これが北欧ワイルドフード料理界の本気か! とひれ伏すほどの珍しい食材たち。松ぼっくりなど一癖も二癖もある素材も、繊細な北欧料理にアレンジしている。

静かな海に面しており自然もいっぱい、ヘルシンキからも車で90分ほどのエリアなので、北欧ウェディングを考えているならすごくおすすめ。誰かウェディングするなら呼んで欲しい、そうしたらあの料理をもう一度食べられるのに……!

カッリオラ・カンファレンス&イベントセンター

ちょっと脱線したけれどすごくおすすめの北欧キノコ狩り。シーズンは晩夏〜初秋だけど、場所によっては11月ぐらいまで楽しめるようなので、ツアーに参加したり宿のサポートを受けたりして、ぜひ体験してみてくださいね。(2017年10月20日 みきP)

取材協力:CAITOプロジェクト
CAITOプロジェクトとは、バルト海沿岸のフィンランド、エストニア、ラトビアの田園ツーリズム産業を日本をターゲットに促進するプロジェクトです。

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